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3276.報道比較2018.2.20

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どんな高尚な忠告も、トランプ氏は聞かずに自らの公約を遂行した。既得権を破壊してアメリカ国民に富を取り戻す。彼が大統領になった日に宣言したとおりだ。だが、彼が取り戻したい富は、本当にアメリカにあるのだろうか?

日本経済新聞・社説
米の鉄鋼輸入制限は百害あって一利なし

米商務省は鉄鋼とアルミニウムの輸入増加が安全保障上の脅威になっているとし、それに対処するための具体的な輸入制限案をトランプ大統領に提案した。鉄鋼については(1)すべての国に最低24%の追加関税をかける(2)中国など12カ国に最低53%の関税をかけ、他の国には2017年実績と同じ輸入割当枠を設ける(3)すべての国に17年実績の63%に相当する輸入割当枠を設ける――という3案を提示した。大統領は4月中旬までに対応を決める。輸入制限措置は3つの点で問題がある。1つ目は自由な交易を軸とする世界の貿易秩序を大きく揺さぶる恐れがあることだ。2つ目は問題の本質的な解決につながらないことだ。3つ目は米国自身にも打撃となりかねないことだ。米政権はすでに多くの輸入鉄鋼製品に反ダンピング(不当廉売)関税を課しており、鉄鋼価格は上昇している。これに輸入制限が加われば、鉄鋼製品を使う自動車メーカーや消費者が受ける被害は甚大になる。一方的な輸入制限措置は、世界や米国にとって百害あって一利なしといわざるをえない、としている。

どんな高尚な忠告も、トランプ氏は聞かずに自らの公約を遂行した。加えて、今まで仲介役に期待されていた高官を次々と解任していく。暴走にも見えるが、この1年がポーズだっただけとも解釈できる。改めて言うが、トランプ氏はブレるように見えて、何も変わらない。既得権を破壊してアメリカ国民に富を取り戻す。彼が大統領になった日に宣言したとおりだ。だが、彼が取り戻したい富は、本当にアメリカにあるのだろうか?それが信用という名のレバレッジ、いわば借金なのは彼も知っているはず。膨らました借金で暮らしていた人たちが借金の構造を破壊して生きていけるのか。この問いにアメリカは答えられない気がする。

Financial Times
市場に戻ってきた恐怖に万歳! (2018.2.14)

ウォーレン・バフェット氏がしばしば引き合いに出す投資のグル(導師)、ベンジャミン・グレアムは、市場のことを感情の起伏が激しい「ミスター・マーケット」というキャラクターになぞらえていた。2月5日の週の市場の動揺は、まさに必要なことだった。もっと早い時期に起こらなかったことが残念だが、恐れる気持ちが戻ってきたことは大歓迎だ。デービス氏は、米国の1月の雇用統計で賃金インフレの小幅な加速が示されたことが相場調整の引き金になったのではないか、と論じている。ただ、この加速は非常に小幅なものだった。最後に、世界は大変な不確実性に直面している。最も重要な国のかじ取りをドナルド・トランプ氏のような不安定な人物が担っている限り、そうなることは避けられない。戦争、貿易戦争、あるいはそれ以外の予想外のショックが生じ、足元の景気拡大が不安定化する恐れがあるだろう。政策立案者はグレートリセッション(大不況)から抜け出すに当たって中央銀行に頼りすぎ、財政政策に頼りなさすぎた。また、もっと積極的にデレバレッジを進めるのが賢明なやり方でもあっただろう。経済の安定化を目指した政策が金融を不安定にするのであれば、それに対する答えは、金融の方をもっと抜本的に改革するというものでなければならない、としている。

Wall Street Journal
iPhoneなぜアジアで苦戦、中国勢に勝てない理由 (2018.2.20)

