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3224.報道比較2017.12.30

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年末の各紙のセンスが興味深い。ばらついたのは今年が安らいだ年末を迎えている証だろうか?

読売新聞・社説
地方分権改革 住民視点で全国一律を見直せ

政府が、地方分権改革に関する今年の対応方針を閣議決定した。第8次となる地方分権一括法案を来年の通常国会に提出する。地方自治体が権限移譲や規制改革を求めた207件の提案について、内閣府が各省庁と調整してきた。9割の186件を「実現・対応する」と位置づけた。子育て支援や介護といった日常生活に関わる行政サービスなどを巡り、地域の実情に即した分権改革を進める。法律を改正しなくても、省庁の通知や法令解釈で改善できるものも少なくない。早急に実施してもらいたい。 国と地方は、1999年の地方分権一括法で、「上下・主従」から「対等・協力」の関係へ改革された。自治体のアイデアに基づき権限移譲する提案募集方式は、その理念に適っている。今回提案した自治体などが184にとどまったのは物足りない。人口減少や財源不足を乗り越えるため、自治体の一層の創意工夫と熱意が求められよう、としている。

一番実質的で、政治好きの新聞の立ち位置も維持したのは読売。読売は今年の衆議院選挙以降、安倍政権への過度な迎合を改めた。結果、ニュートラルでもっともバランスの取れた意見を述べるスタンスで2017年を終えようとしている。安倍氏の信頼度は低いのに支持率が高い。そんな奇妙な国政に、もっとも良いバランスで政権に仕事をさせる主張をしているように見える。このトピックも、国民にとっても非常に関連が強く、影響の大きいものだ。国政にプレッシャーをかけ、建設的に政権に要請する仕事も、読売には期待できる。2018年も期待している。

朝日新聞・社説
災害大国に暮らす 教訓生かし、自衛する時

ことし7月の九州北部豪雨では、福岡、大分両県で死者・行方不明者が41人にのぼった。15年には茨城県で鬼怒川の堤防を決壊させた大雨により、県内外で20人が死亡。14年には広島の土砂災害で77人が亡くなった。いずれも予測以上の雨が同じ地域に集中した結果だ。全国の河川は堤防や護岸が整備され、排水機能など、洪水対策は格段にすすんだ。だが自然がその壁を破った時、被災者から漏れるのは「生まれて初めての経験」という驚きだ。極端な気象の被害を、ふだんから「わがこと」として意識したい。西日本などを襲う南海トラフ地震では津波などで死者が最大約32万人にのぼる。避難者950万人は避難所に入りきれず、行政支援は追いつかない。長期的には、危険性が高い地域から移転するのが効果的な防災策だ。それが難しいなら、備えを考えておくしかない。もちろん行政による情報提供や防災対策があった上で、自助、共助が力を発揮する。自然現象は制御できないが、被害を減らすことはできる、としている。

ツボはいい気がするが、核心からはズレている。政治に寄せて欲しいわけではない。朝日の目的が読めないから、深い納得を得られない。朝日は今年、安倍政権への批判を強める姿勢を緩めず、さらに迷走をつづけた。政権批判は必要だが、感情的になりやすく、支持率の高い政権に抵抗するつもりなら戦略がいるはずが、やみくもに声を荒げているだけだ。野党のやり方も似ている。これで支持率の高い政権が崩れるとは思えない。森友加計学園のような決定的なチャンスを得ながら、流れは徐々に安倍政権に優位になりつつある。もう一度、なぜ安倍氏はスキャンダルで追い込まれたのかを考えるべきだ。地道な週刊誌の取材、地方紙のしつこいと思えるほどの追求があったからだ。朝日がすべき努力は、準備不足の攻撃ではない。地道な正攻法の努力だ。

