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3198.報道比較2017.12.4

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読売の社説のクオリティが高まっている。部数やビジネスの規模も大きいだけに、正しく変化してくれれば、日本の報道の中心を担える。期待を裏切らないで欲しい。

読売新聞・社説
核軍縮賢人会議 粘り強く「橋渡し役」を務めよ

外務省が広島市で「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」の初会合を開いた。核保有国と非保有国の「橋渡し役」を務めるためだ。日米露や、核兵器禁止条約を推進したエジプトなどの識者15人が参加した。7月に採択された核兵器禁止条約は、核保有国が非現実的だとして参加せず、日本も同調した。だが、核廃絶に背を向けるわけではない。その姿勢を具体化するのが賢人会議である。賢人会議では、「禁止条約の背景には、軍縮が進まないことへの苛立ちがある」との見方が出た。「北朝鮮の核開発は進展している。過去の対話は実効性がなかった」として、安全保障環境の悪化を指摘する見解もあった。市民団体は、日本の禁止条約参加を求めた。だが、形だけ核兵器を禁じても、保有国が加わらない限り、軍縮は一歩も進まない。日本政府は、まず保有国の核兵器削減を優先し、極めて少ない水準まで減った段階で法的な枠組みを設けるべきだと主張している。現実的な提案と言えよう。保有国を確実に巻き込み、核軍縮の機運を醸成する努力を粘り強く続けることが肝要である、としている。

良い。もっとも新聞らしい社説。こういう建設的な話を、新聞から聞きたい。アメリカや核にもアレルギーの少ない読売や産経は、とかくアメリカへの奇妙な配慮が目立った。核兵器廃絶を訴える人たちから、建設的な言葉を見出したのも報道のあるべき姿だ。彼らがヒステリックに、妄想的に平和だけを論じているのではないのを、読売が伝える意義は大きい。今回の選挙後のニュートラルな読売のクオリティは高まっている。部数やビジネスの規模も大きいだけに、正しく変化してくれれば、日本の報道の中心を担える。期待を裏切らないで欲しい。

産経新聞・社説
広がる品質不正 産業界あげて襟をただせ

素材業界で品質をめぐる不正が相次ぐ中で、経団連の榊原定征会長の出身母体である東レでもデータ改竄が発覚した。東レ経営陣は不正を1年以上前に把握していたが、「安全性に問題なく、法令違反もない」と勝手に判断して公表しなかった。インターネット上で不正が告発され、ようやく発表したという。品質不正の影響は深刻である。関西電力と九州電力は、大飯・玄海原発の再稼働延期をそれぞれ決めた。神戸製鋼所が品質データを改竄したアルミ・銅製品などが原発にも使われ、安全性の確認に時間をかける必要があるからだ。とくに関電は、大飯再稼働に合わせて電気料金の再値下げを検討していた。それが延びれば地域経済にも打撃を与えよう。榊原会長は東レを含めて頻発する品質不正を受け、経団連の加盟企業に製品の品質確認を求める方針だ。自ら不祥事の原因解明にあたってほしい。産業界も襟をただして社内の総点検を急ぎ、品質管理や法令順守などを徹底すべきだ。真摯な取り組み抜きに、製造業の信頼を取り戻すことなどできない、としている。

完全にブーメランに打ちのめされた榊原氏と東レ。海外は失笑どころか爆笑しただろう。経団連会長を即辞任してもいいほどの失態だ。産経の言うとおり「バレないだろう」の思惑が見え、それを内部告発で足下が崩れたという最悪の事態。いまの経営者は自分たちの価値観を再考した方がいいだろう。今の時代、バレない不正など期待しない方がいい。忠誠という言葉が消えたのは、転職が当たり前になったからではない。世界でも類を見ない薄給で内部留保に精を出す会社に、なぜ嘘をついてまで仕えなければならないのか。表で言うことと裏で言うことに違いのある人たちに、なぜ使われなければならないのか。嘘をついてまで守るべき未来があると感じられる会社も、日本にはもうないのだろう。今回の日本は、外圧ではなく内部崩壊していくだろう。高度成長をつくった世代のやり方を、学んだように見えて何も知らない現在の経営世代は、危機を越えるリーダーシップを発揮できない。次の世代の信任も得られない。ただ、次の世代も新しい時代の作り方をまだ見出していない。試行錯誤で探し当てるしかない。その挑戦をつづければ、10年後くらいには新しい日本がはじまるかもしれない。

