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3173.報道比較2017.11.9

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韓国での演説が注目を集め、いよいよ中国。トランプ氏のアジア外交が本編へ。

産経新聞・社説
トランプ氏演説 金正恩氏に「決断」迫った

何としてでも核・ミサイル戦力を放棄させる。トランプ米大統領が韓国国会演説で、北朝鮮問題への決意を示した。3隻の米軍空母を周辺に展開していることにも触れ、「われわれを侮ってはならない。試そうとしてもならない」と語った。必要なら軍事力を行使する姿勢を明確にするためだ。国会演説では、北朝鮮の孤立化へ国際社会の結束を訴え、「待てば待つほど危険は増し、選択肢は限られてくる」と指摘した。核・ミサイル開発のほか、劣悪な人権状況、外国人拉致など北朝鮮を全般にわたり非難した。それでもなお、金正恩氏に向けて、核・ミサイル開発の放棄を前提に「よりよい未来への道を提供する用意がある」と述べた。中露も米国の強い決意を断じて軽視してはなるまい。地域の平和と安定に寄与してもらいたい。ベトナム、フィリピンでの国際会議には、安倍晋三首相やトランプ氏も参加する。国際社会が対北圧力で結束する重要な機会として位置づけ、連携して議論をリードすべきときだ、としている。

日本経済新聞・社説
日米韓の対北連携は大丈夫か

北朝鮮に核放棄を促すには、中国やロシアを含む国際社会の結束が必要だ。だが、それを促すうえでも、まずは日米韓の連携が欠かせない。ぎくしゃくした関係が伝わる米韓の間で、日米と同様、北朝鮮に強い制裁と圧力を加えることが先決との認識を再確認した点は一歩前進だろう。ただし、米韓の温度差は否めない。文大統領は会談後の記者会見で北朝鮮に早急に対話に応じるよう求めつつ、核問題の「平和的な解決」の必要性を強調した。対するトランプ大統領は「必要であれば圧倒的な軍事力を全て使う」と言明。韓国での国会演説でも「力による平和」を訴え、軍事力の行使も辞さない覚悟で北朝鮮を抑止する姿勢を示した。 革新系の文政権はもともと北朝鮮に融和的で、これまでも南北対話の可能性などを探ってきた。北朝鮮が核やミサイルの挑発を繰り返すなか、さすがに米国と協調して圧力重視に軸足を移しつつあるものの、今秋には北朝鮮に対する人道支援の実施を決めるなど、足並みの乱れも露呈している。韓国政府は米大統領の歓迎夕食会に元慰安婦の女性を招待し、料理には日韓が領有権を主張する竹島の韓国側呼称をつけた「独島エビ」を提供した。北朝鮮をめぐる日韓や日米韓の連携に水を差しかねない対応で、極めて遺憾だ、としている。

毎日新聞・社説
トランプ氏の韓国国会演説 核放棄を迫る強い警告だ

トランプ氏は訪韓の目的を「北朝鮮独裁体制の指導者にメッセージを直接伝える」ことだと述べた。韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線から50キロしか離れていないソウルでの演説は、トランプ政権の対北朝鮮政策を明確に示す意味があった。トランプ氏は演説で「力を通じた平和」を強調した。「軍事衝突を望んでいないが、逃げはしない」と述べ、米国を試すようなことはするなとくぎをさした。北朝鮮の核保有を阻止するためには軍事力行使も辞さない姿勢を示したものだ。一方でトランプ氏は、核・ミサイル開発を続けるなら妥協の余地はないものの、放棄に応じるなら「より良い未来」へ向けて協力できると語った。北朝鮮の人権侵害を問題視しつつ、体制転換を求めているわけではないという姿勢も見せた。硬軟両様のメッセージを金正恩朝鮮労働党委員長に送ったといえる。核保有が体制存続を保証するわけではない。むしろ核放棄こそが体制存続につながる賢明な道である。金委員長はトランプ氏の警告を真剣に受け止めねばならない、としている。

