ORIZUME - オリズメ

3211.報道比較2017.12.17

3211.報道比較2017.12.17 はコメントを受け付けていません。

衝動ではなく、理性だ。冷静になるべし。自らの意志で動くべし。マーケットはそう言っている気がする。

朝日新聞・社説
政治と女性 目標値を検討する時だ

10月の衆院選で、女性候補者は全体の17・7%だった。それでも過去最高だったというが、5人に1人にも満たない。男女雇用機会均等法の施行から31年たっても、政界は分厚いガラスの天井に覆われている。いま必要なのは、ありふれた女性活躍の掛け声ではない。真の政治的意思を持って「目標値」を定めることである。多くの女性が、育児と仕事を両立させる苦労を強いられている。職場で名字が変わる不都合さも身にしみている。家庭の事情で仕事をあきらめるのも、女性の場合が多いのが現実だ。台湾では、国会にあたる立法院で12年前から比例代表名簿を半分以上にし、今や議員は4割近くを占める。フランスも国会選挙で各政党とも候補を半々とするよう義務づけている。女性の現職政治家や経験者と相談できる若者向けの議員育成プログラムもほしい。政治との接点を増やすため、各種の審議会で女性委員を半分以上に定めることから始めてもいい。大切なのは、具体的な結果の目標を定め、実現させる行動を起こすことだ、としている。

提案には賛成だが、こういう提案にはきっかけがいる気がする。小池氏に託したいテーマだった。次にチャンスを探るなら、外圧だろうか?醸成皇室と女性総理大臣、どちらが先に実現するだろう?いずれにしても、日本の価値観は古い。老いたオッサンが仕切る国家の加齢臭を捨てるスピードは、やがて中国にも抜かれるだろう。ところで朝日の女性比率はどれくらいなのだろう?興味深い。

毎日新聞・社説
楽天が第4の携帯会社へ 競争で通信市場活性化を

楽天が自ら通信網や基地局を持つ携帯電話会社を設立するため、電波の取得を総務省に申請する。認可されれば2019年中にサービスを始めるという。大手3社に対抗する第4の事業者の登場によって、携帯市場の活性化と料金の引き下げを期待したい。楽天は、25年までに最大6000億円を投じて基地局などを整備する。楽天市場でたまるポイントなどグループ内のサービスと連携して付加価値を高め、1500万人以上の契約獲得を目指すという。国内の携帯市場は成熟化しており、ドコモなどは海外などに新たな収益源を求め、買収戦略を展開している。楽天が掲げる6000億円の投資は、大手が1年で4000億弱~5000億円強を設備投資にかけるのに比べて少なく、事業展開は限定的との見方もある。総務省は、楽天の申請を待ち、事業内容や設備投資計画、財務基盤などをもとに審査するという。国民生活に密着した通信事業であり、慎重で厳正な審査が必要だ、としている。

適度な期待、というところだろうか?IT企業のように見せているが、事業収益はEコマースでもトラベルでも顧客満足度は低い。カードや金融がなければ事業規模が大きく目減りする。FinTechと呼んでITの匂いをさせても、楽天のカードや証券が圧倒的なITサービスを手がけていると聞いたことは一度もない。そういう会社だ。イノベーションよりは価格競争を期待しよう。

日本経済新聞・社説
有人の宇宙探査は国益考えて

政府は米国が進める月の有人探査計画に参加する方針を決め、宇宙基本計画の工程表に盛り込んだ。夢はあるが巨額の費用と困難な技術開発を伴う。日本の産業育成や将来の宇宙開発に生かせるようにしなければならない。日米欧などの15カ国はこれまで国際宇宙ステーション計画で協力してきた。日本は年間約400億円を負担するが、期待したほど優れた材料や医薬品の開発が実現できたとはいえない。月に人を送り込むには、さらに巨費が必要となろう。日本人を月に降り立たせるのか、物資輸送や環境制御、センサー技術などでの貢献にとどめるのか。利害得失を考え冷静に判断する必要がある。技術力のあるベンチャー企業もまだ少ない。NASAは2011年にスペースシャトルの運用を終了した際、民間への技術移転を大胆に進め、ベンチャー企業の育成を後押しした。日本もJAXAの事業の民間移管を加速し、効率的な宇宙開発をめざすべきだ、としている。

適切な指摘だ。またアメリカの押し売りを安請け合いするのが日経には見えているのだろう。増税の話と一緒に聞くと、苛立ちはさらに強まる。国策にも費用対効果の監査を義務化して、外部にやらせるべきだ。

産経新聞・社説
安保理「北」討議 核放棄なき対話あり得ぬ

北朝鮮の核・ミサイル問題を討議する国連安全保障理事会の閣僚級会合で、議長を務めた河野太郎外相は「最大限の圧力で核放棄を迫る」との立場を強調した。北朝鮮をめぐる緊張は長期化し、国連が仲介を模索するなどの動きが生じている。ここで、対話開始の要件を明確に示したことに意味がある。なし崩しの対話開始は認められない。事態の「平和的解決」を目指すべきなのは当然で、偶発的衝突が懸念される今の状況は、早く終わりにする必要がある。一方的に他国に向けてミサイルを相次いで発射しておきながら、核武装を正当化するため「国家の主権を守るためのやむを得ない自衛措置」と発言しても、聞くに値しない。ティラーソン米国務長官は今回の会合で、対話には北朝鮮の挑発行動の「持続的停止」が必要と述べた。先ごろ、無条件対話に応じる可能性に言及したのを修正した格好だ。外交トップとして発言のブレは日米双方の利益を損なう。同氏と会談した河野氏は、日米の立場は一致していると語ったが、それを強調すること自体、結束の緩みを印象づけかねない。トランプ政権はよく考えてもらいたい、としている。

