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3350.報道比較2018.5.5

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こどもの日。ワクワクする話さえ見つけられないオトナはいらない。

産経新聞・社説
こどもの日 見守る大人の目が必要だ

風薫る5月の空を泳ぐ鯉幟(こいのぼり)は、子供の健やかな成長を願う家族の象徴ともいえる。昨今、その鯉幟を立てる家はめっきり減ったが、まるで歩を合わせるかのように、大人の優しいまなざしに守られることの少ない子供が急増している。保護者による虐待やネグレクト(育児放棄)、学校でのいじめといったニュースに胸を痛めない日は一日もないほどである。周囲や地域の関心が薄れるなかで、子供が発するSOSのサインも見落とされたまま悲しい結末に至った事件も多い。そんな現代の風潮にあって注目されるのが、地域の子供たちに無料や低額で食事、居場所を提供する「子供食堂」である。民間の調査では全国で2千カ所を超え、利用者は年間約100万人と推定される。貧困家庭の子供のほか、家族一緒に食事がとれない「孤食」がちの子供も利用している。家庭の役割を子供食堂に頼らざるを得ない現実には重いものがある。一方で子供食堂が、大人社会で希薄化した地縁を、子供を通じた人間関係のネットワークで再形成させる力ともなり得ることに期待も膨らむ。わが子をはじめ未来の日本を担う子供を家庭や地域でどう育てるか。鯉幟を仰ぎながら、そんなことにも思いを寄せてみたい、としている。

日本経済新聞・社説
子どもの豊かな成長支える場を増やそう

共働きの家庭が増えている。なのに地域に、子どもが安心して過ごせる場はまだまだ足りない。これでは子育てのハードルは上がるばかりだ。保育サービスの効果は、女性の就労を後押しすることだけではない。仕事と家庭を両立させやすくなれば、もう1人子どもを持ちたい、という夫婦の希望もかなえやすくなる。子どもにとっても健やかに成長する大切な場だ。拡充を急ぐ必要がある。待機児童対策として政府は今年度から、2歳児を幼稚園で預かる仕組みを設けた。子育て環境の変化に応じ、もう一歩踏み出してほしい。こうした実践を通じて、保育所と幼稚園の両方の機能を持つ「認定こども園」に転換するケースが出るのを期待したい、としている。

産経と日経はこどもの日を題材にしたが、徹底的に暗く、悲観的。新聞だけでなく、日本全体がこんな大人の比率が上がっているのかもしれない。これは経済的問題以上に社会環境の問題でもある。生きるのが窮屈な場所に、こどもを作る発想は減衰するのは当然。自由がないが発展している中国の方が、日本よりずっと生きやすいと感じる人も増えるだろう。経済的、政治的な判断で日本から人口が減るなら対処はできる。が、社会環境の変化の問題になったら、危機的だ。このギスギスした環境は安倍政権になってからだ。政治だけの問題ではないが、民主党以前の日本は、ここまで先鋭した社会ではなかった。明るいこどもの日が懐かしいという感覚は産経と一緒だが、分かり合えないほどの断絶を感じる。

人民網日本語版
金正恩委員長が王毅外交部長と会談 朝中関係をさらに高い段階へ (2018.5.4)

金正恩朝鮮労働党委員長(国務委員会委員長)は3日、訪朝した王毅国務委員兼外交部長(外相)と党中央本部で会談した。王氏はまず習近平国家主席から金委員長への親しい挨拶の言葉を伝えた。王氏は「先般、金委員長が訪中に成功した。習近平総書記が金委員長と歴史的会談を行い、一連の重要な共通認識にいたり、中朝関係に新たな章を開き、中朝関係が新たな発展段階に入る計画と先導をした。私の今回の訪問は両国最高指導者の決めた事をうまく、しっかりと実行するためのものだ」と表明。金委員長は王氏に習主席への親しい挨拶の言葉を託した。金委員長は「朝中友誼は両国の上の世代の指導者が残した貴重な遺産だ。朝中友好協力の強化・発展は朝鮮側にとって揺るぎない戦略方針だ。先般、私は中国訪問を行い、習主席と広範かつ踏み込んで交流し、重要な共通認識にいたり、実り豊かな成果を得た。朝鮮側は中国側と共に、朝中友好関係を新たな、さらに高い段階へと推し進めたい。朝鮮側は、朝鮮半島の平和・安定に向けた中国側の積極的な貢献を高く評価する。中国側と戦略的な意思疎通を強化したい」と表明した、としている。

朝日新聞・社説
憲法が描く社会 自分のことばで考える

憲法は、一人ひとりの権利や自由を守るために国家に課す基本設計書のようなものだ。欧米で憲法を表すconstitutionという概念には、「成り立ち」や「構成」の意も示す幅の広さがある。でも日本では、それにかみしもを着せ、「憲法」という少し肩ひじのはった名札をつけた結果、単語が出るだけで空気がこわばってしまう――と井上ひさしさんは嘆いた。1946年4月、政府が憲法草案を発表した時、人々は内容に加え、形式にも驚いた。いまでこそ当たり前だが、ひらがな口語体で書かれた法を、それまで見たことがなかったからだ。口語化の立役者は、作家の山本有三である。政府の依頼を受け、極秘にとりくんだ。「主権が国民の意思にあることを宣言し、ここにこの憲法を制定する」という山本の筆には、現憲法の原型がうかがえる。口語化で憲法がわれわれの身についたような気がすると、後に最高裁長官となった国際法学者の横田喜三郎は書いている。憲法が掲げる価値や理念、この国のあり方について、メディアも含め一人ひとりが考えを深め、理解の輪を広げていくことが必要だ。よそゆきではない、自分なりのことばで、憲法が描く社会の姿を具体的に考える。それはなかなかに難しい。しかし、その小さな営みの先にはじめて、多くの人の胸に届く力は宿る、としている。

