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3162.報道比較2017.10.29

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選挙後、凪いだままの日本。混乱したのは天候のみ。長いプランを考えるにはいい環境だ。動きながら、考えたい。

Wall Street Journal
アメリカ農業をのみ込む巨大農場 (2017.10.24)

ロン・フラーム氏(59)は農業の未来を象徴しているのかもしれない。フラーム氏はトーマス郡の耕作地全体の10%近くを占める土地で農業を営んでいる。作柄をチェックするために軽飛行機に乗ると、農場の端まで50キロメートル近くも飛ぶことになる。約1万2000ヘクタールと郡有数の規模を誇る農場は、毎年セミトレーラートラック4500台分のトウモロコシや小麦を生み出す。こうした大規模農場は、米国の農家が1980年代以降で最も深刻な低迷期にある中でも好調だ。世界的な穀物のだぶつきを受けてトウモロコシや小麦、その他農産品の価格が数年にわたり落ち込んでいることから、小規模農家は廃業に追いやられている。大規模農場はほぼ全て、今でも企業ではなく個人農家が経営している。オーナーたちは、機械と技術をより有効に活用し、一括購入で農機具を安く入手し、中間業者を排除して利益を増やしている。地元の学区では過去20年で生徒数が25%以上減った。「若者が出て行っている。農家が以前ほど人手を必要としていないからだ」と、農業を営むビル・ミラー氏は述べた。かんがいシステムの遠隔センサーといった技術や大型の機械が大規模農場で使われることで、労働需要が減少している。ダイブル氏は「超大型の農家が地域社会を全部殺している。関係者以外にとっては厳しい」と述べた、としている。

規模は大きく下がるだろうが、日本の農業も、やがてこの事例のようになるだろう。企業が手がける必要はない。卓越したリーダーが、優秀な人材と最新鋭の技術で不可能と思える規模の生産性を確立する。ITの世界でも同じことが起きている。きっと、工場でも、小売店でも、工事現場でも似た状態になるのではないか。人がいらなくなるのではなく、リーダーと優秀な人材以外がいらなくなる。才能ではなく、習得可能な能力だ。管理するものが、人だけではなく、マシンや情報になる。もちろん、そのシステムをつくれるものが圧倒的なパワーを得るのだが、誰もがシステムを作る側に回らなくても、うまく利用する人が適度に裕福になり、場合によってはシステムをつくる人より大きくなる時も出てくるに違いない。ITやロボットは脅威ではない。利用するツール。うまく使う人が大きくなる。学ぶ姿勢が重要だ。

人民網日本語版
中国1-9月期、工業経済が安定して良い方向へ (2017.10.28)

工業・情報化部(省)の報道官である、運行モニタリング協調局の鄭立新局長は、「1-9月期、中国全土の一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)の付加的価値は前年同期比6.7%上昇、上昇ペースは0.7ポイント加速した。ここ3年で、上昇ペースが最も早い。一定規模以上の工業企業はメイン業務の收入と利益の総額が前年同期比で、12.5%と22.8%増となった。製造業のクオリティ、効率アップが際立っていた。当局の企業7000社を対象にした調査、モニタリングによると、生産・経営の状況が良好な企業が前年同期比で10.6ポイント上昇の48%となった」と明らかにした。鄭局長は、「第四四半期(10-12月)の工業経済は、安定して良い方向へ向かった1―9月の状況を引き継ぎ、企業の利益も右肩上がりとなると予想されている。企業は発展に対する自身を一層強めている」と語った、としている。

当分、中国からはいい統計値が今までどおり報告されるだろう。どこかで成長が持続できなくなる。習氏も共産党も認識している事実。それを正しく報告できるか、成長から成熟へ適切にシフトできるかが、成長の持続以上に重要になる。いまの人民網からは、その誠実さは感じられない。言うのをためらう数値を語る勇気も自由も、中国にはない。中国の調整はハードになりそうな予感がする。

日本経済新聞・社説
米IT企業の決算が示す株高持続の条件

米国で株価上昇が続いている最大の要因のひとつが、好調な企業業績だ。米調査会社トムソン・ロイターによれば主要500社の2017年7~9月期決算は前年同期に比べ7%程度の増益となったもようだ。IT(情報技術)関連を中心に7割超の企業は、アナリストの事前予想を上回る好決算を発表している。一方で、株価上昇が長く続いていることへの警戒感も高まってきた。世界の株高をけん引する米国企業の収益に陰りが見えないかどうかといった点にも、目を凝らす必要がある。日本でも業績の上方修正が相次ぎ、日経平均株価は21年3カ月ぶりに2万2000円台を回復した。業績の裏づけを伴う株価上昇は消費者心理の好転につながり、経済全体に良い影響を与える。日本企業が米国企業と競いグローバル化と構造改革の手綱を緩めないことが、株価の持続的な上昇と景気回復のために重要となる。企業が収益力を高め、市場変動に対する抵抗力をつけているかどうか。投資家は過度の楽観に傾くことなく、厳しく見きわめなければならない、としている。

業績予測だけなら、私も買いたかった。だが、今の株はあまりに高い。いつでも退ける機動力が自分にないのを自認しているので、私は乗らない。総楽観の株を、誰もがババ抜きのように買って価格を上げている印象だ。この原因は中央銀行の量的緩和にあると思うのだが、日経はどう考えるのだろう?

