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3354.報道比較2018.5.9

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中東にむけて、トランプ氏が行動をはじめた。このコメントを書く頃には、北朝鮮との会談も順調とは言えなくなっている。国内紙は、この重要な決断にまるで反応できないでいる。

Wall Street Journal
トランプ氏、イラン核合意離脱を発表 制裁再開 (2018.5.9)

トランプ米大統領が今週末までに、欧米など6カ国がイランと結んだ核合意からの離脱の是非を判断する。イスラエルにある米国大使館を、テルアビブからエルサレムに移す準備も進めている。イラン核合意は米国や英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国の6カ国とイランが2015年に調印した。イランの核開発を制限する代わりに、欧米が科してきた経済制裁を解除する内容だ。核合意に参加する6カ国のうち、米国以外は合意の維持を求めている。マクロン仏大統領は核合意を維持しつつ、弾道ミサイル開発などを制限する追加の規制案をトランプ大統領に提案した。中東を揺るがしかねないもうひとつの問題が、イスラエルにある米国大使館の移転問題だ。東エルサレムを将来の独立国家の首都と位置付けるパレスチナ人は、米国の移転計画に反発している。核合意の破棄と大使館移転が連鎖し合い、中東の不安定化が加速する恐れがある。日本にとって、エネルギー資源の調達を頼る中東の安定が不可欠であるばかりでない。中東で存在感を高めることが、ひいては北朝鮮問題などで日本の立場に耳を傾けてもらう足場となるはずだ、としている。

中東にむけて、トランプ氏が行動をはじめた。このコメントを書く頃には、北朝鮮との会談も順調とは言えなくなっている。私は何もかもが選挙対策だと見ている。いま中東で事を荒立てる理由は見えない。秋ギリギリになると、テロが衝動的に発火しやすく、リスクが高まる。今の時期なら、テロが起きたら、極論すれば戦争だ。平和に進めばイランと新たな合意を生める。イスラエルがらみの和平交渉を再開できる。対立が強まれば、相手が行動したら動けばいい。冷静でいられる自信があれば、混乱は支持率の源泉にもなる。極めてリスクは大きいが。このところ支持率を上げているというトランプ氏は自信が生まれたのだろう。私は過信だと思う。アメリカのリーダーで中東も朝鮮半島もまともに仕切れた人はひとりもいない。トランプ氏ができると思える理由はみつからない。
国内紙は、この重要な決断にまるで反応できないでいる。無知な主張をした昨日の日経よりは沈黙の方がいいかもしれないが。もう情報力でも国内紙は無力だ。国際情勢を扱う能力がない。

朝日新聞・社説
文大統領来日 首脳往来で関係強化を

きょう東京で開かれる日中韓首脳会談に合わせ、文在寅大統領が来日する。就任からほぼ1年たって初めて実現した。北朝鮮問題に限らず、地域の自由貿易圏づくりや、少子高齢化対策、エネルギー問題など、日韓には共通の課題が多い。とりわけ両国が直面する悩みは、長年頼りにしてきた米国の信頼性の低下だろう。安保・経済など各面で、トランプ政権は不確実さを増している。協調の芽をさらに伸ばすためにも首脳外交は欠かせない。両政府はすでに、首脳同士が互いの国を行き来し合うシャトル外交の再開に合意している。今回は日中韓会談に合わせた訪問だが、特に行事がない平時にこそ、単独での往来を増やしたい。日韓両政府は、年内の文氏の再来日を模索している。なんとか実現させて、あと戻りのない両国関係を築いてほしい、としている。

人民網日本語版
中日韓サミット 連携して歩むのは難しくない (2018.5.8)

中日韓サミットが2年半ぶりに開催される。中国の李克強総理と韓国の文在寅大統領にとっては、それぞれ就任以来初の訪日となる。外国メディアの最大の関心は、5月9日に3カ国首脳が共にテーブルについて何を話し合うのかだ。日本の安倍晋三首相は先日ヨルダンを訪問した際に「日中関係、日韓関係の今後の発展のために、あらゆる角度から議論する」と表明。米朝首脳会談の前に中韓と話し合い、どうすれば朝鮮が非核化の道を歩むかを積極的に議論したいとした。韓国青瓦台は1日の声明で、文大統領が韓中日サミットで韓朝首脳会談の結果を説明するとともに、3カ国協力の強化、朝鮮半島の非核化と恒久平和の実現策について中日と協議することを明らかにした。中国外交部の華春瑩報道官は先日「中日韓協力の開始から19年で、3カ国は経済・貿易、財政・金融、交通、文化、教育、環境、衛生、防災分野の交流・協力で実り豊かな成果を挙げ、中日韓投資協定に調印し、中日韓自由貿易協定(FTA)交渉を13回行った。2017年に、3カ国間の貿易額は6700億ドル近く、人的往来は延べ2800万人を超えた。今回の中日韓サミットは3カ国協力に新局面を開き、地域の平和・安定と発展・繁栄への新たな貢献となる」と表明した。

