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3209.報道比較2017.12.15

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税制案に、すでに批判の姿勢を見せる朝日と読売。産経は賃上げへの取り組みは前向きに受け止めている。各紙の主張を読み解いてみると…

朝日新聞・社説
税制改革 将来像なきつぎはぎだ

政府・与党が来年度の税制改正大綱をまとめた。再来年秋の消費増税にあわせた軽減税率導入による目減り分を補いたい財務省。デフレからの完全脱却と経済活性化が最優先の首相官邸。両者の間で右往左往する与党幹部。その結果、個人にはあちこちに負担増が、企業向けには優遇策が並び、つぎはぎ改革案ができあがった。国民への影響が大きいのは所得税の見直しだ。会社員向けの減税措置である給与所得控除を縮小し、すべての人が受けられる基礎控除を拡大する。わずか2カ月前の衆院選で、首相はこうした負担増には触れなかった。一方、法人税では、賃上げと設備投資を促す「アメ」が目玉だ。利益が増えたのに賃上げなどに消極的な大企業には、既存の減税措置の一部を受けられなくする「ムチ」も設けるが、負担増が並ぶ個人とは対照的である。税制についてどんな見取り図を描くべきなのか。年明けの国会で徹底審議が必要だ、としている。

産経新聞・社説
税制改正大綱 賃上げへ後押し継続せよ

自民、公明両党が来年度の税制改正大綱を決めた。高所得者に負担増を求める所得税改革に加え、企業に賃上げと設備投資を促す法人税減税を盛り込んだ。日本経済は7四半期連続のプラス成長だが、国民に景気回復の実感が広がらないのは実質賃金が思うように上がっていないからだ。大綱は、3%以上の賃上げをした企業に減税を拡大する一方、基準を満たさない企業は一部の減税を打ち切るとした。高収益の企業が内部留保をため込む傾向に歯止めをかけ、積極的な賃上げと投資拡大で着実な脱デフレにつなげてもらいたい。それには、賃上げをする企業への継続した後押しが欠かせない。日本から出国する際、航空券代に1千円を上乗せ徴収する国際観光旅客税が1年後に導入される。市町村の森林整備財源とする森林環境税は、1人あたり年1千円を集める仕組みだ。これらの増税は「結論ありき」で決定を急いだ印象が否めず、既存予算との重複もある。国民に丁寧な説明を心がけ、使途を厳格化し、ばらまきに使われるのではないかとの懸念を払拭すべきだ、としている。

読売新聞・社説
与党税制大綱 安易な税収確保策が目に余る

自民、公明両党が、2018年度与党税制改正大綱を決めた。20年1月から、所得税の基礎控除を10万円引き上げる。一方で、会社員と公務員に限られる給与所得控除を10万円引き下げる。その控除額の上限は、年収850万円で頭打ちにする。給与所得控除の対象にならないフリーランスが増えている。基礎控除の引き上げで、こうした層の税負担を減らす狙いがある。その税収減を、給与所得控除の縮小で穴埋めする構図だ。働き方の多様化に資する意図は分かるが、手法に疑問が残る。働き盛りの中高年などが中心とみられる高所得層への増税は、勤労意欲を阻害しかねない。所得増を消費喚起につなげようというアベノミクスの狙いにも反するのではないか。所得税は、収入がガラス張りの会社員と、自営業者などとの公平性の確保が問題視されてもいる。消費税など間接税に比重を移す方向性が考えられる。こうした抜本的な改革に着実に踏み出すことが重要だ、としている。

税の案に、すでに批判の姿勢を見せる朝日と読売。産経は賃上げへの取り組みは前向きに受け止めている。各紙を読み解いてみると、朝日が相変わらず感情的でレベルが低い。個人に負担増、法人は負担減という短絡的な視点に結論づけている。読売は高所得者を中高年と読み解いているところが、個人的には疑わしい。高所得者に課税を強化するのは論理的には当然で、それを中高年と読み解く意味がよく判らない。勤労意欲の根拠も不明だ。賃上げの方がよほど勤労意欲を醸成するはずだが。産経がもっとも建設的だ。安直に見える出国税、森林環境税には当然の批判。賃上げの戦略としての法人税の仕組みには理解を示している。政治家が考えた案の方が、ずっと思慮深い。近視眼的な発想での批判はやめて欲しい。

