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3215.報道比較2017.12.21

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年末の落ち着きのなさが報道に現れている。締め切りに追われるような雑な仕事が目立つ。冷静に。

朝日新聞・社説
憲法70年 筋道立たない首相発言

自民党の憲法改正推進本部が、衆院選で公約に掲げた改憲4項目に関する「論点取りまとめ」を公表した。焦点の9条については、1項と2項を維持して自衛隊を明記する安倍首相の案と、戦力不保持をうたう2項を削除し、自衛隊の目的・性格をより明確化するという2案を併記した。 旗振り役は言うまでもなく首相である。5月の憲法記念日に自衛隊明記の構想を示し、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と語った。「20年」を強調するのは、自らが首相であるうちに改憲したいためだろう。衆参で3分の2の与党勢力があるうちに発議したい、との思いもあろう。だが改憲は首相の都合で決めていいものではない。憲法は、国家権力の行使を制限し、国民の人権を保障する規範である。その基本を踏みはずすような改憲は許されない。数の力で進めた改憲が、社会に分断をもたらすことはあってはならない、としている。

読売新聞・社説
自民改憲論点 「自衛隊明記」へ理解を深めよ

憲法改正の議論は、たたき台となる具体的な案文があった方が、国民の関心を呼び、理解も深まる。幅広い合意形成のため、自民党が論点整理をまとめたことを評価したい。自衛隊の明記については、両論併記となった。戦力不保持を定めた9条2項を維持し、自衛隊の根拠規定を追加する「加憲」案と、2項を削除し、自衛隊の目的・性格を明確化する案である。いずれも、自衛隊違憲論の払拭に向けて、大きな意義を持つ。党内では、安倍首相が提案した加憲案への賛成が大勢だが、多くの他党の賛同を得られるか。衆参両院による改正発議や国民投票の高いハードルを踏まえ、慎重に議論を進めることが求められる。安倍首相は、各党が具体案を持ち寄るよう改めて呼びかけた。自民党以外の党も、改正論議に積極的に加わることが期待される、としている。

まだ朝日はまともな議論さえできないようだ。私は安倍氏の数を得たらなし崩しに事を進めるやり方は気に入らないが、論点は正しいと思う。存在する自衛隊を違憲かで是非論を70年もつづけるのなら、時代に合わせて適切に憲法を変えていくべきだと思う。安倍氏が信頼に値するか、憲法が変わったら戦争をするのかというのは極めて極端で、議論放棄に等しい。一方で、以前の天皇が国家元首だとか、誇りや尊厳を説教のように並べた自民党の草案にもまったく賛成できない。あんな草案を出すから議論が空転するのであって、少しずつ変えていけばいいのではないか?いずれにしても、まだ議論はまったく噛み合わない。数の論理で押し切っても国民投票で過半数は難しい。安倍氏のリーダーシップに注目したい。

Wall Street Journal
安全保障戦略、理論と矛盾するトランプ氏 (2017.12.20)

ドナルド・トランプ氏は選挙期間中、米国の外交政策の抜本的見直しとなるような公約を訴えていた。だが同氏が大統領就任1年目に手がけたのは、反対勢力が懸念を抱いていたような、あるいは自らの言葉で宣伝していたようなものとは裏腹に、従来の路線に沿った政策が多かった。米政権が18日発表した「国家安全保障戦略」にも、同様の安心できるメッセージが込められている。もし政権がそれを最後まで守り、実行できるならばの話だが。この戦略では、中国とロシアについては、自分たちの地域を支配し、「米国の力や影響力、国益に挑もうとする修正主義勢力」だと位置づけた。イランと北朝鮮については「地域を不安定化させようと躍起になる」ならず者国家だと断じた。また、サイバー攻撃やテロ攻撃のリスクをもたらすジハーディスト(聖戦主義者)や犯罪組織のような「国境を越えた」脅威にも言及した。新テクノロジーは「それがなければ弱い国家に力を与え、つけあがらせる」とし、米国本土および米国の国益に新たな脅威をもたらすと指摘した。トランプ氏が自らの戦略を説明した文書を読めば、敵を懐柔するのは不可能だとわかるだろう。「理にかなった現実主義」の戦略のためには、確固たる信念をもった現実主義者がオーバルオフィス(大統領執務室)にいることが必要だ、としている。

