ORIZUME - オリズメ

3208.報道比較2017.12.14

3208.報道比較2017.12.14 はコメントを受け付けていません。

1万年に1度の噴火に備えていたら、日本に原発を建てられる場所はあるのだろうか?基準を明確にしていない弊害が、無駄な時間を使っている。

産経新聞・社説
伊方停止の決定 阿蘇の大噴火が理由とは

再稼働済みの四国電力伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)に対し、広島高等裁判所が運転停止を命じた。同高裁は、運転を認めない理由として、伊方原発から130キロの位置にある阿蘇山の巨大噴火を挙げた。高裁は、逆転決定の理由の中で、想定したレベルの破局的噴火の発生確率が「日本の火山全体で1万年に1回程度」であることを認めている。その一方で、原子力規制委員会が策定した火山事象の安全審査の内規に、破局的噴火の火砕流が含まれていることを、運転差し止めの根拠とした。全体に強引さと言い訳めいた論理展開が目立ち、説得力の乏しい決定といえる。高裁の判断は、今後の各地裁でのよりどころとなるべきであるにもかかわらず、混乱を助長するものとなった。極めて残念だ、としている。

日本経済新聞・社説
原発の火山対策への警鐘だ

四国電力の伊方原子力発電所3号機(愛媛県)について、広島高裁は来年9月末までの運転差し止めを命じる仮処分を下した。高裁は差し止めを命じた根拠として、火山の大規模噴火に対する四国電の想定が甘く、規制委の審査も不十分だと指摘した。伊方原発の約130キロ西には阿蘇山がある。ここで最大級の噴火が起きた場合、火砕流が原発の敷地に到達する恐れがあり、立地自体が不適切とした。四国電や規制委は、高裁が噴火対策に憂慮を示した点は重く受けとめるべきだ。差し止め期間を、噴火対策を改めて点検する猶予期間とみなし、広島地裁の訴訟などで説明を尽くす必要がある。仮処分で原発が即座に止まれば電力供給に及ぼす影響は大きい。判例を重ねて、司法判断に一定の目安ができるのが望ましい、としている。

読売新聞・社説
伊方差し止め 再び顕在化した仮処分の弊害

広島高裁が、愛媛県の四国電力伊方原子力発電所3号機の運転を来年9月末まで差し止めるよう命じる仮処分を決定した。広島市と松山市の住民の申し立てを退けた広島地裁の決定を覆した。10月から定期検査に入っている3号機は、来年1月に運転再開予定だった。四電は決定を不服として、執行停止などを広島高裁に申し立てる方針だ。当分、運転再開は見通せない状況となった。高裁が問題としたのは、原発から約130キロ離れた熊本県の阿蘇山だ。1万年に1度程度の破局的な噴火が起きれば、火山灰などの噴出物が大量に飛来し、火砕流が到達する可能性さえ、ゼロではない、との見解を示した。新規制基準は、地震や津波などの自然災害に対して、最大規模を想定した上で安全性を確保できる強度を求めている。過剰とも言える活断層評価はその代表例だ。一方で、火山噴火では、発生する可能性が小さいと判断されれば、原発の設置が認められる。火山リスクが争点の訴訟は、九州電力玄海、川内両原発でも起こされている。規制委には、基準の在り方の再検討も求められる、としている。

これは、どちらかといえば原発を捨てて欲しいと思っている私でさえ違和感がある。1万年に1度の噴火にも備えていたら、日本に原発を建てられる場所はあるのだろうか?基準を明確にしていない弊害が、こうして何度も無駄な時間を使っている。すべて廃炉にするのなら、ロードマップをつくってすぐにも次の電源を研究すべきだ。そうやって人とは困難を団結して越えていくものなのだが、足の引っ張り合いでまるで前に進まない。政治の無責任さが問題を大きくしている。