読売新聞・社説
トランプ訪韓 「北」の孤立化で強固な結束を

トランプ米大統領が、韓国国会で北朝鮮問題に関する演説を行った。「全ての責任ある国家は、野蛮な政権を孤立させるため、力を合わせるべきだ」と訴えた。中国とロシアを名指しして、北朝鮮との貿易や技術協力の断絶を求めた意義は小さくない。トランプ氏は近く、中露首脳とも会談する予定だ。現状を放置すれば、朝鮮半島有事の可能性が大きくなることを直接伝えてもらいたい。韓国の文在寅大統領は、トランプ氏との会談で、北朝鮮に対する融和的な姿勢をひとまず封印し、「最大限の制裁と圧力」に協力する考えを表明した。懸念されるのは、文政権が日米韓3か国の連携強化に、及び腰の態度を示していることだ。中国と韓国は先に、在韓米軍の最新鋭ミサイル防衛システムが、「中国の安全保障上の利益を損なわない」ことで合意した。韓国は、システムの追加配備を行わず、日米のミサイル防衛網に参加しない方針も表明している。日米韓の連携よりも、中国への配慮を優先するような韓国の安保政策は、理解に苦しむ、としている。

韓国は、もうアメリカ依存から脱却している。北朝鮮と国境を接し、休戦状態でアメリカと軍事同盟を結んでいる国が、中国に迎合する姿勢を鮮明にしている。
もちろん奏功するかは判らない。日本から見れば不愉快だろう。だが、本当に朝鮮半島の統一を考えた時、アメリカの国力が落ち、トランプ氏が大統領になったことと、中国のパワーが高まって安定した政治基盤があるのを見れば、経済を抜きにしても中国を意識するのは完全な誤りではない。ただの日和見や、中国の脅しに屈したという見方も正しいだろうが、アメリカに完全に傾注するだけが北朝鮮問題の解決策だと盲信するのが、果たして正しいと言い切れるだろうか?THAADはソウルを守れない状態の運用になった。脅しに屈して首都の防衛を手薄にするだろうか?アメリカだけに依存する北朝鮮問題の解決策を、韓国は中国と模索しているのではないか。トランプ氏の演説に頼もしさを感じている日本の新聞の感覚は本当に正しいのだろうか?

Wall Street Journal
トランプ氏訪中、北朝鮮問題隠す「商談と厚遇」 (2017.11.9)

中国の習近平国家主席はドナルド・トランプ米大統領を数々の商談と故宮(紫禁城)参観をもって歓迎した。トランプ氏から北朝鮮との経済関係縮小を求める圧力が強まる中でも、同氏を厚遇しようとしているようだ。米中間の推計90億ドル(約1兆円)相当の商取引は、トランプ氏の1日半の訪中に友好的な雰囲気をかもし出そうと狙ったものだ。トランプ氏が到着する前に、中国は10月の対米貿易黒字がほぼ270億ドルだったと発表した。トランプ氏は中国の直前に訪問した韓国の国会で演説し、金正恩朝鮮労働党委員長に直接呼び掛けた。演説では対話の道を開くと同時に、核兵器開発を続ければ重大な結果を招くと警告した。ウィルバー・ロス米商務長官は北京で ゼネラル・エレクトリック (GE)、 ダウデュポン 、スミスフィールド・フーズなど米国企業と中国の商取引について発表。さらに、翌9日に米中企業の契約をさらに発表すると述べた。アナリストや外交官の見方では、中国側が米国市場へのアクセス拡大を認められない限り、習氏が通商面で大幅に譲歩する可能性は低い。その代わり、中国はトランプ氏を厚遇と商談でおだて上げようとしているようだ。そうした商取引はトランプ氏の支持基盤にはアピールしそうだが、通商面での緊張を和らげる効果はほとんど期待できない。9日には半導体大手クアルコム、航空・防衛大手ボーイング、金融大手 ゴールドマン・サックス ・グループ、自動車の フォード・モーター や ゼネラル・モーターズ (GM)といった米国企業が関わる契約が発表される予定だ、としている。

人民網日本語版
トランプ大統領が北京到着、習近平国家主席夫妻が故宮で出迎え (2017.11.8)

習近平国家主席の招きに応じ、米国のトランプ大統領が11月8日から10日までの日程で、中国を公式訪問する。8日午後2時40分、トランプ大統領を乗せた大統領専用機「エアフォース・ワン」が北京首都国際空港に到着した。中共中央政治局委員で、国務委員の楊潔篪氏が同空港で出迎え、崔天凱駐米中国大使と今年7月に就任したブランスタッド駐中国米国大使、外交部(外務省)関係者も出迎えに駆けつけた。同日午後、習主席と彭麗媛夫人は故宮博物院でトランプ大統領とメラニア夫人を出迎え、両国の指導者と夫人たちは故宮博物院内にある宝蘊楼で歓談を行った。習主席はトランプ大統領の中国公式訪問を歓迎し、今年4月のトランプ氏の別荘「マー・ア・ラゴ」での歓待に感謝の意を示すとともに、トランプ夫妻も中国訪問をぜひ楽しんでほしいと伝えた、としている。

