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3281.報道比較2018.2.25

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財政危機の大半を占めるのは社会保障。Wall Street Journalの寄稿が本質を突いている。危機感を持てば、アメリカはドラスティックに動く。日本は本気で解決する気があるだろうか?また他山の石を待つばかりか?

Wall Street Journal
米国が財政破綻に向かっている理由 (2018.2.23)

米連邦政府の赤字は巨額な上に、ますます膨らんでいる。ドナルド・トランプ大統領の予算教書は、2018年度の財政赤字を約9000億ドル、19年度について1兆ドル弱(歳出は4兆4000億ドル)と予想している。そのバランスシートは、連邦債務が10月までに15兆7000億ドルに達することを示している。子供も含む国民1人当たり4万8081.61ドルになる計算だ。これに算入されていないソーシャルセキュリティー(社会保障)とメディケアの積み立て不足は、受託者の報告からすると現行の連邦債務の4倍に上る。予算におけるエンタイトルメント(給付金)の重大性については大半の米国人が認識済みだが、エンタイトルメントが過去と現在の予算傾向を形作る上で重大な要素であることや、議会がそれらを改革できなかった場合に私たちが行き着く先がわかる。現在、エンタイトルメント支出は連邦支出の約3分の2を占める。防衛支出は最近の増加後でも約6分の1だ。防衛支出が倍増する可能性はあるが、それでもエンタイトルメント支出の半分にすぎない。財政赤字の大幅削減は、エンタイトルメント支出の伸びを抑えることでしか達成できない、としている。

日本を含め、世界の先進国が似た状況だろう。弱者を社会が保障するが、弱者が増え過ぎた。老人という、誰もがやがてそうなる立場の弱者。私は信じないが、ITが正常な雇用者さえ奪うと言われはじめている。このジレンマを説いた社会が必要になる。「老いても働く」を促す日本の取り組みは間違ってはいない。いまの世代は、老いれば休めるとすり込まれて若い時期に肉体を酷使してきた。団塊の世代はホワイトカラーが中心だから、少しは労働を受け入れるだろうが、指示を出す立場から、完全に最下層に置かれる労働環境の変化を、精神的に受け入れられるだろうか。あと10年もすれば、リモートで働いたり、時間だけ、役割だけ、一部のタスクだけを受ける作業スタイルに適応できる社会になる。そうすれば、年齢は大きな問題にならなくなる。
ただ、これはエンタイトルメントを労働で抑制する発想だけだ。抑制はするだろうが、減少はしない。ベーシック・インカムという共産主義的な発想の方が、総合すれば社会保障のコストを抑制するならやってみる価値はある。医療のコストを下げる努力も確実に必要だろう。そして何よりも、競争は必要だが、過度の格差を是正が求められる。弱者として貧困層になるよりは、適性な労働力として社会で活躍する方が明らかにエンタイトルメントのコストダウンを見込めるのは明らかだ。トランプ氏とは真逆の価値観のリーダーが出てこなければ、アメリカでは実現困難だろう。世界でこれを最初にできそうなのは…フランスだろうか?

人民網日本語版
中国AI産業の今年のトレンドを分析 (2018.2.24)

中国の人工知能(AI)技術の急成長は、昨年より始まった。都市の交通渋滞を解消する都市ブレーン、各世帯に進出しているスマートスピーカー、さらにはスマホの顔認証や指紋決済など、中国のAI技術は世界の先頭集団を走っており、人々の生活を変えている。AIは今年、実際の産業における応用への道を歩むことになる。例えば動画を理解し、編集する技術の成熟化に伴い、動画産業全体の長期的な発展が促される。これには正確かつカスタマイズされた検索と推薦、動画生成及び取引の正規化及び品質化が含まれる。顔認証技術は今年定着し、多くのシーンで使用され、暮らしの隅々にまで浸透する。新小売の各シーンにおいて、視覚を中心とするスマート技術が広く応用され、ショッピングの体験に質的変化をもたらす。長年の研究開発とソフト・ハードの準備を経て、さまざまな形態と各種機能を持つロボットが家庭に進出し、ライフスタイルを変えていく。人とデバイスの交流スタイルは今年、あらゆる対話型インターフェーススタイルからの徹底的な脱却を開始し、人と人の交流に近づく。今年はスマート音声アシスタントがスマホやスマートスピーカーなどの普及により、人々の日常生活に進出するという非常にはっきりとしたトレンドがみられる、としている。

