ORIZUME - オリズメ

3188.報道比較2017.11.24

3188.報道比較2017.11.24 はコメントを受け付けていません。

休みの過ごし方で成長曲線が変わる?休みに時折いい社説を書く日経が、興味深いトピック。このセンスが平日にも見たい。

日本経済新聞・社説
地震観測網を減災に生かせ

世界有数の地震国である日本には陸地の約4400カ所、近海の約200カ所に地震計が設置されている。その多くを通信回線で結び、地震や津波の情報をいち早く伝えるシステムが稼働した。地震の発生を震源近くでいち早くとらえ、注意情報を出せば、揺れや津波が伝わる前に備えることができ、被害を減らせる。だがデータの利用体制づくりは遅れている。国は、自治体や企業が使いやすいように公表方法を工夫し、減災に役立ててほしい。気象庁が発表している緊急地震速報は、いまは主に陸の地震計のデータから予測している。今後、海底地震計の活用が進めば、予測精度の向上が期待される。国はデータを誰でも使えるよう標準化したり、アプリ(応用ソフト)の規格を定めたりして、企業の取り組みを後押しすべきだ。政府は南海トラフ地震対策について、これまでの予知に頼る防災をやめ、不意打ちされても被害を減らす対策に軸足を移す。地震観測網も当初は予知や予測の精度向上が狙いだったが、今後は減災への活用を真剣に考えるべきだ、としている。

地震予知の話が社説で出たのは、11.1。話題は南海トラフ地震を対象にした気象庁の話題だった。今回の話は国立研究開発法人・防災科学技術研究所。データを観測から導こうとする姿勢は、個人的には実績が出る確率が高い気がする。観測点が4400でいいのかは、結果が出てくれば増やせる。今までの地震予知のアプローチより、ずっと本質的で興味深い。気象庁の話とは連携しているのだろうか?まさか縦割り?

産経新聞・社説
東芝の大型増資 猶予生かし再生の姿描け

経営再建中の東芝が約6千億円の増資を決議した。これにより、半導体メモリー事業の売却が遅れても今期中に債務超過を脱し、上場廃止を回避できる見通しである。東芝は、虎の子の半導体を手放した後の具体的な経営計画を早期に示す必要がある。それには法令順守を含めた企業統治の強化が不可欠である。経営改革を断行できる社内体制の整備に万全を尽くさなければならない。債務超過から確実に抜け出すための措置が資本増強である。東芝は約60の海外投資家などに対して新株を発行する第三者割当増資を実施する。上場廃止の恐れがほぼ払拭されたという点で、経営安定化へと一歩前進したといえる。半導体事業は営業利益の9割を稼ぎ出してきた。売却する以上、新たな成長戦略が欠かせない。社会インフラ関連やエネルギー事業などを次の収益の柱に据えるが、それらの利益率は高くない。半導体売却が遅れた要因には社内の意思決定の乱れもあった。迅速で適切な経営判断を下すことこそが東芝再建の前提である、としている。

普通の論理で考えると、儲かるものを手放すのなら、次に儲ける方法をイメージできていないなら、それは経営ではない。カネだけ集めて、上場を維持することに固執したのなら、また株価で遊ばれるだけだ。東芝の経営者も優秀な方々のはず。追いつめられて本気で答えを出せていると期待したい。

