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3219.報道比較2017.12.25

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年末年始を越えてしまった。年を越えて年末を語ることになってしまい、申し訳ない。年明け早々のマーケットの過熱以外、凪いだ時間がつづいている。昨年のトランプ氏への悲観論が懐かしい。

朝日新聞・社説
医療と介護 連携進める報酬体系に

来年4月に改定する診療報酬と介護報酬について、予算の大枠が決まった。それを個々の治療や介護サービスに割り振り、それぞれの報酬を決める作業が年明けから本格化する。診療報酬は2年ごと、介護報酬は3年ごとに見直しており、今回は6年に1度の同時改定だ。人手不足が深刻な現場の待遇を改善し、超高齢社会に対応して医療と介護の連携を進めることを目指してほしい。医療・介護の報酬は、利用者の負担と保険料、税金でまかなわれる。報酬を上げると、利用者はもちろん広く国民の負担が増え、社会保障費は膨らむ。財務省は財政再建の観点から両報酬の引き下げを求めた。一方、医療機関などの経営状況の調査では、診療所は安定していたが、一般病院では赤字が拡大していることがわかった。介護事業者も悪化傾向だった。医療では、重症患者向けで看護体制が手厚い病床が増えすぎた現状を改め、リハビリなど回復期の病床を増やすことが課題だ。病院での治療を終えた人がスムーズに介護施設や自宅へ移れるようにする取り組みも加速させる必要がある。医療と介護が切れ目なく、必要な人に行き渡る。そんな社会を作っていきたい、としている。

日本経済新聞・社説
長期政権にふさわしい構造改革を

安倍政権が26日に発足から丸5年を迎える。10月の衆院選で自民党が圧勝し、安倍晋三首相は政権運営の基盤を固め直した。経済の先行きにやや明るさが見える今こそ、持続的な成長と財政健全化に道筋をつける改革に長期的な視点で取り組むべきだ。確かに景気回復は戦後2番目の長さになった。消費者物価上昇率は2%の目標に達していないものの、政府の「物価が持続的に下落するデフレではない状況を作り出した」との説明には一理ある。経済の実力を示す潜在成長率は1%未満にとどまり、アベノミクス始動から上昇していない。安定政権の力を生かし、規制緩和や労働市場などの構造改革を推進していく努力はなお不十分だ。最大の課題は、持続可能な財政や社会保障といった中長期の懸案への答えをはっきり打ち出せずにいることだ。日本の財政は先進国で最悪の状態にある。少子高齢化は刻々と進展し、団塊世代が全員75歳以上になる2025年以降は医療や介護などの社会保障費の膨張圧力がさらに強まる。6年目に入る安倍政権は、19年4月末の天皇陛下の退位や20年夏の東京五輪・パラリンピックの先を見据え、長期政権にふさわしい改革を着実に進める責任がある、としている。

毎日新聞・社説
危機の社会保障 克服への課題 「1強」の政治資源を生かせ

政府は高齢者に偏った社会保障を若年層にも広げ、出生率の改善に取り組んではいる。だが、生まれてくる子供が社会を背負うのは20年以上先のことだ。目前に迫った高齢化の危機に対処することはできない。このままでは、日本の社会保障が崩れてしまう。政府一丸となって、最優先で取り組むべき課題だ。社会保障の財源確保のためには負担増という国民に不人気な政策も避けて通れない。医療や介護の費用は保険料と税で賄われているが、現役世代が拠出する健康保険は赤字の組合が増加の一途をたどっている。経済的に恵まれた高齢層にも負担をしてもらわないと現役世代は疲弊していくばかりだ。しかし、選挙では高齢層ほど投票率が高く、各政党とも高齢者の負担増につながる政策は避け続けてきたのが実情だ。安倍政権が「1強」の政治資源を生かすのはこうした局面をおいてほかにはない。先進国はどこも高齢化に直面している。その先頭を走る日本こそ、克服モデルを構築すべきだろう。将来にわたり、この国を維持していくためのチャレンジである、としている。

