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3269.報道比較2018.2.13

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本気で相手を叩きたいなら、行動することだ。

日本経済新聞・社説
送電線の有効活用で再生エネを伸ばそう

経済産業省の有識者会議が、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた送電線の効率利用策の検討を始めた。太陽光や風力などの再生可能エネルギーはできるだけ伸ばしたい。だが送電線の容量に限りがあり、発電しても消費地へ送ることができない問題が、普及を阻む壁の一つになっている。送電線の増設は手っ取り早い解決策ではあるが、巨額の資金を投じて利用率の低い設備を増やすべきではない。まずは既存の送電線を最大限、使う工夫を考えることが重要だ。送電線に流せる電力の算定方法を見直したり、非常時に備え確保してある枠を平時に使えるようにしたりすることで容量を増やす。ただし、電力の安定供給を損なってはならない。非常時用の空き容量を開放しても、緊急事態でも問題なく送電を続けられる体制を整えなければならない。原発の再稼働が進まず、長期にわたり、その分の送電容量が使われずにいることに批判もある。再エネ発電事業者も含め、送電枠を確保したものの実際は使っていない事業者への対応も考えることが必要だろう、としている。

先日、読売も取り上げた話題。NHKが報道したからか、徐々に電力会社の既得権への批判がまた強まりそうだ。電力会社はまだまだ優遇条件を蓄えているだろう。脱原発と吠える前に、取材して追求した方がずっと近道だ。

毎日新聞・社説
森友学園問題の国会審議 佐川長官の招致は必須だ

佐川宣寿国税庁長官を衆院予算委員会に招致するかどうかが通常国会の大きな焦点になっている。野党の招致要求を与党は拒否している。後任の太田充理財局長が答弁すればよいというのが理由だ。しかし、その理屈には無理がある。第一に、佐川氏が交代してから、新たな行政文書や音声データが発覚したことだ。学園側との交渉記録について「全て破棄した」という佐川氏の答弁は根底から揺らいでいる。第二に、売却価格を8億円値引きした根拠についても、佐川氏の答弁は正当性を失っている点がある。佐川氏を国税庁長官に起用した人事は「森友隠し」の論功行賞と野党などから批判された。佐川氏は長官就任後、記者会見もしていない。学園側と昭恵氏の関係を財務省がそんたくし、不当な便宜を図ったのではないかという疑念は消えないままだ。佐川氏の招致なしに、森友問題の真相究明は進まない、としている。

この時期、佐川氏の証人喚問が実現するとは誰も思っていなかった。何がそれを可能にしたかといえば、朝日の報道だ。検察か財務省のリークはあっただろうが、こんな弱腰の正論だけで挑む毎日にはチャンスは来なかった。その朝日でさえ、まだ攻め方が甘い。事実を突き付けるのではなく、批判が先行しているからだ。本気で相手を叩きたいなら、行動することだ。

読売新聞・社説
中国の北極白書 権益拡大の動きを警戒したい

中国の習近平政権が、北極政策に関する初の白書を発表した。北極圏に領海や領土を持たない域外国でも「活動の権利と自由がある」と主張し、幅広い分野で関与を強める方針を示した。北極海を通る航路を「氷上シルクロード」と呼び、開発と利用を進めると強調した。陸と海のシルクロードからなる巨大経済圏構想「一帯一路」と結びつけて各国に参加を呼びかけた。問題なのは、各国の利害が交錯する中で、国際ルールが確立していないことだ。領有権主張の凍結や平和利用を定めた南極条約のような取り決めはない。米露両国やカナダ、フィンランド、デンマークなど北極圏8か国は「北極評議会」を構成し、権益を事実上独占してきた。ロシアは北極圏での国益確保を軍事上の優先課題に位置付ける。事故防止を名目に、北極海を航行する船舶に露砕氷船の同行を義務づける独自のルールで料金を徴収し、経済的利益も得ている。北極海航路の利用が活発化した場合、中国の艦船が宗谷、津軽、対馬海峡を通過する機会が増えよう。日本の安全保障への影響は計り知れない。政府は戦略を強化しなければなるまい、としている。

正論に思えるが、いまの日本に北極圏の権益を狙うための投資、コスト負担を正当化できる理由も、余裕もない。国内の財政の問題ではない。北方領土さえ議論を進められない日本が、アメリカとロシアが利害関係を持つ北極にどう対応できるというのだろう。中国が本気で狙っているなら、日本は傍観するかアメリカ追従しかできないだろう。それほど日本の国力も、外交力も落ちたと認識すべきだ。

朝日新聞・社説
診療報酬改定 効率的な医療めざして

医療保険財政が厳しさを増すなか、医療サービスを効率的に提供する仕組みを考えるのは当然だ。手術などで病気を治すだけでなく、病気を抱えながら暮らす人を支えるなど、超高齢社会のニーズに対応した見直しも欠かせない。改定の焦点の一つは、看護体制が手厚く本来は重症患者向けの病床が増えすぎて、症状が安定した患者もそこに入っている現状をどう見直すかだった。これまでもこの病床の転換を促してきたが、収入減を懸念する病院側は二の足を踏んできた。医療機関の役割分担では、紹介状なしで受診すると追加負担をとられる病院を増やす一方、生活習慣病の患者を継続的に診ている診療所などを「かかりつけ医」として報酬を厚くする。だが、患者は報酬の一定割合を負担するため、これではかかりつけ医に行くと割高になってしまう。逆効果ではないか。日頃から患者の相談に乗り、幅広い病気を的確に診断できる。そんな頼れる地域の医師を増やし、患者にわかりやすく周知する一層の工夫が急務だ、としている。

