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3234.報道比較2018.1.9

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どうやら、今年のトレンドは仮想通貨が握りそうだ。AIよりもずっと下世話で、騒がしい。

読売新聞・社説
食品ロス削減 過度な「鮮度志向」見直したい

売れ残りや返品、食べ残しなどによる国内の食品ロスは、年間約620万トンと推計される。毎日1人あたり茶わん1杯分の食品が捨てられている計算だ。貴重な資源の浪費であり、企業の経営を圧迫する側面もある。コストがかさむ分、小売価格の上昇を招きかねない。製造から賞味期限までの期間の3分の1を過ぎると、メーカーや卸売業者は小売店に納品できない。まだ食べられる商品が、廃棄を余儀なくされる仕組みだ。売り場でも、賞味期限まで一定期間を切った商品は撤去される。ここ数年、一部の大手小売りチェーンなどでは、3分の1ルールの見直しが始まっている。保存性の高い菓子や飲料について、納品期限を「賞味期限までの期間の2分の1」に延ばすものだ。外食は大量の食べ残しが問題だ。各地の自治体で「宴会の最初の30分、最後の10分は着席して食べよう」といった呼びかけが始まっている。ゴミ量削減に少なからぬ効果があるという。食品ロスの半分近くは、家庭から出ている実態がある。少なくとも手つかずで捨てる食品を減らすような消費行動を、一人一人が心がけたい、としている。

読売が興味深い話題を、ひきつづき提供してくれている。食品ロスの話ですぐにコンビニや外食をやり玉に挙げるが、廃棄の半分は家庭から出ているという注目すべき点を指摘している。貧困や格差が問われる時代に、食品ロスが家庭から半分出る不条理。きっと昨今の話ではなく、以前辛そうだったのだろう。もったいないが日本の美徳というのは、完全に虚構であり、都合よく解釈して悪い部分から目を反らしている。国民の省エネ意識でオイルショックを乗り切った国民性を取り戻すべきだ。精神論ではなく、知恵で。

産経新聞・社説
原子力エネルギー 基本計画に確たる位置を 国産の高温ガス炉に夢託せ

今年はエネルギーに関する国の方針を定めた「エネルギー基本計画」の改定年に当たっている。事故から満7年を迎える中での基本計画見直しでは、わが国のエネルギー自給率の低さを再認識した上で、エネルギー安全保障やパリ協定の約束履行などを視野に入れ、原子力規制委員会の審査に合格した原発の積極利用を図るべきである。国内には42基の原発が存在するが、3・11後に運転を再開できたのは、5基にすぎない。そのうちの四国電力の伊方原発3号機(愛媛県)は、昨年12月に広島高裁による仮処分で運転差し止めを命じられた。その結果、稼働中の原発は、九州電力と関西電力の計4基となっている。規制委によって厳格な新規制基準への適合性が認められた原発を強制停止させること自体、仮処分という法制度の乱用ではないか。「司法リスク」という流行語さえ生まれている。この現状については法曹界での検討を望みたい。原子炉の熱を安定なヘリウムガスで取り出す高温ガス炉は、運転用の水がいらない。配管破断や電源喪失が起きても炉心溶融に至らない。大型化はできないが、運転も容易で安全性が極めて高い。以前は原発大型化の流れの中で出番がなかったが、世界的な安全志向の高まりで、一躍脚光を浴びる期待の星になってきた。今年を、日本の原子力利用の再出発と新たな研究開発の元年として輝かせたい、としている。

エネルギー政策改定には、注目したい。支持率の高い政権が、原発問題に正しい議論で糸口を見出せるだろうか。期待している。なし崩しでないなら、私は産経のアイディアにも賛同できる部分がある。過度の危険視で触れないようにするよりは、科学的な観点から制御しようとする方が、明らかに正しい。だが一方で、日本人はあれだけの事故を起こしても、未だに制御に値するマネジメントを確立できていない。誰が責任者なのか見えない構造は、同じ過ちを繰り返すのは確実だ。必要なのは技術ではなく、マネジメントだ。きっと経済産業省も政府も、答えを出せないだろう。なぜなら、経済産業省も政府も、自らの責任に及び腰なのだから。

朝日新聞・社説
「学び」の支え 公助の乏しさ共助で補う

教育にかかる費用を社会全体で担っていかなければ、日本は立ちゆかなくなる――。そんな認識が共有されつつある。家庭の貧富の差は学力や進学の格差を再生産し、人々に分断をもたらす。公助の乏しさを補う知恵だ。たとえば、「異世代同居」という試みがある。高齢者の家の空き部屋を学生の下宿用に貸し出す。京都では官と民が連携して、東京や福井ではNPOや大学の研究室などが、それぞれ進めている。京都のある下宿生は、自分の専攻と老夫婦の元の職業が同じデザイン関係だ。大学で「食を楽しむデザイン」という宿題が出たときは、居間で一緒にアイデア出しをした。「家に先生がいる感じ」と学生が言えば、夫婦は「誰かの役に立つのはうれしい」と話す。ほかにも、教育や若者支援をめぐる「共助」の取り組みは各地にある。公営団地の空き住戸を学生に安く提供し、地域ににぎわいを取り戻す施策なども、そのひとつだ。地域の課題と思われていたものを、強みに転じさせる工夫でもある。国・地方を問わず財政事情は厳しい。制約はあっても、柔軟な発想で教育の機会均等と充実を進めなくてはならない。持続可能な支え合いの仕組みを、身近なところから探りたい、としている。

