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363.報道比較2011.5.3

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朝日新聞・社説
大震災と憲法—公と私をどうつなぐか

産経新聞・社説
憲法施行64年 非常時対処の不備を正せ

震災後における国家行政の混乱は、戦後日本が憲法改正や法整備によって「想定外」への備えをしてこなかったことによるとし、国家緊急事態に関わる不備を是正することが喫緊の課題だと訴えている。何より、自衛隊という国民の財産が十分に活用されているのか疑問だとし、「国民の軍隊」として処遇することが重要だと提言。憲法改正のハードルはなお高いが、改正発議を規定する憲法96条の改正のみを求める動きもあるとして期待を寄せている。
また一方で、震災に際して安全保障会議を開こうとしないなど、既存の枠組みを活用しようとしない管首相を批判しつつ、「災害緊急事態」の布告も見送られたと指摘。ただし同布告に伴う政令の制定はあくまで国会の閉会中などを想定したものだとし、枠組みそのものの不備を訴えている。さらに非常時には「私権制限」をしなければ事態を乗り切ることはできないとし、非常事態条項を憲法に明記すべきと示唆。そして国民投票法が施行されたにもかかわらず、憲法審査会がいまだに始動していないことに苦言を呈し、非常時を「想定外」とした思考停止はもはや許されないと結んでいる。

毎日新聞・社説
大震災と憲法記念日 生命を守る国づくりを

巨大地震・大津波・原発事故と3重苦を背負わされた福島県・南相馬市の桜井市長が3月下旬、動画投稿サイト「ユーチューブ」で窮状を世界に向けて訴えたことを引き合いに、憲法が規定する国の役割を改めて問いかける内容。とりわけ憲法13条の幸福追求権、25条の生存権は、緊急時にこそ尊重されるべきとし、同時に原発の安全対策や首都機能の一極集中回避など、国民の生命を守る備えを進めることが国の役割だと示唆している。
一方、今回の震災で「災害緊急事態」が布告されなかったことにも触れ、法制度の不備に言及。ただ憲法改正で非常事態条項を入れるべきとの意見については、現行法制と運用についての議論が先だとしている。また、緊急時における民間ネットワークも育てていきたいとし、「社会のあり方」も広義の憲法問題として考えていきたいと提言している。

  

朝日新聞・社説
ビンラディン—テロの時代に決別せよ

日本経済新聞・社説
指導者倒しても「テロとの戦い」は続く

読売新聞・社説
ビンラーディン テロとの戦いは終わらない

米・同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディンが米軍によって殺害された。各紙とも、米国の成果に理解と評価を示しつつも、これでテロの脅威がなくなったわけではなく、むしろテロに共感する若者が世界各地で育っていることを示唆。引き続き国際社会の密な連携が必要だとしている。
3紙ともおおむね同じ論調だが、朝日はビンラディン容疑者を裁判にかけられなかったのが残念だとし、独りよがりな論理や卑劣な手口を世界に公開すれば、テロの再発防止にもなったはずだと主張している。日経は、そもそも米国の対イスラム政策にも問題はあったとし、さらに中東の民主化デモによる混乱で、イスラム過激派が伸長する懸念があると指摘。各国の指導者に対し、民主化要求に耳を傾けるよう求めている。読売は、アフガンとイラクに安定をもたらすことが、中東の米国への信頼を高めると主張。さらに中東の民主化運動にも触れ、その帰着とビンラディン殺害が、今後の「対テロ戦」にどう影響するのか見極める必要があると結んでいる。

日本経済新聞・社説
切れ目なく復旧・復興対策を

読売新聞・社説
補正予算成立 菅政権は大胆な政策転換急げ

大型連休のさなか、4兆円強を盛り込んだ第一次震災復興予算が成立した。日経は、先送りされてきた復興基本法案の成立も急ぐべきと指摘。さらに私権制限にかかわる法改正も必要だとし、予算の財源論や増税策、バラマキ政策の撤回など、課題も山積していることから、「通年国会」にする覚悟で臨めと叱咤している。
読売は、自民、公明両党が当初、予算の財源捻出方法をめぐって強い難色を示していたことに言及し、両党が最終的に賛成に回ったのは、民主党が政策の転換を約束したからだと指摘。次のステップで引き続き与野党が協調路線を歩むためにも、首相が3党合意を誠実に実行することが肝要だとしている。また、今後の予算編成における財源確保と絡め、消費税増税が避けられないことを示唆。消費税増税が小沢氏グループの反発を招く可能性にも触れ、「菅首相自ら、党内説得の先頭に立つしかない」と結んでいる。

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