昨日の読売から、さらに遅れて追う朝日。他紙に比べると批判の印象が強い。政権への反発が強い朝日だが、今日の内容は理にかなっている。できればもう少し早く聞きたかった。

Wall Street Journal
米政権、19年度の予算教書発表 4.4兆ドル要求 (2018.2.13)

ホワイトハウスは12日、2019会計年度(18年10月~19年9月)の予算教書を発表した。この4兆4000億ドル(約478兆円)規模の予算案は、軍事、インフラ(社会基盤)整備、国境警備への支出を強化する一方、メディケア(高齢者向け公的医療保険)やメディケイド(低所得者向け公的医療保険)など連邦医療制度への支出を削減する内容だ。昨年の予算教書との大きな違いは、トランプ氏が当面は向こう10年の財政健全化をあきらめた点だ。アナリストの試算によれば、先に成立した大幅減税と2年分の予算合意によって、来年の財政赤字は1兆ドルを突破する見込みだ。トランプ氏は19年度の最優先課題の一つとするインフラ整備についての計画も公表した。向こう10年でインフラ整備に2000億ドルを投じることを提案した。新たな競争的補助金が大半の形で、州や市による鉄道、空港、道路、水道システムの整備資金の調達を促す。そのほか、インフラ事業の連邦融資プログラムを拡大し、許認可手続きの簡素化も進める。トランプ氏の予算教書は、米経済成長率が独立系エコノミストらの予想を大きく上回り、低インフレで政府の資金調達コストが抑えられると想定している。こうした点は、この予算案の10カ年予想の後半の赤字を少なくしている要因だ、としている。

人民網日本語版
楊国務委員の訪米について外交部報道官が記者会見 (2018.2.12)

楊国務委員はティラーソン米国務長官の招待を受けて8、9両日に訪米した。訪問期間中、楊国務委員はトランプ大統領と会談したほか、ティラーソン国務長官との会談及びワーキングランチ、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)及びクシュナー米大統領上級顧問との会談、米国各界の重要人物との懇談に臨んだ。楊国務委員は、習近平国家主席とトランプ大統領が共に先導する中、中米関係は昨年重要かつ前向きな進展を得たとし、昨年11月のトランプ大統領訪中で、両国首脳は重要な共通認識と成果にいたり、中米は世界の平和・安定・繁栄の維持において広範な共通利益と重要な責任を有しており、中米関係の行方は重要な世界的影響を持ち、発展し続ける中米関係は両国民の根本的利益にかなうのみならず、国際社会の一致した期待でもあると強調している。双方は朝鮮半島核問題についても意見交換を行った。中国側は終始朝鮮半島の非核化実現に尽力し、朝鮮半島の平和・安定維持に尽力し、対話と協議を通じた問題解決に尽力しているとし、国際社会は朝鮮と韓国の関係改善を支持し、現在のように緩和した情勢が続くようにすべきだとの見方を示している。楊国務委員は、「中国側は米側と共に、相互信頼と相互尊重を基礎に意思疎通と調整を保ち、朝鮮半島問題の適切な解決を後押ししたい」と表明した、としている。

産経新聞・社説
米国の新核戦略 日本国民の安全に資する

トランプ政権が新しい核政策の指針として「核戦略体制の見直し」(NPR)を公表した。米国と同盟国の国民を守る上で不可欠の核抑止力を、米国が持ち続ける意思を再確認し、透明性を伴って具体策を説いた。世界の平和と安定に寄与するものだ。爆発力を抑えた小型核の導入や、海洋発射型の核巡航ミサイル(SLCM)の開発を進める。安倍晋三政権はNPRを「高く評価」した。日本の政府には、唯一の戦争被爆国として、核の惨禍や脅しから国民を守る義務がある。現実的かつ妥当な判断を示したといえよう。オバマ前政権が核抑止力の整備を怠った間に、ロシアは小型核や全廃するはずの中距離弾道ミサイルの開発に走った。米露と核軍縮の条約を結んでいない中国は核戦力を強化し、北東アジアの核バランスを有利にしようとした。NPRも説くように、「長期的な目標としての核兵器廃絶」の努力と、核の脅威からの「安全保障」の両立を図る視点がいる、としている。

財政がどう考えても破綻している日本は不感症になっているかもしれないが、財政に敏感で国民の貯蓄率も低いアメリカにとって、この予算は国家破滅的だ。それを平然と2日程度の審議で認めた議会、相変わらず支離滅裂なトランプ氏…どれをとってもアメリカは壊れている。その壊れたアメリカの様子を窺う中国。相変わらず迎合しかできない日本のメディア。世界を悲観したくなる光景だ。政治が決めることで、日常に直接のインパクトは来ない。じわじわと首が絞まる。確実に私たちは不利益を受けはじめている。イヤな時はノーを。行動しないと、破滅はどんどん進む。

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