米アップル の新型スマートフォン「iPhone X(アイフォンテン)」は、スマホ価格に新たな指標を打ち立て、アップルの収益を押し上げた。だがその法外な価格はアジアの主要市場における同社の将来をリスクにさらしてしており、その隙を突く中国勢から市場シェアを奪われている。インドやインドネシアなどの消費者は、「中国のアップル」と呼ばれる小米科技(シャオミ)や広東歩歩高電子工業(BBKエレクトロニクス)の広東欧珀移動通信(オッポ)、維沃移動通信(ビーボ)といった中国メーカーのスマホに次々と乗り換えている。調査会社カナリスによると、中国におけるアップルの市場シェアは約8%と、2015年の13%から低下した。昨年米国を抜いて世界第2位のスマホ市場に浮上したインドでは、アップルのシェアは13年以降、2%にとどまり、低空飛行が続いている。アップルのインド向け出荷は10-12月期に前年同期比で減少し、異例のマイナスになったとカナリスは分析している。中国勢は、広告でも現地色を全面に出している。オッポとビーボはインドネシアとインドで、大々的な屋外広告を打ち、iPhoneにはない独自の機能を消費者に売り込んだ。ジャカルタに住む情報技術(IT)エンジニア、ワーヒュ・アディ・セティアナントさん(36)は最近、iPhoneを下取りに出してシャオミのスマホを210ドルで購入した。「とても高級感がある」と感想を述べ、こう語った。「まるでiPhoneを手にしているみたいだ」、としている。

人民網日本語版
世界に広がる春節 (2018.2.20)

人々がこぞって祝う中国の春節はここ数年、「世界最大の盛典」と褒めたたえられている。それはあたかも1本の紐帯のように民族の感情を結びつけ、文化的理解・一体感を強めている。まさにこの窓を通じて、多くの外国人が春運(春節期間の帰省・Uターンラッシュに伴う特別輸送体制)、帰省ラッシュ、都市部の青年の結婚・恋愛など中国庶民の喜怒哀楽に焦点を合わせ、肉親の情、団らん、調和など東洋文明の理念への理解を深めている。中国の対外開放の深い推進にともない、春節文化の「輸出は日増しに拡大し、中国文化の「国際オーラ」も世界の舞台で輝きを放ち、多くの場所に素晴らしさと喜びをもたらしている。大自然の節日、家庭の節日、世界の節日。中国の旧正月が海外で歓迎されるのは、人的・文化的な包容力の大きさ、万国の調和を重んじる東洋の思いによるものだ。多くの国は、春節とその背景にある文化的心理、社会的脈動を読み解くことで、中国の急速な発展の背後にある中国の智慧と案をより良く理解することができる。中国の春節が世界に進出する意義もここにあるのかもしれない、としている。

人民網のコメントは感情的過ぎるが、中国の影響力はアメリカを確実に捉え、超えるのは時間の問題だ。家電はすでに中国がマーケットを握りはじめている。日本の過剰機能、ガラパゴス化はもはやマイナーから撤退に方針変更を迫っている。Appleはシェアよりは利益を得にいったのだろうが、時としてテクノロジーは規模がモノをいう時がある。今の技術基盤と政治情勢なら、中国のプラットフォームに合わせる気はしない。日本のiモードに近い独自性と閉鎖性は、どれだけ規模が大きくても、参入はしてもスイッチはしない。まだシリコンバレーにはアドバンテージがある。
中国経済がいつかジレンマに陥るのは日本と同様だ。規模の次は高収益が必要になる。後ろからインドが迫っているのだから。そうなれば規模を失う。世界が納得し、身を委ねたくなる技術基盤をオープンでフェアに運用できる可能性も低い。

朝日新聞・社説
わき立つ五輪 殻を破った先の輝き

平昌冬季五輪で羽生結弦、小平奈緒の両選手が相次いで金メダルに輝いた。フィギュアスケートの羽生選手は昨年のけがからの復活。一方、スピードスケートの小平選手は16年以降出場したW杯で無敵を誇り、勝って当然という重圧の中で悲願を達成した。羽生選手は外国人コーチの指導を仰ぐため、12年に練習拠点をカナダに移した。小平選手は大学時代からのコーチの教えを受けながら、スケート大国オランダに2シーズン留学し、伸び悩んでいる点の改善に努めた。改めて思うのは、指導者が果たす役割の大きさ、そしてその人材の確保・養成にむけた競技団体のとり組みの重要性だ。平昌五輪閉幕まで1週間を切った。これから出場する選手の活躍を祈りながら、明日の隆盛につながるヒントを探りたい、としている。

