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510.報道比較2011.8.21

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円高対応

日本経済新聞・社説(円高への政府・日銀介入を要請)
さらなる介入と金融緩和をためらうな

読売新聞・社説(円高を政治責任と位置づけ)
1ドル=75円台 「政治の空白」で対応誤るな

円相場が一時、1ドル75円95銭まで上昇し、東日本大震災後につけた過去最高値を5カ月ぶりに更新した。
日経は日本経済の回復を妨げる過度の円高はとても容認できない。政府・日銀はさらなる円売り介入や金融緩和をためらうべきではない、と主張している。
日本経済は震災のショックから完全に立ち直っていない。急激な円高の負荷がかかれば、景気が再び悪化する恐れがある。国内産業の空洞化が加速するのも心配である。円高が止まらない場合には、日本単独でも円売り介入を継続すべきだが、景気減速への懸念を強める米欧は輸出の拡大に期待して、現状のドル安やユーロ安を放置しているようにみえる。円高を日本だけの努力で是正することはできない。主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は8日の声明で、市場の安定に向けて協調行動をとる方針を表明した。その具体策を打ち出す必要がある、と主張している。
読売は、菅首相退陣前の「政治の空白」を突かれて、円急騰に歯止めがかからない。政府・日銀は、日本経済に打撃を与える超円高を阻止すべきだ、と主張する。円高の主因は、米欧の景気減速懸念と財政・金融不安だ。米国債格下げを機にドル離れが進み、世界の投機マネーが比較的安全な資産とされる円を買い進んでいると判断。現在の歴史的な円高水準が一過性ではなく、長期化する事態だ。超円高は日本経済に深刻な打撃を与える。
単独介入の効果は限定的とみられ、協調介入には米欧が消極的とされる。しかし、世界の株安連鎖とドル急落を防ぐ狙いから政府・日銀は米欧との協調介入の実現に努めてもらいたい。日銀の追加金融緩和策も焦点になる。政府との連携を強化する対策を打ち出し、市場の安定を図ることが求められよう、としている。
日経も読売も、不思議とまったく同じ論調。円高による経済界が受ける損失を問題視。政府と日銀に対策を求めている。
腑に落ちないのは、経済界とは誰なのか?である。輸入産業では円高でメリットを出せているところも多いはずだ。世界中がインフレ、資源高の中、食品や石油の値上がりを感じずにいられるのは、円高とデフレが理由だ。電力不足で資源輸入が必要となり、おそらく弱腰で足下を見られているであろう日本が、石油もガスもしっかり入手できているのは円高メリットではないのか?
この国が加工貿易で財をなし、自動車や電気製品がその円高にさせるほど世界最高品質であることも理解できる。が、自動車ではトヨタや日産は望んでいるだろうが、ホンダは米国の在庫を補充できないほど、生産が弱っている。米国以外で市場が獲れない理由が為替だというなら、この国の自動車産業の未来はない。家電が勝てない理由も同じだ。他の国の製品が安いだけではなく、良いのだ。時代に合っていて、バリュー・フォー・マネーで計算した時にベスト。日本の製品は、時代に合わなくなっている。
むしろ円高を利用した企業買収や海外移転を積極化すべき時。日本が空洞化すると言うが、躊躇してガラパゴスになるのなら、出ていって開拓するくらいすべきだ。若い世代には海外旅行が減って弱腰といいながら、古い世代はカネもあるのにビビっている。そういう提案を、我々は報道に求めている。
最後に、いつも政府や行政に要請して終わり、という他力本願をいつになったら卒業するのか?。もう誰も政府など信じてはいない。自力で生きようと決めている。国に頼まずにやれる方法を見いだすべきだし、その事例を紹介して欲しい。

医療問題

毎日新聞・社説(精神疾患の増加懸念をレポート)
5大疾病 新時代の精神科医療へ

毎日は、新時代の精神医療と題して、うつ病や認知症などの精神疾患への取り組みについて論じている。
がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病は国民病とも言われ、医療法に基づいて「4大疾病」に指定されている。厚生労働省はこれに精神疾患を加えて「5大疾病」とすることを決めた。どこでも安心して治療を受けられるよう都道府県が医療計画に盛り込み、地域医療を整備していくことになる。
精神疾患の患者数は323万人(2008年調査)。がん患者の2倍以上もおり、4大疾病で最も多い糖尿病の237万人と比べても規模の大きさが判る。治療を受けていない患者(潜在群)を加えればさらに膨れあがるはずで、高齢化の進展で認知症の患者数が急増していくのも避けられない。
現在の精神科医療の問題は、精神科の病床数は約35万床で全病院の2割、平均在院日数は300日を超え、世界的に突出している。精神科病床の医師数は一般診療科の3分の1でよいことが安易な長期入院の温床になってきた。最近は、空いた病床に認知症の高齢者が埋めている。弊害は大胆に取り除き、新時代の精神科医療を築かねばならない、としている。

津波警報

日本経済新聞・社説(気象庁の方針変更に異論)
切迫さが伝わる津波警報に

日経は、津波警報の表現や伝達手段を工夫し、切迫さが伝わるように改善すべきだ、と論じている。
気象庁は、巨大地震が起きたとき、津波の高さを数字で示さずに第1報を出すように見直すという。先の震災による大津波で、気象庁は地震発生の3分後に「宮城で6メートル、岩手・福島で3メートル」とする最初の警報を発表。その約40分後、大津波が到達し始めたころに「岩手から千葉外房で10メートル以上」と修正した。第1報で高さを過小評価したことに加え、ただちに避難すべき状況であることが伝わらず、多くの犠牲者を出した。気象庁の見直し案では、M8超の大地震が起きた場合、事前に想定された「最悪ケース」を踏まえて第1報をM8.7の大地震による津波を予想して「経験のないほど巨大な津波のおそれ」などと発表するという。
科学的には妥当な考え方だが、これで切迫感が伝わるだろうか。高さ2~3メートルの津波でも木造住宅をなぎ倒すほどの破壊力がある。そうした怖さが伝わるように警報の発表文をもう一工夫してほしい。伝え方も改善が必要だ。地震直後の停電でテレビが映らなくなり、防災無線が役に立たない被災地があった。気象庁と自治体、通信会社が組み、携帯電話に一斉メールを送るなど情報伝達の複線化を急ぐべきだ、と主張している。

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