事前に日中韓の会談を国内紙で選んだのは朝日だけ。日経の武田のトピックは理解できるが、毎日のイタイイタイ病よりは日中、日韓の関係は注目してもいいと思うのだが。ただ、選んだ朝日や人民網も内容は薄い。集まって決めることがあるのではなく、険悪だから集まるだけでも目的になってしまっている。ひどい関係だ。2国間ではさらに課題が山積の各国。規模から考えると中国は常に主導権を持っているはずなのだが、事前に方向性を示してもいない。受動的でリーダーシップがないのに文句は人一倍。やりにくい会談になりそうだ。

産経新聞・社説
TPP拡大 機運逃さず早期の発効を

自由貿易を推進する多国間連携をいかに強固なものとするか。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の参加国拡大はそのための布石となる。タイのソムキット副首相が茂木敏充経済再生担当相に対し、TPP参加の意欲を表明した。TPPを成長の礎とする日本にとって心強い動きである。情報交換を緊密に行い、これを積極的に後押しすべきだ。加盟国以外の合流機運は以前もあったが、米離脱後に急速にしぼみ、代わりに各国が目を向けたのが中国だった。それが再びTPPに戻ってきたのである。中国の覇権主義的傾向を牽制する上で、高度な自由化と先進的なルールを備えたTPPという枠組みは有意義だ。これも米国に訴えるべき重要な論点である、としている。

日本経済新聞・社説
日本発グローバル製薬への期待と課題

武田薬品工業がアイルランドの製薬大手シャイアーを買収することで合意した。買収額は約7兆円で、日本企業による海外買収案件としては過去最大になる。日本発のグローバル製薬大手として飛躍できるか、武田の思い切った成長戦略に注目したい。シャイアーは革新的な創薬手法として注目される、ゲノム(全遺伝情報)を応用した研究開発でも一日の長がある。武田は画期的な新薬が最近少ないとされ、シャイアーの人材や知見を取り込むことで、創薬のペースを引き上げる狙いもある。武田の将来になぜシャイアーが必要なのか、そして今回の買収が「高値づかみ」ではなく、財務の健全性を引き続き維持できるという見通しを経営陣は分かりやすく発信する必要がある。武田は1781年に大阪で和漢薬の仲買商店として誕生した。老舗企業が放った乾坤一擲の策である、としている。

毎日新聞・社説
イタイイタイ病認定50年 重い知見、世界で教訓に

富山県の神通川流域で発生したイタイイタイ病が公害病と認定されてからきのうで50年を迎えた。水俣病など四大公害病の中で、政府が認定した初のケースだった。イタイイタイ病は、亜鉛鉱山から流出した重金属のカドミウムが生活用水などを通じて人体に蓄積し、発症した。骨がもろくなって簡単に折れてしまい、患者は「痛い、痛い」と泣き叫んだ。住民は三井金属と協定を結び、毎年、立ち入り調査をしている。昨年には、豪雨時でもカドミウムが流出しないよう、対策を申し入れた。得られた知見を国際的に活用する工夫もいっそう求められる。中国や東南アジアではカドミウムによる川や米の汚染が広がっているためだ。公害病をめぐっては、国際的な水銀規制を定めた「水俣条約」が発効したことも記憶に新しい。イタイイタイ病は決して「過去の問題」ではない。負の教訓を、国境を超えて共有すべきだ、としている。

読売新聞・社説
消費増税対策 今度こそ景気減速を回避せよ

政府は、2019年10月に予定する消費税率10%への引き上げに向けて、経済への影響を緩和する方策の検討に入った。高齢化で膨らみ続ける社会保障費を賄うには、税率を10%に引き上げた後も、さらなる増税の検討が避けられない。過去の増税時の反省を踏まえ、税率アップを円滑に実施できる環境を整えていきたい。政府は10%への税率引き上げにあたり、「酒類と外食を除く食品全般」と「週2回以上発行し、定期購読されている新聞」に初めて軽減税率を導入する。増税に耐え得る経済環境を整えることは、政府の重い責務だ。消費減退を招くデフレから早期に脱却し、緩やかな物価上昇を実現したい。政府が6月にもまとめる新成長戦略で、どんな具体策を打ち出せるかが試金石となる、としている。

中国、韓国の首脳との会談を取り上げずに何を語るか?今日は、内容が各紙とも興味深い。逃げに回ったのとは違うようだ。ただ、どれも今の日本の立場を考えると、優先順位なら隣国との関係の方が大切な気がする。安倍政権が経済最優先といいながら、ずっと安全保障ばかりに時間を使ったような空回りに似ている。
産経のTPPにタイが参加する可能性は期待が持てる。だが、タイは軍事政権化になって4年。ビルマとともに懸念は生まれる。北朝鮮を批判する産経がその点を無視するのは意外だ。日経の主張は浅過ぎる。買収のインパクトだけに圧倒されている。以前から動向があったのだから十分に調べる時間はあった話題だ。完全に準備不足だ。毎日はいつものカレンダーに合わせた進行。内容は正論ばかりだが、誰でも書ける内容。せっかく中国が来るのだから中国の話題との関連を提案するべきだろう。読売の話題は、強く興味を引く消費税の問題だが、新聞の軽減税率を喜んでいる場合か?という点に目が行ってしまう。やがて首相も狙えるであろう小泉進次郎氏は公然と「今の時代に新聞を軽減税率の意味は不明」と言っていた。全国民が納得しているだろう。理解していないのは新聞社だけ。誰もが注目する消費税の議論を、新聞の優遇という瑣末な話にしないで欲しい。

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