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3191.報道比較2017.11.27

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週末の産経と読売の論理的な社説は好印象。政府迎合をやめ、近隣国への感情的な主張をなくせば、この2紙の論理的な姿勢は大衆に最も近い。批判一辺倒の毎日が落日の様相だ。

朝日新聞・社説
大学改革 目先の利益傾く危うさ

大学の授業料の減免や奨学金制度の拡充は、大学改革とセットで――。首相が議長を務める「人生100年時代構想会議」でそんな声が高まっている。税金を使う以上、それに見合う質を求めることは誤りではない。だが政府が進めてきた大学政策を重ね合わせると、この割り切りには危うさが漂う。今春の経済財政諮問会議で、文部科学省は大学改革の狙いに「イノベーション(技術革新)創出と生産性向上」を掲げた。予算の配分でも、大学や研究者間の競争を重視する傾向が強まっている。いきおい、基礎研究より実用、人文社会より自然科学に有利に働くだろう。 そもそも大学で学んだ何が、どう役に立つかは、教育を受けた本人が、それをどう消化するかによる。国の都合で学生の進む道を縛るべきではない。多様な人材を世に送り出す。そのためには、学問の多様さと大学の個性が欠かせない、としている。

社説で選ぶには適切なテーマだと思う。内容には賛同できる部分とできない部分が半々。多くの意見が国民それぞれにあり、合意形成には時間がかかりそうだ。だからこそ、議論を推進し、政府がトップダウンで決めていいことではないと結論が出ているならいいが、朝日は理想論で社説を終えている。理想論のままでは、統廃合の進む地方の苦境や教育費への税金投入の課題は解決しない。私は、さっさと決めていいことではないというのが結論で、安倍氏が思い付きのように言い出した教育無償化が、1年程度の国会議論で結論を出せると思っているなら軌道修正が必要と進言するのが適切だと思う。

産経新聞・社説
社会保障改革 「俯瞰の目」で全体像描け

自民、公明、旧民主の3党合意に基づく社会保障・税一体改革は大きく変質した。安倍晋三首相は今後の対応について、国民に丁寧な説明を行う責務がある。それが大きく形を変えたのは、首相が先の衆院選で幼児教育・保育や高等教育の無償化を掲げ、消費税率引き上げの増収分の使途変更を打ち出したためだ。大盤振る舞いを思わせる動きの一方で、財務省は社会保障費の伸びの抑制を求めている。何ともちぐはぐな印象を漂わせる。国会では無償化に論点が集中しそうだが、いまこそ全体のバランスを図る俯瞰の目が必要だ。例えば、晩婚・晩産が進み、子育て世代が親の介護も行うダブルケアが増えてきたことだ。子育て政策の充実だけで、若い世代の支援になるとは限らない。 超長期を展望しなければならない社会保障制度は、党派を超えた合意を基本とすべきだ。無償化論議に矮小化することなく、社会保障制度の将来を見据えた議論をかわしてもらいたい、としている。

日本経済新聞・社説
賃金改革と残業削減を着実に

仕事が同じなら賃金も同じにする「同一労働同一賃金」や、残業時間への上限規制の導入などをめざす政府の働き方改革は、関連法案の審議が来年に先送りされる。同一労働同一賃金は正社員と非正規社員で不合理な待遇の差を設けることを禁じる。パートや契約社員の場合、基本給は経験や能力が同じなら正社員と同額の支給が求められることになる。賞与も貢献度に応じた支給が必要になる。企業は非正規社員の納得を得られるよう、賃金制度の整備を急がなければならない。正規、非正規を問わず職務や責任の範囲を明確にし、仕事の成果をきちんと評価する仕組みづくりが基本になる。正社員の活性化のためにも賃金制度の透明性を高めるべきだ。 同一労働同一賃金の制度づくりは非正規社員のやりがいを高め、残業削減は働く人の健康維持につながる。いずれも企業の成長を支える。関連法案の成立に向け、早めに備えるに越したことはない、としている。

後述の毎日と比較して、産経と日経は適切に論点を整理している。毎日の劣化が目立つ。
産経の安倍氏の主張への要請は当然だろう。孤立とまではいかないが、自民党内からも、連立の公明党からも異論の出る社会保障改革。何をしたいのかの説明も、選挙前はまったく定まらなかった。ここから何をする気なのか、明確な説明をして欲しい。
日経の社説は、完全に企業向けの提案になっている。実務的で極めて質が高い。先送りされた法案に事前に対処せよという、すばらしい提案になっている。経営者はこれでリスクを認識するだろう。政府が求めている賃上げが実現するかもしれない。

読売新聞・社説
TPP大綱改定 足踏み許されぬ「攻めの農業」

政府が「総合的なTPP(環太平洋経済連携協定)等関連政策大綱」を決定した。米国を除く11か国が新たなTPPに大筋合意した。日本と欧州連合(EU)は年内の経済連携協定(EPA)最終合意を目指す。こうした動きを踏まえたものだ。大綱は「新市場開拓を推進するとともに、強い農林水産業をつくりあげる」と明記した。国内農業の活路を海外市場に見いだし、そのための構造改革を進める。米国のTPP脱退で、農業への打撃は軽減される面がある。対策規模の維持は安易なバラマキを誘発しかねない。農業の体質強化に資する事業を厳選すべきだ。国際認証を取得した生産者が少なく、進出先が限られているとも指摘される。政府と農協などが連携し、輸出戦略を深めることが大切だ。海外ニーズを探る市場調査の強化もカギの一つとなろう、としている。

