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3225.報道比較2017.12.31

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大晦日が、ただの総括になるよりは、実質的な方が楽しめる。最後まで朝日と読売は没落ぶりを見せた。2018年は、どんな報道を各紙見せてくれるだろうか?

産経新聞・社説
医師の偏在 政府挙げて根本解決せよ

専門的な医療を目指す医師が増えた。自分の子供の教育環境を考え、医師数が少ない地域での激務を嫌う。結果として大都市部に医師が集中する。都道府県間の差も大きいが、同じ県内でも地域により開きが生じる。厚生労働省は地域医療構想を都道府県に描かせ、医療機関同士の連携と役割分担を進めている。だが、肝心の医師が不足したのでは画餅に帰す。医療団体の代表者など、利害関係者が議論を重ねている。そこに抜本策を望むのは難しい。いたずらに時間を費やす間に地方の人口減少の方が進んでしまう。「地方」とはどこを指し、何をもって偏在というのか、その尺度についても根本的な見直しを行うべきだろう。厚労省任せではできない。人口減少対策の先例となるよう、安倍首相は省庁を横断して政策を総動員し、取り組んでもらいたい、としている。

大晦日に回想ではなく、実質的な話題を選んだ産経。しかも提案は大胆でユニーク。最後にすばらしい社説になった。これなら、政治に要請するのではなく、これならファンド化して民間で推進した方がいいプランだ。ユニークでビジネスとしても確実に収益が期待できる。闘志は集まる可能性が高い。さらに、現代の社会問題の解決策にもなりうる。規制が推進を邪魔した時、はじめて政治が判断すべきで、その際には産経のようなメディアの主張が機能する。評価できるアイディアだと思う。推進して欲しい。

日本経済新聞・社説
記録ずくめの株高が迫る真の改革

2017年が終わる。日本経済の鏡ともいうべき株式市場をふり返ると、今年は記録ずくめの1年だった。株価上昇は消費者や企業経営者の心理を前向きなものにする。株高を日本経済を真に改革する力にもしたい。日本市場はグローバルな趨勢に引っ張られている面が大きい。多くの海外市場で株価が最高値圏にあるのに、日経平均はバブル期のピークの約6割にとどまっている。この現実を直視すれば株高に安穏としてはいられない。来年はリーマン・ショックから10年だ。世界がふるえた金融危機の記憶もよみがえる。新たな危機の芽が育っていないかどうか、点検する必要がある。世界の中央銀行が緩和政策を長く続けたため、市場のいたるところでマネーがだぶつき、合理的とは思えない価格形成も目につくようになった。例えば一時は年初来で20倍に値上がりした仮想通貨「ビットコイン」だ。仮想通貨の裏づけ技術である「ブロックチェーン」を社名に加えただけで株価が急騰する例も見られる。社名に「ドットコム」とつく企業の株価が上がった1990年代末の米ネットバブルをほうふつとさせる。株式市場では楽観が広がっている。だからこそ国も企業もリスクへの目配りを怠ることなく、改革を進めなくてはならない。株高に映る未来を引き寄せるものは、私たちの変わる力だ、としている。

Wall Street Journal
順調だった米国株、2018年も勢い続くか (2017.12.30)

2017年の米株式市場ほぼ、投資家の予想を上回って推移した。TDアメリトレードのチーフ市場ストラテジスト、JJキナハン氏は「市場の勢いを削ぐものはなかった」とし、「何度かふらつく場面もあったが、売りが急激に膨らむことはなく、押し目では必ず大きな買いが入った」と振り返る。だが17年の株価の大幅上昇を受けて、アナリストからは18年に失速するとの懸念の声も聞かれる。歴史的な水準に沈んだボラティリティーが、大方の予想通り上昇に転じれば、こうした傾向は強まるだろうというのだ。株価に割高が出ているだけでなく、米国債利回りも景気先行きを巡り、慎重なシグナルを発している。だが、他にリセッションを示唆する兆候がない中で、投資家の多くはこうしたイールドカーブの示すシグナルを疑問視する理由があると考えている。欧州や日本の中銀による超緩和政策が投資家を米国債へと向かわせ、その結果、長期債利回りは押し下げられ、イールドカーブがゆがめられているとの指摘も上がる。ただ、投資家もアナリストも多くは、イールドカーブのフラット化が継続すると予想する。米連邦準備制度理事会(FRB)が今後も利上げを続け、2年債利回りが上昇する可能性があるためだ。これに加え、経済成長が減速し、18年はより厳しい状況に直面するかもしれない。一部のアナリストは、法人減税が成長率や株価を押し上げる可能性があるとして、明るい材料だと指摘する。半面、減税による恩恵はすでに株価に織り込まれ済みで、18年の上値余地は限られると話すアナリストもいる、としている。

