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3332.報道比較2018.4.17

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いま、中国が成長しているから中国のイデオロギーや計画経済が優れているように見えるが、それは違うと思う。単純に、成長の過程にいるだけだ。そして、中国も体制の是非に関係なく衰退する。それは習氏のせいでも、一党独裁の終わりでもない。高齢化と人口減が進み、経済の成長に限界が見えれば、人の成長はつづかない。

日本経済新聞・社説
日中首脳の往来へ一歩一歩信頼醸成を

日中両政府は8年ぶりとなる閣僚級の「ハイレベル経済対話」を東京で開いた。5月上旬には日本で開く日中韓首脳会談に出席するため李克強・中国首相が訪日する方向だ。中国側の積極姿勢への変化もあり、準備が順調に進み始めたことを歓迎したい。米中貿易摩擦は日本を含むアジア経済にも影響を及ぼす。日中間の経済・貿易当局間の意思疎通には意味がある。ハイレベル対話の下で個別に具体的な課題に取り組む枠組みづくりを急ぎたい。中国主導で広域経済圏を形づくる新シルクロード経済圏構想(一帯一路)を巡っては、安倍晋三首相が第三国での日中協力を提起している。「一帯一路」は日米陣営の「自由で開かれたインド太平洋戦略」とライバル関係にあるものの、双方にメリットをもたらす運用が求められる。信頼の醸成は一筋縄ではいかない。焦らず一歩一歩進めるしかない。6年前、中国で多くの日本企業が反日デモの標的になり、損害を被った。その傷に起因する不信感も残る。だが、世界2、3位の経済大国の首脳が定期的に話し合う枠組みは必要だ。それはアジアと世界の安定にも寄与する、としている。

読売新聞・社説
王毅外相来日 真の関係改善へ協議を重ねよ

安倍首相が、来日した中国の王毅国務委員兼外相と会談した。首相は「様々な分野で関係を発展させていく」と語り、王氏は「関係改善のプロセスを推進しなければならない」と応じた。首脳外交は今後、活発化する見通しだ。5月の日中韓首脳会談で李克強首相が初来日する。その後、安倍首相の訪中と習近平国家主席の来日を想定している。尖閣諸島周辺では、中国公船の領海侵入が常態化している。日中の関係改善に水を差す挑発行動は看過できない。自衛隊と中国軍の偶発的衝突を回避する「海空連絡メカニズム」の運用を早期に開始する必要がある。河野、王両氏を議長とする「ハイレベル経済対話」が7年8か月ぶりに再開し、世界の経済情勢や日中の経済協力を協議した。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」についても意見交換した。日本は民間共同事業への支援を検討している。第三国の発展や地域の安定に資することが肝要だ、としている。

人民網日本語版
中日が8年ぶり経済対話 逆行リスクに引き続き警戒を (2018.4.16)

商務部のサイトが伝えたところによると、中日双方は第4回中日ハイレベル経済対話を16日に日本・東京で行うことを確定した。中国側は王毅外交部長、日本側は河野太郎外務大臣が議長を務め、両国政府関連部門の責任者が出席する予定だ。中日ハイレベル経済対話は両国政府間の経済分野における最高レベルの交流メカニズムで、2007年4月にスタートした。これまで07年12月、09年6月、10年8日に計3回、中日が回り持ちで開催している。その後、釣魚島(日本名・尖閣諸島)をめぐる問題などがあり、中断されていた。2018年になってから、1月には河野外相が中国への公式訪問を要請し、中日関係改善の一層の改善に向けた日本側の意欲を示した。4月には、日本国際貿易促進協会の河野洋平会長が訪中し、経済が訪問のテーマとされた。河野会長は、「日本のビジネス界や企業の間では両国関係の持続的な改善を歓迎し、両国の友好のために積極的に貢献したいというムードがある」と述べた、としている。

Financial Times
21世紀を形作る米中のライバル関係 (2018.4.17)