中国が自動車でEVを推進するのは、内燃機関ではもはや勝ち目がないと思っているから。次のトレンドでならメイン・プレーヤーになれると、先行を模索している。日産がハイブリッドを捨ててEVを先行したのと同様だ。どうやらITでも、中国はスマートフォンを飛び越えたインターフェイスで先行したいようだ。スマートフォンが必要なくなると必死に説いている。スマートフォンがあればPCはいらない?私個人では、そうはならなかった。むしろPCの利用価値は高まった。ITを知る側としては、どれだけ世界のデバイスが知性を持っても、人間側にもデジタル・デバイスがある方がコミュニケーションには都合がいい。スマートフォンである必要はないが、何らかのインターフェイスは必要になる。そのインターフェイスのOSを握れば中国は強くなる。だが、いまの発想にOSの概念はない。むしろアプリケーションに向かおうとしている。興味深い。中国がAIで強力に世界を牽引するのは確実だ。だが、それが世界のマーケットを主導するかは未知数だ。

産経新聞・社説
仮想通貨 投機実態に応じた規制を

法定通貨のように、国家や中央銀行がその価値を保証しているわけではない。それでも決済や送金に利便性があり、通貨のような機能を持つ。本来、仮想通貨に期待されたのは、国境を超えた自由な「お金」としての可能性だったはずだ。だが、現状ではその役割をほとんど果たしていない。通貨というより、値上がり期待で暴騰や急落を繰り返す投機の対象である。政府は昨年4月に改正資金決済法を施行し、世界に先駆けて法整備を行った。仮想通貨を決済手段と位置付け、業者の登録制や顧客財産の分別管理などを義務付けた。重視したのは、がんじがらめの規制より育成である。免許制などとせず登録制とし、コインチェックのような「みなし業者」に営業を認めたのもこのためだ。法の抜け穴を防ぐには業界の自主規制も重要である。現在、2つある業界団体が近く統合するという。安全管理体制や顧客保護、期待をあおらぬ広告のあり方などのルールを確立し、失墜した信頼を回復するための先頭に立たなければならない、としている。

毎日新聞・社説
仮想通貨をどうすべきか 本質論抜きの規制は誤る

ビットコインの誕生から9年。投機が先行する一方で、国や国際社会はつきあい方に苦慮している。そんな中で、仮想通貨の一種、NEM(ネム)の大量盗難事件が発生した。「バブルであり詐欺であり環境破壊だ」。そう一蹴したのは「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる国際決済銀行(BIS)のカルステンス総支配人だ。環境破壊というのは、通貨創出に大量の電力消費を伴うコンピューター使用が必要だからである。現実の通貨と「交換」という接点がある以上、中央銀行の厳格な関与を求めている。何より、仮想通貨には国、中央銀行のような後ろ盾がない。例えば1万円札は、日銀が保有する同価値の資産(国債や株式など)に裏打ちされている。また、金融危機のように市場から資金の出し手が引き揚げる事態となれば、中央銀行が資金を供給し不安解消の責任を担う。仮想通貨の規制は、来月、アルゼンチンで開かれる主要20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議で、主要議題に上る見通しだ。国境を超えた対応が急務となっている。グローバルな議論に備える上でも、まず国内で、仮想通貨との関わり方を一から問い直す必要がある、としている。

