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3171.報道比較2017.11.7

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日本外交で成果ゼロのトランプ氏。まさか中国からも手ぶらで帰るつもりだろうか?習氏は何の約束をする気もなさそうだ。ディールという言葉さえ使わせてもらえそうもない。

Wall Street Journal
トランプ氏の対中貿易戦略、真意はどこに (2017.11.6)

ドナルド・トランプ米大統領は今週、20社以上の米企業の幹部と中国の北京で合流し、そこで数十億ドルに上る商談合意を発表する見通しだ。だが、これだけでは経済政策の成功とはいえないだろう。限られた数の企業、とりわけ大豆や航空機、天然ガスなどを扱う企業との商談では、トランプ氏が解消を誓っている対中貿易赤字の大幅減少にはつながらない公算が大きい。昨年の米国の対中貿易赤字は3470億ドル(約39兆6000億円)に上ったが、2017年は赤字額がさらに増える見通しだ。あるホワイトハウス高官は、これらの経済対話を中国による「ロープ・ア・ドープ(消耗戦)作戦」だと指摘する。つまり、中国側は表面的な微調整の場で、中国の重商主義的政策を根本的に変革させようとする米国の圧力をかわそうとしているという意味だ。そのうえで同高官は、トランプ政権がこれ以上それに付き合うことはないとしている。トランプ大統領としては、北朝鮮の核プログラムへの対応で習氏からの協力を危うくしたくない。2日にはフォックス・ニュースで貿易上の締め付けを発表するつもりがあるのかと問われ、「極めて大切なことを理解しなければならない。北朝鮮という問題を抱えているということだ」と答えた。ホワイトハウスは、貿易戦争を引き起こして米国の減税計画を危うくしたくないと考えている。税問題と貿易問題を監督する議会委員会を運営する自由貿易派の共和党議員との関係を悪化させるのは避けたいところだろう、としている。

人民網日本語版
トランプ大統領アジア歴訪 「支点」は訪中 (2017.11.6)

米国のトランプ大統領が5日、就任後初のアジア歴訪を始めた。日本、韓国、中国、ベトナム、フィリピンを訪問する。今回の歴訪の「支点」は8~10日の訪中だ。世界が認めるように世界権力の中心がアジアへとシフトする中、「中国は平和的発展の道を堅持し、人類運命共同体の構築を後押しする」との厳粛な約束を習近平国家主席が重ねて表明する中、中米が新型の大国関係をどう構築するかは、アジア及び世界に重大な影響を与える。中国は世界の中心にかつてないほど近づいている。現在世界の中心にある米国との間に戦略面の誤判を生じ、「トゥキディデスの罠」にかかることを避けるには、首脳対話制度が極めて重要だ。トランプ大統領就任以来、習主席とトランプ大統領はマールアラーゴとハンブルクで2回直接会談し、電話会談を8回行った。崔天凱駐米大使は、両国首脳の直接対話によって「双方間に存在しうるいくつかの誤解を解き、溝を効果的に管理・コントロールし、互恵協力を力強く推し進める」ことができると考える。トランプ大統領の訪中では、中米の大国間関係の位置付け以外に、朝鮮問題も注目される。朝鮮の核・ミサイル技術の「急速な発展」を受けて、すでに米国は「戦略的忍耐」を失った。朝鮮核問題はすでにアジアの安全を脅かす最も危険な爆発点となっている。朝鮮半島の非核化及び平和・安定実現という目標において、中米双方は一致している。実務的で、衝突の「導火線」を徐々に抜く対朝戦略を中国側といかに探るか。トランプ大統領の政治的知恵が試されている。、としている。

朝日新聞・社説
日米首脳会談 中ロ巻き込む外交を

来日したトランプ米大統領と安倍首相が会談し、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への圧力強化に向けて結束を確認した。その環境づくりのために問われるのは、今回、日米で共有した認識を韓国、中国、ロシア、さらにはアジア各国とどう調整していくかだ。とりわけ北朝鮮の後ろ盾とされる中国の協力は欠かせない。両首脳が中国について「さらに大きな役割を果たしていくことが重要」との認識で一致したのは当然だろう。留意が必要なのは、両首脳が日米共通のアジア戦略として掲げた「自由で開かれたインド太平洋」構想だ。日米に加えインド、豪州の4カ国を中心に太平洋からインド洋にかけて、航行の自由や法の支配、公正で自由で互恵的な貿易などに基づく開かれた秩序を築く。そんな構想である。8日からの大統領の中国訪問に加え、首相も10日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などの機会に習主席やロシアのプーチン大統領との会談に意欲を示している。そこで対北朝鮮対応でどう歩調をあわせるかが問われる、としている。

毎日新聞・社説
北朝鮮めぐる日米首脳会談 試される非核化の構想力

安倍晋三首相と初来日したトランプ米大統領が迎賓館で会談し、北朝鮮の核・ミサイル問題や日米経済問題などを協議した。北朝鮮問題で両首脳は「北朝鮮の政策を変更させるため圧力を最大限まで高めていく」ことで一致した。経済では「貿易投資を活性化し、エネルギーやインフラなどで協力を強化していく」ことを確認した。両首脳は会談で「北朝鮮に対し今後の取るべき方策について見解が一致した」という。だが、圧力の先にどんな解決策を描いているのか示されただろうか。むしろ懸念されるのは、北朝鮮の軍事的活動に対抗して米国も軍事的圧力を強め、米朝間の緊張が高まっていることだ。その場合、北朝鮮からの生物兵器や化学兵器を含めた反撃の可能性もあるという。軍事衝突は絶対に避けなければならない。首相は記者会見で「だれも紛争を望んでいない」と言うだけで、互いに自制して不測の事態を避ける方策について明確な説明はなかった。一方で、日米とオーストラリア、インドの4カ国の連携を基軸に太平洋からアフリカまで幅広い範囲で安定と成長を目指す「インド太平洋戦略」の重要性も確認した。日本が米側に示したとされる構想だが、これはシルクロード経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国をけん制する狙いがある。日米関係と日中関係などとのバランスを取りながら、どう「危機」を克服していくかが、安倍外交に問われている、としている。