中国は新興の超大国だ。米国は既成の超大国だ。この2大国が破滅的な衝突に至る可能性は、果てしなく大きいように思える。中国が経済と政治の両面でパワーをつけてきていることは明らかだ。国際通貨基金(IMF)によれば、2017年の中国の1人当たり国内総生産(GDP)は、市場価格ベースでは米国の値の14%相当で、購買力平価(PPP)ベースでは同28%相当だった。2000年の値に比べると前者は3ポイント、後者は8ポイントそれぞれ上昇している。だが、中国の人口は米国の4倍以上であるため、2017年の中国のGDPは市場価格ベースでは米国の値の62%相当となる。購買力ベースでは同119%相当だ。また中国はすでに、多くの主要な国々、特に東アジアの国々にとって、米国よりも重要な輸出市場になっている。さらに中国は、研究開発費の対GDP比でも主要な高所得国とほぼ肩を並べている。この支出は、中国のイノベーションを牽引する1つの要因になっている。西側諸国は日の出の勢いの中国と共存できるし、共存しなければならない。ただその際には、本性の内に潜む、より良き天使に忠実であるべきだ。もしこの歴史の転換を統御するつもりでいるのなら、西側は自らの内面に目を向けなければならない、としている。

Wall Street Journal
米、対中報復措置検討 ハイテク企業の参入制限で (2018.4.17)

米通商代表部(USTR)は中国政府がハイテクサービスにおける米国の貿易を不公正に制限しているとし、新たな貿易問題の訴えをまとめているが、1974年に定められた通商法301条に基づく措置となる可能性が高い。中国政府は米アマゾン・ドット・コムや マイクロソフト などクラウドコンピューティング事業を展開する企業に対し、国内企業との合弁設立や、合弁パートナーへの技術ライセンス供与を義務付けている。USTRは中国の貿易慣行に関する報告書で、中国政府が米企業に対する独自操業の許可を保留していると指摘していた。その結果、米企業は自社のクラウドサービスを中国市場で展開し、顧客を直接獲得することができない。これに対し、電子商取引大手 アリババグループ をはじめとする中国企業は米国で制限なく操業することが許可されている、としている。

日中関係の実務的な話と、アメリカと中国、さらには世界全体を含めた中国の話を分けるべきか悩んだが、まとめてコメントする。Financial Timesの冗長なコラムは前半はアメリカと中国を対比させているが、最後は西側の没落を悲観している。半分は同意するが、半分はノーだ。いま、中国が成長しているから中国のイデオロギーや計画経済が優れているように見えるが、それは私は違うと思う。単純に、成長の過程にいるだけだ。やがてインドも同じ成長を向かえる。アジアも、アフリカも。将来、経済成長にイデオロギーはほとんど意味を成さないという結果になるのではないか。そして、中国も体制の是非に関係なく衰退する。それは習氏のせいでも、一党独裁の終わりでもない。高齢化と人口減が進み、経済の成長に限界が見えれば、人の成長はつづかない。
私は、成長には、競争と、自由と、多少の抑圧と欲望が必要だと思う。今の日本には、相変わらず抑圧と欲望が足りない。日本は、常に変化のトリガーを外圧に委ねてきた。次に日本が大きな変化を余儀なくされるのは財政破綻だと思うが、それまで、いくら自由を与えても、この国は競争の意思も持たず、衰退を受け入れてきた。食えなくなるまで、手を伸ばさなければ苦しいところまでいかなければ、日本は変われそうもない。
アメリカは、貯蓄がなく、必要以上の自由に促されて移民が流入することから、競争と欲望には事欠かない。格差はさらに抑圧と欲望を醸成するだろう。多少の痛みが伴ったとしても、私はアメリカの未来は楽観している。中国には、輝く10年とともに、日本に似たような衰退が待っている気がしてならない。自由のない国にイノベーションは生まれない。人も集まらない。中国から流出した富と人が、他の国で花を咲かせるのではないか。