朝日新聞・社説
金融危機20年 新たな課題へ対応急げ

20年前の11月、北海道拓殖銀行と山一証券が続けて破綻し、金融危機が本格化した。信用不安が社会を覆い、その後も大型破綻が相次いだ。危機を乗り切るため、巨額の公的資金の投入や大規模な再編が続いた。3メガ銀は今年、相次いで大幅な業務見直しや人員削減の計画を打ち出した。背景には、低金利の長期化に加え、情報通信分野の技術革新の波がある。伝統的な貸し出し業務の利ざやが減る一方で、これまで銀行が担ってきた決済や送金には、他業態からの参入が見込まれる。コスト削減だけでなく、新しいサービスの開発と提供が不可欠になっている。日本経済全体でみると、金融危機後の20年間、金融機関をのぞく民間企業部門はほぼ毎年、資金を返す側に回っている。家計の貯蓄が企業に回って投資され、経済が拡大するというかつての流れは過去の話になり、逆方向の動きが定着している。そうした「金余り」の一方で、新しい事業の創出に向けてリスクをとる資金の出し手が、国内には不足している。そう指摘されて久しい。金融システムに求められるのは、おカネを最も有効に使うところに回すという役割だ。その機能がきちんと発揮されているか、不断の問いかけが必要だ、としている。

小難しく書いているが、私は金融機関、特に銀行だけが金余りや企業の内部留保を促しているとはまったく思わない。正規から非正規に、賃上げから賃下げへと動いているのは企業であって、銀行ができる話ではない。新規事業を作る経営をしなくなった資本力のある企業が日本で目立つだけで、新規事業には、もはや日本からの資金だけに頼る必要がないことを起業家は知っている。すでに新卒の就職活動が海外にむかい、人材が採れなくなっている時代だ。20年前の話と無理につなげなくても、考える人は正しく動き、守りに入った人が使わないカネを貯め込んでいるだけのこと。金融機関を責める話ではない。すでにリスクを取って挑戦している人はいくらでもいる。メディアが言うほど、日本経済は死んでもいないし、止まってもいない。

読売新聞・社説
与党税調論議 所得税見直しは長期的視点で

自民、公明両党の税制調査会が、2018年度税制改正に向けて、それぞれ本格的な議論を始めた。12月中旬に与党の税制改正大綱として一本化する。所得税が最大の焦点となる。「会社員の夫と専業主婦」の世帯を念頭に置いた長年の仕組みを、家族や働き方の多様化を踏まえて見直す必要性は理解できる。インターネットを通じて個人で仕事を請け負うなど、会社に所属しない働き手が増えている。会社員の必要経費に当たる「給与所得控除」の対象にならないため、基礎控除を拡大して補う。減税を埋め合わせる増税策として、年収1000万円超の会社員の給与所得控除を縮小する。年金以外の年収が1000万円超の高齢者は「公的年金等控除」を縮小する。こうした案が出ている。デフレ脱却を実現するには、賃上げによる消費喚起と、設備投資を通じた生産性向上は必須の条件だ。とはいえ、企業ごとに経営事情は大いに異なる。税制措置が、企業の行動を縛り過ぎたり、不公平を助長したりしては本末転倒である、としている。

昨日の毎日と、ほぼ同一の内容。ということは、自民党の広報からリリースを受けたまま、大した考察もせずに載せている社説なのだろう。手抜きはすぐに露呈する。

毎日新聞・社説
トランプ氏の兵器売り込み 安保で商売は納得できぬ

今月、来日したトランプ氏は安倍晋三首相との共同記者会見で「日本が大量の防衛装備を買うことが望ましい」と述べた。防衛装備のトップセールスはめずらしくない。だが、トランプ氏の売り込みは地域の軍拡競争を自らあおっているように映る。同盟関係にある日本が米国の防衛装備を購入することは相互運用性からも有益ではある。しかし、「米国第一」に追従するような野放図の購入なら、国民の理解は得られまい。日本は戦闘機F35や輸送機オスプレイ、ミサイル防衛システムなどの装備を米国と購入契約している。ただし、こうした高性能で機密性が高い最新装備は日本政府が米政府と直接契約する有償軍事援助(FMS)を通じて購入される。米国製に依存し過ぎれば国内企業による装備開発が進まず、受注減にもつながる。米国製と国産のバランスを取る必要もあろう。厳しい財政状況の中、日本は適正価格で効率的に装備を購入できるよう米政府と交渉すべきだ、としている。

売り込まれても、買わなければいいのだが。トランプ氏のセールスより、安倍氏が平易に買ってしまう姿勢が世界で失笑されているのを毎日は知ってのことだろうか?