内容はバラバラだが、安倍政権の総括の印象が強かったため、3紙はまとめてしまった。各紙、視点は異なる。
朝日は来年早々の診療報酬・介護報酬の各論を取り上げている。珍しいのは、政府とは対抗心が前面に出ていたが、今回は政府の方針に理解を示し、来年度の改正時に現場がどんな反応をするかに期待を示している。安倍氏だから嫌い、嫌いだから批判という発想から抜け出すなら、朝日もようやく建設的な議論ができるようになる。期待したい。
日経は5年目の長期政権を総括として、かなりのボリュームで全体を総括している。今までは論点がぼやけたものだが、今回はまとまっている。「最初にキャッチフレーズを掲げて放置は良くない」という安倍政権全体に通じる要望の軸が定まっているからだろう。実際、安倍氏のやり方はかけ声だけで、後で数字を並べて誇らしげになるが、結果はまるで感じられないのがお決まりのパターン。構造改革を安倍氏がやる気があるとは思えないが、日経の要請には素直に賛成する。
毎日は、シリーズ化していたらしい社会保障の中の介護。シリーズになっていたとも知らなかったが、介護で内容はいつもどおり暗い話ばかりだ。介護に高齢者自身が参加する、育児などで退職した人を、外国人を…と様々な提案は含まれているが、毎日自身も認めているが、かなり思い付き。案として検討すべきとも思えないレベルが多い。それくらい喫緊の課題と言うのは判るのだが、現状の悲劇を連呼するクレーマーのようで、社説の説得力としては弱い。似た話題で違う視点から語っている朝日の方が要点が絞れていると思うのは私だけだろうか?

産経新聞・社説
大型原発の廃炉 新増設の必要性を明確に

関西電力が大飯原発1、2号機(福井県)の廃炉を決めた。両機ともに出力100万キロワットを超える大型炉だ。再稼働には安全対策で多額の費用がかかり、採算が確保できないと判断した。東日本大震災後、原発の安全対策が大幅に強化された。これによって、原発の再稼働に必要な費用は、防潮堤建設や設備の耐震化などで1基あたり約1千億円に膨らんでいる。高経年原発の場合、燃えにくいケーブルに交換するなどの追加対策も不可欠となる。大飯1、2号機は稼働開始から38年が経過し、原子力規制委員会に運転延長を申請する期限が迫っていた。とくに両機は他の原発と比べて特殊な構造であるため、さらに費用がかさむ。安全設備の空間の確保なども難しいとみて、運転延長ではなく、廃炉に踏み切ることにした。政府はエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の見直し作業を進めている。そこでは30年度以降の電源構成なども議論されており、将来にわたって原発比率を維持するために新増設の必要性を明確に打ち出すべきだ。ただ、電力自由化に伴い、電源確保などのコストを料金に転嫁する総括原価方式は廃止された。長期に資金回収する原発の新設は難しくなった。政府は原発の共同建設などの枠組みを整備し、安定的な電力供給を後押しすべきだ、としている。

まだ原発に期待を持っているが、徐々に産経の再稼働期待にもトーンダウンを感じる。やみくもに再稼働を唱えても事が進まないのは認識しているようだ。原発がポジティブに感じられる点は、温室効果ガス削減だけ。ただ、このメリットは極めて重要な1点だ。期待されるメタン・ハイドレードは石油やガスに比べればCO2は少ないが、原発ほどは減らないだろう。再生エネルギーでどこまで賄えるのか検証を期待したい。

読売新聞・社説
防衛予算増額 「陸上イージス」配備を着実に

政府の2018年度予算案で、防衛費は前年度当初比1・3%増の5兆1911億円と、過去最高を更新した。日本の安全を守り抜くため、6年連続の増額は適切である。目玉は、北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射を踏まえた陸上型イージスシステムの導入だ。17年度補正予算案との合計で35億円を計上し、23年度運用開始を目指す。北朝鮮ミサイルに対する破壊措置命令の常時発令で、迎撃ミサイル搭載型のイージス艦は日本海での警戒監視活動に追われ、他の任務遂行に支障を来している。陸上型の導入は、イージス艦の負担軽減と有効活用に資するはずだ。ただ、米国が価格や納期の設定に主導権を持つ制度のため、その言い値で購入を迫られがちだ。他の装備の調達・維持費、自衛隊の訓練経費などへのしわ寄せが深刻化している。小野寺防衛相が「精査し、コスト縮減に努力する」と語ったのは当然だ。法外な価格上昇を招かないよう、米政府と粘り強く交渉することを忘れてはならない、としている。

