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3178.報道比較2017.11.14

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アジア外交したのはトランプ氏のはずが、APECを経ても、注目を集めたのは習近平氏だった。主役交代だ。

朝日新聞・社説
日中首脳会談 接点見いだす努力こそ

安倍首相が中国の習近平国家主席と訪問先のベトナムで会談し、関係改善で一致した。象徴的なのは、この首脳会談を「日中関係の新たなスタートになる会談だ」と位置づけた習氏の言葉である。この機運を生かしたい。一度も実現していない両首脳の相互訪問など日中関係の進展はもちろん、アジアの安定に向けた両国の協力につなげてほしい。先の日米首脳会談で共通戦略として打ち出した「自由で開かれたインド太平洋戦略」も、中国のシルクロード経済圏構想「一帯一路」と競り合うばかりではなく、日中で協力の余地がないかを検討すべきだ。中国が重視する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)も同様だ。立場に違いはあっても、多国間の枠組みをめざす日中の方向性は一致している。接点を見いだす努力が必要だ。日本にとって、日米同盟や日米韓の連携は欠かせないが、それだけで十分ではない。アジアの責任ある二つの大国が認識と行動をともにする。一歩一歩の努力の先にこそ、地域安定への道は見えてくる、としている。

毎日新聞・社説
首相と中国首脳が会談 前向きな機運が出てきた

東南アジア歴訪中の安倍晋三首相は中国の習近平国家主席、李克強首相と相次いで会談した。日中関係の改善を急ぐことで一致し、習氏は首脳間の相互訪問再開にも前向きな姿勢を示した。安倍首相と習氏の会談は冒頭から友好ムードを演出し、習氏がめずらしく笑顔で首相と握手を交わした。険悪だったこれまでの首脳会談から様変わりしたのは、安倍、習両氏がともに国内の権力基盤を強化したことが大きい。長期政権をにらみ、両国が抱える課題に戦略的に取り組む態勢が整ったということだろう。日中が優先する課題は異なり、北朝鮮問題にも一帯一路にも温度差はある。首相が「(尖閣諸島を巡る)東シナ海の安定なくして日中関係の真の改善はない」とくぎを刺せば、習氏は「中日関係を改善させるカギは相互信頼にある」と返した。日中首脳は日本での日中韓首脳会談の早期開催でも合意した。前向きな兆しを逃さず、具体的な改善へとつなげるべきだ、としている。

読売新聞・社説
日中首脳会談 相互訪問で地域の安定を図れ

安倍首相がベトナムで中国の習近平国家主席と会談し、首脳の相互訪問を提案した。習氏も前向きな考えを示した。早期に日本で日中韓首脳会談を開き、李克強首相の来日を実現し、来年の安倍首相訪中と習氏来日につなげたい。首相は「来年の日中平和友好条約締結40周年を見据え、両国の関係改善を力強く進めたい」と表明した。習氏は「今日の会談は日中間の新たなスタートになる」と述べ、今回の会談を評価した。首相は習氏に対し、北朝鮮問題でより積極的な役割を果たすよう求めた。北朝鮮に核・ミサイル開発の断念を迫るには、北朝鮮包囲網に中国を取り込み、その実効性を高めることが重要である。首相が「東シナ海の安定なくして、日中関係の真の改善はない」と習氏に強調したのは当然だ。尖閣諸島周辺の領海での中国による公船の侵入の常態化は看過できない。早急に是正すべきだ。ようやく足並みがそろい始めた首脳同士の関係を土台に、政府間の具体的な協議と調整を急ぎ、緊張緩和を図る必要がある、としている。

人民網は、昨日すでに写真付きで首脳会談の内容を伝えていた。日本のメディアはすでに中国にスピードとコンテンツで抜かれている。政府や首相に期待する前に、自らの仕事を反省したらどうだろう?社説に画像が入ったのを、私は日本の新聞で見たことがない。Wall Street Journalは、いつも何らかの画像やグラフが含まれている。伝える意思が日本の新聞は低いのだろう。時代が移ろう中で、何が時代に置いていかれ、新しい変化を起こす主導権を誰が握るかは、いつも変化への適応力が核となる。中国は政治主導も、経済活動も、確実に変化を牽引している。日本は、政治も経済活動も時間が止まったままのようだ。

産経新聞・社説
神鋼の品質不正 統治不全で信頼を失った

検査データの改竄などの不正を重ねていた神戸製鋼所が、社内調査の結果をまとめた。収益を重視するあまり、品質よりも生産量の確保や納期が優先の体質が不正を招いたとした。閉鎖的な社内風土も不正の連鎖を断ち切れなかった要因だという。報告書は、複数の部署で製品の品質データの改竄などが長く続き、多くの社員が不正に関与してきたと指摘した。収益確保のために納期を守ることに追われ、品質を軽視する姿勢が不正を招いたとしている。閉鎖的な縦割り組織で収益重視の「身内の論理」が優先され、契約や法令の順守という基本的な責任の放棄につながった。同社は本社に品質監査部を設け再発防止に乗り出すというが、どこまで効果があるだろうか。企業統治の立て直しから始めるべきではないか、としている。