ずいぶん多くの手土産と同行メンバーを携えて中国に行くトランプ氏。アジア外交の本編がはじまる。政治をディールにしてしまうなら、北朝鮮の問題解決の代わりに、トランプ氏は何かを譲歩することになる。貿易赤字の解消のために、マネーと雇用の代わりに何かを与えることになる。国内の政治を見ても、安全保障を見ても、手の内のカードはトランプ氏が圧倒的に悪い。韓国でも大した成果を得なかったトランプ氏。中国では何か得られるだろうか?

Financial Times
大きな賭けに出たサウジ皇太子 (2017.11.8)

今回のパージでは、「MbS」として知られるムハンマド皇太子の潜在的なライバルだった、故アブドラ前国王の息子でエリート組織の国家警備隊トップのムトイブ・ビン・アブドラ王子が排除されたほか、大富豪の投資家アルワリード・ビン・タラール王子を含む大勢の人が拘束された。父親のサルマン国王から王位を継承するとの憶測が飛び交っているとはいえ、32歳のMbSはまだ君主ではない。皇太子の経済プログラムの狙いは、国家が負担する余裕を失った「ゆりかごから墓場まで」の社会福祉を削減し、サウジの石油依存を終わらせることだ。MbSは、そうした改革にはドラスチックな手術が必要なことを理解している。だが、こうした賞賛すべき目標と並び、それが国内であれ、王族内であれ、仲間のスンニ派近隣諸国の間であれ、反対意見を一切容認しない厳しい権威主義的な作戦に従っている。土曜のパージの数時間前には、レバノン首相でサウジの味方のサード・ハリリ氏が、イランの支援を受けたヒズボラが参画する挙国一致政府から辞任すると発表した。今回のパージは、サウジの支配の恣意的な性質を強め、投資を促すべき相手の企業を不安にさせている。MbSは、片手で築いているものを、もう片方の手で破壊しているのかもしれない、としている。

北朝鮮問題より複雑で、キナ臭さを増してきた中東。サウジアラビアの皇太子のアクションは、サウジアラビアの未来の窮屈さ、これからはじまる息苦しさを感じさせる。プーチン氏、習氏と同じ手法という見方もあるが、30代の若い皇太子が、他の名だたる名士を一気に失墜させる事態が、いつも一触即発で血の気の多い中東で起きているリスクは、ロシアや中国よりずっと不確実で危うい。当分、サウジアラビアはイランよりも中国で火種になる気がする。個人的には、見込んでいた期待が一気にしぼんだ。残念だ。

朝日新聞・社説
再エネの普及 送電線の「空き」活用を

風力や太陽光など、再生可能エネルギーによる発電を普及させていくことは、脱原発と温暖化対策の両立に欠かせない。ところが、送電線への接続問題が大きな壁としてたちふさがっている。送電線を持つ電力大手が「空きがない」と主張し、再エネ業者が何年もの期間と多額の負担金がかかる送電線増強を嫌って計画を断念する。昨春、東北電力が北東北で「空き容量ゼロ」と発表して以来、そんな例が各地で相次ぐ。電力大手各社は空き容量の計算方法の詳細を明らかにしていないが、基本的には先着順に接続契約している発電設備がすべてフル稼働した状況を前提にしているという。今は止まっている原発はもちろん、未完成の原発なども計算に含めている。この問題を考える時、忘れてならないのは、送電線はだれのものかという視点である。法的な所有権こそ電力大手にあるが、その建設と維持の費用は電力料金の算定に織り込まれている。電気の利用者、すなわち広く国民の負担で整備してきた公共物そのものと言える。日本も2020年に発送電の分離を予定する。送電線の空き問題への対応は、分離後の透明で公平な態勢づくりへの試金石でもある、としている。

内容は興味深い。国内紙が横並びで中国で起きる外交よりも北朝鮮向けの演説を社説に選ぶのに比べると、実生活に近い話題だ。だが、電力会社への批判に終わるなら、週末ではいけなかったのか?と思えるレベルの弱い主張だ。国が株主をしている電力会社が多いのだから、本当に問題と考えれば方針は変えやすい。政治への提言として動いた方がシンプルだと思う。

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