日本経済新聞・社説
技術革新に合わせた労働政策を

AIやロボットは生産性の向上に役立ち、労働時間の短縮が進めば女性や高齢者が働きやすくなる利点もある。経済を持続的に成長させるには、これらを積極的に活用する必要がある。AIやロボットが雇用に及ぼす影響をめぐっては、経済協力開発機構(OECD)加盟国全体で9%の職業がAIなどに代替される可能性が高いと、ドイツの研究者らは試算している。重要なのは第1に、働く人の能力開発だ。正社員、非正規社員を問わず、いまの仕事がなくなったり減ったりしても、別の仕事ができるようにしなくてはならない。ドイツ政府は16年、デジタル時代の労働政策を軸とした白書「労働4.0」を発表した。失業前からの継続的な職業訓練や、雇用の受け皿となるサービス産業の労働条件改善などを挙げている。日本も技術革新を踏まえた総合的な労働政策を打ち出してはどうか。年功色の強い人事処遇制度は早急に見直すべきだろう。学び続けるのに適した環境になっているか、企業も点検を求められる、としている。

毎日新聞・社説
論始め2018 人口減少と労働力 従来の枠組みを超えよう

産業界では現役世代の人口減少がすでに深刻な労働力不足をもたらしている。20年には416万人が不足するとの試算もある。従来の枠組みを超えた取り組みが必要だ。労働力不足への対処法としては、(1)ITなどによる省力化(2)国内の潜在労働力の活用(3)外国からの移入--の3点が挙げられる。「生産年齢」と言っても、現在は10~20代前半で働いている人は少ない。むしろ65歳を過ぎても働いている人の方が多い。今後も65歳以上の人口は増えていく。日本人の健康寿命は延びており、65歳で定年とする制度や慣行の見直しが必要ではないか。問題は外国人労働者である。一昨年、日本で働く外国人は初めて100万人を超えて108万人となった。実習生はブローカーに多額の仲介料や保証金を取られる上、日本に滞在できるのは原則3年。決められた会社でしか働けないため、低賃金で劣悪な職場環境に不満があっても転職ができない。こうした技能実習制度は国内外から強い批判を浴びてきた。政府は受け入れ期間の3年から5年への延長、実習生からの保証金や違約金の徴収禁止などに取り組んでいる。日本の社会が人口減で縮小し、活気を失わないためには、これまでの発想を変えるべきだ。高齢者や女性、外国人労働者など多様な人材が活躍できる社会を目指したい、としている。

同じ人口減の話題だが、明らかに朝日の取り組みの方が明るく、前向きなことに気づく。異様に抵抗感の強い外国人の受け入れや、女性を働かせようとして育児にしわ寄せがいったり、老人を働かせて年金の支給を先送りしたりと、本末転倒だけでなく問題をさらに大きくするような取り組みよりは、知恵を絞ってやれることはやる方が、ずっと合理的だ。ITにやけに期待しているが、日本のIT能力が問題解決としては高くなく、基盤技術を海外に押さえられているのを考えれば、ITに頼るほど少しずつ資産は外国に流出する。自分はIT界にいるので、それでも技術的にメリットの大きいグローバル・スタンダードがいいと思うが、品質に劣る国産を使わされれば、安かろう悪かろうになり、産業の育成や国際競争力では劣る。若い世代には、世界の競争で戦える能力を身に付けて欲しい。人口減の対策で若年層の能力がスポイルされることはあってはならないと思う。

人民網日本語版
中仏関係の三大特質が示すもの (2018.1.8)

フランスのマクロン大統領が8~10日、習近平国家主席の招待で中国を公式訪問する。中国にとって、第19回中国共産党大会精神の貫徹を開始する年に初めて迎える外国元首の訪問であり、中仏関係は新たな歴史的発展のチャンスを迎える。フランスは西側で初めて中国と民生用原子力協力を実施し、中国と航空輸送協定を締結した国であり、最も早く対中投資を始めた国の1つでもある。2014年3月の習主席による歴史的訪仏は、緊密かつ持続的な中仏包括的・戦略的パートナーシップの新時代を切り開いた。中仏協力は全面的に加速し、企業の全産業チェーン協力、共同研究開発・製造、第三国市場の共同開拓というさらに高い段階へと邁進している。双方は「メイド・イン・チャイナ2025」とフランス未来工業計画を積極的に連携させ、持続可能な発展、金融、農業食品、イノベーションなど新興分野の協力を大いに拡大し、より緊密なパートナーシップを築き、引き続き中国と西側の協力を先導し、世界経済の持続可能な発展、国際産業の高度化に「中仏の案」を貢献している。マクロン大統領は対中関係を重視しており、習主席と2回電話会談し、G20ハンブルク・サミットで初の会談にも成功した。われわれには、果敢に夢を追う中仏両国が手を携えて共に歩めば、必ずや新たな時代の夢を実現し、新たな未来を開拓できると信じる理由がある、としている。

