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3221.報道比較2017.12.27

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12.27あたりが仕事の終わりだったようだ。いくつかの新聞以外、ぼんやりした主張が増えはじめた。昨年に比べて今年は弛緩している。こういう時こそ用心だ。

読売新聞・社説
外相中東歴訪 和平の環境醸成を支援したい

河野外相が中東を歴訪し、イスラエルのネタニヤフ首相、パレスチナ自治政府のアッバス議長と個別会談した。和平に向けた対話による歩み寄りを双方に促した。ネタニヤフ氏は交渉を重視する意向を示した。アッバス氏も「暴力に訴えることは考えていない。対話を進めたい」と語った。トランプ米大統領が今月上旬にエルサレムをイスラエルの首都と認定した後、主要国の閣僚が現地を訪問するのは初めてだ。エルサレムの地位は当事者間で決めるべきだという日本などの姿勢を直接伝える意義は小さくない。8月の外相就任後、中東訪問は3回目だ。エネルギー資源の安定的な確保の観点でも、各国と関係を深めることは大切である。第2次安倍内閣の発足後、外相の訪問国数は、同時期の中国外相の3分の1強にとどまる。河野氏は、こう問題提起した。国会への出席要求が多いことが外交を制約している。与野党は、副大臣の答弁を増やすなど、柔軟な国会運営に努力すべきだ、としている。

イスラエル、パレスチナともに日本に期待はしていないだろう。世界が日本を見る時は、アメリカの同盟国とカネ持ちの国。それだけだ。それでも動かないよりは動いた方がいい。継続こそが信頼の始点だ。たとえばプーチン氏と安倍氏の関係は、何も生み出してはいないが良好さを維持するだけでも隣国として、特異な戦略を取るロシアとの関係を考えれば十分に有益だ。世界で最も複雑なイスラエルとパレスチナ。本気で関わるつもりだろうか?

朝日新聞・社説
水俣病の認定 公平中立を裏切る漏洩

水俣病と認定されなかった男性の不服申し立てを受けた国の審査会側から、裁決の見通しが環境省側に漏れていたことが、朝日新聞の取材でわかった。審査会は公害健康被害補償法にもとづき、独立して審査にあたる機関だ。委員の選任には国会の同意が必要で、身分は法律で手厚く保障されている。中川雅治環境相の認識は極めて甘い。きのうの会見で「そういう事実は現時点では確認できなかった」と述べるだけで、詳しい説明を拒んだ。このまま年末年始の休みに入り、うやむやにしようという考えか。審査会の佐脇浩会長が、繰り返しの取材申し込みに一切答えないのも、無責任のそしりを免れまい。水俣病をめぐる混乱は一向に収束せず、最近も新潟水俣病訴訟で、原告9人全員を患者と認定する東京高裁判決が言い渡された。根本にあるのは、司法から何度となく問題を指摘されながら、認定のあり方を改めない行政のかたくなな態度だ。今も2千人が患者と認めるよう声を上げ、1500人が裁判を続けている。この現実を、政府は直視しなければならない、としている。

年末の空気を感じさせないトピックを選んだのは朝日。政権批判が目的でないなら評価できるが、行政、政府の批判が中心。せっかくの仕事が無駄な感情移入で空回りしている。残念だ。

毎日新聞・社説
米法人減税と世界経済 引き下げ競争を懸念する

トランプ米大統領が看板政策に掲げてきた法人減税などの税制改革法が成立した。減税規模は1・5兆ドル(約170兆円)とレーガン政権以来約30年ぶりの大型改革となる。米国経済の成長を加速させれば、世界経済にもプラスに働くだろう。だがトランプ氏の狙いは、米国企業の競争力を高めて国内の雇用を確保することにある。世界最大の経済大国が自国優先の政策に突き進むと世界経済をゆがめる恐れがある。気がかりなのは法人税引き下げ競争をあおりかねないことだ。競争が激しくなると、各国の財政悪化が予想される。所得税や消費税の増税で賄おうとすれば、家計にしわ寄せが及ぶ。既に欧州各国は法人減税と並行して付加価値税(消費税に相当)を増税してきた。防止には国際的な連携が欠かせない。日欧など60以上の国・地域は今年6月、迅速に対応できる統一ルールを導入する条約に署名した。課税は各国の主権にかかわる問題である。しかし引き下げ競争の弊害は大きい。米国は超大国として国際協調をリードする役割があるはずだ。その責任を自覚してほしい、としている。

Wall Street Journal
トランプ政権の安保戦略が示す意味 (2017.12.26)

トランプ政権の戦略は重要な成果を示している。規格外な大統領の直感と、経験豊かで常識的な安全保障チームの見解がうまく調和しているからだ。新たな方針はグローバリズムの型にはまった米外交政策とは距離を取り、むしろ古い戦略的アプローチを採用している。トランプ政権はブルーウオーター派と考え方が近い。パックスブリタニカ(英国主導の世界秩序)の時代、ブルーウオーター派はより広い世界に目を向けることで英国が偉大な力と富を手にすることができると信じていた。そうすることで欧州諸国との複雑な外交ゲームに勝利するよりも英国は力をつけ、世界から敬意を払われるだろうと彼らは考えた。強靱(きょうじん)で裕福な英国は権力のバランスを保つために必要とあらば、いつでも欧州政治に介入することができる。世界を支配する英国の姿勢が仮に他国から支持されなかったとしても、相手国は常に敬意を示す。 米国が重要な外交政策で決断を下す際、これこそが今の指針となっている考え方だ。国家安全保障担当大統領補佐官を務めるH・R・マクマスター陸軍中将と彼のチームは、外交政策にまつわるトランプ氏の個人的な固い意志と共和党主流派の考え方をすり合わせる道を見つけた点で称賛に値する。現実社会でこの戦略がうまくいくかどうかは、まだ分からない。だが今回のNSSは、国が安全保障政策で成し遂げたいと考えていることを文章で示している。つまり政権が何に基づいて判断を下すのか、その大まかな方針とコンセンサスの要素を提示している、としている。

