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3259.報道比較2018.2.3

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週末だからか、アメリカの話題を2紙が選んだ。対岸の火事のような話題より、目の前で燃えている火車を論じて欲しい。

読売新聞・社説
無期雇用転換 非正規の処遇改善を図りたい

パートや契約社員など有期雇用契約の労働者が同じ職場で5年を超えて働くと、正社員のように期間の定めのない無期雇用に転換できる。2013年施行の改正労働契約法で導入された「無期転換ルール」だ。その運用が4月から本格化する。施行から5年が経過し、適用対象者が出始めるためだ。無期転換は、本人の申し出が前提となる。申し出があれば、企業は拒否できない。転換後の職務や処遇をどうするか。企業は長期的視点で人材活用の在り方を検討し、就業規則の見直しなど、着実に体制を整備すべきだ。人手不足を背景に、既に非正規雇用の無期転換や正社員登用を進める企業も多い。一方で、適用を避けるため、勤続5年を前にした雇い止めや、更新に上限を設ける動きも見られる。混乱が生じないよう配慮が必要だ。雇用の安定を含めた処遇改善は働き手の意欲を高め、生産性を向上させる。企業も人材確保が容易になる。新ルールを活力ある職場作りにつなげる発想が大切だ、としている。

正規雇用から逃れようとする企業は、ネットで名指しした方がいいだろう。求人が難易度を増している現在、姑息な企業にはそれくらいの痛みを負わせてもいい。ブラック企業が標的にされる時代だ。行動すべきだろう。

朝日新聞・社説
「安保法」訴訟 あぜんとする国の主張

安全保障関連法をめぐる訴訟で、国が驚くような主張をして裁判所に退けられた。安保・防衛論議の土台にかかわる問題である。国民に対する真摯で丁寧な説明が必要だ。舞台になったのは、安保法の成立をうけて現職の陸上自衛官が起こした裁判だ。自衛官は、集団的自衛権の行使は違憲との立場から、法が定める「存立危機事態」になっても、防衛出動の命令に従う義務がないことの確認を求めていた。一審の東京地裁は「出動命令が出る具体的な可能性はない」などと述べ、踏みこんだ審理をしないまま訴えを却下したが、東京高裁はこれを否定。「命令に反すれば重い処分や刑事罰を受ける可能性がある」として、自衛官が裁判で争う利益を認め、審理を差し戻した。あぜんとするのは、裁判で国が、存立危機事態の発生は想定できないとの立場を終始とり続けたことだ。安倍首相が北朝鮮情勢を「国難」と位置づけ、衆院選を戦った後の昨年11月の段階でも「国際情勢に鑑みても具体的に想定しうる状況にない」「(北朝鮮との衝突は)抽象的な仮定に過ぎない」と述べた。 判決を機に、安保法がはらむこの本質的な問題を改めて問い直す議論を、国会に望む、としている。

朝日に注文したい。こういう時は「国」では曖昧過ぎる。行政、政府、どこの誰が被告で、どこの誰がこんなとぼけた説明をしたのか。そこに防衛省や政府の指示はあったのか。国家安全保障会議はこの件を知っているのか。そのあたりを明確にすべきだ。固有名詞で指摘しないと、組織は責任を意識しない。「国」では、誰もが他人事に受け止めてしまう。せっかくの重要な問題提起が無駄になる。

産経新聞・社説
NAFTA再交渉 「多国間」復帰の試金石だ

1月末の交渉では、自動車分野でカナダが妥協案を示したが米国は拒んだ。溝は大きく、着地点はみえない。3月末を目指した妥結はずれ込むとみられている。先のダボス会議で、トランプ氏は米国第一とは孤立主義ではないと訴えた。多国間協調の必要性を認識した表れかもしれない。自らの言葉を行動で証明すべきだ。11月の米中間選挙に向けて「雇用を守れ」という強固な岩盤支持層をつなぎ留めようとするあまり、強硬姿勢を強めるようなことがあってはならない。中国の台頭を踏まえ、米国が孤立主義に陥る弊害を意識したものとも考えられる。ダボスでの演説では、中国を念頭に「他国を犠牲にし、システムを食い物にしている」と批判した。トランプ氏が復帰を検討するとされる環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)には、中国を牽制する戦略性がある。米国がいかに国際協調を進めるか。より具体的な道筋を示してもらいたい、としている。