すっかり取り巻きに付け込まれた印象しか感じられない安全保障戦略だった。いつも無計画なトランプ氏に慣れてしまったのか、世界も軽い反応で終わった。大統領選挙前は過激な発言をしながらも武力行使は否定していたのに、戦略は行動する覚悟に踏み込んでいる。Wall Street Journalは前任大統領が行動しなかった事を批判しているが、トランプ氏が行動する保証もなければ、行動がさらなる混乱のはじまりになる可能性も見込んでいない。軽はずみに行動して誰も勝利とは呼べない結末に至った過去をもう忘れたのだろうか?

日本経済新聞・社説
韓国は慰安婦合意の順守を

韓国の康京和外相が就任後初めて来日し、河野太郎外相と会談した。文在寅政権は慰安婦問題をめぐる2015年末の日韓合意の検証を進めており、作業チームが27日に報告書を公表するという。それを前に日本側の反応を探るのが主たる目的だったようだ。検証結果は「政府の立場に直結しない」と康外相は指摘するが、文政権が日本に再交渉を求める言い訳に使う懸念は捨てきれない。そもそも国家間の合意を検証したこと自体、極めて遺憾である。河野外相が会談で「合意の着実な履行」を求めたのは当然だ。しかも日韓は合意に「最終的かつ不可逆的な解決」との文言を盛り込んだ。日本政府は韓国で設立された財団に10億円を拠出済みで、すでに財団を通じて元慰安婦の多くが現金を受け取っている。日韓の関係改善に加え、北朝鮮の核問題で連携を深めるには首脳間の頻繁な対話が欠かせない。ただ、政府が優先する日本での日中韓首脳会談の開催日程は固まっていない。日韓に限れば慰安婦合意の検証結果を受け、文政権がどう対応するかも見極める必要があろう。平昌五輪への首相出席の是非は慎重に判断すべきだ、としている。

日経が産経かと思った。残念だが民意はカネや誓約で縛れない。大統領は民意に従う。カネを払って約束したのだから…では、禍根を残した国交に過ぎない。こうなる可能性を感じたから、不可逆的などという文言を入れさせたのだから、その作為がブーメランとなって返ってきたまでだ。韓国に本気で改心させるには、今のやり方は逆効果だ。日経の論理では一歩も前に進まない。

産経新聞・社説
元少年に死刑執行 法改正の論議に踏み込め

千葉県市川市で平成4年、一家4人を殺害したなどとして、強盗殺人などの罪で死刑が確定した関光彦死刑囚の刑が執行された。関死刑囚は犯行当時19歳で、元少年の死刑執行は、連続射殺事件の永山則夫元死刑囚以来20年ぶりだった。刑事訴訟法は判決の確定から6カ月以内に法務大臣の命令により死刑を執行すると定めている。上川陽子法相の執行命令は当然の職務を果たしたもので、批判は当たらない。法相の個人的信条で執行の有無が決まるなら「法の下の平等」に著しく抵触する。刑の確定は16年前であり、むしろ遅すぎた執行ともいえる。犯行当時未成年だった確定死刑囚で未執行の事件には、大阪府、愛知、岐阜県内で4人を殺害した連続リンチ殺人、山口県光市の母子殺害、宮城県石巻市の3人殺傷事件がある。いずれも身勝手で、凄惨な犯行であり、死刑以外の選択はできないと判断された。法相は粛々と、刑の執行を命じるべきである、としている。

これだけ言葉を尽くさないと、死刑を正当化できない。法はそう定めているからという論理は、前述の日経の韓国批判と同じレベルだ。このレベルならAIを使わなくても機械で原稿も書けるし、行政もできる。言葉を尽くさなければならない意味を一番知っているのは産経自身だ。その労力を別のベクトルで使って欲しい。

