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3348.報道比較2018.5.3

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憲法記念日。注目に値する社説は日経。もっともまともな社説を書いている。現状が適切に分析できているし、憲法改正できる環境が整っていない現状を経緯を追って説明してくれている。自民党内にもこの意見に同調する人は多くいるだろう。政権は反論できるだろうか?

朝日新聞・社説
安倍政権と憲法 改憲を語る資格あるのか

憲法施行から70年の節目にあったこの1年で、はっきりしたことがある。それは、安倍政権が憲法改正を進める土台は崩れた、ということだ。そもそも憲法とは、国民の側から国家権力を縛る最高法規である。行政府の長の首相が改憲の旗を振ること自体、立憲主義にそぐわない。この3月、森友学園との国有地取引をめぐる公文書の改ざんを財務省が認めた。文書は与野党が国会に提出を求めた。改ざんは、憲法の基本原理である三権分立、その下での立法府の行政府に対するチェック機能を損なうものだ。民主主義の根幹にかかわる重大事なのに、政権はいまだに改ざんの詳しい経緯を説明していない。いま政権を揺るがす森友学園と加計学園の問題に共通するのは、首相につながる人物に特別な便宜が図られたのではないかという疑惑である。本紙が憲法記念日を前に実施した世論調査では、安倍政権下での改憲に「反対」は58%で、「賛成」の30%のほぼ倍となった。政策の優先度で改憲を挙げたのは11%で、九つの選択肢のうち最低だった。「この1年間で改憲の議論は活発化した」という首相の言葉とは裏腹に、民意は冷めたままだ。首相の都合で進める改憲は、もう終わりにする時だ、としている。

産経新聞・社説
憲法施行71年 「9条」では国民守れない 平和構築へ自衛隊明記せよ

9条が、日本の安全保障政策と論議の水準を高めることを妨げてきた弊害の大きさも考えたい。9条には、はき違えた平和主義の源になった面が小さくない。「戦力の不保持」を定めた9条2項を削除し、軍の保持を認めることが9条改正のゴールである。だが、政治情勢を考えれば、一足飛びにはいかない。そこで、安倍首相が提案した自衛隊明記の方法を、自民党は改憲項目とした。これが実現すれば、憲法学者の間の自衛隊違憲論に終止符を打つことができるが、そのほかにも大きな意義がある。まず、日本全体の安全保障論議と意識の底上げが期待できる。国の大切な役割として防衛があることが明確になるからだ。もう一つの大きな意義は、国民投票の力である。中国や北朝鮮などの動向をみれば、自衛隊が国民を守る戦いに従事する可能性を否定できない時代になった。国民投票で憲法に自衛隊を明記することは、命をかけて日本を守っている自衛隊員を国民が支える意思表示となる。隊員の士気と日本の抑止力を高めるものだ。だからこそ、安倍首相と自民党は、憲法改正の実現に向けて歩みを止めてはならないのである、としている。

日本経済新聞・社説
改憲の実現にはまず環境整備を

きょうは憲法記念日である。改憲、護憲両勢力はそれぞれ集会を開き、気勢をあげる予定だ。そのことに意味がないとは言わない。だが、非難の応酬合戦がよりよい日本につながるとも思えない。同じ目線で話し合う土俵をつくれないものだろうか。自民党は野党時代の2012年に改憲草案をまとめ、党議決定した。戦力不保持を定めた9条2項を削除し、国防軍を持つと明記した。諸外国と同じく軍隊を持つ国になるということだ。是非はさておき、わかりやすかった。安倍首相の新提案は全くの別ものだ。2項は残しつつ、自衛隊の存在を書き足す。歴代内閣が継承してきた「自衛隊は戦力でなく、専守防衛のための必要最小限の実力組織なので合憲」との憲法解釈も維持するという。改憲反対には森友・加計学園問題などへの批判も含まれているとはいえ、現状で国民投票を実施すれば賛否拮抗は必至だ。欧州連合(EU)離脱を決めた英国の国民投票のときのような、国論二分の混乱に陥るだろう。実務的な修正作業を通じて、与野党間の信頼を徐々に醸成していく。改憲項目の本格的な検討はそれからでも遅くない、としている。

毎日新聞・社説
引き継ぐべき憲法秩序 首相権力の統制が先決だ

1年前、安倍晋三首相は憲法9条への自衛隊明記論を打ち上げた。自民党をせき立て、野党を挑発し、衆院総選挙まではさんで、改憲4項目の条文案作成にこぎつけた。しかし、衆参両院の憲法審査会は今、落ち着いて議論できる状況にはない。最大の旗振り役だった首相への信用が低下しているためだ。国会には立法機能と政府の創出機能がある。同時に国会は行政を監視し、広範な合意に導く役割を併せ持つ。国会が権力闘争の場であることは否定しないが、現状は政権党が政府の下請けに偏り過ぎている。今国会で増えた質問時間を持て余した自民党議員が、意味なく首相をほめそやしたのはその典型だ。本当に国民の利益になる憲法の議論は、健全な国会があってこそ成り立つものだろう。敵と味方を峻別するあまり、客観的な事実の認定さえ受け付けない現状は不健全である。まずは国会が首相権力への統制力を強めるよう求める、としている。

