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3245.報道比較2018.1.20

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この1年、もっとも壊れたのはアメリカでも自由主義でもない。メディアだ。

日本経済新聞・社説
機密費開示のルールづくりを

何でもかんでも秘密にすべきではない。ときの政権が自由に使える機密費の使途をめぐる訴訟で、最高裁がこんな判断を初めて示した。監視の目が届かないと不正が起きがちなのは官民を問わない。妥当な判決だ。機密費は正式には内閣官房報償費と言い、2017年度予算では12億3000万円が計上されている。極秘情報の提供者への報酬などに充てるためとされる。一切明かせないとしてきた国の言い分が否定されたのだから、この機会に与野党で話し合って公開の範囲をきちんと法律で定めてはどうだろうか。日本は機密費に限らず、機密文書の公開に消極的だ。書類の存在さえ否定することがある。これでは機密費が有益に使われたのかが検証できない。25年ぐらいで自動的に公開するルールが必要だ、としている。

日経のセンスに拍手。中身のないトランプ政権の考察より、この画期的な判決の方がずっといい。価値観が壊れるだの、自由主義の破滅だという前に、日本でも政治がメルトダウンしている中、司法にも必死に抗おうとする人たちがいる現実に目を向けるべきだ。トランプ政権も同様だ。業績は評価する。だが人間性も手法も、相変わらず最悪だ。その現実を拒絶するアメリカ人が多数いる事を、私は知っている。だからアメリカにはひきつづき期待する。アメリカ政府には何も期待しないが。日本政府も、中国政府も同じだ。いま世界で起きていることは、すべて似た感覚だろう。どこの国でも政府への信任が下がっている。政府など誰がやってもいい、役立たずな時代になっただけのことだ。司法が正しい番犬をしてくれることを切望している。

人民網日本語版
中国、17年のGDPが6.9%増  史上初80兆元の大台を突破 (2018.1.19)

中国国家統計局が18日に発表した統計によると、2017年、中国の国内総生産(GDP)の実額は82兆7122億元(約1406兆円)で、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年比6.9%増と、16年を0.2ポイント上回った。中国の成長率が前年から加速するのは、2011年以来6年ぶり。時期別に見ると、第一四半期(1-3月)と第二四半期(4-6月)のGDPは前年比6.9%増、第三四半期(7-9月)と第四四半期(10-12月)は同比6.8%増だった。中国中央テレビ局(CCTV)の特約評論家・楊禹氏は、「現在、総量という観点を超えて中国経済を観察するようになっている。総量の拡大の有無だけでなく、質の高い発展が効果的で確実に推進されているかという点をより重視している」と述べている。例えば、都市部・農村部の住民の収入が過去1年の間に実質7.3%増加した。つまり、ここ数年連続で、住民の収入増加が全体的な経済成長と基本的に足並みを揃えているということだ。中国がここ数年、供給側の構造改革を徹底して推進する中で、その取り組みの多くが自然と国民経済におけるデータに反映されてきている。例えば、昨年、中国全国の工業の付加価値は6.6%増で、うち、ハイテク産業、装置製造業、工業分野の戦略性新興産業などの付加価値が、6.6%よりもそれぞれ4-6ポイント上回った。これはイノベーションがもたらす変化で、供給側の構造性改革が推進されていることが、新エネルギーという分野の経済データに具体的に反映されている、としている。

2018年がはじまってから、20日間。アメリカの経済紙も、日本国内紙も、まともに経済を語る社説はなかった。FRB議長の交代と安定した株価だけ。年末に仕上がったトランプ氏の減税で、弛緩が思考停止まで進んだ印象だ。中国のGDPを見て、目を覚ましただろうか?このペースなら、2030どころか、あと5年で中国はアメリカの経済規模を超える。日本のゼロ成長では、国家規模が10倍以上の差になるだろう。年収1000万円の人に、年収100万円の人が話をするのと同じギャップが生まれる現実を直視した方がいい。無能な記事で1年を振り返っている時か?生産的な仕事をした方がいい。

