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2776.報道比較2016.10.29

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人は感情で生きている。思い知らされる社説が並んだ。Wall Street Journalのオピニオンの思慮が浅いのは珍しい。ドゥテルテ氏にアメリカは混乱している。

朝日新聞・社説
核禁条約交渉 被爆国が反対とは

読売新聞・社説
核兵器禁止条約 非保有国の亀裂拡大は残念だ

日本の置かれた状況をそのまま示している。被爆国なら反対して当然と考えるのは誤りだ。そういう感情的な発想では安全保障が維持できない。核兵器を作りながらこの禁止条約に賛成する北朝鮮が先に非難されるべきだ。北朝鮮の核の脅威がなければ、棄権といういつもの立場は維持できたかもしれない。それを明確に伝えれば、単に禁止の法を作るだけでは世界は団結できないことが判るだろう。そのリーダーシップを発揮する役割を担えないことが、日本に批判が集まる対象になる議論なら、国連の決議は正常にワークしている。被爆し、アメリカの核の傘に依存し、隣国が核兵器を新たに保有しはじめ、自国で原発のジレンマに陥っている。これだけ複雑に原子力の問題を抱えている国も珍しい。その立場から考えるべき問題を提示し、解決策を促せるのは日本くらいだ。
なぜこんなに複雑になったのか?を国民は認識しなければならない。何も考えずに手を出すからだ。自ら拒絶の意志もなく、なし崩しで生きていくからだ。思考の末の判断で政治が動いていれば、こんな事態にはならなかっただろう。

産経新聞・社説
習氏と6中総会 独裁強化への懸念大きい

日本経済新聞・社説
中国・習主席への集権で経済は大丈夫か

毎日新聞・社説
習氏「核心」に 独裁なら先行き不安だ

また、各紙の主張が一致。なぜ、こんなに合致するのか?不自然だ。習氏への権力集中は懸念だが、「核心」という肩書きなどどうでもいい。過去の中国の権力者は習氏を合わせて5人。そのうちの3人目の核心。半分の比率で核心と呼ばれている中に、今の状況で習氏がそう呼ばれることに、特に違和感などない。

https://ja.wikipedia.org/wiki/中華人民共和国の最高指導者一覧

全紙、気にしているのは経済と言うが、今まで中国経済のリスクをそこまで警告してきた印象はない。ずっと安全保障や南シナ海に話題は偏っていた。全紙、独裁の弊害で気にしているのは経済ではないはずだ。そこで話題を反らす姿勢が不適切だ。

Wall Street Journal
フィリピンの反米旋回を阻止できるか (2016.10.28)

人民網日本語版
南中国海情勢について個別の国は非現実的幻想を早く捨て去ったほうがよい (2016.10.28)

Wall Street Journalと人民網の両紙が、読めないドゥテルテ氏の行動に頭を痛めている。そしてどちらも、行く末への意見でドゥテルテ氏に嗤われそうな意見を述べている。Wall Street Journalが弱腰で短絡的な意見に追いつめられているのを見るのは、ウクライナ以来だろうか。文中に、なぜ自らが信頼を失ったのかは書かれている。中国が動いた時に、アメリカは見捨てた。期待される行動をしなかった。それをカネを出して中国に対抗すべし、と対案を述べている。これをアメリカが言ったら、ドゥテルテ氏は「2年後ではなく、今すぐ出ていけ」と言うだろう。
さらに笑えるのは、人民網も似たような警告をしていることだ。カネを出すといった、約束もした、他の国は黙れ、と。ドゥテルテ氏は、Wall Street Journalの知恵を借りるべきだ。「スカボローで、他の国の言い分を無視して居座ったのは誰でしたっけ?」と。
ドゥテルテ氏は思いつきで動いてはいない。信念は見える。やり方が不器用なことと、国との間には信念だけで動かせない古い約束がいくつもあることを忘れているだけだ。こういう人は、カネを積んだり、した約束を盾に詰め寄るのが、怒らせる最悪の手段だ。この人によく似た人が、アメリカの大統領候補にいる。彼をクリントン氏はうまく抑え込んでいる。Wall Street Journalは、そちらを題材にした方が、興味深いオピニオンになったのではないだろうか。

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