昨日の産経に似た論調。読売は政府寄りから完全に卒業したようだ。ただ、政府と農協に連携を要請するあたりには、まだ現実性の低さ、大きな政府型の社会主義に理想を見出しているようにも見える。大衆のニーズに合わせて変容しやすい読売の姿勢が気になる。

毎日新聞・社説
危機の社会保障 「働けど貧しい」 支える側がやせ細っていく

厚労省は「国民生活基礎調査」で日本の貧困状況を明らかにしている。15年の相対的貧困率は3年前の16・1%から15・6%に下がった。だが、一人親世帯に限れば50・8%と経済協力開発機構(OECD)加盟国で最悪の水準にある。この調査は生活の状況も聞いており、母子家庭では38%が「貯蓄がない」と答え、「生活が苦しい」は83%にのぼる。OECDによれば、日本の一人親世帯は親が働いていても貧困に陥る率が高く、多くの国でそうした世帯の貧困率が10~25%なのに比べ対照的だという。欧米は1990年代から低所得の労働者「ワーキングプア」の問題について国際会議などで議論を重ねてきた。社会保障の持続性を損ない、社会の分断や国の不安定化を招くと考えたためだ。世界に先駆けて超高齢化を迎える日本にとって手本はない。長期的な視点に立った方策に、早急に取り組まなくてはならない、としている。

昨日の社会保障の話題と関連しているつもりだろうか?情緒的で、悲惨な事例を集めて悲観しているだけ。これで考えることだけを促すのでは、陳情と同じレベルだ。社会保障は言い出すと範囲が広い。それを2日の原稿の中で散乱させ、教育、生活保護、高齢化を無節操に語っている。せめて問題を整理して提案すべきだ。毎日の劣化は本当にひどい。

人民網日本語版
南中国海問題 オーストラリアは無責任な発言を止めるべき (2017.11.24)

中国外交部(外務省)の陸慷報道官は23日の定例記者会見で、オーストラリア側に対して、約束を順守し、南中国海問題で無責任な発言を止めるよう促した。(南中国海情勢について)実は客観的な姿勢で事実を受け止める人なら誰しも、南中国海情勢がすでに明らかに緩和と安定に向かっていることをよく分かっているはずだ。オーストラリアは南中国海問題の当事国ではないし、領有権争いで特定の立場を取らないと繰り返し表明してもいる。われわれはオーストラリア側に対して、約束を遵守し、南中国海問題で無責任な発言を止めるよう促す。特に現在、南中国海周辺国、すなわち中国とASEAN諸国は「デュアル・トラック・アプローチ」に基づき、直接の当事国による交渉と協議を通じて争いを平和的に解決し、中国とASEAN諸国が南中国海の平和・安定維持に共同で努力することで、すでに合意している。現在地域の国々はこの方向に向けて努力している。われわれは域外国がこうした努力を尊重することも望む、としている。

南シナ海は、フィリピンを取り込んだ中国が強気だ。問題提起しただけでオーストラリアを批判している。いまの時期、結論を急ぐと中国の主張が通りやすい。中国は既成事実の形成に急ぐだろう。このままでは、日本の望む結末からは遠のく。

Wall Street Journal
富豪ステイヤー氏のトランプ氏弾劾活動、民主党が懸念する理由 (2017.11.27)

米カリフォルニア州の富豪トム・ステイヤー氏は、ドナルド・トランプ大統領の弾劾を求める広告に2000万ドル(約22億円)を投じた。ステイヤー氏の動きは民主党議員の不安をかき立てている。民主党指導部は、無所属や共和党の有権者は弾劾キャンペーンを民主党の行き過ぎた行為と受け止め、中間選挙で民主党のメッセージを損なうと恐れている。ステイヤー氏による弾劾キャンペーンは、政治の面で同氏に個人的な恩恵をもたらす。同氏はカリフォルニア州選出の上院議員予備選で、現職のダイアン・ファインスタイン氏の対抗馬として出馬を検討しているほか、同州知事選への出馬も視野に入れる。いずれも来年の実施だ。ステイヤー氏が弾劾キャンペーンを推進する中、民主党内では中間選挙で、トランプ大統領にどの程度焦点を当てるべきが議論が交わされている。一部は、弾劾議論をここで持ち出せば、中間層支援に向けた党のメッセージが伝わらなくなると懸念している。またモラー氏や議会委員会による調査が続く中で、弾劾を唱えれば、調査を損なうとの意見も出ている、としている。

アメリカの2大政党による政権運営は、私が生きている間に崩壊するだろう。次の大統領選挙では、その一端が語られるに違いない。資本主義が言葉どおりに推進されれば、経済界で政治に興味を持つ人が新しい政党を模索した方がいいと思えるほど、共和党も民主党も液状化してしまった。いまの大統領自身が、政党の価値を軽視し、駆け引きに利用する組織になってしまった。存在意義が崩壊した以上、存続は困難だ。日本はさらに悲惨な状況に陥っているが…

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