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3283.報道比較2018.2.27

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一党独裁のデメリットは、選択肢がひとつしかないことだ。選択肢が失敗すれば、次を準備するのに途方もない時間を要する。今の日本も似た状況なら、早めに軌道修正が求められる。

人民網日本語版
時代に合わせて進歩し、憲法に永続的生命力を (2018.2.26)

憲法は絶えず新たな情勢に適応し、新たな経験を吸収し、新たな成果を確認し、新たな規範を作って初めて、永続的な生命力を持つことができる。今回の憲法改正の全体的要求は、中国の特色ある社会主義の偉大な旗を高く掲げ、第19回党大会の精神を全面的に貫徹し、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、重要思想「3つの代表」、科学的発展観、習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想を指導として堅持し、党による指導、主人としての人民の参加、法に基づく国家統治の有機的統一を堅持し、第19回党大会の確定した重大な理論観点と重大な方針政策、特に習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想を国の根本法に盛り込み、党と国の事業の発展の新たな成果、新たな経験、新たな要求を体現し、中国の現行憲法の連続性と安定性を全体的に保持したうえで、憲法の時代に合わせた進歩、整備発展を推し進め、新時代における中国の特色ある社会主義の堅持・発展、奮闘目標「2つの百年」と中華民族の偉大な復興という中国の夢の実現を、憲法によって力強く保障することだ、としている。

Wall Street Journal
終身国家主席へ、習近平氏の野望 (2018.2.26)

中国国営の新華社通信は25日、政府が憲法を改正し、現在2期までとなっている国家主席の任期を撤廃すると発表した。習近平主席は毛沢東氏以降で最も大きな力を手にしており、今回の改憲はその事実を決定付ける重大な出来事だ。任期制限などのルールは混乱を極めた毛氏の時代が繰り返されないよう、鄧小平氏が1980年代に制定した。習氏はこれらの廃止に動いたことになる。習氏に権力が集中することで中国の経済政策にどのような影響が出るのか、現時点では不透明だ。改革派として知られる習氏の側近、劉鶴氏は、昨年10月に共産党中央政治局に昇格し、副総理や中国人民銀行の総裁などに就任するとみられている。劉氏は今週、首都ワシントンを訪れ、互恵関係にない米中経済をめぐる摩擦について話し合う予定だ。だが習氏が過去5年にわたって経済改革の再開を約束しておきながら、それを守ってこなかったことも覚えておくべきだろう。社会のあらゆる面をコントロール下に置きたい習氏の政治意欲が、市場原理により大きな役割を担わせようと考えた劉氏の価値あるアジェンダを無効化したのだ。23日に安邦保険集団が政府管理下に置かれたように、膨大な債務を必要とする景気刺激策によって中国金融システムには危険なほどの不均衡が広まりつつある。それが中国の経済発展を危機にさらしている、としている。

朝日新聞・社説
中国改憲案 習氏の危うい強権志向

独裁政治は、暴走を始めればブレーキが利かない。中国では建国の英雄・毛沢東時代に「大躍進」「文化大革命」の悲劇が起き、甚大な犠牲をだした。その教訓から、80年代以降の中国は様々に模索してきた。1人に突出した権限を与えない。そのための集団指導体制が過ちの再来を防ぐ工夫だった。毛沢東と肩を並べるような権威が生まれ、国内の政治や言論が多様さを失っていく。そんな大国の先行きは危うい。中国のみならず、周辺国や世界にとっても大きな懸念である。個人独裁への傾斜は、長期的な平和と繁栄をもたらさない。中国の指導層は謙抑的な統治を心がけ、市民一人ひとりの発言と投票の権利を広げ、ゆっくりと合意形成を図る。そんな政治こそ、めざすべきである、としている。

産経新聞・社説
習氏の任期延長 歯止めなき独裁が心配だ

中国の習近平政権が、国家主席の任期を2期10年とする憲法の規定を取り払う案を示した。3月の全国人民代表大会での採択が確実視される。権限の強化では飽きたらず、任期制限まで取り払う。ただでさえ共産党の一党独裁下にある中国で、トップに一段と権力が集中し、歯止めがかからなくなりかねない。国家主席の職務が任期付きで憲法に明記されているのは、毛沢東時代を総括した結果だ。個人独裁の横行を抑え、集団指導体制を確立する。その一翼を担ったルールである。習氏が政権の長期化をめざす背景には、高度成長期を終えた中国経済を党の指導で立て直す意識もあるようだ。だが、実際に進めてきたのは外資を含む企業活動への露骨な政治介入である。市場原理とはほど遠い経済運営を強めるなら、世界経済の発展を阻害しよう。独裁政権が長期化すれば、その傾向に一段と拍車がかかりかねない。そのことを銘記したうえで向き合わねばならない、としている。

