ORIZUME - オリズメ

3258.報道比較2018.2.2

3258.報道比較2018.2.2 はコメントを受け付けていません。

残念なほど、日本の陰湿さが目立つ社説が並んだ。ホンネとタテマエが混ざり合う疲れ果てた国。シンプルになればいいのに。

産経新聞・社説
憲法と緊急事態 任期延長だけでは足りぬ

自民党は国会に提示する改憲案を検討しているが、党憲法改正推進本部の執行部は緊急事態条項を国会議員の任期延長に限ろうとしている。政府の機能や権限を強化することを嫌う野党や公明党への配慮からだろう。同本部の会合では「私権制限や政府への権限集中(の制度)が必要だ」と異論が相次ぎ、結論は先送りされた。国民にとって有意義な主張がどちらかは明らかだ。自然災害や有事、テロが招く大規模災害から国民を守り、国家社会の秩序を保つことは、国の最も重要な責務である。重要なのは、緊急事態を宣言し、一時的に首相や内閣に権限を集め、法律に代わる緊急政令を出し、財政支出を行う仕組みだ。災害対策基本法は自治体の存在を前提とする。広域で自治体が壊滅し、機能を喪失するケースにも備えておくべきだ。国際常識に沿って、国民を守り抜くための憲法を持たなければならない、としている。

毎日新聞・社説
在外被爆者の賠償認めず 不公平を容認した判決だ

広島、長崎で被爆後に帰国した韓国人被爆者31人の遺族151人が国に損害賠償を求めた集団訴訟で、大阪地裁は原告の請求を棄却する判決を言い渡した。在外被爆者は約30年という長期にわたって、国内被爆者と比べ支援内容に差を付けられていた。海外に移住すれば健康管理手当を打ち切るとする旧厚生省通達が2003年に廃止されるまで、在外被爆者は手当などの支給対象外だった。今回、裁判所も国の理屈に沿った判断をした。ただし除斥期間には例外がある。「権利行使が困難で著しく正義、公平に反するような場合」には適用が制限されるという判例が出ている。原告は「除斥期間のハードルは高い」として控訴するかどうか慎重に判断するというが、国が和解拒否したのは大阪、広島、長崎3地裁の原告約930人のうち約600人に上り影響は大きい。「被爆者はどこにいても被爆者」が被爆者援護法の趣旨だ。司法による救済ができないならば、政治的な解決の道も探るべきではないか、としている。

どちらも重い話。そしてどちらも、日本人らしい陰湿で答えを出さない結論に至っている。緊急事態をどう捉えるかを与党で議論して答えが出ないのではなく、連立与党の配慮から法案が変わる。「国家にそれだけの権力を与えるべきでない」との議論が白熱しているならいいのだが、宗教法人母体が抵抗しているだけのこと。私は、緊急事態の対応を地方自治に委ねるなら、それもいいと思う。そうすると、今度は国家ありきの社会主義のような自民党が抵抗するのだろう。
在外被爆者の話も裁判所が決断を政治に求める責任転嫁だ。日本の政治家が、この手の話題にまともな結論を出せた事例は聞いた事がない。その政治に法を正せというなら、それはただの時間稼ぎだ。70年を超えた戦後を思えば、それは被爆者にとって最悪の仕打ちで、人権を語る資格はない。この冷たさが日本の悪い面を示している。

読売新聞・社説
再生エネ促進 国民負担の抑制が欠かせない

経済産業省の有識者会議が、太陽光や風力など再生エネの発電を拡大させる方策について、本格的な検討を開始した。大手電力会社が送電線の容量不足を主張し、再生エネ事業者が新規参入を断念する事態が各地で相次いでいるためだ。深刻なのは、再生エネの導入が進むことによる家計や企業の電気料金負担の増加だ。電気料金への転嫁による17年度の負担金総額は2・1兆円となる。標準的な世帯は年8200円程度を負担する。政府は再生エネの発電割合を、現在の15%から30年度に22~24%まで高める目標を掲げる。その通りになると負担金の総額が3兆円に達し、標準的な世帯は年1万円を超えることになる。買い取り価格を極力抑える制度的工夫が不可欠である。首都圏が大雪に見舞われた1月下旬、東京電力は最大200万キロ・ワットを他電力から緊急調達した。原発2基分に相当する。政府は、原発の再稼働を着実に進め、バランスの取れた電源構成の構築に注力せねばならない、としている。

