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3308.報道比較2018.3.24

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三重苦。無視してきた問題が無視できないレベルに悪化しただけで、リスクの芽はずっとあった。想定外の事故ひとつで崩れそうなほど、足元は不安定だ。2007年の頃のように。経済は復活のきっかけはつかめそうだが、政治は絶望的だ。

Wall Street Journal
重なる難題、市場は三重苦に耐えられるか (2018.3.24)

3つの難題が一度に投資家を襲っている。貿易戦争の不安、ハイテク業界を直撃する相次ぐ問題、主要中銀の引き締め策――世界の市場が直面するこうした逆風は、別々にやってきたなら対処し得る。だが重なって起これば、長引く波乱の予兆となる。ドナルド・トランプ大統領が中国に対して取った措置と、中国の素早い報復措置は、間違いなく貿易戦争のリスクを高めるものだ。英イングランド銀行(中央銀行)は今週、保護主義の強まりが世界の成長を腰折れさせ、世界的なインフレ上昇を招く恐れがあると警鐘を鳴らした。これは危険な組み合わせだ。一方、 フェイスブック を中心とするハイテク企業の苦境は、つい最近まで勢いづく一方だった取引を損ないかねない新たな衝撃といえる。ノムラのアナリストは、データ活用に根ざして構築されたビジネスに対する規制当局や顧客の反発が強まれば、バブルが崩壊するかもしれないと指摘する。中銀が緩和解除を慎重に進めたとしても、市場の急激な変動を招く可能性は高まる。懸念が募りつつある兆候の一つとして、2月に株式相場が急変動した直後には堅調に見えた社債スプレッドが、足元で着実に広がっている。こうしたこと全ての対極にあるのが、2017年の市場を支えた世界経済の勢いと、根強いドル安だ。ただ投資家は、ショックが頻繁に訪れなかった時でさえ、こうした要因が昨年どれほど資産価格を押し上げたかを不安視していた。今は株式と国債がやや値下がりしたとはいえ、それほどではない。慎重を期さなくてはならない、としている。

三重苦とは、メディアの劇場的な表現だ。無視してきた問題が無視できないレベルに悪化しただけで、リスクの芽はずっとあったものばかりだ。想定外の事故ひとつで崩れそうなほど、足元は不安定だ。2007年の頃のように。リーマンが破綻したあの時、中国は世界経済を支える役目を買って出た。だから今の中国がある。代わりに、とんでもない規模の債務が中国には生まれた。そして、iPhoneが生まれた。インターネットもモバイルも大きく変わった。今は?産業は自動運転やEVのインパクトはモバイル・インターネットに通じる規模になるかもしれない。世界経済を支える国は、残念だがどこにもいない。世界が歩調を合わせる基盤をアメリカが破壊しはじめている。経済は復活のきっかけはつかめそうだが、政治は絶望的だ。

朝日新聞・社説
米の対中制裁 貿易戦争回避に全力を

米の対中制裁 貿易戦争回避に全力を米政府は通商法301条に基づく調査の結果、中国が知的財産を侵害し米経済に被害をもたらしていると認定した。トランプ大統領は、中国製品に25%の高関税を課すなど制裁を発動するための大統領令に署名した。米通商代表部が今後、制裁関税をかける対象製品のリストを作る。情報通信関連などが想定されており、対象製品は「600億ドル(約6・3兆円)になりうる」(トランプ氏)という。確かに、中国による知的財産侵害は長年の懸案だ。企業が中国に進出する際、合弁会社の設立などを通じて技術供与を強要されるといった批判は、米国のほか欧州や日本でも聞かれる。自らの目先の損得にとらわれず、連携して米国と向き合う。一方的な措置の撤回を求め、国際協議を通じて問題を解決するよう説得する。その基本を忘れないでほしい。中国も米国に次ぐ経済大国であることを自覚し、知的財産の保護をはじめ公正な貿易と投資に努めるべきだ。米国による鉄鋼とアルミ製品への関税に対抗し、対米協議が不調なら米国から輸入する果物やワインなどに追加関税を課す措置を公表したが、冷静な対応を求める。米国が中国への制裁を発表すると、世界各地で株価が下落するなど金融市場は動揺した。貿易戦争に勝者はいない、としている。