Wall Street Journal
「トランプ・パラドックス」の2年目 (2018.1.19)

フェイスブック のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)とドナルド・トランプ米大統領の違いは何か。そこで考えてみたいのが「トランプ・パラドックス」だ。トランプ氏は戦後最も嫌われている米大統領かもしれないが、政策面では戦後の歴代大統領の中でも極めて堅調な就任1年目を終えようとしており、特に経済強化の成果はめざましい。トランプ・パラドックスは就任1年目の大半にわたり、大統領のメッセージを聞く側の心理状態に影響を与えるということ以外には大きな意味を持たなかった。制御できない天気に反応するのと同じように、「トランプ」に反応することが人々の日常と化した。だが任期2年目を迎えるにあたって、筋立てが変わろうとしている。2018年に起こることは全て11月の中間選挙に与える影響に基づいて判断されるからだ。ディック・ダービン上院議員(民主、イリノイ州)との会合も例外ではない。トランプ氏の「メルトダウン」が起きているのは女性有権者層で、原因は同氏の冷ややかな態度と無頓着さにある。仮に民主党が勝利を収めたら――敵が政策面で大きな失敗を犯したわけではなく、不人気な戦争も続いておらず、景気後退も起きていないなかでの勝利だ――それは目を見張るべき成果といえるだろう。トランプ氏への人格攻撃を除くと、民主党の政策面の内容はほぼゼロだ。ただ全ての候補者が反トランプを掲げて選挙戦を戦えば、あまり頭を使う必要もない、としている。

朝日新聞・社説
トランプ1年 危ぶまれる米国の理念

失望の連続だった。米大統領としての資質に欠ける疑いが深まる一方である。トランプ氏がきょうで就任1年を迎えた。「力による平和」をとなえるトランプ氏は、米国の力の源泉を見誤っている。軍事と経済がすべてではない。自由と平等を重んじる寛容な多元主義という理念こそが、世界での指導的な地位を裏打ちしてきた。中国やロシアなど、台頭する各地の国々は軒並み、独裁や排他的な強権統治を強めている。その潮流のせき止め役になるべき米国が逆に、自らの理念を損ねていくのは嘆かわしい。この間は、米国の統治システム全体の健全さが試されてきたともいえる。一部の移民・難民に扉を閉ざそうとした大統領令に対し、司法がただちにブレーキをかけたのは救いだった。一方、この異色な大統領との個人的な関係がめだつ外国首脳といえば、安倍首相である。気候変動対策に背を向けるなど国際社会にとって米政権のリスクが高まる中、ひたすら蜜月関係を強調するのは異様だ。国際秩序の行方が危ぶまれるからこそ西欧の首脳と同様、トランプ氏に率直に苦言を呈す。その責任が安倍首相にある、としている。

産経新聞・社説
トランプ政権1年 「孤立主義」と決別せよ

トランプ大統領が就任演説で掲げた「米国第一主義」は、強いアメリカを取り戻すことに主眼があったはずである。本来その源泉は、米国が重視してきた自由と民主主義の普遍的価値、国際秩序を守ることにある。だが、トランプ氏は必ずしも重きを置いていない。その結果、南シナ海などで、中国にわが物顔の振る舞いを許してしまった。中国は軍事、経済の両面で、米国が主導し、国際社会が繁栄の基盤としてきた既成秩序の破壊を狙っている。それでも、北朝鮮包囲網の強化にあたり、中国への依存を強めざるを得なかった。中国が原油の全面禁輸を拒む限り、早急な核放棄の実現は至難である。対北政策の舵取りは極めて難しい。11月の米中間選挙で、共和党が上下両院の過半数を失えば、トランプ氏弾劾の動きが勢いづく。そうした事態を避けるため、白人労働者の支持層をつなぎ留めようと「内向き」政策に拍車がかかる懸念は残る。貿易赤字の是正に躍起となって、相手国を恫喝する通商交渉を激化させれば、米国は孤立し、威信そのものが損なわれよう、としている。

