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3252.報道比較2018.1.27

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ダボスに集まるような人たちは、保護主義に対しても、格差の是正にも無力だった。政治権力が介入しても、拒絶さえできなかった。新しいリーダーを担う人たちは、この無様さを軽蔑するだろう。

朝日新聞・社説
憲法70年 野党からの重い指摘

衆参両院で行われた代表質問で、首相がめざす憲法9条への自衛隊明記に対し、野党党首らから異論や疑問が相次いだ。希望の党の玉木雄一郎代表が問うたのは、明記によって自衛隊の役割が変わるか否かだ。玉木氏は、首相のいう9条改憲には反対だと述べた。首相は「自衛隊の任務や権限に変更が生じることはない」と応じたが、玉木氏は質問後、憲法を変える目的が明確でないと首相案への疑問を語った。あきれたのは、なぜ自衛隊明記が必要なのかをめぐる、自民党の二階俊博幹事長への首相答弁だ。「自衛隊員たちに『君たちは憲法違反かもしれないが、何かあれば命を張ってくれ』と言うのはあまりにも無責任だ」安倍内閣を含む歴代内閣は自衛隊を合憲とし、国民の多くも合憲と考えている。誰が自衛隊にそんな指示をするというのか。的外れもはなはだしい。重ねて言う。憲法は国家権力を制限し、国民の人権を保障する規範である。だからこそ、改正には一般の法律より厳しい条件が課されている。なぜその改正が必要なのか。他に手段はないのか。いま優先的に取り組む必要があるのか。国民の多くが理解し、納得できる議論が求められる、としている。

産経新聞・社説
憲法と政党 改正論議の加速が必要だ

国会の代表質問で、憲法審査会での建設的議論を求め、自民党両院議員総会では「いよいよ(改正を)実現する時を迎えている。責任を果たしていこう」と語った。憲法改正の「一丁目一番地」はむろん9条である。現憲法の最大の欠陥は、国と国民を守る軍や自衛隊に関する規定がない点だ。北朝鮮や中国の脅威を前に国防の重要性は高まっている。いまなお「自衛隊違憲論」が生じる状態を放置できるはずがない。早急に正さねばならない。理解に苦しむのは、与党の公明党の姿勢や、日本維新の会以外の野党が積極的な行動を示さない点である。希望の党の玉木雄一郎代表は「憲法論議をリードしていく」と語ったが、同党は憲法や安全保障政策をめぐる党内対立が存在し、分裂含みとなっている。日本の独立と国民の生命を守り抜く議論の土俵に乗らなければ、国民の負託に応えられようもない、としている。

昨日は財政再建で息の合っていた朝日と産経が、憲法改正では同じ事象に真逆の反応を示している。国民にしてみれば、バカバカしいレベルの代表質問とその応答、そして新聞の反応。こんなレベルの憲法改正なら、まるで盛り上がることはないだろう。すでに裁量労働で立場を失い、内閣総辞職という言葉まで突き付けられる窮地が見えている安倍政権。支持率から想像するほどいい仕事をしない理由は何だろう?単純に他の選択肢があれば任せたくない人ということだ。野党は自らが選択肢に値する提案を考えてから代表質問をすべきだ。

日本経済新聞・社説
相続制度の見直しを機に自らも備えを

改正の最大のポイントは配偶者の生活を安定させることだ。故人が残した自宅について、所有権とは別に「配偶者居住権」を新設する。この権利があれば、別の人が所有権を取得しても配偶者は住み続けられる。また、結婚20年以上の夫婦で自宅の生前贈与などを受けた場合は遺産分割の対象から外す。改正案では、介護などで故人に貢献した相続人以外の親族が、相続人に金銭を請求できる仕組みも設ける。たとえば息子の妻が義父母の介護に尽力した場合だ。労に報いる方向は妥当だろう。ただ、それが特定の親族への介護の押しつけになってはいけない。税制をふくめ相続の制度は複雑だ。政府は改正の意義を分かりやすく国民に説明し、トラブルの発生と長期化を少しでも防ぐべきだ。同時に、国民一人ひとりの心がまえも問われる。遺言で本人の意思が明確に示されていればトラブルを減らせる。元気なうちに用意するのが当たり前であっていい。今回、自筆証書遺言を法務局で保管する仕組みもできる。しっかり生かしたい、としている。

読売新聞・社説
介護報酬改定 自立支援強化へ効果は疑問だ

2018年度の介護報酬改定の具体的内容が決まった。団塊の世代が全て75歳以上になる25年に向けて、いかに費用の膨張を抑えつつ、介護ニーズの増大に対応するか。介護保険制度が直面する最大の課題である。今回改定は、自立支援・重度化防止の推進に重点を置いた。リハビリなどへの加算を拡充する。家事の代行といった「お世話型」サービスは報酬を引き下げる。専門性が高くないとの判断から、担い手の資格要件を緩和し、介護職以外に広げた。それにもかかわらず、報酬の減額は45分あたり20円にとどまった。家事援助は、軽度者の安易な利用が目立つと指摘される。サービスの過剰利用は、むしろ高齢者の自立を阻害しかねない。財源と人材の有効活用の面でも問題だ。大幅な報酬減額が適当だろう。診療報酬との6年ぶりの同時改定となる今回は、医療との連携強化もテーマだ。入退院時の情報共有や、特別養護老人ホームや訪問看護での看取りなどの評価を拡充する。必要なサービスを切れ目なく提供する体制整備が大切だ、としている。