国家の信任が揺らぐから、仮想通貨が流行っているという現実を、産経も毎日も軽視している。必要以上に中央銀行に権力を持たせれば、逆に仮想通貨の価値は上がるだろう。ベネズエラや韓国で仮想通貨が資産価値の逃避先になっているような状況が、やがて日本でも起きる。どれだけ投機を軽蔑しても、儲かる人もいるのだから抑制はできない。踊る人がどこかで損をするが、うまく儲けて抜けられる人たちがいるのも事実。余計な規制をすれば、暴落を招いて恨みを買うだけだ。産経と毎日の指摘は現実を知らな過ぎる。

朝日新聞・社説
外国人労働者 柔軟思考で受け入れを

海外からの労働者を、必要な人数だけ多く受け入れる。家族と一緒では認めず、一定期間働いた後は帰国させる。介護や農業などでの深刻な人手不足への対策だというが、あまりにご都合主義ではないか。外国人に働いてほしいのなら、生活者として受け入れ、家族とともに長く暮らしてもらうことを基本に考えるべきだ。政府も現状のいびつさを認めており、「就労目的の資格を見直す」ために「専門的・技術的分野」に注目したと説明する。職種ごとに備えるべき技能や語学力を見極めつつ、必要な人数を計算するという。安倍政権は、事実上の人手確保策として技能実習制度の拡充を重ねてきた。それが限界に達し、新たな策を考え始めたということだろう。しかし労働者の国際的な獲得競争が激化する中で、「日本が選ばれなくなってきた」との声が増えている。政権は「いわゆる移民は受け入れない」と繰り返す。首相は今回、「在留期間に上限を設け、家族帯同は基本的に認めないのが条件」と強調した。しかし、より柔軟で開かれた受け入れ策を考える時ではないか、としている。

日本経済新聞・社説
勤務医の負担軽減は仕事を譲ることから

昼夜を分かたず患者に向き合う医師も働き方改革と無縁ではいられない時代だ。なかでも一部の病院勤務医の過酷な労働実態は、長年にわたって問題になってきた。夜勤明けの医師が寝ぼけ眼でメスを握るような勤務体制は願い下げだ。病院の管理者にはまず、民間企業の管理職と同様に自院の勤務医の労働実態をつかむ責務がある。ICカードなどで在院時間の記録を残すのは当然だ。医師は患者の診察の求めを拒めないという趣旨の規定が医師法にある。いわゆる応召義務だ。医師に高い倫理が求められるのは当然だが、規定を医師個人に杓子定規にあてはめるのは、時代にそぐわなくなってきた。診療所、病院などが連係して医療に空白を生じさせない工夫がいる。それには、初期診療に責任を持つ家庭医の養成が有効だ。英国のように家庭医に「門番」の役割を持たせれば、病院への患者の殺到は和らぐ。医療界、患者側の双方に改革が求められている、としている。

読売新聞・社説
春闘労使交渉 賃金底上げへの起点にしたい

春闘の労使交渉が本格化している。労使は、3月中旬に予定されている経営側の集中回答日まで、賃上げなど待遇改善を巡る協議を続ける。デフレ脱却を確実にするためには、労働者全体の賃金底上げが欠かせない。まずは、大手企業が、高水準の賃上げを実現できるかがカギを握る。労使双方の積極的な取り組みが期待される。日本を代表する企業の一つであるトヨタ自動車は、労組が、ベアを月額3000円要求した。満額回答を得ても、定期昇給を含めて2・9%増にとどまる。賃上げを固定化するベアと定昇だけでなく、賞与や手当、人材高度化のための研修など様々な手法の組み合わせが求められる。労使が協力して「人への投資」にアクセルを踏んでほしい。企業が生産性を伸ばし、収益を増やして、それを原資に賃上げで従業員に還元する。こうした好循環を生み出すことが大切だ、としている。

週末の社説らしく、殺伐とした話題から一歩離れているのだが、どれも未解決のまま置き去りにされたようなトピックばかり。喫緊の話題よりはじっくり考えた方がいいものならいいのだが、答えが出ないまま時間ばかりが過ぎていくものばかりになっている。こういう話題は、どうするかの議論より、いつ本気で仕事をするのかを問い質した方がいい。

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