読売新聞・社説
安保理「北」会合 圧力重視の足並みを堅持せよ

国連安全保障理事会が北朝鮮の非核化に関する閣僚級会合を開いた。議長の河野外相は、「圧力の最大化によってのみ、北朝鮮の政策を変えさせることができる」と力説した。ティラーソン米国務長官も「対話を始める前に、北朝鮮が脅迫行為を停止しなければならない」と強調した。対話に条件を付けないとする12日の発言を軌道修正したもので、一応、評価できる。国連決議に基づく北朝鮮への貿易・金融制裁は、一定の効果を上げつつある。途上国を通じた抜け道を着実に塞ぎ、包囲網をさらに強化することが大切である。会合では、北朝鮮の慈成男国連大使が「核兵器保有は自衛措置だ」などと強弁し、米国と非難の応酬となった。一連の安保理決議を無視し、国際社会に挑戦してきたのに、極めて身勝手な論理だ。中国とロシアは、対話による解決を求める考えを強調した。常任理事国の米英仏などとの連携が重要となる。理事国の拡大など、安保理改革にも粘り強く取り組まねばならない、としている。

残念なのは、日本のメディアに国連安保理の話題では北朝鮮、アメリカ、日本の話しか出てこない。ロシアと中国の話が加えてわずかに。その他の国がどんな反応を示しているのか、まるで見えない。特に気になるのが常任理事国のイギリスとフランスの意見。彼らはアメリカとも中国とも協調性を持っている。イギリスは北朝鮮との国交もある。NHKさえ報じていない状況は、日本の報道が偏り、知らされていないことを示している。北朝鮮を擁護しようとは思わないが、対話を求めるロシアや中国の感覚の方が世界の多数を占めている可能性は十分ある。北朝鮮と国交のある国を一度でも見れば、日本の感覚がアメリカに偏っていて、いかに好戦的かは判るはずだ。

朝鮮民主主義人民共和国の国際関係 by Wikipedia

この状況を知らずに、好戦的な圧力を容認するのは、極めて危うい。北朝鮮が敵対しているのは韓国、アメリカ、日本だけと認識しても、いまの日本の姿勢は正しいと言い切れるだろうか?

人民網日本語版
北京-東京フォーラム、趙啓正氏「政府と民間の交流が中日関係を促進」 (2017.12.16)

中国外文局と、日本の非営利団体・シンクタンクの言論NPOが開催する「より開放的な世界経済の秩序を共同構築し、アジアの平和を守る」をテーマにした「第13回北京-東京フォーラム」が16日午前、北京で開幕した。中国人民大学新聞学院の院長、第11回全国政協外事委員会の主任委員を務める、国務院新聞弁公室の元主任・趙啓正氏と宮本アジア研究所の宮本雄二代表がフォーラムのテーマ対話会の司会を務めた。趙氏は挨拶の中で、「同フォーラムは回を重ねるごとにレベルアップしており、参加する人が多くなるだけでなく、より重要な人が参加するようになっている。また、長年かけて形成された『両京』会議のスタイルは、一層、心と心をつなぎ、実際の必要に目を向けるようになっており、中日友好への期待が一層高まっている」と指摘した、としている。

日中関係の改善は、今回から中国が主導権を握りそうだ。握手や譲歩は先に言い出した方が常に勝利する。ずっと日本に先に動く価値に気づいて欲しいと思っていたが、中国に先を越されそうだ。すでに国力だけでなく、発想でも中国が先行しはじめたようだ。手を差し伸べる心の余裕を持っているのは、もはや日本より中国だ。

Wall Street Journal
トランプ氏の求心力低下か、民主党に吹く追い風 (2017.12.14)

アラバマ州で12日行われた上院補欠選挙は、トランプ氏と、かつて同氏の首席戦略官を務めたバノン氏による目論見を浮き彫りにしていた。つまり、両氏が共和党を支配しているだけでなく、反逆的でかつ反エスタブリッシュメント(反既得権益層)なメッセージを使って、両氏が思い描く新しい共和党を勝利に導くというものだ。だが、両氏が全面的に支持していたロイ・ムーア氏はこの上院補選に敗れた。ムーア氏の敗北はトランプ氏個人への大きな打撃となる。州レベルの選挙で、トランプ氏が支持した候補者3人はいずれも立て続けに負けた。アラバマ州の選挙結果を受けて、民主党が来年、下院過半数を取り戻せるかも新たな焦点に浮上した。ただ、これも厳しい戦いとなるだろう。民主党が下院を奪還するには、共和党から24議席を奪う必要がある。これを実現するのにまず鍵を握るのが、昨年の大統領選で民主党候補ヒラリー・クリントン氏が勝利した選挙区の選出議席で、現在は共和党が握る23議席だ。民主党は、全国レベルで大きな波を必要とする。アラバマの選挙結果はこの波を保証するものではないが、可能であることを示唆している、としている。

もう来年のアメリカ議会中間選挙の票読みがはじまっている。原稿を遅れて書いている12.20に、アメリカは減税法案を上下院とも可決した。これで2018年のアメリカは、普通に考えれば活気づく。共和党とトランプ大統領は称賛される。通常なら。だが、昨年から「通常」が疑われ、異例が政治にもマーケットにも置きはじめているのが2017年だ。選挙もマーケットも、私は人の心が揺らしているものに見える。今までと同じ感覚で動く人が減り、メディアやオピニオンリーダーと呼ばれる大きな声になびく事が減った。SNSの影響は想像よりは限定的だと思うが、衝動的に動く人は増えたように思う。トランプ氏がまさに衝動の人であり、衝動で人を動かすことに神経を尖らせている人だ。冷静になるべし。自らの意志で動くべし。マーケットはそう言っている気がする。

Comments are closed.