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3194.報道比較2017.11.30

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アメリカの喉元に刃を突き付けた北朝鮮。アメリカは、こういう脅しが大嫌いだ。安全地帯をなるべく広く取りたがる超大国に今回の挑発は、想像以上にアメリカを動かす可能性を秘めている。アメリカ軍がいつもと違う動きをはじめたら準備をはじめたい。

朝日新聞・社説
対北朝鮮政策 制裁と外交で活路を

北朝鮮がきのう、弾道ミサイルを発射した。大量破壊兵器の開発をめぐる行動としては、2カ月半の「沈黙」を破った。今回の発射が何より鮮明にしたのは、北朝鮮は当面、米全土を攻撃できる軍事力の追求をやめないという意思である。その意思を変えさせる方策を探しだす難題が続いている。トランプ米大統領のアジア歴訪に伴う各国の会談に加え、中国特使による平壌訪問もあった。さまざまな動きを注視し、今後のふるまいを練ったのも確かだろう。すでに科された国連制裁は、これから本格的な効きめを表し、年末から北朝鮮経済は深刻な打撃を受けるとみられる。きのう北朝鮮メディアは「国家核戦力完成」「ミサイル強国の偉業」と宣伝したが、その割にはあえて飛距離を抑える発射方法を選んだ。米国との軍事衝突は避けつつ、国内に実績をアピールしたい金正恩政権の思惑がうかがえる。国連制裁の履行を着実に進めつつ、中国、ロシアと調整しながら平壌との対話を探る。そのための外交力が問われている、としている。

産経新聞・社説
ICBM発射 北は自滅への道急ぐのか 「核完成」阻止へ手立て尽くせ

北朝鮮が日本海に向けて発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)は、約千キロ飛行して青森県西方約250キロの日本の排他的経済水域(EEZ)に着弾した。日本は、同盟国である米国や国際社会とともに、北朝鮮の核戦力完成を全力で阻止すべきだ。ICBM発射は、国連の制裁や米国によるテロ支援国家再指定に真っ向から挑戦するものともいえる。日本も安保理決議に基づく制裁の完全履行を各国に求めてきたが、それだけでは不十分である。新たな暴挙には新たなペナルティーが科されるべきだ。日本は、石油の全面禁輸を含む制裁強化を呼びかけたらどうか。政府と与野党は、今の国会で諸外国並みの海上封鎖に当たれるよう法改正に取り組むべきだ。国民を北朝鮮の核の脅威から守るため、迅速な行動が必要である。ティラーソン氏は、現在は休戦中となっている朝鮮戦争の国連軍参加国に、日本など関係国を加えた国際会議をカナダと共催することも明らかにした。北朝鮮を牽制するねらいがある。横田基地(東京都)には朝鮮国連軍の後方司令部がある。日本は参加各国と地位協定を結び、基地使用などを認めている。その意味でも国際協調に努めたい、としている。

日本経済新聞・社説
地方消費税改革に注文する

北朝鮮が2カ月半ぶりに弾道ミサイルの発射を強行した。しかも米国を標的とする新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)という。国際社会の自制要求を無視し、軍事的な挑発を再開した北朝鮮の暴挙は決して容認できない。北朝鮮メディアは、新たに開発したICBM「火星15」の発射実験に成功したと表明した。超大型の核弾頭を搭載して米本土全域を攻撃できるとし、7月に2度発射したICBM級の「火星14」より格段に技術的特性に優れているとした。米本土を射程に入れたICBM開発が実戦配備への最終段階にあると誇示したといえよう。安倍晋三首相とトランプ米大統領は電話協議で「北朝鮮の政策を変えさせる」ため、圧力をさらに高める必要性で合意した。日米韓が主導してこれまでの国連安全保障理事会の制裁決議や独自制裁の順守を各国に求めるとともに、石油の全面禁輸を含めた追加制裁策を検討していくべきだ。北朝鮮の核・ミサイル開発は世界の安全を脅かし、核不拡散体制も大きく揺るがす。北朝鮮に核放棄を促し、無条件で対話の場に引き出すためにも、まずは国際社会が結束して最大限の圧力をかけていくことが肝要だ、としている。

毎日新聞・社説
北朝鮮「核戦力完成」と主張 状況の悪化を食い止めよ

北朝鮮がきのう2カ月半ぶりに弾道ミサイルを発射し、青森県沖約250キロの日本の排他的経済水域(EEZ)に落下させた。北朝鮮は、米全土に届く新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」だと発表した。通常軌道で発射された場合の射程は1万3000キロに達すると推定される。首都ワシントンやニューヨークなども射程に収めたことになる。北朝鮮は核保有国という対等の立場で米国と交渉することを望んでいる。金委員長の言葉はそうした交渉を仕掛けるための布石に見える。日本にできることは限られているが、手をこまねいているわけにはいかない。米韓と連携して中国、ロシアに働きかけ、北朝鮮に核放棄を迫る包囲網を強めていく必要がある。さらなる状況悪化を食い止める外交努力を尽くさねばならない、としている。

