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3286.報道比較2018.3.2

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使い物にならないデータで結論を急がれても失敗は確実だ。労働生産性が法案ひとつで変わることはない。もし法だけで変わるとしたら、それはまた労働者に無理を強いる環境が整うだけに過ぎない。

朝日新聞・社説
働き方改革 「高プロ」制度も削除を

関連する調査データに様々な不備が見つかった裁量労働制の対象拡大について、安倍首相はいまの国会に提出予定の働き方改革法案から削除し、切り離すと表明した。だが、裁量労働制以上に規制を緩め、働く人を労働時間規制から外す高度プロフェッショナル制度は創設するという。裁量労働制では、実際の労働時間に関係なくあらかじめ定めた時間を働いたとみなし、その時間分の残業代しか出ない。高プロは、専門職で高年収の人を規制の外に置く。深夜・休日の割増賃金もなく、裁量労働以上に長時間労働につながる懸念は大きい。二つの制度では働く時間を自由に決められると、首相は今も利点を強調する。だが、多くの職場では仕事の量を自分で決められないのが実態だ。都合の良いデータだけを見て、批判や異論に耳を傾けない。国会審議の混乱は、結論ありきで突き進む政権の体質が生んだと言えるだろう。首相の姿勢が問われている。そのことを自覚すべきだ、としている。

産経新聞・社説
「裁量制」切り離し 必要性示す議論立て直せ

政府が今国会に提出予定の働き方改革関連法案から、裁量労働制の拡大に関する部分が削除されることになった。裁量労働制に関する統計で不適切なデータが相次いで発覚し、批判が高まったためである。一部を切り離す以上、議論を立て直さねばならない。国民の不信を招いただけに、真摯な姿勢で理解を得ることが欠かせない。最重要法案としながら、データのチェック体制が働かなかった政府の対応は、あまりに杜撰と言わざるを得ない。ITやロボット化の進展で省力化が進み、企画業務などに携わるホワイトカラーは増えている。そうした仕事には、働いた時間で賃金を決める現行法になじまない面がある。関連法案には「脱時間給制度」の新設も盛り込まれている。これについても、野党は切り離しを求めている。失態のダメージ回復には、正しいデータと丁寧な答弁を積み重ねるしかあるまい、としている。

日本経済新聞・社説
裁量労働拡大をいつまで先送りするのか

安倍晋三首相は裁量労働制をめぐる不適切データ問題を受けて、働き方改革関連法案から同制度に関する部分を切り離し、今国会への提出を断念する方針を決めた。だが対象業務の拡大を先送りすればするほど、働き方改革の眼目である労働生産性の向上は進みにくくなる。柔軟に働ける制度の意義を政府は認識し直してほしい。グローバル競争がさらに激しくなり、人工知能(AI)が普及すれば、生産性の低いホワイトカラーは失職する恐れもあるだろう。社会のこうした変化に備える改革が、裁量労働拡大であり、成果をもとに賃金を払う「脱時間給」制度の創設である。裁量労働の拡大では、法人顧客への提案業務をともなう営業職などが新たに対象になる。一部の専門職などに限られている対象者が広がる。しかし、そもそも裁量労働制は、働く時間の短縮を目的とした制度ではない。厚生労働省の労働政策審議会はこれまで相当の時間をかけて議論してきた。国会審議の先延ばしは日本の生産性の低迷を長引かせるだけだ、としている。

毎日新聞・社説
裁量労働拡大を今国会断念 元々「一括」が無理だった

安倍晋三首相が働き方改革関連法案のうち、裁量労働制の対象拡大部分を削除する方針を決めた。首相は再度実態を調査し、裁量労働制部分は今国会後、改めて提出する意向だという。しかし、まず必要なのは、なぜずさんな調査となったかの検証だ。厚労省が言うように単なるミスだったのか。「裁量労働制は長時間労働につながらない」という結論を導き出す意図が最初からあったのか。公正さという政治の根幹に関わる疑問は消えていない。首相は、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル(高プロ)」制度の創設は外さず、残業時間規制などと抱き合わせにした法案を今国会に提出する考えを変えていない。首相が削除を表明したのは新年度予算案が衆院を通過し、年度内の成立が確実になった直後だ。国会はこの1カ月、データ問題に集中した。もっと早く決断していれば、北朝鮮問題など他の課題にも審議時間を割けたはずだ。その責任も大きい、としている。