日本経済新聞・社説
がんと仕事の両立に工夫を

政府は第3期がん対策推進基本計画の中で治療、予防と並び、仕事との両立を国を挙げて取り組む課題として正式に位置づけた。現在、年間100万人以上ががんに罹患する。その3分の1は生産年齢人口とされる。人手不足の中、十分に働ける社員が辞めれば企業にとって損失だ。支援制度の整備と並行して進めたいのが、職場風土や意識の改革だ。厚生労働省などの調査では、がんという病気への先入観や職場のコミュニケーション不足も就労継続の壁になっているという。近年の生存率の向上を知らず仕事を辞めさせようとする。本人が公表を望まないのに秘密が守られない。薬の副作用による倦怠感が怠慢と判断される。あるいは患者本人が休暇や手当の制度を知らず、活用されない。こうした例も少なくないとされる。本人、上司や会社と並び、従業員の健康管理では産業医など医療の専門家が果たす役割も大きい。しかしがんの大半は業務が原因でかかる病気ではないため、産業医全般にがんの知識が不足しているとの指摘もある。がん治療に詳しい産業医や産業看護師の育成も急ぎたい、としている。

後述の朝日に比べれば、問題定期の姿勢は冷静で好感が持てる。発端が政府の取り組みだからかもしれないが、是非論に陥っていないのがいい。やがて対象が、がんだけでなく別の疾病にも広がっていけば、日本の職場の多様性はさらに高まるだろう。属人的で、会社をひとつの社会のように形成して統制する時代が終わろうとしているのだと思う。理想的だ。

朝日新聞・社説
議場に乳児 問題提起に向き合おう

熊本市の女性市議が先月、生後7カ月の長男を抱いて本会議に出席しようとして拒まれた。女性の働きにくさをまっすぐに伝えたことだ。メッセージの分かりやすさが、職種を問わず、全国に、幅広い論議を呼び起こした。すべての議会に対する、良い意味での刺激にもなった。議会はさまざまな意見を吸い上げ、行政に反映させる場だ。本来、社会の縮図に近い議員構成が望ましいのに、現状は老若男女には程遠く、「老老男男」の議会がほとんどだ。議場に女性が増えれば、議会の雰囲気も変わるに違いない。女性議員に対するここ数年の暴言の数々は、議員の出産と育児が当たり前になれば消えていくだろう。海外との差は歴然である。女性議員が多いスウェーデンやデンマークでは、国会議員の育休制度も充実している。豪州では、ことし4月に現役の女性閣僚が出産した。5月には女性上院議員が連邦議会で初めて議場内で授乳した。議員活動をしながら出産や育児をしやすい制度を整える。そのことは議会に多様な視点を注入するために役立ち、社会を健全に保つことにも資する、としている。

これを書いた朝日の担当者は男性だろうか?ならば、なかなかのバランス感覚。活躍を期待したい。個人的には、会議にこどもを連れて出席するのは明らかにパフォーマンスなのだろうから、是非論を唱えても意味は感じない。問題提起の手段と、結果は成功だろう。論争を巻き起こし、知名度が上がれば議員は満足なはず。そこから建設的な議論をはじめるべきだろう。他国の閣僚や議会で授乳を列挙するのがいいとは思えない。それもパフォーマンスであり、是非論が混乱するだけだ。男女の同権と、議会を加齢臭がするオッサンが占拠している閉塞的な日本への問題対決には、パフォーマンスではなく、冷静な事実で対処して欲しい。

