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3290.報道比較2018.3.6

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アメリカの貿易戦争は、トランプ氏の衝動からはじまったとしても、これからはじまる世界最大の経済大国、経済利権の取り合いのスタートになる。恐れているだけでいいはずがない。

Wall Street Journal
困った小さな貿易戦争 (2018.3.5)

ドナルド・トランプ米大統領は2日、鉄鋼とアルミニウムに追加関税を課す方針について、さらに危険な賭けに出た。大統領はこのばかげた新国境税をいかなる国に対しても免除しないと顧問らに言い渡し、歴代大統領が示したものとしては最も経済的に愚かな主張の1つをツイッターで公表した。トランプ氏は貿易がゼロサムゲームだと信じており、勝利とは国に貿易黒字を計上させることだと定義している。だが、貿易は個人および企業による何百万件もの売買行為によって成り立っており、相互に利益があると想定されている。そうでないならば、なぜ貿易をするのか。誰も国境をまたいだ売買を強制してはいない。物品やサービスを取引するのは、要するに誰かが外国の車を買いたいと考えたり、工業デザインにカネを払いたいと思ったりするからだ。楽天的な友人たちの中には、関税の発表とツイートがトランプ氏の常とう手段である脅しだとみる向きもある。だが、われわれにはあまり確信が持てない。保護主義は同氏が持つ唯一の現実的な政策上の信念なのかもしれない。トランプ氏のツイートは、同氏自身が何を話しているのかよく分かっていないことを裏付けている。株式市場は貿易依存型企業の株式を売り浴びせることで、まさにそう言っているのだ、としている。

就任当初から、Wall Street Journalは貿易戦争へのトランプ氏の発想を今回と同じ論理で批判していた。が、当然トランプ氏は聞く耳など持たない。アメリカは鎖国してもやっていける国だろうが、Made in USAの商品中心にアメリカ経済を回すなら、とんでもないインフレになりそうだ。インフレは国民を戦争の次に忌まわしい目に遭わせる災難だが…不動産屋出身のトランプ氏には、物価は上がる方が都合がいいのだろうか?

人民網日本語版
<2018年政府活動報告>過去5年で経済・社会発展に歴史的成果 (2018.3.5)

第13期全人代第1回会議が5日午前9時より人民大会堂で開幕し、李克強総理が国務院を代表して政府活動報告を行った。李総理が過去5年間の政府活動を振り返り、次のように述べた。過去5年間に、中国の経済力は新たな段階へと飛躍した。国内総生産(GDP)は54兆元から82兆7000億元へと増加し、年平均7.1%の増加を見せ、世界経済に占める比重は11.4%から15%前後に高まり、世界経済成長への寄与率は30%を超えた。歳入は11兆7000億元から17兆3000億元へ増加した。消費者物価指数は年平均1.9%上昇し、比較的低水準を保った。都市部の新規雇用は6600万人以上で、13億人余りの大国が割合十分な雇用を実現した。過去5年間に、経済構造は重大な変革を生じた。消費の寄与率は54.9%から58.8%へ高まり、サービス業の比重は45.3%から51.6%へ高まり、経済成長の主要原動力となった。ハイテク製造業は年平均11.7%成長した。食糧生産能力は6000億キロに達した。都市化率は52.6%から58.5%へ高まり、8000万人余りが農民から都市部住民へ変わった、としている。

