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257.報道比較2011.2.26

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[amazonjs asin=”4535520631″ locale=”JP” title=”薬害イレッサ訴訟 闘いの記録と教訓”]

朝日新聞・社説
イレッサ判決—情報はなぜ届かなかった

産経新聞・社説
イレッサ判決 がん治療の将来のために

日本経済新聞・社説
イレッサ判決が求めるもの

読売新聞・社説< イレッサ訴訟 副作用の警告を重んじた判決

肺がん治療薬イレッサの副作用被害をめぐる裁判で、大阪地裁は製薬企業に賠償を命じる判決を言い渡した。同地裁は先月、和解勧告で原告・被告に話し合いを促し、「国には救済を図る責任がある」としていたが、今回は一転。副作用(危険)情報を明らかにするよう企業に一定の指導をしていたことなどを踏まえ、国の責任を否定した。
この判決について各紙とも、国(=厚生省)は法的な責任を免れただけで、製薬会社に最善の注意喚起を促していたとはいえないと指摘。医療現場にイレッサの危険性に関する的確な情報が行き届くよう指導すべきだったと示唆している。
イレッサは深刻な副作用被害が出る半面、患者によっては顕著な効き目を示す「有効な薬」。夢の新薬と喧伝され、異例のスピード承認で医療現場での使用が始まった。そのことが副作用情報の周知不徹底につながったともいえるが、これまでの日本には、承認の遅さで救えるはずの患者を救えなかった事象がいくつもあった。各社説ともこの問題が残した教訓として、安全性を確保したうえで新薬の承認を早めることの難しさを説く内容となっている。そのなかで朝日はとりわけ副作用情報の「通知」のあり方をやり玉にあげ、産経と日経は抗がん剤の特性に合わせた「救済制度」の確立に言及。読売は製薬会社の社名をしっかり記述しているところが特徴的となっている。

産経新聞・社説
民主の看板政策 びっくりしたのは国民だ

毎日新聞・社説
「小沢系」造反 国民不在の倒閣運動

子ども手当の月額2万6千円という金額について、菅首相が「議論されていた小沢代表当時、ちょっとびっくりした」と述べ、自身が当初、実現性を疑問視していたことが明らかになった。
産経は、自身の当初からの疑念が財源不足で現実のものとなったのに、なぜ見直しや撤回に踏み込めないのかと示唆している。また、夫が脱サラしたり失業したりした場合の変更届を出し忘れた専業主婦に対し、菅政権が「過去2年の保険料を払えば、未納分は払ったとみなす」という救済を始めたことも「ばらまき」だと批判。この救済策は現在、凍結となっているが、子ども手当てと合わせ、その「ばらまき体質」に苦言を呈する内容となっている。
毎日は首相の発言を「当時の小沢代表が財源のあてもなく大幅増額したと責任転嫁したかったのだろう」と分析。不毛な党内抗争を繰り広げる民主党に苦言を呈する内容となっている。とりわけ親小沢議員16人の会派離脱や松木謙公氏の農水政務官辞任などにみられる「倒閣運動」について、「今、最も求められているのは、国民生活に直結する予算案と予算関連法案を成立させることだ」と非難。16人や松木氏らが河村たかし名古屋市長らとの連携を模索していることも指摘し、この倒閣運動が「国民のためというより、自分の生き残りのため」と見られても仕方あるまいと結んでいる。

日本経済新聞・社説
1票の格差是正へ「別枠方式」廃止を急げ

読売新聞・社説
区割り見直し 衆院も選挙制度論議に着手を

昨年10月の国勢調査の速報値が発表された。この結果に基づき、衆院選挙区画定審議会(区割り審)が、衆院選の小選挙区を10年ぶりに見直す作業を開始する。今回の速報値で試算すると、議員1人あたりの人口の最大格差は2.5倍を超えた。格差が2倍を超える選挙区は実に97にのぼる。
300ある小選挙区の区割りの改定は、まず47都道府県に1議席ずつ配分したうえで、残る253議席を最新の国勢調査人口に応じて割り振る。しかしこの「1人別枠方式」は、中選挙区制から小選挙区制に選挙制度が変わった時の激変緩和措置であり、両紙とも措置継続の合理的理由はないと指摘。そのうえで日経は格差がもたらしてきた弊害などに改めて言及し、抜本改革を迫っている。読売は別枠方式を排した「単純人口比例」による区割りを提案。そして区割り以前に選挙制度そのものも見直せとしている。

朝日新聞・社説
都知事選—これからの東京の話を

東京都知事選の告示まで1カ月を切った。3期目の石原知事は、自民党や業界団体のラブコールにもかかわらず不出馬に傾いているという。
社説は1999年からの石原都政について、羽田国際化などハード面で成果を上げる一方、福祉・医療などのソフト面を軽視してきたと総括。銀行税、ディーゼル車規制、排出量取引と、国に先駆けた施策の舞台にもなった東京都だが、制度疲労の目立つ集権型行政を転換し、より身近で自治体や市民が権限を分かち合う時であると提言している。そして都知事選に際し、大都市の統治や自治のカタチをめぐる議論がもっと深まるよう期待を寄せている。

毎日新聞・社説
特捜事件可視化 あくまで改革の一歩だ

密室性が批判された特捜事件の取り調べにおける録音・録画(可視化)が、3月18日から試行される。社説は、試行に至ったことそのものは評価しているものの、録音・録画がそのときの検察官の判断に委ねられるケースが多いなど「全面可視化」に向けては程遠い内容であることを指摘。読売や産経は昨日の社説で、可視化による未解決事件の増加を懸念してていたが、毎日はそこにあまり触れず、検察官が被疑者に有利な証拠を隠ぺいしないよう倫理規定を定め、供述に頼らない捜査手法を確立すべきと主張。取り調べ全過程の可視化が導入されている英国の例を挙げ、現場が可視化に耐えうる捜査能力を身につけるべきと示唆している。

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