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328.報道比較2011.4.6

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原発事故

朝日新聞・社説
低汚染水放出—政治がもっと責任担え
食の安全—対策は素早く幅広く

産経新聞・社説
汚染水放出 「非常手段」の説明尽くせ

日本経済新聞・社説
長期の監視で魚の安全保て

読売新聞・社説
原発汚染水 冷却機能の回復で放出止めよ

低濃度の放射性物質を含む汚染水の、海への放出が福島第一原発で始まった。魚の汚染などが懸念され、枝野官房長官は5日、魚介類に野菜と同様の規制値を暫定的に設ける方針を示した。
朝日は、かつてロシアが原子力潜水艦基地の低レベル廃棄物を日本海で投棄した際、日本政府は厳しく批判したと指摘。国内はもちろん国際的にもより厳しい説明責任が求められるとし、漁業を所管する農林水産省や隣国の韓国に事前の連絡をしないなど最終責任を負うべき政府の対応が鈍いと批判している。また、ヨウ素の暫定基準値が定められていなかった魚介類で、茨城県に水揚げされたイカナゴから、野菜の暫定基準値の2倍超のヨウ素が検出されたことにも言及。「検査は従来の週1回ペースで十分か」「肉類や卵でも検討する必要はないか」などの問題提起とともに、放射性物質が継続して放出されることを前提とした新基準の策定などを提言している。
産経も朝日同様、事前の説明が不十分だと批判し、原子炉の冷却が最優先であることから放出そのものはやむを得ないとしつつも、だからこそ国民への細やかなアナウンスが必要だと主張。さらに今後の対策として、放射性物質の海洋モニタリングなどにも力を入れるよう求めている。
日経は放射性物質の魚への蓄積や、食べた人の健康への影響などについて、政府の説明が短期的なものばかりで、長期的観測が示されていないと批判している。さらに欧米に「食物連鎖による生物への濃縮を警戒すべきだ」と訴える科学者が多いことを紹介し、農産物規制と「広い海を回遊する魚」を規制することの本質的な違いを示唆。汚染が長引き規制値を大きく超える場合も想定し、出漁や出荷の制限の出し方、漁業者への補償を今から検討しておくべきだと主張している。
読売は、高濃度の汚染水を貯蔵するために低濃度の汚染水を海に放出しているはずが、高濃度のものも建屋から漏出し、海洋へ流出していると指摘。早急な流出阻止を東電に求め、漁業への深刻なダメージを懸念しつつ、安全性の調査と公表を急ぐよう訴えている。

被災地情勢

産経新聞・社説
仮設住宅 安らげる住まいを大至急

毎日新聞・社説
被災と雇用支援 官民挙げて全国で

日本経済新聞・社説
世界は日本の部品・素材を待っている

東日本大震災で自宅を失い、今なお避難所生活を送る被災者は16万人を超えた。さらに数万人が職を失った状態と見られ、企業部門では自動車や電気製品などの生産再開が遅れている。
産経はガソリンや資材の不足で仮設住宅の建設が遅れていることを指摘。復興の担い手を地元で確保しておく意味でも増設は不可欠とし、民間の協力態勢をフルに引き出しつつ、足りない資材などを輸入を含めて迅速に調達するよう政府に求めている。毎日は被災地で広がる失職者の現状を詳述しつつ、徳島県や鳥取県など「被災者の優先雇用」を打ち出す自治体が出てきたことや、中小企業が被災者を1人雇用すると90万円、大企業には50万円を助成するという政府の方針などを紹介。そのうえで官民挙げた取り組みがもっと必要ではないかとしているが、どんなことがもっと必要で、どうすべきなのか書いていないので支離滅裂な社説となっている。後半では日経と同様、部品や資材が調達できず操業を中止したり、計画停電の影響や外国からの観光客が途絶えて経営が悪化する会社が増えていることを指摘。震災に便乗した人員整理などが行われないよう目を光らせることも必要だとしている。
対する日経は経営者側にフォーカスした内容で、部品の在庫を極限まで減らす「ジャストインタイム」でコストを切り詰めてきた日本の従来の生産方式が、今回のような大災害ではアキレス腱になることが判明したと指摘。今後は完成品メーカーと部品メーカーの両者が関係を深め、部品の流れが見える仕組みを築く必要があるとしている。また、海外の製造業が日本抜きのサプライチェーン再構築に走れば、日本の競争力の源泉である部品業界の地位がアジア企業などに奪われるとし、世界の取引先や投資家に不足する資材や部品の情報を正確に発信するなどして一刻も早く部品供給の体制を立て直す必要があるとしている。

毎日新聞・社説
震災国債 日銀引き受けを排す

東日本大震災の復興に要する特別国債を、日本銀行に引き受けさせようという考えが与党内にあることを取り上げ、非常時だから何をやってもいいということではないと強く非難している。この話題では朝日・日経がすでに反対の立場を表明しているが、毎日も国債の急落と資本の海外逃避を助長するとし、最大の懸念として制御できないインフレが発生することを挙げている。また、民主党の一部に日銀法を改正し、一時的に日銀を政府の支配下にしようとする動きがあることも批判。非常時だからこそ、公共機関の信認が守られる必要があると説いている。

読売新聞・社説
浦安市選挙拒否 有権者本位で善後策を探れ

東日本大震災で液状化の被害が出た千葉県浦安市で、統一地方選のひとつである千葉県議選が告示されながら実質的に行われないという異常な状態になっている。予定通りの実施を求める千葉県選挙管理委員会と、被害の状況が深刻で実施できないとする市側が対立しているためだが、社説は「そもそも県選管の判断が妥当だったのか」と問題提起。市議選を24日に実施すると決めながら県議選を拒む浦安市にも否はあるとし、有権者本位の早急な和解を求めている。

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