朝日新聞・社説
中国国防費 不透明さが脅威深める

きのう開幕した全国人民代表大会に出された予算案で、国防費が前年に比べて8・1%増えて18兆円余りに上ることがわかった。日本の防衛費の3倍強、世界第2の規模である。予算案にあるのは総額のほかは「強軍の夢を力強く支える」などの文言にとどまり、内訳がない。大国としてなすべき対外説明にほど遠く、中国の納税者への説明も果たしていない。英・国際戦略研究所の最新報告は、中国軍のステルス戦闘機や、新型空対空ミサイルの今後の配備で、空における米国の優位が揺らぐと警告した。核兵器はもちろん、サイバー、宇宙でも軍事技術を高めている。米国は新たな安保戦略で「中国がインド太平洋地域の覇権を目指している」と警戒感を示した。だが、米国が強硬姿勢に走れば、中国のさらなる軍拡を促す負の連鎖もおこりうる。そうしたわなを抜け出すためにも、中国軍の不透明さを少しでも払拭するよう、関係国は働きかけを強めるべきだ。核の不拡散や軍縮の協議、信頼醸成の軍事交流などを重ね、軍拡競争の広がりを避けねばならない、としている。

産経新聞・社説
中国の国防費 独裁下の軍拡を警戒せよ

北京で5日開幕した全国人民代表大会(全人代)では、今年の国防費に1兆1千億元(約18兆4千万円)余りが計上された。前年実績比で8・1%の増加にあたる。伸び率は、初めて1兆元の大台を突破した前年をさらに上回った。中国の軍拡は国防費の透明性を欠く形で継続されてきた。地域の安定を守るため、日米両国はさらなる緊密化を図り、安保体制を強化せねばならない。露骨なほど個人独裁を長期化させようとする姿勢に対し、中国のSNSでは「帝政復活」や「歴史の後退」を意味する隠語が流布している。国民の反発は当然だ。それでもなお、李克強首相は「国防・軍隊建設における習近平強軍思想の指導的地位」を強調した。習氏への統帥権集中を意味する「中央軍事委員会主席責任制」の貫徹も表明された。中国の巨大な核・通常戦力は、整備から運用まで習氏の判断に委ねられようとしている。中国の内政問題とは片づけられない。締結40年を迎える日中平和友好条約は、「武力による威嚇」を禁じているのである、としている。

日本経済新聞・社説
中国国有企業の肥大化を強く懸念する

5日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、李克強首相は今年の実質経済成長率の目標について、昨年と同じ「6.5%前後」とした。中長期の安定を重視する現実的な姿勢は歓迎したい。一方、李首相は今年の政府活動の重点として、国有資本を「より強く、より優秀に、より大きくする」と明言した。これでは国有企業の肥大化による市場占有を容認するばかりか、肝心の民営企業の発展も阻害する恐れがある。中国の国防費は、研究開発費などを含めれば公表規模を大幅に上回るとの見方も多い。こうした動きは日本の安全保障環境に大きな影響を及ぼす。中国の歯止めなき軍拡に注意する必要がある。習近平氏への権力集中で、経済政策の主導権は李首相から習氏の周囲に移りつつある。今後は共産党と政府の大規模な機構改革も予定されている。中国主導の新シルクロード経済圏構想(一帯一路)に絡む対外経済戦略、銀行・保険・証券など金融分野の監理監督、中央銀行の人事に注目したい。中国は経済規模ですでに世界2位である。その行方は、アジアばかりではなく世界経済に大きく影響する。今後、長く中国トップに君臨するとみられる習氏の責任は極めて重い、としている。

毎日新聞・社説
中国の全人代が開幕 デジタル独裁に進む隣国

中国の全国人民代表大会(全人代)が開幕した。大幅な機構改革や人事、憲法改正で、2期目に入った習近平国家主席への権力集中が進む。李氏が報告で強調したのは「世界の新たな科学技術革命」を踏まえたイノベーション(技術革新)の推進だ。電子商取引、モバイル決済、シェアリングエコノミーなどの分野では「世界の潮流をリードした」と自信を見せた。さらに次世代AIの実用化を目標に掲げた。政治的自由を制限しながら、経済的活力を生み続けることが可能か。今後、中国が直面する課題だ。国際社会は独裁色を強める中国が現行秩序と共存できるかにも懸念を持つ。今年の国防費の伸びは8・1%。経済成長率を上回り、日本の3・5倍に達する。AIなど技術革新が軍事技術に反映されることも確実だ。欧米や日本とは異なる独自の道を歩み始めた隣国だ。その実像を見極めるためにも対話、交流を進めることが欠かせない、としている。

