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3320.報道比較2018.4.5

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アメリカの制裁関税1300品目は、戦略的というより悪質。保護主義そのもの。中国の安い技術がなければ、アメリカの発展も危ぶまれるはず。反発を想定してのブラフとしては度が過ぎている。

Wall Street Journal
中国の「未来」を狙い撃ち、トランプ政権の関税リスト (2018.4.5)

500億ドル(約5兆円)相当の輸入品を標的とする関税の対象には、電子機器や産業機械、医薬品の原料といった重要な品目が含まれる。一方で大型航空機、電気自動車、ロボットなど、何年も先まで大きな輸出品とはなりそうにない品目もある。こうした対照的な品目が含まれたリストは象徴的でもあり、同時に現実的なものでもある。「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」計画に基づき、ハイテク産業振興を目指す中国の野心に警告を発したものだ。一例として、米通商代表部(USTR)が作成したリストには、電気モーターならびにリチウムイオン電池を動力源とする自動車が含まれている。これは電気自動車で世界トップに立とうとする中国の野心を狙い打ちにしたものだ。中国の自動車メーカーはまだ米市場で電気自動車を販売していないものの、中国政府は同セクターに多額の投資を行い、世界への販売を見据えている。ワシントンDCのシンクタンク、戦略国際問題研究所のスコット・ケネディ副所長は「現時点で大量輸出されていない一部品目については、将来そうした輸出が歓迎されないことを示す手段として対象に含まれたのではないか」とし、「関税案はおそらく、これらの部門で輸入拡大が容認されない限り、中国がそうした方向へ進むのを制止できる」との見方を示した、としている。

人民網日本語版
中国鉄鋼団体、米の挑戦に積極的に応じ貿易戦を恐れず (2018.4.4)

中国鉄鋼工業協会が3日に明らかにしたところによると、中国鉄鋼産業は中国政府が交渉や対応措置などさまざまな手段で米国から突きつけられた挑戦に対処し、中国の利益を守ることを断固支持するという。産業自体も積極的に対処し、傍観はしないとしている。中国は自国の利益を守るため、米国の232措置が生み出す損失とのバランスをはかりながら、4月2日より、米国原産の7分類128項目の輸入商品に対する関税譲許の義務の履行を停止し、現在適用される関税率にさらに追加関税を課し、ステンレス製石油・天然ガスパイプライン、継目なし(シームレス)ステンレス鋼管などの鉄鋼製品20数項目に対し15%の追加関税を課すとした。劉事務局長は、「337条調査での完全勝利は現在の貿易をめぐる大々的な力比べを背景として非常に意義のあることだといえる。中国人は応戦し、ノーと言い、法律とルールを武器にて、自国の利益を守り抜かなければならない」と述べた、としている。

読売新聞・社説
米中貿易摩擦 互いに一国主義を排すべきだ

米国が、中国による知的財産権の侵害を問題視した制裁関税の原案を発表した。ハイテク分野を中心に約1300品目、5兆円余に上る中国製品が対象である。中国は米国製品に同規模の報復措置を講じる方針だ。大豆、自動車、航空機など106品目に関税を課す内容を公表した。米中間では、米国による鉄鋼とアルミニウムの輸入制限に対し、中国が豚肉などの米国製品128品目、3000億円余相当の報復関税を発動したばかりだ。中国政府は、米中摩擦において自由貿易の擁護者を自任する。その構図を生じさせているのは、国際ルールを無視して2国間取引に固執するトランプ氏の短慮だ。保護主義貿易の拡散を食い止めるには、WTO改革も避けて通れまい。WTOを通じた自由貿易促進を重視する日本には、論議を主導する責任があろう、としている。

アメリカの制裁関税1300品目は、戦略的というより悪質。ダンピングとの指摘も上がった中国の鉄鋼・アルミとは異なり、最新の技術領域も含めて中国のアメリカ国内への参入にガードを固めている。これは保護主義そのもの。たしかに中国は他国に比べて高い障壁を設けてGoogleやFacebook、Teslaの参入さえ阻んではいるが、中国の安い技術がなければ、アメリカの発展も危ぶまれるはず。反発を想定してのブラフとしては度が過ぎている。これで中国が参入障壁を下げてくれればいいが、同様に技術移転の強要をやめさせたい。マーケットだけを渡すつもりはないというのが中国の思いだろうが、ノウハウを創出する投資を考えれば、中国の発想も納得できない。
日本は、どんな戦略を持っているのだろう?また何も考えていないのだろうか?