産経新聞・社説
小平金メダル 五輪の価値を再確認する

平昌五輪のスピードスケート女子500メートルで、小平奈緒が金メダルを獲得した。五輪新記録で他を圧倒した見事な滑りはもちろん、競技後の姿も見る人を魅了した。出場選手中ただ1人、36秒台で滑った小平は、2位に敗れて五輪3連覇を逃し、涙を流す地元韓国のスター選手、李相花を抱きとめた。長く世界のトップを争い、真剣勝負を繰り広げてきた2人であるからこそ生まれた、今大会で最も印象に残るシーンだった。スポーツには、人と人を結びつける力がある。ただしそれは、スポーツが公平、公正性に守られ、競技に真摯に向き合った末に生まれるものだ。例えば政治的思惑からルールを曲げて強制された合同チームなどは、何ら共感を呼ばない。五輪の価値から、かけ離れたものといえる。日韓は歴史問題などでぎくしゃくした関係を続けている。それでも切り離せぬ隣国であり、時にスポーツが呼ぶ感動は、両国が抱える難しい感情を忘れさせる、としている。

毎日新聞・社説
小平選手も金、日本勢活躍 地道な取り組みの結実だ

平昌五輪スピードスケート女子500メートルで、小平奈緒選手が金メダルに輝いた。スピードスケート日本女子初の金メダルだ。トレーニング理論や医科学面のサポートが発達し、選手寿命は延びている。とはいえ、体力のピークは20代後半に来る。小平選手は低地のリンクでは異次元ともいわれる36秒台を唯一記録した。まさに圧勝だ。小平選手は結城匡啓(まさひろ)コーチの下、母校である信州大の学生にもトレーニングを手伝ってもらい、表彰台の頂に立った。1500メートルで銀メダル、1000メートルで銅メダルを獲得した高木美帆選手は、新たに創設されたナショナルチームで世界と戦う力をつけた。また、日本男子の金銀メダルに沸いたフィギュアスケートは、有望な新人を発掘する合宿を始めて四半世紀になる。今のトップ選手のほとんどは合宿の経験者だ。日本のフィギュア界が高いレベルを保てるのは、こういった競技団体の地道な活動の成果でもある。大会は終盤に入る。日本勢のさらなる活躍を願い、見ている我々も目いっぱい応援して平昌に追い風を吹かせたい、としている。

アスリートは日本に誇りをもたらしてくれたが、政治や経済は芳しくない。アスリートにも不誠実な手法が聞こえる場面があった。負けてもいいから、正々堂々といこう。スポーツのメッセージは社会に問いかけている。

読売新聞・社説
ミュンヘン会議 北朝鮮の核に共同で対処せよ

ドイツで安全保障や外交問題を協議する「ミュンヘン安全保障会議」が開かれ、各国首脳や閣僚ら約450人が参加した。河野外相は北朝鮮の核開発に関し、「核保有を許せば、NPT(核拡散防止条約)時代は終わる。微笑外交に目を奪われてはならない」と述べた。北朝鮮による公海上での密輸取引の写真を示し、制裁逃れの実態を説明した。問題は北朝鮮に限らない。中露は核戦力を増強している。米国と欧州は危機への認識を共有し、核抑止力を含めた現実的な安全保障政策を進める必要がある。中国への対応も議論された。河野氏は中国を念頭に「南シナ海や東シナ海では現状変更の試みが行われている」と述べた。「アジア、アフリカなどで相手国の経済力を考えない事業が多くある」とも語り、巨大経済圏構想「一帯一路」の問題点を指摘した。各国は、様々な機会を活用し、「法の支配」の順守と、地域の安定に資する開発を中国に求めていくことが大切である、としている。

ヨーロッパは日本の意見に傾くとでも?ヨーロッパで北朝鮮と外交している国はいくつもある。今回は制裁に参加してくれるだろうが、圧力だけに依存する政策を聞き入れる可能性は低い。中国を貶めるような表現をすれば、さらに日本は孤立するだろう。稼いでいた時の日本とは立場が違う。正論だけで通せるほど、日本は今まで模範のように振舞ってきたわけでもない。自らの能力を知るべきだ。

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