ORIZUME - オリズメ

3322.報道比較2018.4.7

3322.報道比較2018.4.7 はコメントを受け付けていません。

働き方改革は、政治面では、すでに信任が完全に欠落してしまった。省庁や与党の協力も得られないだろう。運用して経済界は、本当にこの法案が日本企業を強くすると思っているのだろうか?

朝日新聞・社説
働き方改革 労働者保護に焦点絞れ

安倍政権が今国会の最重要法案と位置付ける働き方改革関連法案が国会に提出された。法案には、専門職で年収の高い人を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の新設も盛り込まれた。関連法案は、当初、2月中の閣議決定をめざしていた。大幅に遅れたのは、あらかじめ決められた時間を働いたとみなす裁量労働制をめぐり、首相の答弁撤回や、法案づくりの参考にされた調査データの不備など、問題が相次いだためだ。野党は、働く人々を守る規制の強化に重点を置いた、働き方改革の対案を準備している。高プロを関連法案から切り離せば、与野党が歩み寄り、話し合う余地は生まれるはずである。だれのための働き方改革か。政府・与党はそのことを考えるべきだ、としている。

日本経済新聞・社説
働き方改革法案を今国会で成立させよ

政府が働き方改革関連法案を閣議決定した。働き方改革は日本の成長力を高め、意義が大きい。今国会の審議日程は窮屈だが、確実な成立が求められる。法案の柱は3つある。ひとつは残業時間への上限規制の導入だ。同じく労働時間の制度改革として、働いた時間でなく成果をもとに賃金を決める「高度プロフェッショナル制度」の新設がある。そして正社員と非正規社員の不合理な待遇差をなくす、「同一労働同一賃金」の制度化である。経済・社会の構造変化に対応するために、働き方改革は具体化を急がなければならない。野党は高度プロフェッショナル制度について「残業代ゼロ」制度と批判を強め、その創設を裁量労働制の対象拡大に続いて法案から削除するよう要求している。だが、生産性の向上を促す新制度を企業が使えなければ、日本の国際競争力が落ちる恐れがある。それでは従業員も不幸になる。政府は新制度創設を含めての法制化をあくまで貫くべきだ。厚生労働省・東京労働局長による記者会見での不適切発言が問題視されている。厚労省は裁量労働制の調査で失態が明らかになったばかりだ。働き方改革の担当組織としての自覚を強く求めたい、としている。

毎日新聞・社説
働き方改革を閣議決定 残業時間の規制が原点だ

働き方改革は、電通の女性社員の過労自殺によって政府が取り組みを迫られたものだ。非正規社員の低賃金の改善も喫緊の課題である。若い世代が安心して働き、結婚や出産ができるようにしないと、社会全体が地盤沈下していく。だから残業時間規制などは重要なのだ。ところが、もともと政府が成立を目指していた高度プロフェッショナル制度(高プロ)や裁量労働制が関連法案に組み込まれ、議論がもつれるようになった。高プロは残業の規制がなく、経営者は残業代を払わなくて済む制度だ。野村不動産でも裁量労働制を違法に適用された社員が過労自殺した。政府は国会で同社を特別指導したことを強調しながら、肝心の過労自殺については認めていない。現実に起きている弊害を認めず、メリットばかり強調するから矛盾が露呈する。これでは政府案に不信が深まるばかりだ。もともと規制強化と緩和という矛盾するものを一つの法案にまとめるのは無理がある。残業時間の規制という原点に立ち返って、働き方改革を議論すべきだ、としている。