中国とフランス。利害がうまく噛み合い、羨ましいほど良い関係が作れている。アメリカへの牽制に、ヨーロッパとアジアでの後ろ盾に、この関係はずっと機能してきた。トランプ政権になったアメリカに対峙するのは、中国とフランスの関係は、さらに利用価値が高まるだろう。

Wall Street Journal
北朝鮮ハッカーの新手口、「モネロ採掘」標的に (2018.1.9)

北朝鮮が悪意のあるソフト(マルウエア)を使い、仮想通貨を採掘(マイニング)するとともに、盗み出した通貨を北朝鮮の大学に送っていたことが分かった。経済制裁下で、代替の資金源を確保しようと、北朝鮮が新たな資産を標的にしている実態が浮き彫りとなった。ハッカーは昨年12月24日、マルウエアを使い、感染させたコンピューターに仮想通貨モネロ(Monero)を採掘するよう指示した。モネロは「安全かつ内密、追跡不可能な」仮想通貨で、利用者のアカウントや取引は「詮索の目」から守られるとしている。北朝鮮のハッカーはここ数カ月、とりわけモネロを標的にし、感染先の銀行や民間企業のサーバーからモネロを盗もうとしていたとサイバー防衛の専門家らは指摘する。北朝鮮ではインターネットやコンピューターへのアクセス環境が悪く、攻撃の標的が海外に向かう要因になっているという。ビットコインの値上がりを背景に、足元では採掘業者が数に限りのあるコインを求めて競い合っている。ドーマン氏は、新たなビットコインの供給が少なくなるのに伴い、ハードウエアや電気代などのコストが利益を相殺する可能性があるため、ハッカーにとっては、モネロはビットコインよりも大きな儲けが得られる可能性があると述べる。「(モネロのマイニングソフトウエアを)他人のコンピューターでやれば、コストはかからず、丸儲けできる」としている。

北朝鮮が仮想通貨を標的にするのは時間の問題だった。決済にビットコインを指定した時は、アシが付きやすく、後で取引をご破算にできかねないブロックチェーンをなぜ?とも思ったが、モネロという聞きなれない仮想通貨を選択したのを見ると、どうやらビットコインは北朝鮮の資産化には貢献しなかったようだ。こうして技術がキャッシュやゴールドよりも魅力的な機能を持っていれば、世界はさらに仮想通貨を推進する。だが、偽札やマネーロンダリングがあるように、新たな仮想通貨でダークサイドの要件を満たす仮想通貨ができるとは…私は北朝鮮がサイバー空間に悪意を働くよりもずっと、そのことを悲観する。結局、仮想通貨は何ひとつ、国家の通貨の魅力を越えそうもない。

Financial Times
2018年に市場を動かす3つのトレンド (2018.1.8)

事態がどう転ぼうとも、以下に挙げる3つの問題が市場を動かすことになる。何よりまずは、賃金だ。賃金はついに力強く、広範囲にわたって上昇するだろうか。所得の低い労働者(在宅看護や病院、小売業界で働く人々)と、高額報酬分野のスーパースター(例えば金融サービス業界など)は賃金が上昇したが、その他大勢の人は上昇していないのだ。
もう1つ注目すべきことは、言うまでもなく、企業の支出だ。減税が決まった後、AT&TやCVSヘルス、フェデックスといった企業がボーナスや採用増加を発表する動きが多少あったものの、大半の企業はまさに昨年やったように、浮いた税金の大部分をM&A(企業の合併・買収)、自社株買い、配当金支払いに回す公算が極めて大きい(実際、FRBの議事録はまさに、この点を示唆している)。この2つの要因は、記録的な企業の債務バブルを弾けさせ、弱いプレーヤーをあぶり出し、調整の引き金を引く恐れがある。
最後に、もし今年の年末までに調整が起きるとしたら、それはどこから生じるだろうか。ハイテク業界に注目していく。ハイテク業界はこの1年、世界の株価の大きな原動力となってきたが、業界のビジネスモデルはライトタッチな規制という今後変わりそうなものに基づいているからだ。データは結局のところ、新たな石油だ――デジタル時代において最も貴重なコモディティーだということだ。誰がデータを支配するか、しっかり注視しておくといい。その企業が今年、さらには向こう何年も勝者になるのだから、としている。

「データが石油」とは、なかなか興味深い。カネのなる木の意味では同意するが、一番カネを手にするのは、掘り当てた人ではなく、精製する人…データを使って価値ある情報に変換した人だ。だから国家がデータに、特に個人情報に国境を設けたいと吠えるのは判る。問題は、溜めたデータを、どうカネのなる木にするか…だ。残念ながら、いまそれをできているのがシリコンバレーだけ。しかも、国境を越えて集めるからこそ、価値が出ていたのだ。そのジレンマに、国家はどう答えを出すだろうか?

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