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3277.報道比較2018.2.21

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終わりのはじまり。あちらも、こちらも。

朝日新聞・社説
裁量労働制 政府の説明は通らない

もともと比べられないデータを比べ、国会で説明したのはまずかった。しかし政策の中身には影響がないから、法案は予定通り、近く国会に出す。安倍首相の国会答弁とその撤回を巡って論戦が続く裁量労働制の適用拡大について、政府の姿勢をまとめれば、こうなる。裁量労働の人と一般労働者では質問内容が異なり、両者は比較できないものだった。厚生労働省によると、調査の担当者とは別の職員が15年に野党への説明資料として作り、国会審議でも使われてきた。疑問に答える先頭に立つべきは、行政の責任者である首相だ。裁量労働を広げても心配ないと言わんばかりだった基本認識が問われる。ところが首相は「厚労省から上がってきた答弁(案)にデータがあったから、紹介した」「すべて私が詳細を把握しているわけではない」と、ひとごとのようだ。データ比較は不適切だと厚労省が認識したのは、最初の首相答弁から4日後の今月2日。7日には加藤厚労相に報告されたのに、首相が答弁を撤回したのは14日だった。2週間近くも問題が放置されたことになる。政府の対応はあまりに鈍く、国会軽視もはなはだしい。こんな状況で、法案を国会で審議するわけにはいかない。政府に再考を求める、としている。

毎日新聞・社説
裁量労働制の不適切データ 3年も使い続けた責任は

安倍晋三首相が1月の衆院予算委員会で行ったこの答弁を撤回し、陳謝した。根拠となるデータ自体に重大な疑義が生じたからだ。厚生労働省の2013年度労働時間等総合実態調査では、平均的な一般労働者の「1カ月で最も長く働いた日の残業時間」を1時間37分と算出した。裁量労働制で働く人については単に「1日の労働時間」を調査し、結果を比較して「約20分短い」と結論づけたのが問題のデータだ。首相は「厚労省から上がってきた答弁(資料)にデータがあったから紹介した」と自身の責任を否定した。そうであれば、不適切なデータを3年も使い続けた厚労省の責任を問い、正確な実態調査をやり直すよう指示すべきだ。安倍政権は今国会の最重要法案と位置づけ、長時間労働の規制強化などと一括して法案に盛り込もうとしている。裁量労働制の拡大については少なくとも法案から切り離し、別に議論するのが筋だ、としている。

元々いい加減な国会運営だったが、この頃が安倍政権の終わりが見え始めた時期だろう。安倍氏の答弁は、佐川氏の逃げ口上と何ら変わらない。むしろ自分の責任を語る佐川氏より、部下のせいにする安倍氏の方が悪質だ。政治の劣化は日本全体の劣化に比例する。早めに去って欲しい気持ちが半分。無責任なリーダーシップの責任を最後まで取らせたい気持ちが半分、という印象だ。

産経新聞・社説
合区解消の改憲案 無理に無理を重ねるのか

参院選で2つの県を1つの選挙区とする「合区」を解消し、各都道府県から1人以上を選出できるようにする。衆院選では市区町村が複数の小選挙区に分割される区割りを防ぐ。選挙権は、民主主義を形成する基本的な権利だ。一票の価値の平等は、公正な選挙の前提である。地方で暮らせば一票の価値が重く、大都市部なら軽い自民案のような制度は許容しがたい。衆参両院の権能のバランスを、どうとるかの議論を置き去りにしている点も見過ごせない。現行制度はすでに、「勘案」を踏まえているともいえる。厳格な「平等」を追求すれば、できる限り1倍を目指す必要があるが、最高裁は衆院選で2倍以内、参院選ではさらなる格差を事実上、許している。一票の格差を今以上に広げる改憲には無理がある、としている。

読売新聞・社説
自民合区解消案 参院の権限の議論が足りない

参院の選挙制度を変える手法として、自民党の憲法改正案には疑問が拭えない。衆参両院の権限や役割分担を併せて見直すべきだろう。自民党憲法改正推進本部は、参院選の合区解消に向けた憲法改正の条文案をまとめた。92条に、都道府県を示す「広域の地方公共団体」を明記し、47条には、3年ごとの改選時に、都道府県単位の選挙区から最低1人を選出できる規定を追加した。憲法は、衆参両院議員を全国民の代表と位置付け、両院にほぼ対等の権限を付与している。自民党案のように、参院議員に地域代表的な性格を持たせながら、権限や役割に手を付けないのは、筋が通らない。1票の格差を是正するため、衆院小選挙区では、多くの市区町が複数の選挙区に分割されている。有権者の混乱を招くような事態は、好ましくない。市区町村の一体性をできるだけ維持することは理解できよう、としている。