私はこの時期、NHKラジオでなぜ送電線の容量不足が起きているかを聞いた。なんのことはない、電力会社が先に使いもしない予約を入れているから不足しているだけで、実際には使ってもいないのがほとんどらしい。読売は、知らないのだろうか?少なくとも、電力会社は知らないはずはない。自らが予約を受け付け、自らで予約を埋める。それで足りないという。さすがに無茶苦茶ではないだろうか?

日本経済新聞・社説
この改定では介護保険の未来が危うい

政府は介護サービスの公定価格である介護報酬を4月に改定する。介護保険制度を安定的に維持するには、メリハリをつけながら総額の伸びを抑えることが欠かせないが、一連の見直しはあまりに踏み込みが足りない。団塊世代がすべて75歳以上になる2025年に向け、一層の改革が要る。今回の見直しの柱は、利用者の自立支援や重度化防止につながるサービスの後押しだ。リハビリを重視したほか、心身機能の維持・改善で一定の成果を上げたデイサービスに報酬を加算する仕組みも盛り込んだ。ただ、今回の加算はわずかだ。どのような介護サービスが効果的なのか。実践と研究を積み重ねることで、幅広く改定に反映していく必要がある。国民の負担を増やす議論も避けては通れない。今は保険料を払うのは40歳からだが、これを20歳以上に広げるのが一案だ。低所得者に配慮しつつ、利用者の自己負担を上げる方法もある。負担は軽いままサービスは手厚い。そんな魔法の処方箋はない。国民の理解を求め、改革を実行するのは政治の責任だ、としている。

まだ先送りできる時間があるだけのことだろう。切羽詰まっているが、票につながるほどの課題ではない。政治がそう思っているうちは動かない。あれだけ年老いた国会議員ばかりだというのに、彼らには友人がいないのだろうか?これだけ高齢化が進めば、介護に関わっている事例はいくらでもあるはずなのだが…

朝日新聞・社説
茂木氏と線香 政治倫理はいずこへ

茂木敏充経済再生相(衆院栃木5区)の秘書が、選挙区で線香や手帳を配布していた。違法な寄付に当たるのでは、と野党が国会で連日追及している。買収行為を防ぐため、公職選挙法は公職の候補者や関係団体などが、有権者に金銭や物品を寄付する行為を禁じている。茂木氏の言い分はこうだ。線香や手帳に私の氏名は記していない。政党支部の党勢拡大のための活動であり、配布したのは政党職員である秘書で、私自身は配っていない。だから公選法にのっとった活動であり、違法性はない――。だが、秘書から線香などをもらった人は「茂木氏から」と受けとめるのが普通ではないか。疑問なのは、公選法を所管する野田聖子総務相の答弁だ。茂木氏の場合の違法性については「総務省は個別の事案について実質的調査権を有していない」としながら、秘書が氏名の表示のない政党支部からの寄付を持参することは「ただちに氏名が類推される方法とはいえない」との見解を示した。これでは秘書が政党支部からとして持って行けば、氏名を書かなければ、どんな寄付でもOKとなりはしないか。それでいいのか。国会でのさらなる議論が欠かせない、としている。

政治家の行動も、朝日の指摘も、どちらも小さい。こんな話題で時間を使うのは無駄だ。だから最初から、こんな人材を選ぶことが間違っている。投票してはならない人物だ。

Wall Street Journal
トランプ氏の低支持率を巡る謎 (2018.2.1)