毎日新聞・社説
トランプ1年 米国第一主義 リーダーの責任はどこに

超大国が自国優先を振りかざし、国際協調に背を向けたままでは、世界の秩序を維持できない。「米国第一」が旗印のトランプ米大統領は貿易赤字削減と雇用確保を最優先にする保護主義政策を進めてきた。代表例が、多国間の自由貿易を目指した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱だ。もっとも、この1年の世界経済は好調に推移した。TPPは発効前であり、米国離脱による景気への影響はひとまず避けられた。世界的な回復の主因は貿易の活発化と国際通貨基金(IMF)は分析している。第二次世界大戦後に国際社会が築いてきた自由貿易体制の成果である。もともとけん引したのはグローバル化のメリットが大きい米国だ。最大の貿易赤字相手である中国に対しては、巨額の制裁関税を検討している。中国との貿易戦争に発展し世界経済を混乱させかねない。そうなれば米国にもマイナスに働く。輸出が落ち込むと雇用に響く。安い輸入品が減れば、家計を圧迫する。とりわけトランプ氏が支持を呼びかけた低所得層に痛手だ。トランプ氏の判断基準は米国に損か得かである。実利を追うだけで協調を軽視しては孤立を深める。それは米国の利益にもならない、としている。

読売新聞・社説
米政権発足1年 「トランプ流」に世界が揺れた

「米国第一」を掲げる内向きの外交と、ツイッターによる奔放な発信によって、混乱と対立が世界に広がった。予測不能で過激な言動は、今後も変わるまい。トランプ米大統領の就任から20日で1年を迎える。異色の指導者とどう付き合い、国際秩序の安定を維持するか。日本をはじめ、各国の賢明な対応が問われる。中国は、米国に代わる形で、「自由貿易や国際協調を主導する」と喧伝している。放置すれば、一党独裁の政治制度が優位にあると認めることになりかねない。日本はトランプ政権に、環太平洋経済連携協定(TPP)の意義を説き続け、戦略の共有と同盟の深化を進めるべきである。アジアの安定と繁栄が日米共通の利益であるとの認識を深めたい。見過ごせないのは、政策を立案、遂行する態勢がいまだに整っていないことだ。専門家が少なく、各省庁の高官人事は遅れている。駐韓大使すら、不在のままだ。トランプ氏の側近だった人物の更迭が相次ぎ、大統領選勝利を導いたバノン元大統領上級顧問も袂を分かった。トランプ氏と長女のイバンカ氏ら親族に権力が過度に集中していては、安定した政権運営は見込めまい。11月には、連邦議会の中間選挙を控える。有権者が政権に対する評価を下す場となろう。共和党が敗北すれば、トランプ氏の求心力は一気に低下しかねない、としている。

この1年、もっとも感じているのは、Wall Street Journalの品質が極度に下がったことだ。エッジはなくなり、論点がぼやけ、正論を避ける。ステレオタイプの意見が増えているのも気になる。国内紙の今回の社説を書くような老害としか言えない価値観の人たちは、新聞の時代が終わるとともに消えてもらおう。シンプルに、政治から距離を置けばいい。政治がどれだけ無茶をしても、アメリカは自由の国でありつづけた。移民への締めつけは未だにあらゆる抵抗に遭っている。支持率も伸びはしない。トランプ氏がどれだけツイートしても、誰も騒がなくなった。彼がした年末の減税法案の実績は素直に認める。ずいぶん格差が拡がりそうで、自分のための減税法案では?とは思うが。それでも、アメリカ経済はまともに機能したし、日本ではいつしか普通になっているヘイト・スピーチや、韓国や中国への攻撃的な言動もアメリカでは生まれていない。むしろ、女性も、ヒスパニックや黒人も、ゲイやレズビアンも立ち上がっている。メディアが目を背け、迎合しているだけで、誰もトランプ氏を認めたわけでも、信じはじめたわけでもない。悲観する必要もなければ、肯定する必要もない。3年後に誰を選ぼうか?と笑い飛ばせばいいだけのことだ。この1年、もっとも壊れたのはアメリカでも自由主義でもない。メディアだ。

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