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3196.報道比較2017.12.2

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プラチナやパラジウムより、コバルトや銅。時代は動いている。ゴールドよりもビットコイン?さあ…

日本経済新聞・社説
原油市場安定を粘り強く探れ

サウジアラビアやイランなどで構成する石油輸出国機構(OPEC)と、ロシアなどOPECに加盟しない主要産油国が、2018年3月としてきた協調減産の期限を9カ月延長し、18年末まで続けることで合意した。生産調整によって原油の供給過剰は解消が進み、原油価格は緩やかに回復している。しかし、これに安心すべきではない。産油国と消費国の双方が納得し、石油市場と世界経済を安定に導く価格水準を粘り強く探る必要がある。14年の価格急落をもたらしたのは、米国でシェールオイルの生産量が急増したためだ。従来の油田に比べて生産コストの高いシェールオイルは原油安で生産が一服したが、価格が上がれば増える可能性がある。18年には米国の原油生産量が過去最高水準へ増えるとの予測もある。OPECが減産を続けてもシェールオイルがその分を埋めてしまう不安がつきまとう。電気自動車(EV)の普及など石油の長期需要も不透明感が増す。産油国は原油価格が回復しても、過度に石油に依存しない経済へ転換する構造改革の手を緩めるべきでない。日本を含む消費国がこれに協力することが産油国の安定を助け、ひいては世界経済の成長につながるはずだ、としている。

マーケットで話題を集めているのはビットコインだけ。他のマーケットはボラティリティが高まっていると感じるが、ビットコインと比較すれば何もかもが無風に見える。そのビットコインの暴騰の原因はおそらくカネ余り。コモディティもそれなりの恩恵を受けているが、オイルだけは蚊帳の外。産油国は頭が痛いだろう。メタルはすでにプラチナやパラジウムへの着目が、コバルトや銅に置き換わっている。明らかにモビリティの未来は内燃機関からモーターにシフトしている。産油国が考えるべきはオイルの用途を動力ではなく電力に変えることではないだろうか。

Wall Street Journal
FRB、パウエル新体制が掲げるべき目標 (2017.12.1)

米連邦準備制度理事会(FRB)の新しい考え方を見たい人たちにとって好機が到来した。FRBでは間もなく議長が交代し、新しい副議長が加わる。連邦公開市場委員会(FOMC)の副議長を務めるニューヨーク連銀総裁も来年半ばに交代する。来年はFRB理事の過半数が新メンバーとなる。新たな指導部は何を重要視すべきなのか。金融の安定を金融政策の主要目標の1つとしなければならない。金融リスクの高まりが最も顕著なのは、急ピッチで上昇を続ける株価だ。S&P500種指数の株価収益率(PER)は07年の世界金融危機発生までの3年間は平均18.5倍だったが、現在は25.2倍と当時より37%高い。現在のPERは過去の平均より63%高い水準で、20世紀の100年間のうちPERが現在の水準より高かったのはたった3年だ。「思わぬ形で状況が変化したときに金融政策姿勢の調節」を検討することの重要性を強調して、講演を締めくくった。とは言うものの、イエレン議長が金融不安定化リスクへの対応策として、金融政策よりも銀行の規制・監督政策を使いたい考えであることは明らかだ。イエレン氏の後任が違う見解を持ち、金融政策の主要目標の1つに金融の安定を含めることを願いたい、としている。

レーガン政権のブレーンという肩書きどおり、発想は少し古い気がする。正論ではあるが、先進国の国債金利が4.5%になるとはとても思えない。国家のGDPが3%さえ目指せない時代に、国債金利が上がっていくとしたら、それは良いことではなく悪い状況だろう。株価がいまの水準を維持しつづけるとは思えないが、金利が高騰しないのは、私は十分にあり得ると思う。先進国には、ずっと成長エンジンに火が入らない。ならば設備投資は生まれない。ビジネスのファイナンスは融資から投資にシフトした。世界のマネーはファイナンスどころかマーケットさえ嫌って直接の取引を望んでいる。私は次の時代の中央銀行が過去の発想に逆転するのは望まない。過去から学んだ上で、未来のあるべき姿をつくって欲しい。