日本経済新聞・社説
安定成長に手腕問われる新FRB議長

米連邦準備理事会(FRB)の新議長にパウエル理事が3日就任する。過去4年間で異例の金融緩和の縮小を進めたイエレン氏を引き継ぎ、円滑に金融政策を正常化し、安定成長を実現するのが当面の課題だ。パウエル氏は当面はイエレン氏の路線を引き継ぎ、保有資産の縮小と政策金利の引き上げを進めていく方針だ。パウエル氏はバーナンキ氏やイエレン氏と異なり経済学者出身ではないが、行政やビジネスの経験は豊富でバランスのとれた人物という評がある。ただ、米経済や金融市場には変化の動きもある。現状の政策を維持するだけでなく、情勢変化にあわせ、機動的に政策を調整する必要も出てくる。法人税、所得税の減税を含む税制改革に続いて、トランプ政権は1.5兆ドルのインフラ投資を進めることを提案している。景気がFRBの予想以上に過熱した際に、トランプ大統領が利上げを急がないように圧力をかけることも予想される。パウエル議長がその際に、中央銀行として毅然とした対応をとれるかどうかも焦点だ、としている。

週末だからか、アメリカの話題を2紙が選んだ。国内にも十分に課題があるのに、さほど重要でもない時間の経ったアメリカの話題を取り上げる理由が判らない。FRB議長よりも、明らかに詰んでいるのは日銀の黒田氏だ。NAFTAよりも気になるのはTPPだ。対岸の火事のような話題より、目の前で燃えている火車を論じて欲しい。

毎日新聞・社説
茂木経済再生相の線香配布 今の説明では無理がある

茂木敏充経済再生担当相(衆院栃木5区)の秘書が、選挙区内で線香や手帳を配っていた問題だ。茂木氏は国会の答弁で、数年間、秘書が配っていた点は認めたものの、自ら指示はしていないと強調した。線香や手帳には自分の氏名は記載しておらず、政党支部の党勢拡大を目指した活動だとも説明した。公職選挙法では候補者らが有権者に金銭や物品を寄付することを禁じている。政党支部の場合でも、候補者名が記されていたり、名前が類推されたりするような方法で寄付するのは禁止されている。もちろん、それが買収行為につながるからだ。茂木氏は氏名は記しておらず、秘書は政党支部の活動として配布したのだから違法ではないというのだろう。公選法を所管している野田聖子総務相も「直ちに氏名が類推される方法とは言えない」との見解を示している。ただし線香などを受け取った有権者は茂木氏からだと類推しなかっただろうか。いまだにこうした脱法的とさえ言える行為が続いていることに改めて驚く。一切の例外規定を設けず、すべての寄付行為を禁止する法改正をすべきだろう、としている。

昨日も書いたが、このレベルで社説を割く価値があるのか、新聞は判断してから書くべきだ。問題は問題。だが、どれだけの資源を、どんな活動に投下すべきか。改めて考えるべきだ。森友学園でここまで追いつめられた理由は、社説などに時間を使うよりも取材をした地道な活動のはずだ。無益なだけだ。

Wall Street Journal
共和党は「トランプ後」に備えよ (2018.2.2)

トランプ氏を大統領に選出した有権者は、自分たちが革命を勝ち取ったと考えるようになった。だが実際には革命ではなかった。彼らの力は1人の男であり、その男には期限があるからだ。共和党が、党として、何かを学んだかどうかは分からない。保身を願う共和党エリートの思いが明らかな保守派ポピュリストの波と合わさった結果、党内は一時休戦の状態だ。だが共和党は、現在の議会指導部がとどまる限り、ポピュリスト保守政党にはならない。それどころか現在の指導部は、縮小する共和党を率いてポピュリストの反乱を抑え、つぶそうとするだろう。トランプ氏は強固な支持基盤と多くの不支持者層の両方を抱えている。前者をいかにして保ちつつ、後者を切り崩すかが共和党の課題だ。1996年のボブ・ドール氏の忠告はひとつの鍵だ。同氏は(共和党全国大会で)、「私たちが全ての人種や宗教に対して開かれている訳ではない」と考える人がいたら、出口は「はっきり示されている」と述べた。私たちはかつて無限の可能性を秘めた党だった。「トランプ後」の瞬間には、それが物を言う。私たちは拡大にトランプ氏を必要としながら自らの存続を同氏の退場に左右される可能性もある。私たちは共和党を引き継ぎ、改革する必要がある。それをするのはトランプ氏ではない。私たちは、よりポピュリスト的な(トランプ風の)ボトムアップ型共和党を創造すべきだ。それは、自由を愛し、史上最大の米国旗を掲げ、米国の価値観や制度はどこよりも優れ、将来に欠かせないと叫ぶ党だ、としている。

中間選挙むけ?のつもりかもしれないが、まるで機能していない。知事を務めたような人が、未だにトランプ氏が選ばれた現実に向き合えず、未来さえ見出せない。シンプルに言えば、アメリカが衰退しているのだ。持つものが強くなり、持たないものが増えたが、力も同時に失った。断絶の上で票を集めるのは、さぞ難しいことだろう。すでにアメリカの2大政党は大統領以上に機能していない。次にアメリカに大きなムーブメントが起きるとしたら、持たないものの中から、決定的なパワーを秘めた人が出てくるだろう。楽しみだ。

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