読売新聞・社説
裁量労働制断念 冷静に審議できる環境整えよ

安倍首相は、今後提出する働き方改革関連法案から、裁量労働制の拡大を削除する方針を表明した。厚生労働省のデータのミスについて「重く受け止めている。実態を把握した上で、議論し直す」と語った。調査に関する異常な数値は、400件超発覚している。ずさんさは目に余る。厚労省は原因究明とともに、徹底した再発防止策を講じるべきだ。新たな実態調査では、万全を期す必要がある。政府は3月中にも働き方改革関連法案を国会に提出する。残業時間の上限規制、正規と非正規の待遇差を是正する同一労働同一賃金、高収入の専門職を労働時間規制から外す脱時間給制度の創設などを盛り込む方針だ。首相は今国会を「働き方改革国会」と位置づける。労働力人口が減少する中、働きやすい環境を整え、生産性向上につなげることが重要である。政府は、客観的かつ正確な資料を用意し、冷静な議論に資することが必要だ。与野党は、経済再生と財政再建の両立や、北朝鮮の核・ミサイル開発など、重要課題に関する議論も深めなければならない、としている。

日経だけが失望しているが、私は他の4紙に賛成だ。使い物にならないデータで結論を急がれても失敗は確実だ。労働生産性が法案ひとつで変わることはない。もし法だけで変わるとしたら、それはまた労働者に無理を強いる環境が整うだけに過ぎない。日経は考えが浅い。
安倍政権にとって、仕事の粗さ、甘さが完全な失敗を招いた事例だ。数だけ揃えば仕事が整うはずもない。この後、出直すチャンスさえ失うのだが。

Wall Street Journal
トランプ氏、来週アルミ・鉄鋼の新関税承認へ (2018.3.2)

ドナルド・トランプ米大統領は1日、鉄鋼とアルミについての新たな関税措置を来週承認し、輸入する鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課すと表明した。トランプ氏が「米国の基幹産業」とする業界の雇用を拡大する狙いだ。トランプ氏はホワイトハウスで鉄鋼業界幹部らと会合を開き、この関税が国内産業を「長期にわたり」保護することになると話した。また、「貿易不均衡」で他国が有利になっているとして、この措置が必要だと説明した。さらに「これまで何十年もこうしたことを認めてきたのは恥だ」とした上で、「わが国でアルミと鉄鋼が作れないようなことになれば、国がほとんどなくなったも同然だ」と語った、としている。

中国との貿易戦争が、北朝鮮リスクを抱えながらはじまった。混乱させて、総合的に勝利すればいいと考えるトランプ氏らしい。歓迎できることはひとつもない。

人民網日本語版
中国経済構造に重大変革 存在感増すサービス業・消費 (2018.3.1)

「2017年国民経済・社会発展統計コミュニケ」が2月28日に発表された。関連のデータによると、2017年には中国の経済構造に重大な変革が訪れ、経済成長が主に工業によって牽引されるものから工業とサービスの両輪によって牽引されるものへ、また主に投資によって牽引されるものから消費と投資によって同時に牽引されるものへ移り変わったという。国家統計局の盛来運シニアエコノミストは、「産業構造が最適化とバージョンアップを遂げ、工業がバリューチェーンの中間や先端へと延伸した。2017年のハイテク製造業は生産額が前年比13.4%増加し、設備製造業の生産額は同11.3%増加し、全国の一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)に占める割合は12.7%と32.7%になった。これと同時に、サービス業が急速に発展し、生産額は同8%増加し、増加ペースは同0.3ポイント上昇した。国内総生産(GDP)に占める割合は51.6%になり、第二次産業を11.1ポイント上回った」と説明した、としている。

体感的にも、中国の産業構造は数年で著しく進化した。先進国がどこも中国を手本にするような動きに変わりはじめている。サービスが数字ほど進化しているかは現地を見なければ判らないが、高付加価値でも経済が成長しているのなら、豊かさは高まり、利便性向上を社会全体が推進しているようだ。日本より数歩も先を行きはじめた。これからは日本が中国に学ぶ時代だ。

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