自民党に疑問は述べても、政府の批判は避ける。産経と読売の政権への迎合が再発している。

日本経済新聞・社説
日本企業のCEOの競争力を高めよう

春の人事の季節を迎え、社長や最高経営責任者(CEO)の交代の発表が相次いでいる。グローバル化やデジタル化の波がおし寄せ、日本企業の経営環境が急変する中で、リーダーの優劣は会社の盛衰に直結する。これまで日本企業のトップは社内各部門の意見をまとめる「調整型」が多かったとされる。だが、先行きの不透明感が増す中で、今後はトップ自らビジョンを打ち出し、組織を引っ張る「変革者」としての役割が重要になろう。こうした本格的なリーダーを生み出すために、企業は幹部候補生の育成や選抜にもっと早めに取り組む必要がある。50歳近くまで同期と横並びで昇進し、大きな仕事に取り組むのはそれ以降、というのではスケールの大きな経営者は生まれにくいのではないか。グローバル経験についても、西欧企業の新任CEOの53%は自国外の勤務経験があるのに対し、日本企業のそれは17%にとどまっている、というデータもある。なお道半ばと言わざるを得ない、としている。

サラリーマンの階段を昇って社長を務める人に変革?日経がまずやってみたらどうだろう?無理な相談だ。せいぜい買収か子会社を作る程度しかできないだろう。これは日本だからではない。世界でもイノベーションは地殻変動のような仕組みを作って追い詰めなければ誘発できない。日経の浅い感覚が笑える。

Wall Street Journal
変貌遂げるIT企業の収益構造、サービス契約が柱に (2018.2.20)

ソフトウエア企業はテクノロジー業界の先頭を切って、商品販売からサービス提供へと事業の軸足を移した。だが顧客を購入者から契約者に変化させ、継続的な収益基盤を構築した企業の数は、テクノロジー業界全体で増加しつつある。2017年9月通期に2000億ドル(約21兆円)近いデバイスを販売したアップルでさえ、成長しているサービス分野の有料会員数やアプリを販売する「アップストア」経由の定期契約数の増加を誇らしげに語っている。その数は2億5000万近くに及ぶ。アマゾン・ドット・コムは、他の小売り企業と同様、毎四半期の売上高はゼロから始まる。つまり、景気や消費者志向の変化による影響を受けやすい。だが2日以内の無料配送など、さまざまな付加サービスをつけた「プライム」プログラムを展開していることで、多くのプライム会員は現在、アマゾンに対して月間または年間費を支払っている。アマゾンは昨年、プライムの会員費だけで97億ドルを稼ぎ出し、前年比で52%の急増となった。これに加え、アマゾンはアマゾン・ウェブ・サービシズ(AWS)事業を展開している。これはいわば、企業に対し、コンピューティングサービスのレンタルを提供する事業だ。ハイテク企業の次の課題は、アップルのようなハードウエア中心の事業に対し、いかに契約型サービスを適用するかだ。アップルはすでにスマートフォン「iPhone(アイフォン)」を「iPhoneアップグレードプログラム」と言われるサービスを通じて一部販売している。これは月額の支払いで顧客に毎年新たなiPhoneを提供するプログラムだ。だがこれは、リース契約のようなものだ。アップルの事業は――それから株価も――iPhone事業の好不調に左右される。そのため契約を通じたデバイス販売はこうした状況を変える可能性がある。アップルにとって、高い利益率を維持しながらそれをやり遂げられるかが鍵となろう、としている。

シリコンバレーのイノベーションが止まりつつある。次のITのビジョンは、ここ数年、感じられない。ビッグデータがAIに変容し、フィンテックやブロックチェーンはバズ・ワードにはなったが、製品やサービスとして世界が驚いたものは…Amazon Echo? Tesla? まあ…そうかもね、くらいの熱狂だ。しかもIT企業はイノベーションより付加価値で利益率を上げ始めたとなれば、経済の教科書には成熟期のはじまりと書いてあるはず。失敗を恐れずに、挑戦できる。なぜならソフトウェアは再利用性が高く、原価率が極めて低い。さらに最初のプレーヤーが総取りになりやすく、初期のマーケティングコストを投資家が負担すれば経済合理性は成り立つ。これがITの手法だった。だが、マンモスになった企業はイノベーションより利益と株価を気にし始めた。投資家がリスクを嫌いはじめた。エンジニアの対価が高くなり過ぎた。徐々に方程式が成り立たなくなっている。ここも、終わりのはじまりだ。

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