今年、株がさらに上がると見ていた人は聞いたことがない。トランプ・ラリーと呼ばれた暴騰のあと、割高と言われながら何の調整もなしにここまで上がるのは、不可思議で気味が悪いほどだ。私は相変わらずショートを持ったまま。含み損は膨らむし、早過ぎたのだろうとは思うが、ずっと今のマーケットを疑いつづけている。もちろん、いくつか持ったロングはしっかり利益を出してくれている。資産運用は分散と資金効率が何よりも大事だと思い知る。
日本株の上昇で儲けているのは、残念ながら外国人投資家ばかりだ。国内投資家はこの上げ相場でずっと売り越し。ようやく上がったところで、過去の遺産を手放したのなら、次に塩漬け株を仕込むのも、また日本人投資家になるだろう。学ばなければ、投資はいつまでもこの国に根付かない。ビットコインを気にする前に、日本が本気で貯蓄より投資を目指すなら、教育だ。Wall Street Journalのような記事を求める時代が日本にも来るといいのだが。

読売新聞・社説
人工知能の未来 社会に根付かせる工夫が要る

進化し続ける最先端技術を国民の暮らしにどう役立てるか。人口減社会を乗り切る技術革新のあり方について、知恵を絞らねばならない。こうした事態を打開するカギとして、人工知能(AI)やロボット、あらゆるものがインターネットにつながるIoTの技術が脚光を浴びつつある。最先端技術が、企業の人材不足を補う。効率化で増えた利益は賃上げにつながり、個人消費の盛り上がりも期待できよう。政府は、AIを社会に根付かせるため、新たな法整備や規制緩和などの後押しが欠かせない。例えば、自動運転車などAIを使った製品による事故・損害に対処する法律はこれからだ。日英の共同研究では、10~20年後には現在の職業の半分が、AIやロボットで代替できるようになるとの予測がある。「人への投資」が大切となろう。新たな成長分野への人材移動が求められる。柔軟に対応できるよう、企業は、従業員研修などの充実に努めることが重要だ。近い将来、人間の思考に匹敵するAIが登場するかどうかは、専門家にも多様な意見がある。少なくとも、技術革新に伴う失業などの副作用について、産学官で十分に分析し、対応策の検討を急いでもらいたい、としている。

産経同様、大晦日に読売は不思議な話題を選んだ。たしかに今年のITのトレンドはAIだった。だが、主張の内容を見る限り、読売のAIの捉え方は古い。政治が関わるとしたら、後手に回って法整備するしかできないだろう。これからAIで雇用も、経済活動も、社会も変化する。先に研究して答えを出せるものは少なく、今までの日本の事例を考えれば、無力で無意味な予算浪費になる。まったく奨められないアプローチだ。勉強会程度に留めておくのがリスクが小さくていいのではないか。それは、ネガティブという意味でも、期待薄というわけでもない。まだ見ぬものに予算を投下して、もんじゅやハイビジョンのようなヘマをする余裕は、いまの国家にはないということだ。人への投資という言葉は適切だが、今から大学が学部を開いても遅過ぎるし、あまりにAIはぼんやりしている。ビッグデータと数年前に騒いだトレンドが、どれだけの果実を生んだかを検証すべきだ。きっと、猛烈にデータを蓄積しながら、利用もせずに死蔵しているのが大半だろう。今回のAIも、本質を理解しなければ日本はまた無駄な投資で終始し、世界から売られるソリューションを買うだけになる。日本が間違っているのは、プロジェクトの進め方であって、テーマの選び方ではない。

人民網日本語版
習近平総書記が中日与党交流協議会の日本側代表と会見 (2017.12.29)

習近平中共中央総書記(国家主席)は28日、中日与党交流協議会第7回会議に出席するため訪中した自民党の二階俊博幹事長、公明党の井上義久幹事長及び日本側代表団と北京で会見した。習総書記は、中日与党交流協議会が双方関係の発展に果たしてきた役割を積極的に評価。両幹事長が長年にわたり中日与党交流の推進にたゆまず尽力し、両国の実務協力及び民間友好の促進に努力してきたことを賞賛した。また「双方が党間交流を強化し、意思疎通と協力を深め、中日関係の改善・発展に先導的役割を発揮することを希望する」とした。二階、井上両幹事長は中国共産党と交流・協力を強化し、両国関係の発展推進に一層の貢献をしたい考えを表明した。中国共産党と日本の自公両党による中日与党交流協議会第7回会議は25日から26日にかけて福建省厦門(アモイ)・福州で開かれ、「中日与党交流協議会第7回会議共同提議」を発表した、としている。

今年は、明らかに中国の年だった。トランプ氏のアメリカが小さく見えるほど、習氏の中国は安定し、着実に実績を積み上げた。首脳会談でのブラフも受け流せる余裕が中国には生まれたし、もはや中国は出向く人から出迎える人になっている。大国にふさわしい振る舞いを、これからもつづけていけるだろうか?どこかで困難は訪れるし、インドは中国を焦らせるに違いない。その時、中国はどんな表情を見せるだろうか?