毎日新聞・社説
中国主席の「任期撤廃」 歯止めなき強権を憂える

中国の憲法改正案に「2期10年」という国家主席任期の上限撤廃が盛り込まれた。3月5日からの全国人民代表大会(全人代=国会)で改正案が成立し、習近平国家主席の3期目に道を開くことは確実だ。江沢民、胡錦濤という過去2代の国家主席は2期10年で退き、制度的な権力継承の枠組みができたはずだった。しかし、任期制限がなくなれば、再び「人治」の時代へと逆戻りしかねない。憲法には「習思想」が明記される。集団指導体制が党是とはいえ、習氏は毛時代の個人崇拝を思わせる権力を握りつつある。終身制復活の可能性も否定できない。内政だけでなく、外交にも強権体質のひずみが表れれば、日米や周辺諸国との摩擦も増す。国民の意思が反映されない体制だからこそ、歯止めのない権力は一層、危険だ、としている。

長期で見れば、これは中国の体制崩壊のはじまりだ。権力を集中させて成功した例は過去に一度もない。むしろ衰退を早める。人間に完全がない限り、いくつかの思想を行き交うのが、遅いようで最も安定して繁栄する原則だ。天才が永遠の命を持っているなら、永遠にミスをしない人事ができるシステムがあるなら可能だろう。そんなもの、嗤われる妄想に過ぎない。歯車が回り、国民が不平を言わないうちは事が起きないだけだ。軋めば、すぐに危険分子が行動を起こす。権力は、パワーを使う衝動を抑えられない。また中国は内部崩壊する。外国人の私たちは、中国の火種をいかに避けるか、いかに内部に留めるかを腐心するだけだ。一党独裁のデメリットは、選択肢がひとつしかないことだ。選択肢が失敗すれば、次を準備するのに途方もない時間を要する。今の日本も似た状況なら、早めに軌道修正が求められる。

読売新聞・社説
カジノ実施法案 成長戦略として健全なのか

政府は、カジノの具体的な制度を定める統合型リゾート(IR)実施法案の作成を進めている。今国会で成立させ、2020年代の開業を目指す。与党に示した原案では、日本人と国内に居住する外国人の入場を「7日間で3回まで」かつ「28日間で10回まで」に制限する。2000円の入場料も徴収する。カジノの合法化は、政府の取り組みを自民党や日本維新の会などが後押ししてきた。観光需要を掘り起こし、地域振興の起爆剤とする思惑がある。だが、カジノを中核に据えたリゾート施設は、相応のリスクも伴うのではないか。そもそも、ギャンブルに入れ込んだ顧客の散財に期待するような成長戦略は健全と言えない。既存のギャンブルによる依存症が疑われる成人は、全国で約320万人に上ると推計されるという。看過できない実態である。政府は、依存症を未然に防ぐ対策と、患者への医療支援などを総合的に進めるべきだ、としている。

政府や自民党に寄っている読売さえ批判的なカジノ法案。すでに成立した法案。ここにも数々の総理のご意向があると見るのが自然。読売が追求できるとは思えない。利害が対立するパチンコ業界が支援すれば、メディアも動く?いずれにしてもダークサイドが絡み過ぎているイヤな法案だ。

日本経済新聞・社説
五輪使った北の融和攻勢に安易に乗るな

北朝鮮は閉会式に金英哲朝鮮労働党副委員長(党統一戦線部長)らを派遣した。金氏は2010年に起きた韓国哨戒艦「天安」沈没事件や延坪島砲撃事件に関与したとされ、韓国の保守勢力が猛反発する中での訪韓となった。北朝鮮が南北融和のみならず、米朝の関係改善の機会も模索しているのは間違いないようだ。問題は、これが北朝鮮の核・ミサイル問題を解決するための南北、米朝対話につながるかどうかだ。五輪を使った北朝鮮の融和攻勢には安易に乗るべきではない。北朝鮮との対話はあくまでも非核化に資することが前提だ。核問題を棚上げにした対話は、北朝鮮によって核・ミサイル開発の資金調達や時間稼ぎに利用されるだけだ。米政府は先に、主に海上での密輸を阻止する北朝鮮への追加制裁を発動した。核放棄に向けた対話を北朝鮮に促すため、まずは日米韓が連携して実効性のある制裁圧力をかけていくことが肝要だ、としている。

日本の新聞には、まるで外交センスがないようだ。政治だけの問題ではない。日本全体に柔軟な発想が欠落している。先日書いたとおり、猛反発する人材と逢ってまで実現したい外交があると、なぜ思えないのだろう?日米韓?日本の椅子を準備する必要さえ疑問視されそうな環境を作っているのは、日本自身だ。

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