人民網日本語版
韓国は約束を守り行動を貫くべき (2017.11.23)

今年は中韓国交樹立25周年であり、本来なら両国の友好協力関係発展の重要な節目だった。だが昨年以来、THAAD問題の影響で両国関係に波瀾が生じた。たゆまぬ努力を経て、中韓はついにTHAAD問題の段階的取り扱いについて、いくつかの合意にいたった。今回の康外相訪中で、双方は中韓関係の障害を取り除くためにさらに踏み込んで意思疎通を行い、両国関係の改善・発展の推進に尽力している。「相互尊重」は両国関係の安定を維持するうえでの基礎だ。習主席はベトナム・ダナンでの文大統領との会談時、双方が互いの核心的利益と重大な懸念を尊重する必要性を指摘した。中韓関係が冷え込んだのは、韓国側が一度判断を誤り、中国の反対を顧みずTHAAD配備を強行したためだ。中国は新型の国際関係の構築を進めている。相互尊重は国家間の和やかな共存、長期安定的な関係発展のために堅持すべき原則だ。現在中韓関係はまさに正念場にある。両国関係の障害を乗り越えられるか否かの鍵は、韓国が約束を守り、行動を貫くことができるか否かにある、としている。

長文で執拗に韓国のTHAADを否定している。アメリカと韓国の関係を壊し、中国にシフトさせるために、手を緩めるどころか、さらに語気を強めている。アメリカも韓国に意思の確認を行っているようだが、ワークしているのだろうか?中国は確実に成果を手にしているように見える。

Wall Street Journal
欧米中銀がインフレで明暗、FRBの悩み深く (2017.11.24)

大西洋を挟んだ欧米の中銀がそれぞれ異なる見解を示していることに注目して欲しい。22日公表された10月31日~11月1日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、雇用や成長が健全な状況にあるにもかかわらず、インフレ率がなぜ目標を下回り続けているのかを巡り、連邦準備制度理事会(FRB)当局者がますます困惑している様子が浮き彫りとなった。対照的に、23日公表された10月開催の欧州中央銀行(ECB)理事会の議事要旨では、ECBは勝利宣言するにはまだ程遠いものの、インフレ率が緩やかに目標に回帰するとの「自信を深めている」ことが判明した。一方で、ECBはなお大規模な債券買い入れを実施しており、失業率も低下余地が残っている。ECBが近年、注力してきた課題はデフレ懸念への対処だった。そのため、目標を下回るインフレ率は、依然として異例の金融緩和策の解除を緩やかなペースでしか進めていないECBよりも、利上げ局面にあるFRBの方が大きな課題であるように見える。金融政策が進む方向性やスピードは市場にとって重要だ。FRBに関して、投資家は速いペースでは進められないのではないかとみている。半面、ECBについては、ECBが緩やかに進める意向を表明しているにもかかわらず、ピッチを上げるかどうかが焦点となっている。欧州の見通しの方が明るくなっているとの見方が続く限り、これはユーロ圏資産が一段と支援されることを示している。ユーロは再び上昇基調を強め、ECBにとって頭痛の種となる可能性もあるが、それでもユーロ圏への信任票であることに違いない、としている。

ヨーロッパは、政治に不穏な空気が芽生えても、経済は回復基調のようだ。アメリカは株だけが上がって、インフレはまるで進まない。中央銀行が本気で悩んでいるかは不明だが、株価を過熱させ過ぎずに、適度なインフレで賃金上昇を目論みどおりに進めたい希望が、かなわない。ヨーロッパが先にインフレの兆しを手にした。中央銀行は、誰もが思っているのは、適度なインフレを切望しながら、過度のインフレは絶対に避けたい。金利がどんどん上昇したら、いまの中央銀行はお手上げだ。
さて…日銀も、そろそろ出口の話をできるだろうか?

Comments are closed.