朝日新聞・社説
米軍ヘリ事故 警告されていた危険

沖縄の米軍普天間飛行場に隣接する普天間第二小学校の校庭に、米軍の大型ヘリコプターCH53Eから鉄製の枠がついた窓が落ちてきた。重さは約8キロ。すぐ近くで児童約60人が体育の授業をうけており、惨事に至らなかったのは偶然でしかない。本来、米軍基地の滑走路の延長線上には、住宅や学校などのない「クリアゾーン」を設けなければならない。だが普天間にはこの決まりが適用されていない。クリアゾーンにあたる地域には、約800棟の住宅と18の公共施設があり、普天間第二小学校はそのひとつだ。普天間の危険性の除去は最優先の課題であり、だから辺野古への移設を進めると安倍政権は唱える。だがそれは、辺野古の周辺に危険性を移し替えるだけで、沖縄県民に重荷を押しつけることに変わりはない。日米両政府が普天間返還に合意した96年当時のペリー国防長官は最近、米軍の抑止力にとって、必ずしも基地を沖縄に置かねばならないわけではない旨の発言をしている。こうした声に耳を傾け、沖縄の負担軽減に本気でとり組む必要がある。ひとたび大きな事故が起きれば、日米安保体制そのものが大きくゆらぐ。その現実を政府は直視すべきだ、としている。

毎日新聞・社説
米軍ヘリの窓が校庭に落下 普天間の危険性あらわに

沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場に隣接する普天間第二小学校の校庭に米軍の大型輸送ヘリコプターCH53Eの窓が落下した。校庭では約60人の児童が体育の授業を受けており、一つ間違えれば大きな事故につながっていた。保護者や周辺住民に怒りが広がり、現場には翁長雄志知事も駆け付けた。普天間飛行場の「危険の除去」は最優先の課題だが、日米両政府が移設先とする名護市辺野古をめぐっては沖縄と政府の対立が続く。事故が起こるたびに沖縄県民の反基地感情が高まり、辺野古移設問題は一段と厳しさを増す。そうなれば普天間の危険除去も遠のくだけだ。菅義偉官房長官は落下事故について「あってはならない」と批判したが、こう着した状態を打開し、普天間飛行場の一日も早い返還を実現する責任は、政府にある、としている。

普天間の危険性が浮き彫りになった事故。沖縄への愛着はあるが、辺野古をとりあえずは受け入れた方がいいのは明らかだ。沖縄の重荷という言葉を十分理解した上で思うのは、だからこそ少しずつでも前に進んだ方がいい。辺野古を最終的な解決策ではなく、危機回避の第一歩に位置づけてはどうだろう?すべてを受け入れなければ前に進まないという強硬な姿勢では、時間の浪費が多過ぎる。

Wall Street Journal
FRB、予想通り25bp利上げ 来年は3度見込む (2017.12.14)

米連邦準備制度理事会(FRB)は13日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を25ベーシス・ポイント(bp)引き上げ1.25~1.50%とすることを決めた。来年についても同様のペースで利上げに踏み切ると引き続き予想しており、FRBのトップが入れ替わる中で継続性が保たれることを示唆した。同時に公表されたFRB当局者による金利見通しでは、2018年は25bpの利上げが 3回となっており、前回9月から変更はなかった。19、20年についてはそれぞれ2度の利上げが見込まれている。3カ月前の予測よりも、成長は一段と加速し、労働市場もさらに引き締まるとの見方が示されたものの、金利やインフレ見通しに大きな変更はなかった。成長見通しは今年、来年ともに2.5%となり、9月時点の2.4%、2.1%からそれぞれ上方修正された。長期の成長見通しは1.8%で変更なく、成長率は2020年にかけてこの水準を上回ると見込まれている。今回のFOMCでは、今後の利上げペースが焦点となっていた。税制改革から見込まれる景気刺激効果に加え、雇用の堅調さや資産価格の大幅な値上がりは、景気の過熱を防ぐための利上げ加速を正当化する可能性がある。一方、低インフレや賃金の鈍い伸びは、極めて緩やかなアプローチを貫く根拠となり得る、としている。

マーケットは材料出尽くしでドルを手放す動き。イエレン氏は最後までマーケットとの対話を重視し、安定を守った。すばらしい。これで金利は余裕はないものの、利下げの余地を増やした。将来への備えも整いつつある。新興国にも今のところは余波は届いていない。次に注目される中央銀行はECBと日銀になる。出口に目を向けているECBと、まだ無言の日銀。日本にもそろそろマイナス金利終焉が囁かれる頃だ。