読売新聞・社説
憲法記念日 自衛隊違憲論の払拭を図れ

憲法はきょう、施行から71周年を迎える。新しい時代にふさわしい憲法のあるべき姿について、国民一人ひとりが考える機会としたい。安倍首相(自民党総裁)は、昨年の憲法記念日に、自衛隊の根拠規定を設けるための9条改正を政治課題に掲げた。だが、安倍内閣の失速で、改憲の機運は盛り上がりを欠く。野党は安倍内閣との対決姿勢を強め、衆参両院の憲法審査会の開催に応じていない。政局に絡め、議論を拒むのは疑問だ。自衛隊に正統性を付与し、違憲論を払拭する意義は大きい。自民党は「9条の2」を新設し、必要な自衛の措置をとる「実力組織」として、自衛隊の保持を明記する案を打ち出した。自衛隊は9条2項で禁じられた「戦力」に当たるのか否か、という不毛な議論が続く懸念がある。他党との合意形成を優先した現実的な判断なのだろう。国民が憲法改正を実現する意義を理解し、現実にそぐわない部分を手直しするのが望ましい。着実に議論を重ねたい、としている。

憲法記念日。注目に値する社説はあるだろうか。
朝日と朝日は、憲法の話ではなく政権の批判。内容は一利あるものだが、憲法とはまるで無関係。
産経は、北朝鮮への恐怖心を憲法改正への道具に使っている。ずっと安倍政権が使ってきた手法だが、北朝鮮の変化で論理が噛み合わなくなっている。憲法が国を守ってくれるわけではないという産経の主張は、自衛隊を軍と記載しても変わらない。危機だけを理由に憲法を改正して、安全保障への歯止めが聞かなくなる、アメリカからの売り込みを二つ返事で購入していくような未来。自民党がが願っている図式が浮き彫りになってきた。私はこの論理なら反対だ。結局、圧力とともに対話した方がずっと効率的だと認めたのはアメリカだ。置き去りにされた日本のやり方は、完全に誤っていた。なぜ今さら、またカネを払うための憲法改正をしなければならないのか。
日経が、もっともまともな社説を書いている。読むに値する。現状が適切に分析できているし、憲法改正できる環境が整っていない現状を経緯を追って説明してくれている。自民党内にもこの意見に同調する人は多くいるだろう。政権は、産経は反論できるだろうか?
読売は政府と社会の療法に迎合しているかのような文面。政府が憲法改正の実績だけのために動きたいなら、読売のような動きになる。少なくとも、過去を見れば安倍政権にそれをやらせてはならないのは国民は知っている。本気で政権を諭さなければ、本当の応援ではない。

Wall Street Journal
トランプ政権、中国企業の通信機器制限へ 大統領令検討 (2018.5.3)

ドナルド・トランプ米政権は国家安全保障上の懸念を理由に、中国企業による米国内での通信機器販売を制限する大統領令を検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。大統領令が出されれば、IT(情報技術)や電気通信を巡る米中摩擦が一段と悪化する可能性がある。世界の通信機器市場で上位2社の華為技術(ファーウェイ)と 中興通訊 (ZTE)も影響を被る見通し。両社を巡っては、国際的な締め付けがますます強まっている。米国防総省関係者は今週、世界各地の米軍基地内で両社製のスマートフォン販売を中止する方針だと明らかにした。米当局者が懸念しているのは、中国政府がスマホメーカーに自社製品を通じた諜報活動や 通信の遮断を命じる可能性だ。ファーウェイとZTEはそのようなことは決して起きないと言明している。ただ、検討されている大統領令の厳密な対象範囲などを含め、極めて複雑な要素が残っており、最終決定は下されていない。国家安全保障会議(NSC)の広報官は、政府当局者は「この件について現時点でコメントすることは何もない」としている。

このコメントを書いてる10日足らず後のトランプ政権の行動は、これだ。

トランプ氏、ZTEで手打ちは「勝利なきディール」 by Wall Street Journal

政治はいつから、法を軽んじるようになったのか?目的のために手段を選ばなくなった時に起きるのは、誤解と衝突だ。

Financial Times
米国の教育危機に対する答え (2018.4.30)

目下、教員が全米でストを実施している。ケンタッキーからアリゾナまで、何千人もの教育者がこの数年の劇的な公共予算削減に抗議して職場を離れている。こうした予算カットの結果、教員は低賃金と過重労働を強いられ、バラバラにならないよう本にダクトテープが張られ、天井の穴から教室に雨が流れ込む状況を招く微々たる予算を補填するためにポケットマネーをつぎ込むことを余儀なくされている。経営者は、悪化する米国の教育制度のせいで、国際舞台で競争力を維持するために必要な労働者を会社が見つけることが不可能になっているとこぼす。この点については、経営者は正しい。米国はおそらく2020年までの10年間に約1500万人の新規雇用を創出するが、その職の65%は中等後教育と高校卒業後の訓練が必要になる。トランプ政権の減税が州の教員ストを招いたわけではない。教育予算は主に、州政府と自治体によって賄われている。米国では、教育制度があまりに破綻しているため、教育の探求それ自体が格差拡大と1.3兆ドルもの学生ローン債務につながっている。企業はこの認知的不協和を認めなければならない。ビジネス・ラウンドテーブルのような米国の主要企業ロビー団体は、まさに税制改革でやったように、教育改革を国家の競争力の問題としてとらえるべきだ、としている。

適切で、連休中に読むには理想的なコンテンツだ。アメリカを目指す時に、義務教育のレベルの低さは受け入れ難い。超大国として、世界の経済を牽引する国のものとしては信じ難い。優秀な人材になるにはカネが必要。または移民として外部から調達する。筆者が言うとおり、アメリカを偉大にするなら、トランプ大統領にもっとも取り組んで欲しいテーマは教育だ。この領域だけは、圧倒的にアメリカは中国だけでなく、世界に負けている。

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