アメリカのメディアは減税法案の成立から、トランプ氏への評価が増えている。Wall Street Journalに載るコンテンツもトランプ政権を応援するものが目立つようになった。一方で、日本はまだトランプ氏の評価を保留したままだ。日本だけではなく、世界各国で似た感覚だと思う。このギャップが、今後のアメリカ外交に影響を与えると思う。アメリカ・ファーストをトランプ氏は国内世論では進めやすくなるが、世界はまだトランプ氏を信じてさえいない。

産経新聞・社説
憲法改正 首相自ら議論を牽引せよ

憲法改正は自民党の党是であり、安倍晋三首相は自身の「歴史的使命」と位置づけてきた。ところが、第2次安倍内閣が発足して5年がたった今も、改正の実現にめどは立っていない。首相は党の憲法改正推進本部に対し、俎上に載せている改正4項目のうち、自衛隊明記と緊急事態条項の案をそれぞれ一本化するよう指示した。来年の通常国会では、衆参の憲法審査会に自民党の改正案を提出して議論を前進させるべきだ。改正の焦点は、もちろん9条である。国と国民を守る軍や自衛隊についての規定がない点は、現憲法の最大の欠陥といえる。9条を旗印にした空想的平和主義や自衛隊違憲論がなお存在している。自衛隊の憲法明記は、いかに日本の独立と国民の生命を守るかという国のありように直結する。与野党の真摯な議論を聞きたい、としている。

憲法改正は2018年に手がけられるだろうか?私は、退位などが行われることを考えると、安倍氏のプランは2019年だと思う。産経の主張にも違和感はないが、一点だけ、憲法改正の必要性は、国民の認識は50%にも達していない現実に問いかけて欲しい。今までなし崩し、うやむや、玉虫色で避けてきた事を、しっかり改正したいというだけなら、他に急ぐべき仕事は山積している。必要性と言われると、私も疑問だ。

日本経済新聞・社説
人口減に健全な危機感をもっと

日本の経済社会をむしばむ構造問題には、ほとんど手がついていない。人口減少である。人口減への健全な危機感を個人、企業、政府・地方自治体が三位一体になって強めるべきだ。出生数が死亡数を下回る自然減はすでに定着している。戦後ベビーブーム期に生を受けた団塊の世代のすべてが後期高齢者になる25年を、安倍政権は財政と社会保障の難所と位置づける。しかし本当に苦しくなるのは、それ以降だ。
3点、提案したい。
まず社会保障改革の断行だ。たとえば医療の窓口負担は、年齢で差をつけるやり方から収入・資産をもとに決める方式に変えるべきだ。巨費をかけてマイナンバーを導入したのは、そうした用途に使うためではなかったか。
次に子育て支援の強化だ。政府・自治体や経済界を挙げて待機児童を減らすのは当然として、とくに企業経営者は従業員が暮らしと仕事を無理なく両立させられる環境づくりに意を用いてほしい。
最後にこれから生まれてくる世代への支援だ。夫婦が出産を諦める理由のひとつに晩婚化がある。結婚を望む若い男女を後押しするには、就労支援などを通じて出産の機会費用を下げるのが有効だ、としている。

昨日につづき、年末らしい散漫さだ。最近の日経は品質にばらつきが目立つ。70%ほどが過去の振り返り、どうでもいい話だ。最後にまとめて出てきた提案に、できれば主張の半分を使って欲しかった。内容も浅く、直感的にまとめた程度のアイディアで、使えるものにはなっていない。

人民網日本語版
2017年 中国外交の非凡な成果 (2017.12.26)

2017年の新年早々、習近平国家主席はダボス会議とジュネーブの国連欧州本部で重要演説を行い、世界の状況及び世界と中国の取るべき行動など核心的問題について重点的に主張を明らかにし、国際世論から強く注目された。これはグローバル・ガバナンスに積極的に関与し、経済グローバル化のリバランスを推進する中国の新たな責任感を示すものだった。第18回党大会以来、中国はグローバル・ガバナンスに積極的に関与し、国内外の両大局を統合的に計画する重要な取っ掛かりとし、大国としての責任感を示した。中国はグローバル・ガバナンスを完全なものにする、最も活発な原動力の1つとなっている。初夏には、「一帯一路」国際協力サミットフォーラムの開催に成功した。間もなく訪れる2018年に、中国外交がより広いグローバルな視野、より綿密な実務的布陣、より落ち着いた自信、より自覚的な国際的責任感、より積極的な主導的姿勢によって、新時代の新たな要請を実行し、国際的影響力を一層高め、世界の平和と発展に新しい重大な貢献をし、中国の特色ある大国外交の新局面を切り開き続けると信じるに足る理由が人々にはある、としている。

この手の習氏称賛は、今年もずっと繰り返されてきた。言論の自由がないのは判るが、手放しの称賛は何の役にも立たない。本当の評価を得られる時にもマイナスに作用するだろう。少しでも早く、中国メディアが成熟して盲目的な表現をやめるのを願っている。

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