ORIZUME - オリズメ

241.2月16日、AppleがApp Storeでサブスクリプションを開始…に思う

0

2月16日、Appleよりサブスクリプション、いわゆる購読をApp Storeで開始するとのリリースを受け取った。

(リリースのヘッドラインより)
2011年2月16日、Appleは本日、App Storeで雑誌、新聞、ビデオ、音楽などのコンテンツ系アプリケーションを配信する全てのパブリッシャーを対象とする新しいサブスクリプション(購読)サービスを発表しました。これは最近、News Corp.の“The Daily”アプリケーションに対してAppleが提供した画期的なデジタルサブスクリプション課金サービスと同じものです。

前日にUS本国で発表があったからか、16日の午後には、すでにオンラインではこの話題へのコメントがあふれていた。
その後、すぐにGoogleが「One Pass」を発表。
グーグル、出版向け課金サービス「One Pass」を発表–アップルの定期購読サービスに対抗(CNET Japanより)

Appleが70%しかパブリッシャー(開発者)に利益を配分しないことを見越して90%を配分するとアナウンスしたため、Appleにネガティブな意見が目立った。

  
ネガティブな意見の大半は3つに大別される。

  1. 利益分配がGoogleより少ない。Appleは強欲だ。
  2. またルールを書き換えた。6月30日までにアップデート強要?Appleは強権だ。
  3. iTunesに流し込むことだけを考えている。Appleは排他的だ。

      
    App開発のチームもあり、報道比較のコンテンツを日々続けているORIZUMEとして、冷静にAppleを擁護してみると…
      
    1.利益分配がGoogleより少ない。Appleは強欲だ。
    この意見を持つのは「App開発者」「パブリッシャー」「オンライン・メディア」の方々。オンライン・コンテンツをいち早く、声高く、効果的に伝えることを知っているギークたち。単純にAppleに「もっとよこせ!」と言いたがる、Appleより欲深い面々が、70%ではおなかがいっぱいにならないと、隣のGoogle Dishを見て言っている。

    2.またルールを書き換えた。6月30日までにアップデート強要?Appleは強権だ。
    これも同じ面々の意見。また俺たちに働けと言うのか?と。Yes。そのとおり。でも、その気になっておいた方がいいはず。既定路線なら、iPadもiPhoneも6月30日までに新しくなる、と言っていたのは、あなた方では?

    3.iTunesに流し込むことだけを考えている。Appleは排他的だ。
    やっぱり同じ面々の意見。Rejectされたり、出したいコンテンツを並べられなかったり、よほどストレス溜まってる様子。
    私もRejected経験はある。が、今のところ理不尽だと思ったことはない。ここはもっと良くできるのでは?と思う部分はいくつかあっても、開発ツールは素晴らしく、踏むべきステップの理由を深く考えると秀逸さに舌を巻く。プログラマーとも、いつも「ホント、良く考えてあるわ…」と感心している。
      
      
    結局、ネガティブな意見は、テレビや報道で言えば、スポンサー主義や、やらせ撲滅のような自らには耳の痛い話を「そういう意見を言う人こそ、実は悪人!」と批判して大衆の好感を自身に誘導しようとしているのに似ている。
    なぜここまでキビシく、Appleを擁護するのかといえば、今回のアップデートは、明らかにデベロッパーやパブリッシャーにメリットがあり、彼らが最も利益を得るポジションにいる改変だからだ。

    当初App Storeがはじまった時、ああ、Appleはすごくデベロッパーに厳しいな、そこまでして良質なコンテンツを利用者に届けたいのだな、と思った。
    必ず同じだけの収入があるとする。がんばっても、何もしなくても。そうするとどうなる?必ず腐る。どんどん質が落ちていく。もちろん、腐らないものもある。が、それは稀だ。収入を増やしたい時か、これ以上減らしたくない時だけ、がんばる。それ以外は、ペース維持。月額課金制を敷いた日本のモバイル・コンテンツは、ほとんどがそうなっていった。だから、最初は楽しい。だんだん飽きる。ワクワクがつづかない。
    Appleはそれを知ってか、知らずか、App Storeにコンテンツ課金が導入されても、定額課金はなかった。開発は苦しい。飽きたら、すぐにユーザーはアップデートを止める。常に新しい提案をしてダウンロードを増やさなければ、翌月はゼロ。必死だ。

    そのペースが、今回のルールで少し緩和されることになる。
    私は、Appleに「デベロッパーを信じている」と言われたのだと受け止めたい。それは「ラクをしていい」ということではない。「もっと加速度をつけて、ワクワクを増やせ」とのメッセージだ。
    AppleがGoogleとしている競争を想像してみればいい。彼らはもっとタフな状況だ。
    Appleはラクして儲ける気などない。Appleの取り分が30%でも10%でも、今の彼らの決算書への影響は軽微だ。彼らは走りつづけて、称賛とともに報奨を得ることを望む。

    レースを、楽しいと思う人だけが残った方がいい。
    観客は、必ずそれを望むだろう。胴元も、それを信じて、ルールを変えた。
    さあ、ドライバーやメカニックであるデベロッパーとパブリッシャーは、心を踊らせるレースを、フェアにできるだろうか?

    {{insert_meta 241-Apple}}

    Comments are closed.