読売新聞・社説
働き方改革 国民の不信感払拭に努めよ

政府が働き方改革関連法案を国会に提出した。残業時間の上限規制と同一労働同一賃金の推進が柱だ。今国会での成立を目指す。厚生労働省が示したデータが不適切だった問題を受けて、盛り込む予定だった裁量労働制の対象拡大は削除に追い込まれた。厚労省東京労働局は昨年末、裁量労働制を不当適用していた野村不動産への特別指導を公表した。政府は、厳正な指導監督の事例のように国会で言及したが、不当適用された社員が過労自殺で労災認定されたことが後に判明する。野党は、高収入の一部専門職を労働時間規制の対象から外す「脱時間給」(高度プロフェッショナル)制度の削除も求めて、政府への攻勢を強めている。重要なのは実効性ある働き過ぎの防止策だ。野党は「過労死促進法案」などと批判するが、長時間労働ありきの考え方だろう。建設的な議論を展開すべきだ、としている。

日経と読売は政府よりなのか、経済界への配慮なのか、ボロボロで支持の得られない働き方改革にまだ期待を寄せているようだが、今回は大きく後退しないと法案成立は許してはいけないのではないか。政治面では、すでに信任が完全に欠落してしまった。省庁や与党の協力も得られないだろう。根拠となるデータに不備が合ったのだから、議論さえ宙に浮く。もしこれで法案が成立して、事故が起きたら、大きな禍根が残るだろう。
運用して経済界は、本当にこの法案が日本企業を強くすると思っているのだろうか?同一労働同一賃金にした時、日本郵政のように正社員の給与水準を下げるつもりだろうか?残業に総量規制が入れば、外注化がますます進む。さらにノウハウは外部に流出し、名義貸しのような形骸化したビジネスが増えれば、不祥事と捏造は減るどころか増える一方になる。本質的に仕事を見つめ、生産性を突き詰める議論になっていない。ますます日本は稼げなくなるだろう。

Wall Street Journal
トランプ氏のアマゾン批判、根強い嫌悪感の背景は (2018.4.7)

ゲーリー・コーン大統領補佐官(経済担当)らがパワーポイントを使ってプレゼンテーションを行い、説明資料を配布した。これにより、アマゾンが税を回避し、米郵政公社(USPS)を不当に利用しているとの見方が誤りであることを証明できると考えたのだ。だが、ほとんど効果はなかった。トランプ氏は見せられた資料と矛盾する批判を頑としてやめなかった。 アマゾンを攻撃する最近の連続ツイートは、ワシントン・ポストに同氏の気に障る記事が掲載された時期と重なる。ホワイトハウス側近らによると、トランプ氏はここ1週間、同紙の2つの記事について内輪の席で不満をぶつけた。3月30日の記事は、人事選定を担当するホワイトハウス事務局内の問題を詳細に伝えた。翌日には、トランプ氏がジョン・ケリー大統領首席補佐官やその他の「抑制力」となる高官から距離を置き、一段と独自の行動に出ている様子を描いた記事が掲載された。大統領専用機で記者らと話した際、トランプ氏はアマゾンに不利な措置が取られる可能性を示唆したが、何に関する措置かは明確にしなかった。
トランプ氏は「何が起こるかそのうちわかる」と含みを持たせた。「USPSはアマゾンとうまく行っていない。公平な土俵が必要だ」としている。

産経新聞・社説
朴前大統領に有罪 民主国家として未成熟だ

韓国のソウル中央地裁は、前大統領の朴槿恵被告に懲役24年、罰金180億ウォン(約18億円)の有罪判決を言い渡した。朴被告が大企業に資金を拠出させたとする職権乱用罪と強要罪について有罪と認定した。前政権の全面否定は、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した日韓合意の反故と同じ文脈にあるのではないか。政権交代すると前政権の全てが否定されるのだとすれば、外交上の約束は意味をなさない。大統領経験者が次々と刑事司法の対象となる根底に「政治報復」があるのだとすれば、国民にとって、あまりに不幸である。4月末には南北首脳会談が開催される。米朝会談を控え、北朝鮮の非核化、拉致問題の解決に向けた正念場である。重大局面を担う韓国大統領の座が不安定であることに、大きな危惧を覚える、としている。

真摯な取材から興味深い情報を教えてくれたWall Street Journalには申し訳ないが、パワーを不当に使う大統領に似た事例として産経を並べてみた。権力を自分の欲望のために使うのは無様だ。

Comments are closed.