盲目的に「適切」と言い切る根拠は弱い。6年連続増額は「安倍政権になってからずっと防衛費は上がっている」と解釈できる。北朝鮮を理由にすれば何でも通る現状と、高い支持率が原因だ。ただ、予算増額には賛成しても、内容は読売も注視している。アメリカへの支払いばかりが増える環境への疑念は決して日本の防衛力を高めてはいない。危機感を表明できる人材もいない。本当の危機は、日本の現状を認識していない点だろう。

Wall Street Journal
2018年の米経済は企業頼み、消費先行きに不安 (2017.12.25)

米商務省が22日発表した11月の個人消費・所得統計からは、米国民が「消費モード」にあることがうかがわれる。個人消費支出は(季節調整済み)は前月比0.6%増加し、10-12月期(第4四半期)も底堅いことを示唆した。だが消費を押し上げたのは収入増ではなく、貯金の切り崩しだった。11月の個人貯蓄率は2.9%と、リセッション(景気後退)が始まる以前の2007年11月終盤以来の水準に沈んだ。米経済が成長を続けるかどうかは、企業の動向が左右するということになる。企業が景気支援に向けてできることの1つは、賃上げだ。企業は今回の景気拡大局面を通じて、賃金引き上げに二の足を踏んできた。 ただ、現時点で失業率は4.1%まで下がっており、近く4%を割り込む公算が大きいことを踏まえると、賃上げは不可避となる可能性もある。さらに、減税による利益率改善が見込まれる中で、賃上げはそれほど痛みを伴わないかもしれない。とはいえ、経済が来年、力強い成長を遂げるには、22日に示されたものよりも一段と明確な兆しが必要だ。企業は巨額減税を受け取った。これは来年の米経済を支援するだろうが、企業が支出に振り向けると決めるのか、またどのような使い道を選ぶかにかかっている、としている。

日本経済が受けそうなコメントが、アメリカ経済にも当てはまる。低下する貯蓄率、失業率と密接にリンクする個人収入。長期タームでの雇用が日本でも完全に崩壊した証拠だろう。だから個人消費をアップするには賃上げしか期待できない。いま、日本企業にかかる賃上げプレッシャーはベースアップだが、やがてはボーナスや直近の待遇や報酬に話が変わっていくだろう。その方が経済への即応性が高く、企業にとってもリスクが少ない。だが、短絡的で持続的な経済成長にはほとんど役に立たない。日本経済はアメリカに近づいている。アメリカも成長をコミットできない低成長国になりつつある。どちらにとってもよい話には聞こえない。

人民網日本語版
米国家安全保障戦略、中国国防部が談話発表 (2017.12.21)

任報道官は「米政府は12月18日に国家安全保障戦略を発表した。事実を顧みず、中国の国防現代化建設について意図的に誇張し、中国の軍事力発展の意図に疑問を呈しており、平和と発展という時代の基調及び中米両国関係発展の大勢に逆行するものだ」と指摘。「中国は終始世界平和の建設者、世界の発展の貢献者、国際秩序の維持者だ。中国は終始変らずに平和的発展の道を歩んでいる。中国軍は各国軍との軍事交流・協力の強化に尽力し、できる限りの範囲で国際的責任・義務をさらに多く引き受け、安全保障面の公共財をさらに多く提供している。世界平和の維持、共同発展の促進への中国の重要な貢献は、国際社会の誰の目にも明らかだ。中国は防御的国防政策と積極防御の軍事戦略を揺るがず遂行しており、いかなる国に対しても脅威となっていない。中国軍の発展・壮大化は平和のパワーの発展・壮大化であり、世界の平和・安定・繁栄に寄与する」と述べた、としている。

アメリカに名指しで批判された中国が、ようやくコメントを出した。コメントから感じられるのは、中国が世界平和に貢献している実績は、経済ほどは並べられない歯がゆさだ。人工島も、北朝鮮問題も、他国にとってプラスになる実績には至っていない。アメリカからの非難に反論できていないが、現状の拡大路線をつづけるには、そろそろ他国にもメリットがある必要性を感じはじめている。中国が安全保障に意識改革してくれるなら、ポジティブだ。アメリカが望むゴールも、きっと対決ではなく協調した世界平和の構築のはず。日本政府が望むゴールではないと思うが、世界が望む理想だ。

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