毎日新聞・社説
傷害事件に揺れる相撲協会 理事会改革は待ったなし

大相撲の元横綱・日馬富士による傷害事件で、日本相撲協会が力士らの処分を決めた。貴ノ岩関を殴打した元横綱を引退勧告相当としたほか、酒席にいながら暴力を防げなかった白鵬関と鶴竜関の2横綱も減給処分とした。調査報告書によれば、理事長による暴力追放宣言や「暴力追放の日」の制定など意識改革を今後の再発防止策の柱にするようだが、協会の組織そのものにメスを入れる覚悟も必要だろう。大相撲は日本伝統の神事であるとともに公共性の高い興行だ。それゆえ協会は税制上の優遇措置を受ける公益財団法人に認定された。だが、問題表面化後の協会が見せたのは統治能力の脆弱さや一般社会では通用しない論理の横行だ。協会を運営する側の理事と、相撲を取る側の親方が同一だから、こういった加害・被害の立場が重なる可能性が生じる。利害関係の少ない人物が運営に当たるべきである。相撲界の事情に詳しい人物が必要なら元親方を理事の基本にしたり、外部登用を中心にしたりといった人事だ。協会と親方のあり方を根本的に考える時が今なのではないか、としている。

以前も毎日はこの相撲の話題を取り上げていた。興味の対象外でコメントできない。騒ぎになっている理由さえ、私には判らない。

人民網日本語版
新時代は質の高い発展を求める (2017.12.20)

中共中央政治局は8日の会議で、2018年の経済政策を分析・研究した。会議は「質の高い発展の推進は現在及び今後一定期間の発展構想の決定、経済政策の策定、マクロコントロールの実施における根本的要請である」と強調した。第1に、質の高い発展の実現は、中国社会の主要矛盾の変化に適応するうえでの必然的要請だ。数10年間の発展を経て、中国の特色ある社会主義は新時代に入った。中国社会の主要矛盾は、日増しに高まる国民の素晴らしい生活へのニーズと不均衡で不十分な発展との間の矛盾へとすでに転化した。これは経済・政治・文化・社会・環境面で日増しに高まる国民のニーズを満たすべく尽力し、保育・教育・所得・医療・年金・住居・福祉面で新たな進展を遂げ続け、人の全面的発展と社会の全面的進歩をより良く後押しすることを発展に求めている。中国の質の高い発展は、世界の質の高い発展の推進にとって新たな原動力となる、としている。

上質な発展を遂げたら、さすがに発展途上国の補助は返上するだろうか?あまりに難しい言葉ばかりで、何をするのか、何が上質なのかも理解できなかった。共産主義なのに世界でも異例な格差がある中国。是正されるだろうか?

Financial Times
南アフリカに希望は戻ってくるか? (2017.12.19)

結局、南アフリカ共和国の与党アフリカ民族会議(ANC)は自党を保存する道を選んだ。アパルトヘイト(人種隔離)政策廃止後の同党の歴史上、最も重要な選挙と呼ばれた議長(党首)選でシリル・ラマポーザ副大統領が勝利を収めた今、2つの疑問が浮上する。1つ目は、労働組合の指導者から大富豪のビジネスマンとなったラマポーザ氏はANCの名声を危機から救い、政権与党の座を維持できるか、という問題。次に、何千万人もの南アの庶民にとってはるかに重要なのは、どんなタイプであれ、政府というものが期待感を生み出せるかどうか、だ。ANCが政権与党として過去23年間でなし遂げた大きな経済的成果は、主に黒人の権利拡大政策と公共部門の雇用によって比較的薄い黒人中間層を生み出したことと、現在1700万人の国民が依存している所得補助金の形で富の一部を再分配したことだ。経済協力開発機構(OECD)の最近の調査研究は、後者のコストを示している。公務員の賃金は南アの国内総生産(GDP)の14%を吸い上げているのだ。成長を高め、富と機会をもっと公正に再分配する方法を編み出すことで、いかにしてこの難題を解決するか――。ラマポーザ氏にとって、これが喫緊の課題となる。もしそれができなければ、自党を保存しようとするANCの試みは、結局失敗に終わる可能性が高い、としている。

南アフリカは通貨のランドと国債、貴金属ぐらいしか予備知識がない。国債の格付けをジャンクに落とされてランドが大きく下がった後、この選挙結果で暴騰している。見知らぬ遠い国が再出発を目指しているのは応援したい。虹の国と呼ぶにふさわしい輝きを期待している。

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