読売新聞・社説
北ICBM発射 米との緊張高める危険な挑発

北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。ICBMの発射は、7月の2回に続いて3回目だ。今回のミサイルを通常の角度で発射した場合の射程は、1万3000キロ以上と推定する専門家もいる。首都ワシントンなど、米本土の主要都市まで届く計算になる。北朝鮮は、米本土全域を攻撃でき、大型核弾頭の搭載が可能なICBM「火星15」の試験発射に成功した、と発表した。朝鮮労働党の金正恩委員長は、「ついに核戦力完成の歴史的大業が実現した」と言い放った。安倍首相はトランプ氏との電話会談で、対北朝鮮圧力を最大限に強める方針を確認した。国連安全保障理事会は、緊急会合を開き、対応を協議する。制裁決議の厳格な履行で、中国、ロシアの協力を取り付けることが大切だ。日本は、不測の事態に備えて、迎撃能力を拡充すべきだ。来年度の予算編成では、陸上配備型イージスシステムの関連経費や、新型ミサイルの取得費などの適切な計上が欠かせない、としている。

アメリカの喉元に刃を突き付けた北朝鮮。アメリカは、こういう脅しが大嫌いだ。安全地帯をなるべく広く取りたがる超大国に今回の挑発は、想像以上にアメリカを動かす可能性を秘めている。アメリカ軍がいつもと違う動きをはじめたら準備をはじめたい。韓国への渡航を警告しはじめたら、もうアメリカは止まらない。今まで以上にアメリカは強く行動を意識したはずだ。日本は弛緩している。「日本にできることは限られる」と平然と書く新聞が出る始末だ。口で言うほどには、何の準備もできていないのだろう。北朝鮮危機とともに、日本にも危機が訪れる。

Financial Times
韓国の高齢者が迎える晩年の貧困危機 (2017.11.27)

貧困は韓国の高齢者の半数近くを苦しめている。今の高齢者と言えば、戦後韓国の活力源となり、先進国への目覚ましい変貌を支えた世代だ。国民年金(基礎年金)の支給額は月間20万ウォンで、住まいと食費を何とかまかなえる程度。このため多くの高齢者は家計をやりくりするために、単調な仕事や恥ずべき仕事に就かざるを得ない。高齢貧困の問題は、今後さらに悪化する一方だ。寿命が劇的に延び、出生率が低下し、経済成長が鈍るなかで、高齢者の人口が急増している。韓国の高齢者の間では、老後の生活に備えた人が少なく、多くの人が子供の教育に莫大な資金をつぎ込み、晩年に自分たちが無一文になったという。さらに、若年失業率が10%近い水準で推移していることから、多くの高齢者は子供たちからほとんど仕送りを得ていないと指摘する。文在寅大統領は今年8月、特に貧困に苦しむ高齢者向けの基礎年金を2021年までに月30万ウォンに引き上げることを約束した、としている。

韓国の少子高齢化は、日本にそっくりだ。中国も、欧米も、やがて世界中が似た状態になるのだろう。ならば、先行する韓国や日本には大きなチャンスがあるはずなのだが、協力する意識も、この課題を成長や新しい価値観にシフトするきっかけにしようという発想はない。来るのは困難、対策は忍耐のみ。天候不順や、資源不足、侵略や戦争さえ、リスクである以上、チャンスも秘めている。恐怖を克服して現実を直視すれば、必ずそこには未来がある。韓国にも日本にも、そういう発想がないのなら、少子高齢化からはじまる人間の新しい時代の覇権も、他の国に奪われて真似るだけになるのだろう。

Wall Street Journal
ワーキングプア苦しめる資格の足かせ (2017.11.28)

生活の糧を稼ぐための資格。米政府はかつてないほど国民にこれを求めるようになっている。仕事に就くために資格が必要な労働者は1950年代には20人に1人だった。だが現在は約4人に1人だ。この状況は働いていても貧困状態にある「ワーキングプア」を特に苦しめている。非営利の公益法律事務所インスティテュート・フォー・ジャスティス(IJ)による包括的なリポートで明らかになった。機能不全が最もひどいのはカリフォルニア州だ。同州はある監督当局の一人の担当官が昨年認めたように、「誰一人として資格が必要な職種の全リストを(提供)できない、解読不可能なほど複雑に入り組んだ官僚機構」をあらゆる職種全般にわたって確立している。同州のドア修理業、大工、造園業者はまず1460日におよぶ監督指導のもとでの実地経験が求められる。その後、資格の取得には500ドルを超える費用を支払う必要がある。全米で見ると、そうした資格取得にかかる費用が年間で最大2030億ドル、価格に転嫁されている。研究によると、資格要件の厳しさは党派に関係がない。つまり、こうした規則はイデオロギーというより、政治的な力関係に根差しているということだ。忠実な共和党支持者が多いワイオミング州は低賃金の26の職種に資格取得を求めている。これはどの州よりも少ない。一方、リベラルなバーモント州は2番目に少なく、資格を求めている低賃金の職種は31だ。モンタナやサウスダコタの両州よりも少ない。これは政治的に改革が可能であることを示唆する。ワーキングプア層に尊厳ある自立した生活を提供すること。これを超党派の優先課題とすべきだ、としている。

世界中、どこでも変わらないのだろう。既得権と呼ばれる官僚主義のシステムが、弊害の温床になっている。競争を推奨するアメリカでもこんな状況なら、政治も経済も保守的な日本はさらに悲惨だ。アメリカは、社説からムーブメントが起きれば社会が変わる。小さな政府を標榜する共和党がまともに取り組めば、いい規制緩和になるはずだ。もちろん破壊を推進する人たちは、次のルールづくりで利益を得ようと暗躍するのだが。アメリカが奇妙な資格や免許を葬ることを期待している。

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