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401.報道比較2011.6.1

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制度設計

朝日新聞・社説
社会保障改革—首相は使命を果たせ

産経新聞・社説
社会保障改革 抑制策逃げては本末転倒

社会保障と税の一体改革を議論している政府の集中検討会議が大詰めを迎えている。これまでは幼保一体化、パート労働者の年金・保険への加入拡大、自己負担総額に対する上限設定の「安心3本柱」に加え、年金支給の開始年齢引き上げなど給付抑制策が議論されてきた。
両紙とも首相がリーダーシップを発揮した「安心3本柱」については評価しているものの、内閣不信任案のごたごたで急きょ、給付抑制策への具体的提言が取り下げられたことを批判。さらに朝日はこれが増税議論にも影響すると懸念し、産経も無駄の徹底排除がなければ増税案への説得力が薄れると説いている。

君が代・不起立教師問題

朝日新聞・社説
君が代判決—司法の務め尽くしたか

産経新聞・社説
国歌起立判決 「合憲」機に指導の徹底を

卒業式の「君が代」斉唱時に起立しなかったことで定年後に再雇用を拒否されたとして、都立高校元教諭が損害賠償などを求めていた裁判で、最高裁は「起立を命じた校長の職務命令は、思想・良心の自由を保障した憲法19条に違反しない」との判断を初めて示した。ただし「間接的な制約となる面があることは否定し難い」とも述べ、「強制や不利益処分は可能な限り謙抑的であるべき」との補足意見も出された。
産経は教育現場正常化の大きな一歩と判決を評価し、教師の行為は個人の政治的主張や感情を生徒らに押しつけるものだと批判。「強制や不利益処分は可能な限り謙抑的であるべき」とした補足意見を盾に、「強制はいけない」と主張するなら筋違いだとしている。その補足意見を引用し、「無条件の合憲判断ではないことに留意すべき」としているのが朝日新聞。職務命令と憲法の関係のみを論じ、不採用の当否は判断しなかった最高裁の姿勢にも疑問を投げかけている。

原発問題

日本経済新聞・社説
原発の安全な再稼働へ首相の責任重い

定期検査のため停止中の原発に対して地元自治体や住民が安全性に懸念を強め、いまだ運転再開の見通しが立たない。このままでは1年以内に国内54原発がすべて止まることになる。
社説は、国内発電量の約3割を担ってきた原発のすべてが止まれば、全国規模で計画停電を余儀なくされると指摘。今後のエネルギー政策で原子力をどう位置づけるのか、政府が展望を示していないことが地元の不信の根底にあるとし、浜岡原発を自身の要請で止めた首相は、他の原発に自ら出向いて地元に理解を求めるぐらいの覚悟を持つべきとしている。

毎日新聞・社説
原発賠償 交渉円滑化の仕組みを

読売新聞・社説x
原発事故賠償 東電と政府は被害救済を急げ

福島原発事故に伴う損害賠償の範囲を定める「2次指針」を、文科省の原子力損害賠償紛争審査会が示した。農林産物や畜産物、水産物の風評被害については、政府による出荷制限を受けたり、自治体の要請で出荷を自粛したりした区域の食用全品目が対象になった。観光業についても、原発がある福島県に営業拠点を持つ事業者に限り、予約キャンセルや客の減少を損害として認めている。また、避難に伴う精神的苦痛に対しては、避難場所に応じて慰謝料を算定し、支払う方針となった。
毎日は、従来より賠償範囲が広げられたことに評価を与えつつ、今後もさらに緻密な被害調査を積み上げるべきと主張している。また、指針に基づいた賠償交渉の進め方が明確に示されていないことに懸念を表し、「迅速」「公平」に大量の賠償交渉を進める枠組みが必要だと示唆している。
読売は「補償が前進した点は評価したいが、ペースはあまりに遅い」と苦言。今後は被害状況に応じて対象地域の拡大も検討すべきとし、精神的苦痛の損害額をどのように算定するかなど、難しい課題もまだ残されているとしている。また、東電の支払いを公的資金で立て替える政府の賠償策について、法案策定のめどがいまだに立っていないことを指摘。
東電が信用不安にさらされたままでは、事故の早期収束と着実な損害賠償、電力の安定供給という三つの使命は果たせまいとしている。

復興構想会議

毎日新聞・社説
具体案を本気で急げ

震災復興プランを策定する菅首相の諮問機関「復興構想会議」が、議論の経過を中間(論点)整理として公表した。社説は、復興特区構想や増税案、土地利用規制の緩和などを焦点とし、同会議の議論がスピード感と具体性に欠けていると指摘。さらに現場の意欲に水を差す行為とも断じ、まずは22日の国会会期末までに提言をまとめたうえ、会期延長による実現を政府に強く迫るべきとしている。

日本経済新聞・社説
景気のV字回復に課題多く

4月の主要経済指標によると、生産は下げ止まったものの、輸出の減少にブレーキがかかっていないことが分かった。個人消費も低調で、雇用情勢も悪化している。
社説は、生産・輸出・個人消費・雇用の各部門の現状を分析しつつ、来期のV字回復のためには供給網やインフラの再建が欠かせないと主張。そのカギとなる時期に政治がごたついていることにも苦言を呈している。

読売新聞・社説
避難誘導の遅れは重大問題だ

北海道占冠村のJR石勝線トンネル内で起きた特急列車の炎上事故で、北海道警は31日、業務上過失傷害容疑でJR北海道を捜索した。エンジンの動力を車軸に伝える「推進軸」の周辺部品が落下したため脱線が起き、何らかの火種がディーゼル燃料に引火した可能性があるという。車掌は脱線停車の11分後、列車運行の指令センターに「避難したほうがいい」と訴えたが、センターは「車内に煙が入る。ドアを開けるのは待て」と指示していた。
社説は、乗客に対する避難誘導に大きな問題があったとし、乗客らが軽症で済んだのは、独自の判断で避難を始めたからだと指摘。現場よりマニュアルを尊重した対応が結果的に避難の妨げになったとしている。また、マニュアルは本来、訓練を通して見直されるべきものだとし、トンネル火災を想定した実地訓練が青函トンネル以外で行われていなかったことにも苦言を呈している。

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