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1091.報道比較2013.1.13

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企画体質のつくり方
© Toshiaki Fujiki

緊急経済対策
朝日新聞・社説
成長戦略―経済連携と規制改革こそ
首相は、大胆な金融緩和と機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を「3本の矢」にたとえる。日本の企業が海外で活動しやすくするとともに、国内で規制・制度改革を進め、海外勢を引き込む。それが同時に、日本勢の国内での事業を後押しする。経済連携と規制・制度改革は一体なのだ。安倍政権がまとめた緊急経済対策は海外連携戦略に触れておらず、こうした視点がすっぽりと抜け落ちている。要である環太平洋経済連携協定(TPP)に対し、自民党内で反対が強いことに配慮したのだろう。日本経済の再生を真剣に目指すなら、現状から一歩踏み出さねばならない。まずはTPPへの交渉参加を表明すべきだ。当事者となり、各国の要求など正確な情報をつかむ。それをもとにわが国の利害を交渉に反映しつつ、国民生活への影響を探り、参加の是非を見極める。並行して、国民のために守るべき規制・制度と、権益維持の弊害が目立つ規制・制度の仕分けを進めることが必要だ、としている。
鋭い。もう一歩欲しい。参加すべきだと正当化するだけでは無意味だ。地方議員が地元に帰った時に説得材料に使えるソリューションを提示すること。それだけだ。それを新聞がやる意図があるのか?ある。それは、読者にとっても興味深い情報だからだ。今や農業従事者よりも2次産業、3次産業が多いという議論ではなく、TPPによって農業が得られるメリットを提示した方がいい。それを新聞ができれば、新聞は復活する。
日本経済新聞・社説
交通事故死はさらに減らせる
昨年1年間に交通事故で死亡した人(事故後24時間以内)は、一昨年より201人少ない4411人だった。12年連続の減少で、戦後まもない1951年ごろの水準まで押し戻したことになる。「交通戦争」といわれた70年に比べると、4分の1にまで減少した。警察や自治体、自動車メーカーなどの対策が奏功した結果であり、評価したい。だがそれでもなお、毎年数1000人の命が失われている事実は重い。社会全体で不幸な事故を1件でも減らす努力を続けていく必要がある。自動車メーカー各社は、車や歩行者を認識して自動的にブレーキをかけるシステムなどの開発に力を入れている。こうしたシステムを採用する車について、購入の際に補助金を出したり、自動車保険の保険料を安くする仕組みを設けたりして、より安全な車の開発、普及を後押ししていきたい、としている。
日経の案では事故は減らない。この社説が気付いていない部分がある。70年代と今では、事故死している人の年齢が違う。いま事故を生んでいる人は、加害者も被害者も高齢者だ。補助金や保険料の問題ではない。ここにも高齢化問題があるという原因が見えなければ、事故は減らない。自治体、警察、メーカーはすでに気付いている。マスコミが遅いだけだ。
Financial Times
「フラッシュモブ」のデモが告げるインドの転換点 (2013.1.8)
インドの警察がニューデリーで催涙ガスや高圧放水銃を使い、レイプ事件に抗議する何万人もの怒れる若者の群集を追い散らした数日後、P・チダムバラム財務相は、同氏が「フラッシュモブ」と表現したデモに当局が不意を突かれたことを認めた。「フラッシュモブは新しい現象だ」。チダムバラム財務相は物思いにふけるようにこう言った。「こうした行動に対処する準備が当局に十分できているとは思えない」。今回のレイプ事件は転機の役目を果たしたとグプタ氏は言う。「だが、その背景には積み上がった不満がある。腐敗、非効率、物事がうまく機能しないこと、仕事がないこと、景気の悪化、何も起きない状況、約束されたこと、破られた約束といったものに対する諸々の不満だ」.インドの政界エリートはこれまで、超大国になる願望を実現したいのであれば、政府機関を近代化する必要があることにほとんど留意してこなかった。多くの意味で、インド人は今も高圧的な大英帝国の植民地政府とともに暮らしており、単に昔と異なる人々が権力のレバーを操作しているだけだ、としている。
日本の大企業も政府も行政も同じだ。フジテレビに韓国デモが起きた時も、霞が関に原子力問題でデモがあった時も、まったく対応できていない。この国が違うのはマスコミがそれを政府側に立って報道しないせいで、起きている事件の規模感が国民全体に共有できていないことだ。日本では、マスコミは国民側ではなく、政治側にいる。これが間違っていることに気付いた時、日本でもインドのような状況が生まれるかもしれない。

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