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211.報道比較2011.1.30

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[amazonjs asin=”4041103290″ locale=”JP” title=”「アラブの春」の正体 欧米とメディアに踊らされた民主化革命 (角川oneテーマ21)”]

日本経済新聞・社説
エジプトでも独裁はもう続かない

読売新聞・社説
エジプト騒乱 改革の遂行以外に安定はない

30年に及ぶ独裁を続けてきたムバラク大統領の退陣を求めるデモが、全土に広がっていることに関する論説。
日経新聞は、前大統領暗殺時の混乱に乗じて築かれた独裁体制が30年も続けられたことの弊害を指摘し、内閣の顔ぶれを変えただけではこの騒乱は収まらないと現大統領を強く非難している。そしてエジプトやイスラエルの通貨が急落し、原油高に拍車がかかるなど、経済への影響にも言及。ムバラク政権を中東外交のパートナーとしてきた米欧や日本などに、「ムバラク後」を見据えた支援をと結んでいる。
読売新聞は、高い失業率、物価高騰、貧富の格差、権力層の腐敗などはもちろん、言論の自由が制限される中、大統領の次男を後継者に据えるという「世襲」に向けた動きが出ていたことに触れ、「形だけの民主主義への反発が一気に噴出した形だ」と分析。そのうえで軍を使ってデモを抑え込もうとする現政権を非難し、「次期大統領選への不出馬宣言を行わなければ、事態収拾は難しい」との見方を紹介している。そして周辺のアラブ諸国への影響を警戒しつつ、国際社会がもっとアラブ諸国の民主化を促すべきと結んでいる。
なお両社説とも、ムバラク大統領が副大統領(次期指導者)に軍関係者を抜擢し、民衆の一部がこれを評価したとする報道への言及はない。また、エジプト軍が街へ配備されてはいるものの、むしろ軍は民衆の味方のようで、軍関係者と民衆がともに笑いあう姿などがすでに報道されている。民主化のリーダーと目されるエルバラダイ国際原子力機関前事務局長についても、読売新聞が少し触れただけだ。

朝日新聞・社説
米ロ新条約―障害越え一層の核軍縮を

米ロの持つ大量の戦略核兵器を減らす新条約の発効が確実になったことについて「核なき世界への第一歩」と歓迎している。
ただ「アメリカの欧州でのミサイル防衛構想」と「ロシアの欧州に対する核抑止力」の利害の対立で両国の溝は埋まっておらず、問題点が残ったとも指摘。今後進む「戦術核」の削減交渉についても同様の対立が残っているが、欧州という地域的な戦略のために「世界の核の9割以上を保有する米ロの核軍縮を滞らせてはならない」と主張している。
また、アジアに対しては軍拡の進む中国などに触れ、「通常戦力の軍拡競争にも陥らない安全保障の枠組みを模索していくべきだ」と提案している。

産経新聞・社説
共通番号制度 国民理解深め早期導入を

国民一人一人に固有の番号を付け、納税や年金情報などを一元管理する「共通番号制度」の導入に向けた政府の基本方針が発表された。
朝日新聞や日経新聞がすでに取り上げている話題であるが、「利用開始が平成27年からでは遅すぎるとの議論もあるが、制度導入には、なお根強い国民の不安解消も重要だ」とし、どちらかと言うと朝日新聞に近い論調だ。成立は急ぐべきだが、拙速さは禁物だということだ。
制度の問題点として挙げられているのは、「個人情報漏出」にかかわるコスト面。政府は情報の保護体制を監視する第三者機関の設置を明言したが、社説では「過度のセキュリティー対策は、逆にせっかくの利便性を阻害し、行政コストを増す結果にもなりかねない」とし、新たに発生する行政費用だけで6000億円を超えるとする試算を紹介。利便性を説明する一方で、安全確保に関わる経費もしっかり説明せよと菅政権に注文をつけている。

日本経済新聞・社説
政府は幼保一体の約束守れ

政府の作業部会は、主に専業主婦家庭の子に就学前教育をする幼稚園と、共働き家庭などの子を預かる保育所の区別をなくし、「こども園」に一本化することをあきらめた。原因として所轄の文科省・厚労省の抵抗を挙げ、「明らかな後退」と強く非難している。結局、「幼稚園と保育所」が「幼稚園とこども園」に変わっただけで、0-2歳に対しては「保育所」も残すという。
社説では、制度がより複雑になり、重複行政の弊害も消えないと指摘し、市町村認可の保育所に入れない待機児が0-2歳に多いにも関わらず、この受け入れを幼稚園に義務付けていないことなどを問題視。働く母親が増え、都市部を中心に待機児問題が深刻になる一方、幼稚園は定員の7割しか子どもがおらず廃園が相次いでいる状況を取り上げ、当初掲げたような幼保の一体化を求めている。また、株式会社などが参入しやすい環境作りも訴えている。

読売新聞・社説
イレッサ訴訟 国は副作用死の教訓を生かせ

肺がんの治療薬「イレッサ」の副作用で死亡した患者の遺族らが損害賠償を求めた訴訟で、国と輸入販売元の製薬会社は大阪、東京両地裁の和解勧告を拒否した。一昨日の毎日新聞でも取り上げた話題であるが、「薬事行政への影響などを懸念する国にとっても、苦渋の選択だったといえる」と国の対応に一定の理解を示しているところが異なる。
問題点として挙げているのは「薬の拙速な承認」「副作用への説明不足」「安全性の軽視」。社説では、承認が遅れることで救えたはずの患者を救えなかった事例が多くあることは認めつつも、「医薬品の承認を優先するあまり、安全性のチェックをおろそかにすることは、薬事行政上あってはならない」としている。また抗がん剤は、副作用と死亡の因果関係の判定が難しいという理由から現行の副作用被害救済制度の対象外とされてきたが、これを見直すとする政府の動きを歓迎し、早期承認・安全確保・補償が一体となった改革を求めている。

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