日本経済新聞・社説
米の利上げはどこまで進むか

米国が今年3度目となる政策金利の引き上げに動いた。来年2月に退任するイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の下では最後の利上げになりそうだ。イエレン体制下のFRBは2014年10月に量的緩和を終了し、そこから1年あまりたった15年12月にゼロ金利政策の解除に踏み切った。その後2年かけて政策金利を今回決めた1.25~1.50%まで引き上げたことになる。基本的には極めて慎重な姿勢で利上げを進めてきたといえる。その結果、金融市場に大きな混乱は起こらず、失業率が4%近くまで下がるなど経済の順調な回復につながった。その一方で、商業用不動産価格や株価の大幅な値上がりなど、バブル的な状況を招きつつあるとの見方もある。米国の利上げがどこまで、どんな形で進むかは、好調な世界経済の行方にも大きな影響を与える。来年は欧州中央銀行(ECB)も量的緩和の縮小を始める予定で、金融面からの追い風は徐々に消える。世界経済が中央銀行の支えなしでも拡大できる基礎体力を備えているかが試されることになる、としている。

まだ案に過ぎない税制よりは、アメリカの利上げを優先するのは経済紙としては適切。中央銀行のマネーで進んだ景気拡大の逆流を警戒するのも常識的だ。1か月前は株高に浮かれていたが…

Wall Street Journal
中国の南シナ海軍事拠点化進む、地下トンネルやレーダーも (2017.12.15)

中国が過去1年に、南シナ海に造成した人工島でインフラ整備を進めていることが、新たな衛星画像の分析から分かった。領有権を争う他の国々との関係修復を図る一方で、中国が地下トンネルやレーダー装置などを着々と建設している実態が浮かび上がっている。米ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)傘下のアジア海洋透明性イニシアチブ(AMTI)が衛星画像とその分析結果をウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に提供した。AMTIによると、中国は16年初め、スプラトリー諸島の埋め立てを完了したが、17年半ばまでパラセル(西沙)諸島の前哨基地の拡張を続けていた。中国はまた、スプラトリー諸島にある3つの大型前哨基地を本格稼働が可能な海・空軍共同基地に変更するための作業を継続。またパラセル諸島の少なくとも3つの前哨基地を更新し、南シナ海の支配拡大に利用する可能性があるという、としている。

中国に止まる気配はない。アメリカが止める気配もない。南シナ海の安全保障はアメリカと中国で共有するつもりだろう。時が来れば、南シナ海の安全保障の労力が半減してメリットがあると言うアメリカ人が登場するのではないか。

毎日新聞・社説
新幹線で重大インシデント 危機感があまりに乏しい

新幹線の安全性に対する国民の信頼を大きく損なった。11日、博多発東京行きの「のぞみ号」の車両の台車に亀裂や油漏れが見つかり、名古屋駅で運転を取りやめた。国の運輸安全委員会は、深刻な事故につながりかねない重大インシデントと認定した。認定は新幹線では初めてのことである。疑問なのは、異常が見つかってから列車を止めるまでに約3時間もかかったことだ。専門家は、台車が破断していれば脱線していた可能性があったと指摘する。一歩間違えれば人命に直結する事故につながったかもしれない。整備や点検に落ち度がなかったのかも検証しなければならない。車両は2007年に製造された。今年2月に車両を解体しての全般検査を受け、当日の未明に目視点検も実施されたが異常はなかった。新幹線の運行は地域によりJR各社に分かれる。東海道・山陽新幹線は、JR西日本と東海が乗り入れる路線だ。車体の異常や故障など、必要な情報が密にやりとりできる態勢は確立しているのか。JR全体で危機感を共有しなければならない、としている。

最近、登場する隠蔽・捏造とは違う。異常だと指摘できるのは危機を認識しながら走行した点だけだ。たしかに危険だが、JRの企業連携まで問題視する話だろうか?

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