Financial Times
FT買収をもくろんだ中国人実業家の今 (2018.3.1)

本紙フィナンシャル・タイムズ(FT)買収の機会を呉氏が手にできなかったことにほっとしている。というのは、10年ほど前に呉氏のライバルに当たる大物実業家に会った際、呉氏が北京随一のビジネス街にある優良な不動産を強奪するべく政治家の強力なコネとマフィアのような戦術を用いたとの話を聞かされ、その証拠の書類も見せられていたからだ。この1年間に罰を受けた中国の富豪は呉氏だけではない。復星集団(フォースン)、大連万達集団(ワンダ・グループ)、海航集団(HNAグループ)といった民間資本のコングロマリット(複合企業)の創業者は現在、身柄こそ拘束されていないものの、これまで盛んに進めていた外国企業の買収を唐突に停止している。中国の大物ビジネスマンが逮捕される兆候のうち最も確度が高いのは、自身の財産を使って政治的な影響力を得ようとしている気配がうかがえることなのだ。習近平氏が国家主席の任期を撤廃し、自分が望めば一生支配者でいられる下準備を行った今、国家の庇護を与える一方で、自立するオリガルヒ(新興財閥)を罰するシステムは拡張される公算が大きい。ニューヨーク証券取引所に「BABA」というティッカーシンボルで上場している株式を持っている投資家は、そうならないよう願うしかない、としている。

Financial Timesは話題が粗末だが、中国批判なら世界が声を揃えるという、中国にとっての受難。成長するものは疎まれるのだろう。国防費が増えるのはどの国でもアレルギーのように嫌われるが、先日のWall Street Journalの記事を思い出せば、インフレ率やGDPを考えた時の中国の国防費の増額は、デフレでGDPもゼロに近いレベルでしか上げられない日本に比べると、どちらが膨張と呼ぶものかは悩ましい。
それよりも、中国が未だに「3%が目標」と世界の先進国が掲げるのに比べて、ダブル・スコアの成長を、世界最大の人口を抱えながら実現しつづける現実を理解すべきだろう。もうアメリカの背中を中国は捉えている。それを判っているから、アメリカは5Gや貿易で中国を攻撃しはじめている。アメリカの貿易戦争は、トランプ氏の衝動からはじまったとしても、これからはじまる世界最大の経済大国、経済利権の取り合いのスタートになるだろう。恐れているだけでいいはずがない。

読売新聞・社説
日銀新体制 異次元緩和の引き際が問題だ

政府の日銀人事案に基づき、再任の黒田東彦総裁と、新任の若田部昌澄・早大教授、雨宮正佳・日銀理事の両副総裁候補が、衆院議院運営委員会で所信を述べた。黒田氏は、2%の物価上昇率目標の達成時期について「2019年度頃に達成する可能性が高いと確信している」と明言した。その上で「(金融緩和の)出口をその頃、議論していることは間違いない」との認識を示した。発言の直後、長期金利は急上昇し、円高も大幅に進んだ。市場の動揺は、大規模緩和を手じまいする難しさを示したと言える。日銀のマイナス金利政策は、銀行の利ざや減少で業績の悪化を招き、かえって融資を消極的にしているとの見方が出ている。 現在、同水準の目標を掲げる米欧の中央銀行は、その達成に至らないながらも、緩和縮小に向けて動き始めている。日銀も2%目標に過度に縛られることなく、段階的に政策を見直す柔軟さが必要ではないか、としている。

何度もゴールを修正する人の発言に重みはない。黒田氏の発言がマーケットを動かしたと見るのは過大評価だろう。異次元緩和も、アベノミクスも疑問符がつく中、貧乏くじを誰も受け取ってくれず、なり手が見つけられなかった日銀総裁。安倍政権とともに、責任を取っていただこう。

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