毎日新聞・社説
全国に広がる子ども食堂 地域社会で後押ししたい

子どもたちに無料や低額で食事を提供する「子ども食堂」が全国で2286カ所に上ることが運営団体の調査でわかった。14年に施行された子どもの貧困対策法が弾みとなり、地域住民やNPO法人、社会福祉法人、企業などが子ども食堂の運営に乗り出した。困窮家庭の子どもへの食事提供などの生活支援が、当初の子ども食堂の目的だ。ただ、子どもの貧困は表面上は見えにくく、真にニーズのある子だけを集めるのは難しい。誰もが気軽に運営に参加できるところがメリットだが、その半面、運営基盤の弱さも指摘される。資金や人手が足りないため、月1~2回しか開催できないところが多い。食中毒などの衛生面、事故や火災などへの安全管理も懸念されている。乾いた地域社会にとって、子ども食堂は小さなわき水に過ぎないかもしれない。しかし、地域から自発的に始まった取り組みが全国に広がっている。子どもたちを潤そうという活動を枯渇させてはならない、としている。

動く人は動いている。2000件を超える有志が、国家が主導しなくても動く。日本の活力はこういう場所に宿っていると感じる。行動が拡散する社会になって欲しい。日本が変わるはずだ。

朝日新聞・社説
働き方改革 混迷は政権の責任だ

国会が開かれる直前の昨年末、厚生労働省東京労働局は、裁量労働制を悪用していた野村不動産への特別指導を公表した。しかし、なぜ異例の特別指導に至ったのか、政府は詳しい経緯の説明をかたくなに拒んでいる。同社では、本来は対象ではないのに裁量労働制を適用された社員が過労自殺していた。特別指導の公表と同じ日に労災認定されたが、そのことは公表されなかった。記者会見で経緯をただされると、東京労働局長からは「なんなら皆さんのところ(に)行って是正勧告してあげてもいいんだけど」との発言まで飛び出した。恣意的な権力の行使を疑われ、労働行政への信頼を揺るがしかねない。働く人たちを守るための残業時間の上限規制などの改革と、経済界の求める規制緩和を、一緒に進めようと無理を重ね、ひずみが生じたのではないか。「信なくば立たず」。国民の信頼がなければ政治は成り立たないといった意味で、首相は折にふれ、この言葉を使う。今こそかみしめてほしい、としている。

日本経済新聞・社説
子や孫へ年金のツケを回すのはやめよう

2018年度の年金支給額を厚生労働省が17年度と同じ水準に据え置いた。名目年金額を減らさないルールなどを適用したためだ。年金財政の持続性を保つために実質支給額を毎年度、小刻みに減らすマクロ経済スライドを実施したのは15年度の1度だけだ。マクロ経済スライドを実施しないのは、子や孫の世代にツケを回すのと同義だ。名目下限ルールの撤廃が必要である。19年の次期財政検証に合わせ、厚労省は必要な法改正案を国会に出すべきだ。厚労相の諮問機関、社会保障審議会年金部会は14年の財政検証のときに名目下限ルールの見直しを議論した。だが与党の横やりで同省は一転して存続を決めた。この弊害は大きい。会社員世帯(妻は専業主婦)の年金の現役手取り収入に対する比率を示す所得代替率は、04年度の59%から14年度に54%に引き下げる計画だったが実際は62%に上昇した。そのぶん年金財政が悪化し、将来世代に不利益を強いている。また19年の財政検証に際し、厚労省は厳しい経済前提を置くべきだ。楽観に流れれば改革が緩み名目下限ルールの温存につながる。国家戦略として高い成長を追求するのは当然だが、年金財政の前提は堅く見積もるのが常道である、としている。

この類いの政府批判は少なくとも20年はつづいている。一向に変化の兆しはない。労災認定の申請件数やユニオン発足の行動、年金支払い率の低下を見れば、国民は行動している。メディアが捉えるべきは行動ではないか?予定調和の批判では何も変わらない。

産経新聞・社説
在韓米軍と日本 「撤退」は危機に直結する

来るべき米朝首脳会談で、金正恩朝鮮労働党委員長が在韓米軍の撤退を要求し、トランプ米大統領が受け入れたらどうなるか。朝鮮半島有事に備えた米韓合同軍事演習が、韓国と周辺海空域を舞台に始まった。在韓米軍が柱の米軍約2万4千人と韓国軍約30万人が参加し、5月上旬にかけて実動演習や指揮所演習を重ねる。北朝鮮に効果的な軍事的圧力をかける重要な機会である。北朝鮮による南侵を防ぐため、在韓米軍は陸軍が中心となっている。それなしに米国は韓国を守れない。そこで北朝鮮は在韓米軍の撤退を一貫して要求してきた。撤退が実行されれば、日本にも大きな影響をもたらす。在韓米軍の撤退は在韓国連軍の解体につながる。朝鮮有事の際、いくつかの在日米軍基地は国連軍の使用に供される指定基地とされてきた。その役割を失えば、翻っていた青い国連旗は降ろされる。国内に国連軍の基地を持つという一種の抑止力を日本は失う。在韓米軍の撤退一つでさえ、朝鮮戦争が休戦した昭和28年以来、日本が64年間も依拠してきた安全保障の基本構造を突き崩し、防衛態勢の変容を迫る。その自覚を共有することが急がれる、としている。

昨日にひきつづきいて北朝鮮への強硬主張。産経らしい。日本政府が産経に似た感覚でないことを願っている。

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