人民網日本語版
日本・EUが新自由貿易圏を建設 TPP挫折で次の手 (2017.12.13)

米国が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から離脱したことを受けて、欧州連合(EU)と日本は違う手を打つことに決めた。双方は8日に自由貿易協定(FTA)の交渉を終え、世界最大の経済開放エリアを構築することを明らかにした。人口6億人をカバーし、グローバル経済のうち30%にあたる経済貿易活動が行われる見込みだ。ロイター社の報道によると、この動きは双方が保護貿易主義の立場を取る米トランプ大統領を見限ったことを示すという。日本はEUから輸入するチーズへの30%の関税とワインへの15%の関税を廃止し、EUからの豚肉・牛肉の輸入増加を認める。EUが日本で大規模な公開入札を行うことも認める。見返りとして、日本が関税を廃止するのは商品種別全体の94%とし、農林水産品は82%とする。またEUは日本の自動車に対する10%の関税と自動車部品に対する3%の特恵関税を廃止する。トランプ大統領がTPP離脱を宣言した後、日本はEUとのFTA交渉妥結に力を入れてきた。交渉は2013年にスタートし、関税、知的財産権、EC取引など27分野が対象になった。今年6月下旬以降は、日本の岸田文雄外相とマルムストローム委員がそれぞれ東京とベルギー・ブリュッセルで多角的な難しい交渉を何度も取り仕切り、今年7月にはついにこの幅広い分野を対象とした新FTAの調印にこぎ着けた、としている。

中国にも、日欧FTAは気になる話題だったようだ。すでに中国の経済規模は日本を越えて、欧州との貿易も日本以上の規模を持っているだろう。それでも、自由貿易の枠組みには注目するに十分のインパクトがあるのだろう。欧州と日本が得意とする自動車の流通は促進され、農業生産品の流通も加速するだろう。この協定の価値が明確になれば、中国も興味を示すに違いない。日本にとって、すばらしい期待だ。

Financial Times
「ロックスター経済」と謳われた国のホームレス危機 (2017.12.11)

ニュージーランド政府は今週、外国人が既存の住宅を購入するのを禁止する法律を発表する。ホームレス危機を引き起こした慢性的な低価格住宅不足を解消するために設計された一連の政策の第1弾だ。この問題はカナダ、英国、オーストラリアをはじめとした多くの西側諸国にも共通している。低金利により住宅価格が高騰し、多くの低所得者が住宅所有の可能性を失っている。米エール大学の最近の報告書は、ニュージーランドは先進国で最も高いホームレス率に苦しんでいると結論づけた。人口の1%近くにのぼる4万人が路上生活を送っているか、緊急住宅や仮設シェルターで暮らしているという。全国では、今年9月時点で公営住宅への入居を待つ人が5844人おり、その数は2年前の9月より42%増加している。住宅危機は9月の総選挙の大きな争点となり、10年近く政権の座にあった国民党が下野に追い込まれた。連立政権は外国人が既存住宅を買うのを禁止するほか、手頃な住宅を10万戸建設し、公営住宅の売却をやめ、ホームレス対策の財源を増やすことを計画している。また、購入後5年以内に住宅を売却する人として定義づけられる住宅投機筋に課税したい考えだ。だが、財政黒字を維持する公約を守りながら、こうした政策を実現するのは、発足したばかりの政府にとって難しい課題となる,としている。

数日前にオーストラリアの中国批判にかみついていた人民網。ニュージーランドの住宅危機の原因のひとつも中国マネーの流入だろう。世界中の不動産を高騰させている中国マネー。中国に言わせれば「買ってくれと売り込んだのは、あなた方」と言いたいだろうし、それは正しい。世界中が、リーマン・ショック後の金融危機を付け焼き刃な政策で逃げ切ろうとした。中国だけがマネーを供給し、世界中の経済を支えた。歪みが10年後、徐々に顕在化しはじめたようだ。中国は国力を得る代わりに、世界の投資を引き上げて国内に還流させはじめている。思ったとおりの金額で済むはずがない。また次の歪みがはじまることになる。

Comments are closed.