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328.報道比較2011.4.7

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原発事故、電力問題

産経新聞・社説
電力使用制限 強制ありきは順序が違う

海江田経産相が電力の大口ユーザーに対し、電気事業法による強制使用制限を発動する方針を表明した。社説は国民が一体になって夏場の電力不足を乗り切ろうとしている今、このような強制措置を講ずることは努力に水をかけ、経済に悪影響を与えることになるのではないかと批判。さらに総量規制(使用制限)をするにせよ、計画停電回避には企業や家庭の「節電」への努力が大前提だとし、その重要性を改めて呼び掛けている。

日本経済新聞・社説
広域連携でがれき処理急げ

東日本大震災の被災地で、倒壊した家屋などのがれき処理が課題になっている。環境省の推計によると、がれきの総量は宮城、岩手、福島の家屋・ビルだけでも約2490万トンにのぼるという。政府はすでに倒壊した家屋などを所有者の承認なしに撤去し、費用を全額国費でまかなう方針を打ち出している。
社説は、がれき集積のための広い土地を確保できないとの声が一部市町村から出ていることを指摘しつつ、土地が仮設住宅の建設候補地と重なること、焼却施設の被災による搬送車両・人員の不足、がれきの長期間放置による有害物質の放出などさまざま課題があることを示唆。自治体の枠を超えた広域的な取り組みでこれに対応できるよう、政府や全国知事会などが早急に仕組みを整えるべきとしている。

毎日新聞・社説
電力節約 夏へ向け早く具体策を

生活や経済活動に大きな影響を及ぼしている計画停電について、東電は4月でいったん打ち切る方針を示した。ただし休止している発電所の再稼働やガスタービンの増設などの措置をとっても、夏の冷房用の電力需要を満たすことはできない。西日本に生産を移管したり、自家発電を増設したりと民間企業ではさまざまな対策を打ち出しているが、社説は「政府としてどのような需給対策をとるのか」を早急に示してもらいたいと指摘しつつ、各家庭が節電に取り組むことの重要性を改めて説く内容となっている。

被災地情勢

朝日新聞・社説
被災地の学校—子どもに笑顔を戻そう

被災地の子供たちに笑顔が戻ることが復興への第一歩ともなるとし、今月下旬からの学校再開をめざす被災地の県教委を支持する内容。阪神大震災を経験した兵庫県教委の震災・学校支援チームの助言から2日に1回でも、校庭での青空教室でも、できることから手をつければいいとし、避難所の運営も担っている学校を内外からサポートすることも必要だとしている。

産経新聞・社説
義援金 まず一時金10万円配分を

東日本大震災の被災者に対する義援金がほとんど配分されていない。死亡者数すらいまだ確定せず被災状況の調査も手つかずの今、致しかたないことだが、社説は阪神・淡路大震災にならい、「まず一時金10万円という形で困っている被災者に配分したらどうだろうか」と提言。県ごとに設置されている現行の「義援金配分委員会」の仕組みについても制度上の限界があるとし、政府が主体的に動くべきとしている。

朝日新聞・社説
無罪破棄—新時代の高裁の役割は

覚醒剤を密輸しようとしたとして起訴され、裁判員裁判で無罪判決を受けた被告の控訴審で、東京高裁がこれを破棄。懲役10年を言い渡した。 社説は、(裁判員制度のない)高裁が同じ証拠に基づきながら、「被告の言い分は二転三転して信用できない」などとし、持ち込みの認識があったと結論づけたことを批判。裁判員の判断を覆すならばよほど説得力のある理由が必要だとし、司法に市民が参加することになったことの意義を改めて問う内容となっている。

日本経済新聞・社説
企業は震災の影響開示に一段と努力を

上場企業の2011年3月期決算発表が今後本格化することを受け、株式市場安定のためにも、震災の影響を正確に反映した経営実態を開示するよう各企業に求める内容となっている。製造業を中心に震災被害による帳簿額の評価が難しい現状に理解を示しつつも、投資家の不安が高まり、投機が起きやすくなっていることは見逃せないと指摘。自社の姿を投資家に対して明確することの必要性を説いている。

毎日新聞・社説
震災と国際社会 世界への発信足りない

福島第一原発から低濃度放射性物質を含む汚染水を海に放出する際、近隣諸国に丁寧な事前説明をせず反発を招いたことについて、外交上の失態だと苦言を呈する内容。国連海洋法条約の慣例に従えば、情報提供はあくまで自発的な判断でよいことになっているが、原発事故で世界に大きな不安を与えた国の最低限の責務、良識の問題ではなかろうかとし、汚染情報や対処方針をいち早く詳細に世界へ発信する態勢を、国際原子力機関などとも連携して作り直すべきだと提言している。

読売新聞・社説
試練の1か月 行きすぎた自粛は活力を奪う

震災の影響で各種芸術活動やスポーツイベント、伝統的なお祭りが続々と中止・延期になっていることに警鐘を鳴らす内容。菅首相のブレーンで経済学者の小野善康氏が行き過ぎた自粛は(経済)復興の妨げになると指摘し、東北産品を積極的に購入する「バイ東北」運動を提唱していることを引き合いに、「自粛ムード」の一掃を政府に求めている。ただし、プロ野球開幕を強行しようとして大きな批判を浴びた読売巨人軍の親会社がこの社説を書いている、という視点で読んだほうが面白い。

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