筆者は何年も前から、ドナルド・トランプ氏は世界で通用する「説得の達人(persuader)」だと主張してきた。それなら同氏の支持率がここまで低いのはなぜか? 端的に言えば、大統領の支持率に関する従来の法則がもはや通用しなくなっているためだ。
【便所のような国】トランプ氏が人種差別主義者ではないと考えている人がこのような汚い発言を耳にすれば、これは発展途上国を指す言葉であり、ノルウェーのような先進国ほど教育を受けた市民を生み出していない国々のことだと解釈するだろう。一方でトランプ氏が人種差別主義者だと考えている人たちは、これらの国々に住む「人々」をひどい言葉で表現したと受け止めるだろう。国民の多くは、「支持率」というものはトランプ氏の成果だけでなく、そのスタイルに対する好みを含むものだと理解している。大統領の評価を示すよりふさわしい指標は、全米独立企業連盟(NFIB)の中小企業楽観指数だ。同指数は、経済成長や雇用、外交、国内リスクなど多くの要素を捉えている。トランプ氏の支持率が40%前後で低迷していた昨年、NFIBの指数の月間平均は史上最高水準に達した。いずれにせよ40%という数字はメディアに対する支持率より高く、米議会の支持率をはるかに上回っている。世界一の説得の達人にとっては妥当な水準だろう。トランプ氏は非常に有能だが魔法は使えない。しかも相手陣営が守備体制を敷いているのだ、としている。

あまり納得のいく内容ではなかったが、支持率だけに注目してトランプ氏を批判するな、メディアの方がもっと無様だという意見には同意する。私は何事も、バイアスは極力廃す。アメリカが好きとも嫌いとも思わないし、中国が恐いとも弱いとも思わない。それがアップルでも、アマゾンでも、ビットコインでもテスラでも同じだ。結果がすべてであり、そこにハートや信念があればベストだ。トランプ氏に信念は感じたことはないが、年末の減税法案を通したことはすばらしい。その法案のないようは別として。北朝鮮を徹底的にコケにしながら、北朝鮮の君主から逢いたいといわれればすぐに受け入れる。その変わり身の早さも、武力より対話を選んだのだから、私はキライよりはスキだ。私のコメントが時として中国やアメリカを持ち上げ、翌日には突き落とすほど嫌う様は、固執した意見を持つ人には受け入れにくいだろう。私は、結果しか見ない。昨日、価値があったものが明日にはガラクタになることを知っている。変化する中で、変えていいことといけないこと、その分別が人と判り合うための大事なキーになるだろう。もし知れるなら、トランプ氏のそのキーを知りたい。

人民網日本語版
「中国の脅威」の誇張、実は「中国への威嚇」? (2018.2.1)

米国防総省の「国家防衛戦略2018」は中国を「修正主義国家」と呼び、「戦略的競合相手」と見なした。米国のシンクタンクやメディアは中国を「シャープパワー」と誇張する。行動においても、彼等は隠すことなく中国を標的にしている。大型家庭用洗濯機や太陽電池に保護的関税を課すほか、米政府は、いわゆる「知的財産権の窃盗行為」について中国に対して行動を取る考えを明確に表明した。米国は鋼材やアルミニウムにも近く関税を課すとみられる。彼等の決定は国内ですら同意を得られていない。太陽電池への保護的関税について、米国の業界は太陽光パネル設置コストが上昇し、10億ドルに上る投資が抑制され、数万人の雇用が失われると見る。中国は「パイを大きくする」ことを信じ、ウィンウィンと共に享受することを信じている。このように素晴らしいビジョンを、あくまで「中国の脅威」と誇張するのは、実際には彼等の内心に秘められた不安の発露に他ならない、としている。

この時期、まだ中国は貿易戦争が本気だとは思っていなかったようだ。トランプ氏を中国は読み切れていない。安定しているのは中国だが、注目を集めているのはトランプ氏のアメリカ。中国を仮想敵国よりは興味深い競争相手と見なしているのだから、素直に喜ぶべきだ。あと10年後には、中郷がアメリカを語っているはずなのだから。

Comments are closed.