毎日新聞・社説
危機の社会保障 首都圏の「介護難民」 五輪後では間に合わない

戦後の高度成長期、東京には地方出身者が急増した。23区内の住宅は不足し、区外の開発が不可避になった。東京都西部の稲城、多摩、八王子、町田の4市にまたがる「多摩ニュータウン」は、そんな需要から開発された地域だ。地方から人を吸収してきた東京は、今後、その大きな塊がまとまって高齢化する。それに伴って最も深刻になるのが、介護や医療の問題だ。社会保障の危機は東京を中心とする大都市圏で、最も早く顕在化することになる。周辺県でも高齢化が進行する。25年には介護施設の収容能力がマイナスになり、これまでのような構造では乗り切れない。介護を必要としているのに、そのサービスが受けられない「介護難民」が、1都3県で13万人にもなるという推計もある。東京五輪開催のわずか5年後には、厳しい状況が待ち受ける。都と国が連携して対応しなければ、解決は図れない。早急にしっかりとしたビジョンを示すべきだ、としている。

マッチ・ポンプといわれるメディアにありがちな扇動の、マッチで火をつけるところだけに終始する内容。以前から指摘される問題を突然切り出した理由は何だろう?単純に話題がなかっただけではないだろうか?

Wall Street Journal
米税制改正、多国籍企業への影響プラス面大か (2017.12.4)

米上院は2日未明、31年ぶりの抜本的な税制改革を目指す法案を51対49の僅差で可決した。今後、可決済みの下院案と調整し、法案の1本化作業に入り、年内の法案成立を目指す。税務専門家によると、米国内の事業比率が高く、投資予算が大きいが債務の少ない企業は、より大きな恩恵に浴する。知的所有権と利益の海外移転に長年を費やしてきた企業への恩恵は少なくなる可能性が高い。
法人減税:いずれの法案も、法人税率を現行の35%から20%へ引き下げるとしており、銀行や小売企業など国内の稼ぎが大きく実効税率の高い企業に特に追い風となる。一方、一部ハイテク企業や製薬企業のように、税率の低い外国で利益の大半を上げてきた企業への恩恵は少なくなる公算が大きい。
知的財産権:海外利益のほとんどは低税率国に移管された知的財産権が生み出した。上院の法案は、知的財産権を米国の親会社に戻すインセンティブを提供している。3年間は米国への移転を無課税とし、国内移転後の利益には12.5%という低い税率を課す。25年以降は15.6%へ引き上げる。コロンビア大学経営大学院のロバート・ウィレンズ教授は、「税源浸食に関する条項はあまり考慮されてこなかった」とし、「間違いなく多くの恩恵を相殺するものだ」と指摘した、としている。

いつも土壇場で結果のために動き回る政府と議会。それでも今回の減税訪販の審議は、落ち着いたものだった。アメリカ・ファーストや減税を嫌う人はいない。この好景気の中、減税する意味が通らないとの指摘もあるが、設備投資がまるで増えない現状は、成長エンジンを絶対視するアメリカにとっては完全雇用状態の失業率を達成しても危機感を持っているのだろう。日本政府の構造改革への意識と比較すると、実にうらやましい。これでアメリカへの資金流入は加速する。あとはドル高を抑止できれば、次の中間選挙まで景気は延命できる。そんな読みどおりに進むことを祈っている。

人民網日本語版
習近平総書記 「中国共産党と世界政党の上層部対話」で演説 (2017.12.3)

習近平中共中央総書記(国家主席、中央軍事委員会主席)は1日に北京人民大会堂で、「中国共産党と世界政党の上層部対話」の開幕式に出席するとともに、「手を取り合ってよりすばらしい世界を建設する」と題した基調演説を行い、「政党は時代の発展の潮流に順応し、人類の進歩という大きな流れを把握し、国民の共通の期待に順応し、志を高く遠くもち、責任を引き受け、自覚的に時代の使命を担うべきである」と強調した。また、「中国共産党はこれまでと変わりなく世界の平和安定、協同発展、文明の交流と相互参照のために貢献していく」と述べた。「中国共産党と世界政党の上層部対話」は「人類の運命共同体を構築し、素晴らしい世界を共同構築する:政党の責任」をテーマとし、世界120ヶ国あまりの約300の政党・政治団体のリーダーら600人あまりが参加した、としている。

ずいぶん話が壮大になってきた。これが核心たる皇帝の演説だろうか?やはり中国の息苦しさが強まっている気がしてならない。

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