朝日新聞・社説
所得税改革 再分配強化の道筋描け

来年度の税制改革に向け、与党の税制調査会での議論が佳境を迎えている。焦点の一つが所得税の見直しだ。現在の給与所得控除の原型ができたのは40年以上も前だ。当時と今とでは働き方は大きく変わり、ネットで設計やデータ入力などを企業から受注し、自宅で仕事をする人も少なくない。社会の変化に対応し、給与所得控除の適用の有無で生じる不公平を小さくする。同時に所得税の再分配機能を強める。そうした方向性に異論はない。収入が極めて多いお年寄りを対象に、年金受給者向けの控除を減らして負担増を求める制度変更を含め、実現に向けてしっかり検討してほしい。所得が増えるほど税率を高くする累進税制は、1980年代以降に大幅な緩和を重ね、再分配を弱めてきた。預貯金の利子や株式の配当・売却益は他の所得と切り離して課税しているが、税率は20%程度で所得税の最高税率45%と比べて低い。株式などに多く投資できる富裕層を優遇する形になっている。その場しのぎに終わらせず、抜本的な改革につなげていけるか。政府・与党は目指す社会の将来像を見据え、議論を進めなければならない、としている。

個人的には退位日程よりは税制の方が興味を引かれる。朝日の視点には期待するが、主張の内容には深みを感じない。一般的な陳情レベルに留まっている。与党の所得税控除の調整の方がずっと踏み込んでいる。じわりと進みはじめている増税に抵抗する印象もない。メディアの発想は昨今、いつも物足りない。提案力が低下している。

読売新聞・社説
譲位日程固まる 国民はこぞって寿ぎたい

天皇陛下が譲位される日程が、皇族方や三権の長らで作る皇室会議の開催を経て、決まった。陛下は平成31年4月30日に皇位を退かれる。5月1日に皇太子殿下が第126代の天皇に即位され、改元が行われる。譲位の日取りは、皇室や政治の日程、国民生活への影響などを勘案して決まったといえよう。200年ぶりとなる、譲位による御代替わりを、国民こぞって寿ぐことにもふさわしい。国の始まりから日本の君主であり、国民統合の象徴である天皇にふさわしい代替わりを実現することが大切である、としている。

毎日新聞・社説
天皇陛下の退位日決まる 国民本位を貫く姿勢こそ

天皇陛下が2019年4月末に退位される日程が皇室会議で固まった。皇太子さまは翌5月1日に新天皇に即位され、その日から新元号に切り替わる。政府は8日に退位日を正式に閣議決定する。天皇の在位期間と元号を一致させる一世一元制が明治時代に始まって以来、政府が退位日を決めるのは初めてのことだ。政府は当初、18年12月31日に天皇陛下が退位し、19年1月1日に新天皇が即位する日程を検討していた。喪に服す必要がなく、退位後、即位に関連する行事にスムーズに移行できると考えられた。しかし年始は祝賀行事や宮中の祭事が多い。19年1月には昭和天皇逝去30年の式年祭が行われ、皇室が多忙なことから宮内庁が難色を示していた。こうした皇室の事情を考えれば、年末の退位を避けたことはやむを得まい。元号に対する国民の関心は高い。有識者懇談会などによる議論も含め、どのような経過を経て新元号が決まったのか、最終的にはオープンにするべきだろう、としている。

読売新聞・社説
天皇退位日 代替わりへ遺漏のない準備を

2019年4月30日に天皇陛下が退位される。5月1日に皇太子さまが天皇に即位され、この日から新元号となる。これが、三権の長や皇族らで構成する皇室会議の意見だ。8日の閣議で正式決定される。政府は当初、「18年末退位・19年元日改元」を検討したが、宮内庁は「年頭には多くの儀式がある」と難色を示した。年度替わりの「19年3月末退位・4月1日改元」の案も、統一地方選の直前であることなどから退けられた。最終的に「静かな環境」を優先した日程に落ち着いたという。今回の退位は「陛下の退位を実現する特例法」に基づく。それに伴う儀式を国事行為とすべきかどうか。この点も慎重に考えるべきだ。菅官房長官をトップに、年明けに設置される検討委員会で、多角的に議論してもらいたい。皇太子は不在となり、秋篠宮さまが皇位継承順位1位の皇嗣となられる。従来の活動に加え、皇太子さまの公務も継がれる。過剰負担を避ける工夫が大切となる、としている。

産経の論調には前時代的な印象を感じるが、その他の横並びの社説も、情報ソースがあって転載しただけのような内容に留まっている。皇室の話題に私論を挟みにくいのなら朝日や日経のように距離を取った方がずっと潔い。最初に天皇が退位の意向を示した時の誠実さに比べ、その後の政治の動きは丁重なだけ、メディアは総じて是非論に終始して政治批判を繰り返してきた。穏便であることがもっとも天皇陛下の意向に近いなら、政治の方がメディアより思慮深い。メディアは政治より国民と価値観の分断が進んでいる。

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