朝日新聞・社説
2017―2018 聞けなかった声、を

精神科医で立教大教授の香山リカさんは最近、診察室を訪れる若者の変化を感じている。「つらいんです」。どういう風にですか?と聞いても、「つらいってことです」。単調なやりとりが増え、「この感じがとれる薬ください」と、カウンセリングより手っ取り早い薬物療法を望む人も目につくようになった。自分の内面を掘り下げ言葉で表現する力が落ちているように思う。大学で学生たちと接していても、「『私』をどこかに預けている感じがする」という。――なぜ預けるんでしょう?「自分の弱さと向き合うのはとても苦しいことだから、でしょうね」。
秋に発覚した座間の事件。昨年、相模原で起きた事件。自分とは別世界の「異物」が引き起こしたものと、簡単に切り捨ててはいないか。「死にたい」というつぶやきを、「障害者は生きていても仕方がない」という、社会への「挑戦状」を、私たちは真正面から引き受け、考えてきただろうか。精密な受信器はふえてゆくばかりなのに/世界のできごとは一日でわかるのに/“知らないことが多すぎる”と/あなたにだけは告げてみたい(茨木のり子「知らないことが」)社会的想像力が弱れば、負担を押し付けられた人は押し付けられたまま、ブラックボックスはブラックボックスのまま、力を持つ人の声だけが響く、それはそれでスムーズな社会が現出するだろう.2017年が終わる。聞かなかった、聞けなかった数多(あまた)の声に思いをはせる。来年こそはと、誓ってみる、としている。

昨日につづき、今年の朝日のひどさの一面が見える。昨日は視点は評価できるが、今日のパターンは最悪だ。感情に任せているだけで、何の分析もない。流行語や感覚的に時流と取材をリンクしているが、はたして主張の信憑性は?私には疑わしい。偽ニュースと呼ばれるものの大半が、このパターンだ。事象をひとつ捉えて、まるですべての事象はこのパターンに当てはまると大声を上げる。いくつも似た取材を作為で集めて「いくつもある。これが現実だ」と言う。反論を探すのではなく、都合のいい事実を探す。それは報道ではないとなぜ忘れたのだろう?朝日がこんなことを社説でしているうちは、復活どころか、衰退はつづくだろう。

毎日新聞・社説
回顧・トランプ政治元年 国際政治の地軸が動いた

千葉県で見つかった地層が地球の磁場逆転の時代(チバニアン)を物語るように、後世の歴史書は2017年を起点とする国際政治の特異さを記すだろう。トランプ政治。今年はその元年だった。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や地球温暖化対策のパリ協定からの離脱宣言。そして今月は世界の反対と懸念をよそにエルサレムをイスラエルの首都と認定した。「米国は必要なら本当に軍事力を使う。そう人々に知らしめれば、米国の待遇は変わる。尊敬をもって処遇されるようになる」トランプ氏は著書(「グレート・アゲイン」)にそう書いた。単純なまでの軍事力信仰。史上最強の軍事力を現実的な利得に変えようという姿勢は一貫している。だが、国際的枠組みからの離脱やイスラム教徒の入国規制などは「自由の国・米国」のソフトパワーを損ない、その分野での米国の利益も失わせる。結局はトランプ氏の支持層にもツケが回る可能性がある。トランプ政治を米国民と世界がどう評価するか。その答えが出るのは来年以降だが、破壊に終始すれば豊かな社会も本当に安全な世界も築けない。それだけは確かである、としている。

朝日同様、毎日の今年のひどさを象徴する終わり方だ。トランプ政権は波乱ではじまったが、最後には30年ぶりと言われる減税法案を通した。大統領令のサイン数も多く、決して間違ったものばかりでもないし、保守的なものに偏ってもいない。トランプ政権の1年を振り返るなら、想像以上に安定して、大統領としての仕事の仕方を学んだ可能性を感じる1年というのが現実だろう。勝手に毎日が求めるバイアスでフィルターし、都合のいい事実だけで恐怖心を煽っている。それを意味不明にチバニアンと関連させるあたり、素人のブロガーでもやらない表現だ。これが新聞?どこまで衰退するだろう?

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