法の改正までも高齢化してきている。改正の内容はどれも高齢化で顕在化したトラブルの対策ばかりだ。老いてもトラブルが増えている現状。日本社会は暗い。トラブルの芽を摘む日経の提案も正しいと思うが、未だに自著にこだわる法には、時代錯誤を感じる。

人民網日本語版
ダボス会議の2つのキーワード (2018.1.26)

世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)が23~26日の日程でスイス・ダボスで開かれている。テーマは「分断された世界で共有の未来を創造する」。今会議は「分断」「協力」という2つのキーワードを際立たせている。前者は現代世界の際立った特徴を描き、後者は各国が世界の難題に対処するために通るべき道を示している。WEF設立者兼会長のシュワブ教授は今会議のテーマの選択について、大きく2つの意味があると繰り返し述べている。第1に、現代世界は分断の中にあり、国家間の地政学的戦略競争が激化し、社会内部の溝が深まり、あまねく広がる発展と世界資源の保護は力が足りず、既存の複数のグローバル・ガバナンス・システムは同時に機能しなくなる危険を抱えている。第2に、極めて厳しいグローバルな試練を前に、各国は過去のどの時期にも増して一致協力し、力を合わせて協力し、国家間の共通利益を打ち固め、新たな協力モデルを構築することを必要としている。そして、こうした協力は狭隘な利益観を排除しなければならず、人類共通の運命を基礎に築かれなければならない。分断された世界を前にどうするか。相互尊重、公平・正義、協力・ウィンウィンの新型の国際関係の構築推進、人類運命共同体の構築推進は、中国の答えであり、実践と責任感でもある、としている。

Wall Street Journal
影潜めたトランプ節、ダボス演説は米国の売り込み (2018.1.27)

トランプ氏の演説はトーンが抑えられ、主に米国内の政策課題や米経済の力強さに焦点が当てられた。トランプ氏はダボス会議最終日となった26日、聴衆を前に「『米国第一』は米国だけという意味ではない」と語りかけた。米国への投資を誘致しようとするトランプ氏の単刀直入な訴えは一部の聴衆には受け入れられたが、米国が世界で果たそうとする役割についても盛り込めば、一層望ましかったとの声も聞かれる。デンマークのクリスチャン・イェンセン財務相は「対米投資の力強い呼びかけだった。これはすべての指導者が持つ特権だ」とした上で、「このような場においては、重要な問題に対して、米国がどのように世界と再び関与していくのかという話がもっと聞きたかった」と述べる。英シンクタンク、国際戦略研究所の責任者、ジョン・チップマン氏も、トランプ氏の演説は「非常に親ビジネスで、米国を売り込んだ」との見方に賛同する。一方で、演説は「極めて一般的だったため、トランプ氏は自由貿易主義者で、搾取的な貿易を批判しているとの主張に人々が異を唱えることは困難だ」と述べた、としている。

毎日新聞・社説
米大統領がTPP復帰言及 戦略の見直しなら歓迎だ

トランプ米大統領が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への復帰に言及した。「米国第一」を掲げて自由貿易を批判し、1年前の就任直後に離脱してから初めてだ。米国抜きの発効に日本など11カ国が合意し、成長が見込めるアジアの経済連携に米国が出遅れる懸念が出てきた。米産業界などから復帰を求める声が上がっている。トランプ氏が秋の中間選挙もにらんで軌道修正するのなら前向きに受け止めたい。もっともトランプ氏は「米国第一」の主張を引っ込めたわけではない。米国に都合のいい2国間交渉を重視する姿勢は変えず、TPPへの復帰も再交渉が条件と強調した。日本政府も再交渉には否定的だ。まず11カ国での発効を優先させ、基盤を固める。その上で米国を説得し、復帰を働きかけていくべきだ、としている。

人民網がダボスをやけに気にするのは、昨年、習氏が訪れたからだろうか?トランプ氏の演説は恐怖を感じるほどではなかったが、1.25に書いたとおり、ダボス会議自体の存在意義、ブランドが失墜し、役割を終えたように思える。ダボスに集まるような人たちは、保護主義に対しても、格差の是正にも無力だった。イノベーションを起こす成功者たちは、過去のガンジーやカーネギーのように潔く富を分かち合う人たちではない。そこに政治権力が介入しても、拒絶さえできなかった。新しいリーダーを担う人たちは、この無様さを軽蔑するだろう。イーロン・マスクやジェフ・ベゾスがダボス会議を切望するとは思えない。一般紙が騒ぐと、時代が終わる。今回もまた、その事例のようだ。

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