産経新聞・社説
安倍首相の訪米 堅固な同盟で北に対処を

安倍晋三首相がトランプ大統領との会談のため訪米する。主な議題は北朝鮮の核・弾道ミサイル問題や日本人拉致被害者の救出、日米の通商関係である。最も大切なのは、米朝会談において、トランプ氏に「日米両国の安全」を追求させることである。拉致問題も当然含めるべきだ。日米同盟に亀裂が入れば、米国はアジアの安全保障に関わる足場を失うも同然で、米本土の安全も保てなくなる。改めてトランプ氏に認識してもらう必要がある。目指すべきは「北朝鮮の非核化」である。在韓米軍の撤退などの議論に引きずり込まれないよう、首相は念を押しておくべきだ。米韓同盟が空洞化し、日本や地域の安全を損なう事態は避けねばならない。米朝会談が決裂し、緊張が高まる場合の備えを、日米首脳が論じ合うことも対北圧力を維持する上で必要だ。韓国からの非戦闘員退避活動(NEO)や、有事の日米協力を詰めておく好機である、としている。

朝鮮半島が過度の期待を集める中、日本の居場所はなく、安倍氏の国内での支持も崩壊した。半年前なら、この日米首脳会談は憲法改正への布石だったのだろう。アメリカでもこの首脳会談の注目度は低いが、日本国内の関心も下がってしまった。安倍政権は終わった印象だ。

朝日新聞・社説
司法取引 運用誤らず成果に導け

他人の刑事事件の解明に役立つ協力をした場合、検察官が本人の事件について、起訴を見送ったり求刑を軽くしたりする「司法取引」が6月に始まる。効果が期待される一方で、懸念もある。最大のものは、うその供述がなされ、犯罪と本来関係のない人が引き込まれることだ。丁寧に裏づけをとり、真偽を慎重に見極める。事件捜査にあたる者の基本だが、いっそう念を入れたチェックが求められる。検察は、不用意に取引の話を持ちださない▽現場の判断だけでなく、当面、高検や最高検とも協議しながら行う▽最終的に取引が成立しなかった場合も、やりとりを通じて派生的に知り得た情報や証拠は慎重に扱い、不信を招かないようにする――などの方針で臨むとしている。当然の姿勢といえよう。司法取引が導入される犯罪類型には、脱税や贈収賄、背任などの財政経済事件も含まれる。談合を公正取引委員会にみずから申告した場合、課徴金が減免される手続きが06年に始まり、企業の行動に大きな影響を与えた。今回の制度も同じように、コンプライアンス体制や企業風土の見直しを、経済界に迫るものとなりそうだ、としている。

毎日新聞・社説
政府の放送制度議論 政治利用への警戒怠れぬ

政府の規制改革推進会議はきのう放送制度見直しの本格議論に着手した。会議ではたたき台となる文書が示され、放送と通信の融合への対応が重要と位置づけられた。政府が水面下で検討してきた案は、4条撤廃でネット事業者の参入を促し競争を加速させるものだ。そこには政権の思惑が透けて見える。安倍晋三首相は政治的公平が求められないネットテレビに進んで出演してきた。国会でも「放送には規制があるが、ネットは自由な世界」と答弁した。ネット事業者を放送に参入させ、都合のいいメディアを増やしたい狙いがあるのではないか。ネットにはフェイク(偽)ニュースが目立つ。ネット事業者が参入しやすくなると、視聴率目当ての過激な番組が増え、地味だが良質な番組が減る恐れがある。「悪貨が良貨を駆逐する」事態に陥りかねない。今後、会議が番組強化策を議論する過程で撤廃が再び浮上する可能性がある。警戒は怠れない、としている。

朝日と毎日は政権批判に労力を割き過ぎている。過去に他紙が取り上げた話題を、主張もそのまま後追いしている。きっと、追従の意見に陥っていることさえ知らないのだろう。チェックする機能も時間も忘れて政権批判しているなら、このブーメランは、必ず自らのみに返ってくる。安倍氏が朝日新聞を「哀れ」と呼んで批判したことが、どれだけ悔やまれるほど安倍政権が支持を失ったか。これと同じ失望を、朝日や毎日が受け入れるべき時が来る。奢るべからず。丁寧に仕事をして欲しい。

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