毎日新聞・社説
中印首脳の接近 信頼醸成は安定に資する

中国の習近平国家主席とインドのモディ首相が4月下旬、中国湖北省の武漢で2日間の非公式首脳会談を行い、平和的に国境問題の解決を探っていくことなどで合意した。両国を合わせた総人口は26億人に達する。関係が悪化しては地域全体が不安定化する。信頼醸成につながる首脳の対話を歓迎したい。会談は急きょ、実現した。中国は対米貿易紛争や朝鮮半島情勢の急変をにらみ、国境を接した地域大国との関係強化を図ろうとしたようだ。発表文にはトランプ米政権を念頭に保護主義への反対と多国間貿易体制の支持も盛り込まれた。アジアの2大国が「世界情勢は深刻な変化のただ中にある」という認識を共有し、「隣人、友人、パートナー」という位置づけを確認した意義は小さくない。朝鮮半島をめぐっても首脳外交が続く。直接対話で信頼感を高め、交渉の積み上げだけでは解決が難しい相違点の克服を目指せることが首脳対話の利点だ。国際情勢の動きは急だ。対立を乗り越えようと、首脳同士が歩み寄った中印の対応は日本にも参考になるのではないか、としている。

読売新聞・社説
首相中東歴訪 地域の安定は国益に資する

安倍首相がアラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダン、イスラエル、パレスチナを歴訪した。UAEは2013年以来、ヨルダンなどは15年以来の訪問だ。再訪を関係強化に役立てたい。首相は、中東和平を巡り、イスラエルとパレスチナが共存する「2国家解決」を支持する立場を改めて表明した。首相はパレスチナ自治政府のアッバス議長に「日本は大使館を移すつもりはない」と述べ、「米国から提案があれば、向き合って交渉につくことが重要だ」と指摘した。当事者間による対話を促した意義は小さくない。イスラエルのネタニヤフ首相とは、地域の経済成長を和平に生かす日本の「平和と繁栄の回廊」構想への協力で合意した。構想に基づき、日本はイスラエル、パレスチナ、ヨルダンと共同で、パレスチナに農産加工団地を完成させた。情報分野の企業の進出が検討されている。アジアでの長年の途上国援助の知見を活用し、パレスチナの経済的自立を後押ししたい。UAEとの首脳会談では、防衛や農業、宇宙開発など12分野での協力で一致した。UAEは脱石油依存の産業構造への転換を急ぐ。幅広い投資が、改革に寄与するのは間違いない。原油輸入量の4分の1をUAEに頼る日本は、経済協力の拡大を資源確保につなげる必要がある、としている。

人民網は海外紙なので別として、他の国内3紙はこどもの視点などまったく忘れた泥臭い話題。しかも、どれも緊急性など感じられないトピックばかり。こどもの将来の話よりも、難解な話題で原稿を埋める方を選んでいる。人民網が伝える現実も休みとともに忘れ去られる。朝鮮半島外交でますます居場所を失うだろう。こどもを忘れても語るべき話題を、せめて選んで欲しい。

Wall Street Journal
人工知能とは何か、現段階での能力と限界 (2018.5.4)

当初目指したのは人間の問題解決能力をまねたプログラムや、「この場合はこうする」といったルールに従い、人間の思考をたどるシステムだったが、その手法ではおびただしい数の可能性をカバーしきれなかった。そこに登場したのがインターネットだ。検索から電子商取引まで多様なネットサービスが豊富なデータの供給源となり、またグーグルやアマゾン・ドット・コムなどハイテク企業の急成長とともに処理能力も飛躍的に向上した。デジタルカメラの画像認識能力は、周囲を監視し、対応すべき場面で有効に活用されている。例えばスカイディオ社のカメラ搭載型ドローンは、自ら障害物を回避しながら、被写体を追尾することができる。人間の判断力に似た機能もある。車の流れから渋滞箇所を特定し、到着時間を予想するナビゲーションアプリなどだ。効率的なルートを見つける能力は電力網やその他のネットワークの最適化にも役立つ。ヘルスケアの分野でも応用が広がる。機械学習を使い、患者の医療記録と必要な治療法を合致させることや、医療用品の供給管理、健康なライフスタイルの提案などだ。アルゴリズムそのものを正しく設計するのは容易でなく、失敗を招く要因が多い。そのうえ、機械学習のソフトが何か判断を下した場合、どのような要因でその結果が導かれたかを知るのは難しいことがある。例えば、自動運転車が適切に道を譲らなかった時、原因を見つけるのは簡単ではない。結局のところ、現在のAIが問題を解決する全く新しい方法を考え出すことはできない。AIの知識は与えられたデータであり、指示された内容について学習するからだ。一部のアルゴリズムは特定のデータセットの中から注目すべきものを判断するよう設計されている。それでも新しいアイデアは生み出せない。それは今も変わらず、人間の仕事だ、としている。

こどもに読ませるなら、同じWall Street Journal に載ったこの寄稿をお薦めする。

【寄稿】AIは人間に教える存在に by Wall Street Journal

AIは恐れるものではない。活用して豊かになるものだし、これから一緒に育てていくには多くの挑戦がある興味深いものだ。使い方によっては、兵器や武器にもなるのは、クルマや電気と変わらない。恐れて遠ざけるほど、さらに意味が判らず、幽霊のような存在になる。こどもにとっては、インターネットやSNSのような存在になる。理解して飛び込めば、チャンスがある。相応のリスクとともに。少なくとも、日本の新聞が書くような話題よりはずっとワクワクする世界なのは確実だ。

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