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3163.報道比較2017.10.30

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完全に話題がばらけた新聞各紙。各紙のセンスが問われる。政治に依存しない姿勢には共感する。この状況がつづくのを期待したい。

朝日新聞・社説
規制委5年 対話通じて安全高めよ

原子力規制委員会の2代目委員長に更田豊志氏が就いて、1カ月がすぎた。東京電力福島第一原発の事故後、原子力安全行政の刷新を担った規制委は、「透明性と独立性」を目標に掲げてきた。透明性についてはかなり徹底されている。テロ対策などを除いて会議はほとんど公開され、資料や審議内容はウェブサイトで確認できる。毎週の委員長会見は動画や速記録でたどれ、他省庁が見習うべき水準にある。独立性も、電力会社とのなれ合いが批判された以前の態勢と比べて改善されたと言える。カギになるのは、電力事業者との「対話」だろう。現場への訪問などで意思疎通を図りながら、安全文化の劣化の兆候を探る。ごまかしを見抜く技術を磨くことが不可欠になる。柏崎刈羽(かしわざきかりわ)原発(新潟県)の再稼働について「適合」判断を示したことでは、米山隆一新潟県知事から説明を求められている。原発を抱える自治体には、規制委との距離を感じているところが少なくない。独立性を追求し続けることは大切だが、孤立や独善に陥っては元も子もない。さまざまな対話を重ねて、安全性の向上につなげるべきである、としている。

朝日の社説から、原子力規制委員会の任務はかなり深く、重い。メディアが適切に把握できるレベルを超えている気がする。人知が十分でない分野を、わずかな人数の規制委員会がどうやって把握するのか。電力会社との対話を求めながら、緊張感を維持することを日本人ができるだろうか。それをメディアが適切に国民に理解させるレベルまでかみ砕けるだろうか。私には疑問だ。また原発が国民から距離のあるものになると、見えにくく、無関心になりやすい。メディアには相当な努力が求められるが、新聞はその役割を担えるだろうか?

産経新聞・社説
デンソー勝訴 実体を見極め適正課税を

シンガポールにある子会社の所得にタックスヘイブン(租税回避地)対策税制を適用した約12億円の課税処分をめぐる最高裁判決で、処分取り消しを求めていた大手自動車部品メーカー、デンソーが逆転勝訴した。今回の訴訟では、デンソーのシンガポール子会社に対策税制が適用されるかが争われた。最高裁は「子会社には東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の事業を効率化する目的があり、財務や物流などで実体があった」として課税処分は違法と結論づけた。対策税制は約40年前に導入されたが、企業の国際競争の激化に伴い、政府は適用要件を緩和するなど企業を支援する見直しを進めている。それでも適用された企業が課税を不服として訴える事例が増えており、最高裁が示した新基準を混乱回避につなげてほしい。一方で、タックスヘイブンを舞台に一部の多国籍企業などが不当に課税を逃れていることへの対応も急務である。各国の税務当局が連携し、国際的な監視網を構築しなければならない、としている。

パナマ文書が騒がれたのはいつだっただろう?パナマ文書自体の目的は、北朝鮮、ロシア、IT企業あたりだったのだろうが、とばっちりを受ける形でいくつかの企業の名が税金逃れの汚名を着ることとなった。デンソーの事例がそれにあたるのかは不明だが、国税の動きも不信を高める。中小以下の企業に、最高裁まで納税で国税と争える時間とカネに余裕のある企業は少ない。裏付けを確実にしてから動いてもらいたかった。

日本経済新聞・社説
介護報酬引き下げで制度の持続性高めよ

介護報酬は3年ごとに、事業者の経営状況などを踏まえ見直すことになっている。検討の資料として厚生労働省がまとめた経営実態調査によると、介護サービス全体の16年度の利益率は平均3.3%で、3年前より4.5ポイント下がった。15年度の改定がマイナス改定だったことや人手不足で人件費が上がっていることが背景にある。とりわけ、訪問介護のなかでも、料理や掃除などを手助けする生活援助は、見直しがいる。サービスを担う人の資格要件を緩め、報酬を下げる議論がされているが、それだけでは不十分だ。将来的には軽度者の生活援助を介護保険の給付対象から外す議論も必要ではないか。その場合でも介護保険と同じヘルパーが担いやすくすれば、利用者の不安も薄らぐだろう。介護費用が膨らめば、介護保険料も高くなる。制度創設当初の月額3千円弱から、すでに5千円台半ばまでになっており、25年度には8千円を超える見通しだ。サービスの無駄を省き、より効率化することはもちろんだ。あわせて、低所得者に配慮しつつ利用者の自己負担を上げることや、保険料を負担する年齢を引き下げることなども、考える時期に来ている。健康寿命を延ばし、医療や介護が必要になるのを防ぐ策も重要だろう、としている。

