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210.報道比較2011.1.29

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朝日新聞・社説
国債格下げ―「疎い政治」への重い警告

産経新聞・社説
国債格付け下げ 「不信任」示された菅政権

毎日新聞・社説
社説:国債格下げ 危機モードに転換を

読売新聞・社説

国債の格下げ 財政再建の前進で信認回復を

米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が日本の長期国債格付けを1段階引き下げたことで、財政懸念が高まるスペインより一つ下の格付けになった。昨日の日経新聞と合わせ、全国5紙がこの話題を取り上げている。各紙とも国の借金総額が国内総生産の2倍に及ぶことなどから格付け会社の評価を「当然」と受け止め、増税を含めた早急な財政改革を訴えている。
日本は莫大な対外資産を持つ経常黒字の国であり、国債のほとんどを国内で消化していることから、それでも今までは容易に国債発行ができていた。しかし市場の信認低下で今後はどんどん難しくなっていくと各紙が指摘。国債金利の高まりと合わせて警戒している。
また、S&Pが格下げの理由として挙げた本旨は、「日本の財政赤字は先進国中で最悪のレベル」「長引くデフレも手伝って今後も削減が容易ではないため」であるが、さらに「民主党政権には債務問題に対する一貫した戦略が欠けている」とも指摘した。これに付随し、格下げの一報を聞いた管首相が「そういうことには疎い」と発言したことについて日経新聞を除く4紙が批判している。
今回の格下げを通して、S&Pはどんなメッセージを日本に送ったのか。この解釈については各紙で見解が異なる。
「思い切った増収策の着実な実行を催促するもの」と解釈したのは読売新聞。「増収策」はもちろん消費税増税を示唆したものだ。
産経新聞はもっとわかりやすい。与謝野馨経済財政担当相が「(消費税率引き上げを)早くやりなさいという催促だ」との認識を示したことをそのまま紹介し、消費税の必要性をもっとアピールせよと首相に求めている。
朝日新聞と毎日新聞はS&Pが世界金融恐慌や米国の不動産バブルなどを見抜けず批判を浴びたことを紹介し、同社の各付けが絶対的なものではないことを示唆しつつも、「市場の不信を示すもの」としては肯定。超党派で課題に取り組めない日本政治にも苦言を呈している。
日経新聞はS&Pの「菅政権は社会保障制度と消費税率を含む税制を見直すといっているが、これによって財政が大幅に改善する可能性は低い」という主旨のコメントを紹介するにとどまっている。

日本経済新聞・社説
番号制の早期導入へ条件整備の加速を

国民・法人に番号を割り振り、社会保障給付や納税を適正にする「共通番号制」の基本方針を政府が決めたことに関する論評。昨日の朝日新聞と同じ話題であるが、朝日は「導入を急ぐあまり、番号の効用ばかり強調して負の側面についての議論をおろそかにするのは論外だ」と拙速な導入を警戒しており、日経新聞の「2014年6月に番号を配布し、2015年1月には運用を始めるといった導入時期のメドを明示したのは前進だが、4年もかかるのは本来遅すぎる」とした論調とは立場が異なる。ただ「公正な社会福祉実現」というメリットを挙げ、問題点として「個人情報保護」を訴えている点は同じだ。
社説後半では制度導入に伴い「歳入庁構想」が前進することを歓迎している。日本では年金問題のとき、年金徴収者と年金運用者が同じであることなどの弊害が指摘され、同構想がクローズアップされた。
国民背番号制は新聞社の立場を図るうえで面白い話題である。同制度に賛成するということは「国家による管理」を好み(右派)、「所得の再分配」を肯定する(左派)ということ。反対するということは、「国家による管理」を嫌い(左派)、「所得の再分配」を否定する(右派)ということになる。
つまり、イデオロギーに立脚した論理展開がほとんど不可能になり、新聞社の純粋な取材・検証能力が透けて見える結果となる。
なお、イデオロギーに固執して社説を書くと、以下のようになる。

朝日新聞・社説
君が代判決―少数者守る司法はどこへ

産経新聞・社説
国旗国歌訴訟 教師は混乱を繰り返すな

読売新聞・社説
国旗・国歌訴訟 起立・斉唱認めた妥当な判決

産経・読売は君が代反対教師を「公務員」とみて批判。朝日は君が代反対教師を「基本的人権のある個人」とみて擁護している。議論がかみ合うはずもない。
産経・読売は君が代反対教師を「基本的人権のある個人」とみても批判できるのか、朝日は君が代反対教師を「公務員」とみても擁護できるのか。たまにはこういう視点で書いてほしいものだ。いったい何年、同じことを書き続けるつもりなのか。

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