産経新聞・社説
回顧2017 「異質」な指導者目離せぬ 現状変更勢力から国益守れ

米国第一主義に立ち、既存の秩序を次々と否定するトランプ大統領と、核・ミサイル開発で挑発を続ける北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長である。トランプ政権は北朝鮮の核武装は容認しない姿勢を鮮明にし、テロ支援国家に再指定した。日本も同じ立場から、圧力強化に向けて米国との連携を強めてきた。対する金正恩氏は、今年の元日に米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射準備が「最終段階にある」と宣言した。対北包囲網の強化に欠かせないのは、日米韓の結束である。しかし、韓国の文在寅大統領は最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備をめぐり、これに反対する中国に妥協を強いられている。米国に求めたいのは、自由と民主主義、法の支配という価値を国際協調を通じて守り抜く意思である。それに対抗する現状変更勢力は巧みに戦いを仕掛ける。日本の主権と国民の安全が踏みにじられた屈辱を、置き去りにしてはならない。「善良な13歳の少女」である横田めぐみさんが北工作員に拉致された事件を、トランプ氏は国連演説で取り上げた。国際世論が高まりをみせる今こそ、拉致被害者の救出に日本は能動的に動くことが必要である、としている。

産経の価値観は、今年も変わらず。ブレないのは良い面とともに、意固地で柔軟性がなく見える。時折、秀逸に感じられる的確な主張はあるが、大半は自身の固執した価値観で結論が出ていて、感情的に言葉を並べるに過ぎない。このままなら、相変わらずニッチから抜け出せないだろう。似たような価値観だった読売はうまいバランスになったのだが、産経は…この状況は、学べる。適切な変化は重要だ。

日本経済新聞・社説
角界は暴力根絶へ全力あげよ

元横綱、日馬富士が鳥取区検に略式起訴された。現在、十両の貴ノ岩へ暴行したとする傷害の罪である。日本相撲協会はすでに元横綱の師匠だった伊勢ケ浜親方を降格、現場に居合わせた横綱の白鵬らは減給といった処分も決めている。協会は同時に角界から暴力を根絶するための諸対策を打ち出した。すみやかに実行に移し、角界で二度と同種の事案が起きぬよう全力を尽くさねばならない。元横綱による不祥事が連日大きく報道されたにもかかわらず、11月の九州場所は連日満員となり、来年1月の東京での初場所も前売り券は完売状態である。人気におごることなく、一連の策に着実に取り組み、成果を出す。これが長い伝統を誇る競技を末永く発展させる必須の条件だと胸に刻んでほしい。もはや「待ったなし」である、としている。

毎日新聞・社説
豊洲市場移転と小池都政 それで築地はどうなった

築地市場から豊洲市場への具体的な移転・開業日が来年10月11日に決まった。都と市場関係者の合意がようやくまとまり、当初の予定から約2年遅れての移転となる。小池百合子知事が移転延期を決めたのは昨年8月末だ。その後、盛り土が一部ないことが判明し、施設内の地下水から環境基準の100倍を超える有害物質も検出された。確かに、延期したことで政策決定のずさんさが浮き彫りになった。安全対策を講じたのは当然だ。だが、東京都議選を前にした6月、豊洲市場と築地市場の両立方針を示してから、迷走が始まった。小池氏は「築地は守る、豊洲を生かす」と述べ、築地市場の跡地を「食のテーマパーク」とする再開発構想を打ち出した。しかし、その具体的なビジョンはいまだに示されていないままである。衆院選後、小池氏は「都政に専念する」と宣言した。豊洲移転問題への一連の対応が、知事のパフォーマンスだったといわれぬためにも責任ある対応が求められる、としている。

日経と毎日は、何をしたいのか本当に判らない。ネット側から見る限り、新聞という肩書きのバリューに見合う仕事はまったく見られない。社説には、取材の裏付けもなければ、多くの情報源を持っているだけの考察もない。時事性もない。オピニオン・リーダーどころか、ブロガーの考察にも及ばないこともよくある。年末に都政と相撲。このセンスを見れば、劣化ぶりは明らかだ。これなら、私は産経のような意固地さの方が、やがて復活する可能性を感じる。2018年も迷走がつづくのだろうか?景気が低迷した時、この2紙の将来性には危うさを感じる。