当事者でない私には、介護保険は縁遠い存在だ。だから金額を言われてもイメージしにくい。思うのは、利用者が代金を支払う時にどの程度の負担感を持つかで料金が設定されるのが理想だと思う。医療保険には見習えるにあると思う。介護は薬のように物品ではない側面が多く、人件費率が高いのではないか。もし、人手不足で制度が回らなくなっているなら、気軽に使える費用負担レベルで留めておくのは理想的ではない。多少、躊躇する程度にしなければ人材に負荷がかかる。いまは費用よりも、そのサービス低下に配慮すべき状況にあるのではないか。

読売新聞・社説
米国VSユネスコ 問われる国際機関の中立性

加盟国からの拠出を基に運営する国際機関として、中立性を保ってきたのか。存在意義に関わる重い問題を突き付けられたと言えよう。トランプ米政権が、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)から2018年末に脱退することを決めた。19年からは、正式加盟国ではなく、オブザーバー国として関与するという。イスラエルも追随する方針を示した。ユネスコ総会では、パレスチナを支持する途上国が大半を占め、米国は孤立している。親イスラエルのトランプ大統領は、留まる利益はないと判断したのだろう。ボコバ事務局長は、脱退は「非常に残念だ」と述べたが、ユネスコが政治的に利用され、機能しにくくなっている、という米国の主張は的を射ている。ボコバ氏自身も「中国寄り」や「改革に後ろ向き」との批判を受けていた。フランスのアズレ前文化相が近く、ユネスコの新事務局長に就く。指導力を発揮し、加盟国の信頼を取り戻してもらいたい、としている。

注目したいのは日本政府の行動だ。読売の主張にはアメリカへの追随を期待しているようにも聞こえる。世界遺産登録のためにはずいぶんカネを使ったはずだが、都合によって言うことが変わるのは、日本への不信を招く。アメリカのしている孤立主義に似た強行姿勢に同調する時は、十分な思慮が必要だ。

Wall Street Journal
トランプ氏、次期FRB議長にパウエル理事指名の公算 (2017.10.29)

ドナルド・トランプ米大統領は来週、連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長にジェローム・パウエルFRB理事を指名する公算が高い。内情に詳しいある関係者が明らかにした。トランプ氏は27日、写真共有サイト「インスタグラム」に投稿したビデオメッセージの中で、FRB議長人事について「特定の人物が念頭にある。来週中に」発表するとし、「願わくば素晴らしい仕事を成し遂げるような人物だ。誰もが非常に感心すると思う」と述べていた。次期FRB議長の指名発表日は依然として不明でFRBとトランプ氏双方にとって来週は忙しい週になるだろう、としている。

どれだけ意味深に演出しても、もうトランプ氏のツイートで世界が揺れることはない。彼が大統領として下す決定にしか、世界は興味がない。

人民網日本語版
「1つの変化と2つの不変」は現代中国の国情に符合する科学的論断 (2017.10.27)

習近平総書記は第19回党大会報告で「中国の特色ある社会主義は新時代に入り、中国の主な社会的矛盾は人民の日に日に増大する素晴らしい生活への需要と、不均衡で不十分な発展との間にある矛盾へとすでに変化している」と強調すると同時に、「中国社会の主な矛盾の変化が、中国の社会主義の置かれる歴史段階に対するわれわれの判断を変えることはない。われわれが今も、かつ長期間社会主義初級段階にあるという基本的国情に変わりはなく、世界最大の発展途上国であるという中国の国際的地位に変わりはない」と指摘した。第18回党大会以降、中国は国際的地位をかつてないほど高め、国際社会の中心に近づき続けてきたが、最大の発展途上国であるという国際的地位は変わっていない。これは次の理由による。中国は経済規模ではすでに世界2位だが、1人当たりGDPは依然として世界90位だ。労働生産率は依然として米国と相当大きな開きがある。人口が多く、1人当たり資源量が少なく、生態基礎が薄弱という基本的国情のため、発展を強く制約する条件に変わりがない。高齢化と少子化、エネルギー供給の制約といった新たな、重大な試練にも直面している。つまり、「1つの変化と2つの不変」は、中国が世界の大国から世界の強国へと変わるうえでの国情の基礎だ、としている。

通常より多いコンテンツで言いたいのかと思えば、「まだ中国は発展途上国で得られるメリットは手放しません」ということだった。カネを使わないと得られない権利があるのを知るのは、まだ先だろうか?

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