産経新聞・社説
日米首脳会談 同盟の絆で国難突破せよ 中国念頭に海洋戦略一致も大きい

安倍晋三首相とトランプ米大統領が、日米同盟の揺るぎない絆を世界に示し、北朝鮮問題をはじめとする難局を乗り越えていくことを確認した。北朝鮮に核兵器・弾道ミサイル戦力を放棄させ、全ての拉致被害者を解放させる。国際秩序を脅かす中国の行動をコントロールしていく。それには日米同盟の結束が欠かせない。「対話のための対話」は意味がなく、今は最大限の圧力をかけるときであるとの認識で一致した点も大きい。北朝鮮は過去に、核開発の放棄を約束しながら裏切ってきたからである。トランプ氏は拉致被害者の家族との面会で「安倍首相とともに、母国へ戻れるよう尽力したい」と語った。北朝鮮に拘束され、昏睡状態で帰国した後に亡くなった米国人大学生の悲劇にも触れた。トランプ氏が金正恩朝鮮労働党委員長に対し、関係改善を図りたいなら拉致被害者を解放するようにと促した点も注目したい。経済関係では、両首脳間の問題意識の隔たりも目立った。だが、TPPを否定し、2国間交渉に重きを置くトランプ氏の姿勢に変化はなかった。会談に先立って「日本市場は公平ではなく、開かれていない」と語るなど、貿易赤字の削減を求めている、としている。

日本経済新聞・社説
日米主導でアジア安定への道筋を

安倍晋三首相とトランプ米大統領が会談し、日米が主導して「自由で開かれたインド太平洋戦略」を推進することで一致した。中長期的な地域安定への道筋を示したことは、アジアの平和と繁栄に資する。インドやオーストラリアなども巻き込み、より強固な枠組みに育ててほしい。安倍政権が今回の首脳会談で目指したのは、首脳同士の個人的な友情の深化だけではない。北朝鮮のみならず、中国の海洋進出など東アジアの安保環境には難題が山積する。トランプ氏を迎えるにあたり最重視したのは、どちらかの国で政権交代があっても揺るがない地域安保の枠組みづくりだ。「自由で開かれたインド太平洋戦略」は、トランプ氏が多国間の枠組みに理解を示した初めての事例である。このことの意味の大きさをよく認識したい。トランプ氏は首脳会談や経済人との会合で、日米の貿易不均衡に触れ、「公正ではない」と日本の対応に不満を表明した。日米2国間の自由貿易協定(FTA)の締結に向けた交渉開始を求める場面はなかったようだが、今後の出方はまだ読めない。TPPは米国を除く11カ国による発効の道筋を固め、米国が復帰できる環境を整えておく。知的財産権やインターネット規制などでは世界貿易機関(WTO)を活用した解決策を促す。保護主義に傾きがちな米国に、国際協調の重要性を説き続けねばならない、としている。

読売新聞・社説
日米首脳会談 強固な同盟を対「北」で示した

北朝鮮情勢が緊迫の度合いを増す中、日米の強固な結束を内外に示した意義は大きい。アジア太平洋地域の安定と発展につなげたい。首相とトランプ氏は、北朝鮮に対して「国際社会と連携し、あらゆる手段を通じて最大限圧力をかける」との方針で一致した。北朝鮮が核ミサイル開発を続ける現状は、地域の安全を損ね、一触即発の事態を招きかねない。国連安全保障理事会の制裁決議の着実な履行を優先すべきだ。両首脳は、北朝鮮の後ろ盾である中国が、圧力強化で大きな役割を果たす必要があることを再確認した。トランプ氏は、拉致被害者の曽我ひとみさんや、横田めぐみさんら被害者の家族と面会し、「首相と力を合わせ、家族の下に戻れるよう努力する」と述べた。家族にとって、心強いメッセージとなったであろう。北朝鮮は米国民も拘束している。日米の連携で解決への機運を高めたい。トランプ氏は、米国の対日貿易について「慢性的な不均衡を是正し、貿易赤字を減らさねばならない」と語った。対日貿易赤字の削減に向け、具体的な成果を求めていく方針を強く示唆した。日本など米国以外のTPP参加11か国は今週の首脳会合で、米国抜きの協定発効に向けた大筋合意を目指す。日本は協議を主導するとともに、米国が地域の自由貿易体制に回帰するよう、粘り強く働きかける必要がある、としている。

トランプ氏のアジア外交の中心が中国なのは語るまでもない。外交スケジュールが全人代の後に設定されている時点で、アメリカの優先順位は中国が中心だ。日本や韓国より中国なのは当然だが、北朝鮮よりも中国、ロシアよりも中国。だが、Wall Street Journalや人民網が言うとおり、トランプ氏の戦略は語られたこともなく、政権内の意見の一致さえ見えない。日本外交でも成果ゼロだが、まさか中国からも手ぶらで帰るつもりだろうか?習氏は何の約束をする気もなさそうだ。全人代で中国は自由主義への優位性を完全に否定した。アメリカとは正面から対峙するつもりだ。トランプ氏は、ディールという言葉さえ使わせてもらえそうもない。不毛なアジア外交になりそうだ。

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