日本経済新聞・社説
神鋼の不正報告は不十分だ

問題の原因を具体的に分析できておらず、品質管理を立て直すには不十分な内容だ。製品データの改ざんをめぐって神戸製鋼所がまとめた社内報告書のことだ。顧客と契約した基準に満たない製品を、品質データを書き換えて出荷するといった不正が続いた原因について、報告書は収益重視に偏った経営、納期優先の企業風土や、人の異動が少ない閉鎖的な組織などを挙げた。不正が最も多かったアルミ・銅事業部門はなかでも収益貢献への意識が強く、これが問題の背景にあるとみている。問題のあった製品の納入先は500社を超え、管理職の関与や不正が数十年続いていたことも指摘されている。内部統制の仕組みや経営を監督する取締役会がどのように機能していたかなどを含め、不正の原因を掘り下げて考える必要がある。顧客と約束した基準から外れる製品を納めるという今回の不正は日本企業の品質管理への信頼を揺るがすものだ。日産自動車とSUBARU(スバル)の無資格検査も消費者を裏切る行為といえる。日本製品への世界の信頼を損なわないためにも3社には踏み込んだ原因分析が求められる、としている。

経済活動には「イヤなら買わなければいい」という、もっとも強い選択権を購入者が持っている。40年も不正がつづいていた会社に、報告のレベルの低さを社説で批判する意味などない。すでに信頼は地に墮ち、取引先はスイッチするだろう。日本製品への信頼?とっくにそんな妄想は消えている。もはや日本は値引きして買ってもらう製品の代名詞になる宿命を受け入れるしかない。やり直しだ。私たちの作るものに圧倒的商品力を持つものは極めて少ない。その事実を認めたくないからか、嘘をつく癖が付いてしまったのだろう。もう一度、正直になることからはじめるしかない。

Wall Street Journal
トランプ氏のアジア歴訪、APEC演説で台無し (2017.11.13)

ドナルド・トランプ米大統領は初のアジア歴訪を成功裏にこなし、10日はベトナムでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で演説した。この演説は、自由で開かれたインド太平洋地域に向けた自らのビジョンを示すはずだった。しかし、代わりに同氏が示したのは、多国間貿易協定に対する激しい反対姿勢だった。トランプ氏は間違っている。多国間協定は他国が米国を「利用する」のを容認してきたと同氏は主張するが、実際には、第二次世界大戦後に米国が作り上げた多国間貿易システムは、米国の輸出品のための外国市場を作り出した。米国が取り残されるにつれて、米国の最大の敗者になるのは、農業州と中西部にいる大統領支持者だろう。TPPは米国にとって、アジアの成長から恩恵を得られる絶好のチャンスであり、トランプ大統領の抱く不満の種を是正するものが少なくない。具体的には、知的所有権の剽窃や略奪的な産業政策、規則の執行に関する不満などだ。APEC首脳会議に集まった米国の友人たちは、10日のトランプ氏の演説に失望した。だが多角的貿易への彼らのコミットメントより、トランプ氏あるいは彼の後継者は路線を変更させられるかもしれない、としている。

人民網日本語版
習近平中共中央総書記がベトナム国会議長と会談 (2017.11.13)

習近平中共中央総書記(国家主席)は12日、ベトナムのグエン・ティ・キム・ガン国会議長とハノイで会談した。習総書記は中国の全人代とベトナム国会の友好交流を高く評価。「両国の立法機関は国の政治において重要な役割を発揮しており、両国民の相互理解と親善を強化する重要な懸け橋でもある。両国立法機関の交流は相互理解と親善を強化し、中越包括的・戦略的協力パートナーシップの内容も豊かにした。両国立法機関は各レベルの交流を強化し、国政運営と立法監督面の有益な経験を互いに参考にし、両国民の相互理解強化の面で多くの取り組みをし、中越関係を支える民意の基礎を固めるうえで一層の貢献をする必要がある」と指摘した。グエン・ティ・キム・ガン議長は「中国側と上層部の意思疎通を保ち、各分野の協力を推進し、国民の友好を強化したい。ベトナム国会は革新を進める過程で、全人代との交流と相互参考を強化するとともに、共に努力して、越中友好関係の深化に貢献することを望んでいる」と表明した、としている。

アジア外交したのはトランプ氏のはずが、APECを経ても、注目を集めたのは習近平氏だった。主役の座を平然と奪えるのは、意図的かは別にして、アメリカ大統領の得意技だった。それがどうだろう、世界の注目はもう中国のリーダーに移っている。目立ちたがりなトランプ氏がどれだけ騒いでも、言葉を選ぶ習氏の言動の方が注目され、称賛される。中国メディアの過度な礼賛がなければ、習氏の発想はもっと協力者を増やすかもしれない。世界の主役は徐々にアメリカからアジアに移っている。経済だけでなく、リーダーシップも。これから、何もかもがシフトしていく。エンターテインメントも、トレンドも、価値観も。主役交代だ。

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