ORIZUME - オリズメ

254.報道比較2011.2.25

0

[amazonjs asin=”4336061017″ locale=”JP” title=”ようこそアラブへ”]

産経新聞・社説
リビア情勢と原油 今こそ資源政策総点検を

読売新聞・社説
原油価格急騰 脱「石油・中東依存」を進めよ

高騰が続く原油価格の実情をリビアを中心とする中東の政情不安とからめて論じている。国際指標となる油種はすべて、1バレル=100ドルの大台を突破。両紙とも日本経済への影響を懸念する内容となっている。
読売は、180日分を超える日本の原油備蓄などからいたずらに不安になることはないとしつつも、日本のエネルギー政策の停滞も指摘。原油調達の分散と併せて検証を急ぐ必要があるとし、原発の規制見直しなどに言及している。
産経は「原油輸入先の多角化」に焦点を絞り、地域的にはロシアからの輸入拡大が考えられようと提言。北米で進む、岩石や砂から取り出す非在来型原油の開発にも期待し、価格の安定している天然ガスへの切り替えなども求めている。

産経新聞・社説
特捜事件可視化 新たな捜査手法が前提だ

読売新聞・社説
取り調べ可視化 調書偏重主義を改める契機に

東京、大阪、名古屋各地検の特捜部は3月18日から、取り調べ過程の一部の録音・録画を試行する。ただ対象となるのは、容疑者が録音・録画に同意し、なおかつ真相解明の妨げにならないと検察官が判断したケースで、形式的なものに終わるのではとの懸念がある。
両紙とも、可視化により容疑者から真相を聞き出せなくなり、解明に至らない事件が相次ぐのではないかという現場の懸念を紹介しつつ、罪を認めれば刑を軽減する司法取引や、おとり捜査・通信傍受など、新たな捜査手法の検討も欠かせないと主張。それでも読売は、郵便不正事件での教訓などから形式的な試行に終始してはならないと指摘し、重要なのはこれを機に検察が、供述調書に過度に依存する体質から脱却することだとしている。産経は物的証拠の乏しい企業犯罪や汚職では可視化が被疑者にとって有利に働くことを示唆し、「目の前の録音・録画機材は、真実の吐露の妨げにならないか」と問題提起。今後の「全面可視化」には否定的な立場を明確にしている。

朝日新聞・社説
社会保障と税の改革—財源なくして安心なし

政府の「集中検討会議」が、社会保障と税の一体改革を議論している。4月中に社会保障改革案を示し、6月にはその財源を賄うための増税策との一体改革案をまとめるという。
社説はこれを見据えて年金制度に対する新たな提言を行い、財源確保に焦点を絞って将来への糸口を探っている。前半で主張しているのは、民主党の掲げてきた「税方式」ではなく社会保険方式を土台に改革を進め、今後の増税による税収を医療・介護・子育てなどに優先して振り向けること。厚生年金の適用範囲拡大などで未納者を減らし、デフレに対応して年金水準を引き下げるなど、世代間の負担と給付のバランスを保ちながら埋蔵金に頼らない持続可能な制度を構築するべきと主張している。
後半では日本はこれまで財源の手当ても不十分なまま、サービスの充実を先行させてきたと指摘。今後の赤字削減に向け、給付水準を見直す作業も冷静に進めていかねばならないと提案している。

日本経済新聞・社説
与野党で子ども手当の制度設計し直せ

子ども手当法案の国会審議が始まった。自民、公明、みんなの党は反対を表明し、社民党は態度を保留している。社説はこれを政争の具にするなと指摘し、財源の裏付けをとったうえで厳しい財政状況を踏まえ、支給に所得制限を設けるべきだと改めて提言。与党自ら制度の欠陥を見直し、児童手当の拡充を主張する野党と協調せよと主張している。

パキスタン支援を強めよう

パキスタンのザルダリ大統領が約2年ぶりに来日し、菅首相にテロや過激主義との戦いを続けると約束したことを歓迎する内容だが、昨日の朝日新聞と同様、同国が求める原子力協定については慎重を期すべきと指摘。兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約への参加などを求めていくのが先決であると結んでいる。

毎日新聞・社説
武富士訴訟 疑問残した最高裁判決

消費者金融大手「武富士」元会長夫妻から1999年にオランダ企業株を贈与された長男の元専務に対する追徴課税約1330億円が、最高裁判決で取り消された。長男は当時、生活の拠点が香港にあったとして課税取り消しを求めていたが、2008年に東京高裁は、長男が税回避を目的に出国し滞在日数を調整していた経緯を認定。租税回避阻止を目的に法改正がなされた2000年を前に駆け込み的に贈与が行われた背景も指摘されていた。最高裁は「税回避目的があったとしても」とし、「各人の生活の本拠を住所とする」という1999年当時の民法規定を厳格に解釈して課税を取り消したが、社説は実態にそぐわないと指摘。通信手段・移動手段が発達した現代に見合った法整備を求め、法改正と租税回避のいたちごっこにある現状に懸念を表している。

No Comments