産経新聞・社説
米国の貿易制裁 国際秩序を損なう独善だ

トランプ米大統領が知的財産権侵害を理由として、中国製品に25%の追加関税を課す制裁措置を決めた。大国が貿易相手国を恫喝する手法は、自由貿易の秩序を崩すもので、貿易戦争を誘発しかねない。堅調な世界経済を暗転させる恐れもある行動は容認できない。鉄鋼の輸入制限を含め、米国が主たる標的としているのは中国である。2001年にWTOに加盟した中国は、その恩恵を享受し、巨額の対米黒字を出してきた。にもかかわらず、国内産業を保護する自国の不公正な貿易慣行を一向に改めようとしない。米国が根強い不満を持つ理由はある。鉄鋼関連では、カナダやメキシコ、欧州連合(EU)などが暫定的に対象外となったが、日本には適用された。米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、日本との自由貿易協定(FTA)交渉に期待をみせている。鉄鋼を取引材料にして、他の分野で譲歩を迫れると踏んでいるのだろうか。中国は米国製品の関税を引き上げる対抗措置の構えをみせる。大国間の衝突の懸念が高まり、金融市場は大荒れとなった。世界の貿易縮小は、ほかならぬ米国経済に打撃を与えるのである、としている。

日本経済新聞・社説
米国は一方的措置で通商秩序を乱すな

米トランプ政権が国際的な通商ルールを無視した一方的な措置に走り出した。貿易戦争を招きかねない危険な動きである。日本をはじめ自由貿易を重視する国々は米国に軌道修正を強く迫るべきだ。米政府は23日、日本などからの鉄鋼とアルミニウムの輸入にそれぞれ25%、10%の追加関税を課す措置を発動した。前日の22日には中国に対する制裁措置を発表。知的財産権の侵害を理由に最大600億ドル相当の輸入品に高関税をかけることなどを盛り込んだ。対中制裁も問題がある。中国が海外企業の知的財産権を尊重していないのは確かだが、米国が一方的な措置を取れば、中国が報復し、貿易戦争につながる恐れがある。自国企業の知的財産権が侵害されている日欧などと一体になって対中圧力をかける方が有効だ。そもそもトランプ大統領の貿易政策には根本的な誤りがある。一つは対米黒字が大きい国は市場が閉鎖的だと断じて、黒字減らしを求めていることだ。2国間収支と市場開放度は基本的に関係ないにもかかわらずだ。政権がこうした誤りを正す可能性は当面は小さい。だが、米国の保護主義化が進めば世界経済への悪影響は甚大だ。日欧などが歩調を合わせ、政策の見直しを粘り強く訴えかけていく必要がある、としている。

日本だけに限れば、この関税は日米首脳会議への布石だったのだろう。解除して欲しければ提案を持ってこい。話をしよう、と。だが、安倍氏は手ぶらだった。貿易赤字を減らしたいトランプ氏の意向を無視した。貿易赤字をどう捉えるかの是非論は問題ではない。中間選挙で貿易赤字が減ったと言いたいだけだ。気づかないフリをしたのか、無能なのか。安倍氏の外交は見えない。

毎日新聞・社説
自民党の9条改正論議 熟成を待たぬ粗雑な決着

戦力不保持を定めた9条第2項は維持したまま、「9条の2」を新設し、「我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つ」ために、「自衛隊を保持する」との条文にするという。安倍晋三首相が提起した考えに沿ったものだ。新たな自民案ではこの制約があいまいになる。結果として政府が「必要」と判断すれば自衛隊の活動範囲や装備を大幅に拡大させる根拠になる。集団的自衛権の完全行使すら読み込めないことはない。自衛隊をめぐる論議は、9条が担ってきた歴史的意義や、周辺環境の変化を踏まえて、憲法の平和主義と国際協調主義を今日的にどう生かすか、細心の注意を払いながらじっくりと行うべきものである。自民党のやり方は、そうした正攻法とはかけ離れている。なぜ今秋の発議かというと、改憲容認勢力が衆参で3分の2以上を占めている間にという計算からだ。共有財産である憲法の改正は首相に同調する勢力の一時的な数で決めるものではない。3分の2があってもなくても、国民世論を熟成させるプロセスこそ最も重要である、としている。

読売新聞・社説
自民9条改憲案 明快な条文へ熟議が必要だ

自民党の憲法改正推進本部は、9条1項、2項を維持し、自衛隊の根拠を定める「9条の2」を新設する方向で一致した。国民の安全確保などを目的とし、「必要な自衛の措置」を取るための「実力組織」として、自衛隊の保持を明記する。自衛隊に違憲の疑いが向けられかねない状態は解消する必要がある。自民党が改憲案のとりまとめに向けて、議論を重ねてきたことは評価できる。執行部案にある「自衛の措置」は、集団的自衛権の全面的な行使を意味するのかどうか、今後、議論が続くだろう。意図や効果が異なる複数の9条改正案を示せば、混乱を招き、合意形成の妨げになりかねない。自民党案の一本化は欠かせない。憲法のあり方は本来、政局とは切り離して論じられねばならない。各党は、9条に関する見解をまとめ、衆参両院の憲法審査会で、建設的な議論を深めるべきだ、としている。

昨日の朝日と似た議論。同じ課題を感じるなら、これは国会でやがて議論されるのだろう。ん?これは最初から論点を絞られ過ぎていないか?変える必要性の議論を蒸し返していいレベルの改悪ではないのか?

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