朝日新聞・社説
がん基本計画 めざす目標をはっきり

閣議決定された第3期がん対策推進基本計画は、今後6年間の施策の指針となるもので、小児や働く世代に加え、思春期や若年成人、高齢者への支援・診療体制をつくる必要性が明記された。また、遺伝情報をもとに治療方針を決める「ゲノム医療」の推進をうたうなど、これまでの計画以上に手厚い内容になっている。しかし各施策の個別目標を見ると、「検討する」「進める」などの表現が多い。これでは実現への道筋が見えず、将来、成果を分析し、評価・検証する作業が難しくなりかねない。大切なのは、普及でも検討でもない。患者の要求にかない、生活の質の向上につながる診療が、現場でどれだけ行われるかだ。その視点で目標を設定するべきではなかったか。第2期までの計画にあった、75歳未満のがん死亡率(10万人あたりの死亡人数)を「10年間で20%減らす」という目標も、今回なくなった。15年までの10年間の実績は16%の減少。「死亡率にばかりこだわるべきではない」との考えはあるものの、再び目標を達成できなかったときの批判を恐れたとすれば、本末転倒ではないか。数値目標がなくなると知り、「対策の評価が難しくなる」などとして、独自に目標を設けることを決めた県もある、としている。

いまの日本は、何もかもがこんな状況だ。コミットメントを嫌う。実現できる能力どころか、計画さえ立てられないのだろう。首相や政府が平然とそんな運営をやっているのだから、他の行政機関も似た形になっていく。民間は流されてはいけない。こんなやり方は世界のどこにも存在しない。計画が達成できなかったときは、報告と是正策が責任とともに語られるのは当然のはずだ。

読売新聞・社説
モーターショー 電気自動車は未来をひらくか

隔年開催の東京モーターショーが開幕した。国内外の約150の自動車関連企業が参加している。最新車や先端技術を盛り込んだ未来のクルマを発表する祭典だ。今回、目を引くのは、排ガスを出さず、環境への負荷が少ない電気自動車(EV)である。EV量産車リーフで先行した日産自動車も、走行距離を伸ばした試作車を展示した。海外勢では、独フォルクスワーゲンが、25年までに約50車種のEVを投入する目標を明らかにしている。EVを中心とした電動車戦略の成否が、世界の自動車市場の勢力図を塗り替える可能性が高い。展示のもう一つの注目点は、自動運転だ。各社は人工知能やセンサーを活用し、「ぶつからない車」の実用化を競っている。高齢化と人口減が急速に進む日本で、自動運転車が実用化される意義は大きい。高齢の運転者による交通事故防止に役立つ。人口減によって公共交通機関の維持が難しい地域への恩恵も期待できる。無論、最先端技術が社会に受け入れられるには、品質への信頼が大前提となる。日産の無資格検査など不祥事が後を絶たない。ものづくりの質を高める不断の取り組みを忘れてはならない、としている。

東京モーターショーは、有料の展示会だ。入場者数がずっと減少している現状を見ると、入場料を払ってまで行く価値があると考える人は減りつづけているように見える。EVが盛り上がることと、モーターショーの必要性は別物だ。テスラは会場にはいないし、他のアメリカ自動車会社もいない。中国のバッテリー会社もいない。そろそろ東京モーターショーの存在意義が問われてもいい状況だと思う。

毎日新聞・社説
衆院選後の国会 首相の謙虚さが試される

11月1日に召集される特別国会の日程がいまだに決まらない。安倍晋三首相は選挙後、「謙虚に」「真摯に」との言葉を繰り返している。だが野党質問の削減は、およそそれとはかけ離れた姿勢だろう。こうした見直しには反対だ。そもそも首相が先の臨時国会冒頭で衆院解散に踏み切ったのは、森友学園や加計学園問題の追及を避けるための疑惑隠しではないかと言われてきた。選挙中も両問題に対する首相の説明は論理のすり替えが目立ち、衆院選後は既にこの問題は決着したと言わんばかりの姿勢を示している。もちろん決着したとは到底言えない。また首相が「国難」と語る北朝鮮問題についても、現在の情勢を含めて、ほとんど政府は説明していない。これも自民党が大勝したから、省略していいという話ではない。それを考えれば、所信表明演説や各党代表質問だけでなく、予算委員会などを開き、山積している課題に対して与野党が腰を据えて議論をするのは当然だ、としている。

この手の批判型の社説は、何の役にも立たないことは毎日も認識しているはずだ。本気で政府を問い詰めるなら、東京新聞のような姿勢まで踏み込む取材がいる。何もせずに批判するだけのマスメディアは、すでに政府以上に信頼を失っている。

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