Wall Street Journal
中国テク企業が市民監視に協力、人気アプリが公式IDに (2017.12.30)

中国の大手ハイテク企業が当局と協力し、国が発行する身分証明書の代わりになるデジタルIDの作成に当たっている。中国は市民に対し、電車に乗る際やホテルにチェックインする際など公共・民間サービスの利用時に身分証明書の提示を義務付けている。中国政府は国民の監視に最先端のデジタルツールを利用しようと、国内ハイテク企業への依存を強めている。中国の大手ハイテク企業が当局と協力し、国が発行する身分証明書の代わりになるデジタルIDの作成に当たっている。中国は市民に対し、電車に乗る際やホテルにチェックインする際など公共・民間サービスの利用時に身分証明書の提示を義務付けている。中国政府は国民の監視に最先端のデジタルツールを利用しようと、国内ハイテク企業への依存を強めている。この試験プログラムには国家発展改革委員会が資金を提供している。ウィーチャットの「ミ ニプロ グラム」で顔をスキャンし、画面に表示される4つの数字を読み上げ、ID番号などを入力すると基本的な身分証明書が出来上がる。ある人は「ウィーチャットは政府に入り込んだ」とし、「誰も止められない!」と投稿した。「中華テンセント共和国」だと評する投稿もあった、としている。

人民網日本語版
人類運命共同体は全世界のコンセンサスに (2017.12.29)

この1年、中国は人類運命共同体の構築推進について重要な発言を2回行った。最初の発言は国外で行われた。2017年1月18日、ジュネーブの国連欧州本部で習近平国家主席は「人類運命共同体の共同構築」と題する基調演説を行い、中国がなぜ人類運命共同体の構築を推進するのか、どのような人類運命共同体を構築するのか、どのようにして人類運命共同体を構築するのかという3つの基本的問題に回答し、人類運命共同体の構築が平和の永続する世界、普遍的に安全な世界、共同繁栄する世界、開かれた包摂的世界、清潔で美しい世界の構築を旨とすることを明確にした。第2回の発言は国内で行われた。第19回党大会報告は、中国の特色ある大国外交が新型の国際関係と人類運命共同体の構築を推し進めることを明確にした。これは習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想の重要な内容となり、人類運命共同体の構築を高い政治的高みに引き上げ、思想を統一し、行動を揺るぎないものにするうえで非常にプラスとなった。2017年を振り返ると、中国は実際の行動によって、人類運命共同体構築の強大な力の結集を始めた。将来を展望すると、中国は引き続き人類社会に確かな貢献を果たす、としている。

クリスマスが1年の節目の欧米は、年末年始には1年を総括する印象はない。人民網には日本と似た年末の感覚が見える。国内紙に合わせて2017年を総括すると、Wall Street Journalは、トランプ政権へ徐々に足並みを揃えはじめ、過去の言動との不一致、社説の変容が見える。あくまでメディアであり、固執した価値観は持たないつもりなのかもしれないが、個人的には違和感が大きい。年後半は近視眼的な記事が多くなったように感じる。一方で、人民網は全人代以降、荘厳で大国のプライドを意識したような言動が目立ちはじめた。中国の成長を思えば、すでに世界をリードする事例も増え、成長ぶりのアピールは素直に読めるものが増えた。ただ、政権批判をできない一党独裁のジレンマ、未だに発展途上国を名乗る中国の狡猾さ、一帯一路や、南シナ海のような地政学上の戦略には相変わらずの拡大主義、国家主義を唱える姿勢は北朝鮮に似た自国優先主義で、過去の中国と何の変化もない。このアンバランスがいつまでつづくのか。中国は成長とともに脱皮し、世界的な尊敬を得なければならない。その尊敬はカネで買えるものではないのを、まだ認識していないようだ。来年、中国は成長できるだろうか?

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