ORIZUME - オリズメ

3150.報道比較2017.10.17

3150.報道比較2017.10.17 はコメントを受け付けていません。

不信の宿る社会の生産性は著しく低い。いま、先進国はどこもその課題を抱えはじめている。

Financial Times
「究極の偽ニュース」、恐怖のシナリオ (2017.10.13)

ちょっと想像してみてほしい。鏡をのぞき込むと、そこには自分ではなくドナルド・トランプ氏の顔が映っている。「フェース2フェース」という技術を使えば、こんな不気味なことができるようになる。米カリフォルニア州のスタンフォード大学で研究者らが開発した、自分の顔の動きを動画に映っている他人の顔に移し替える技術だ。トランプ氏が北朝鮮に核戦争を布告する、説得力のある動画を合成することが可能になる。熱に侵されたような今の環境で、そんな動画が表に出れば、ホワイトハウスが慌てて否定しても間に合わないほどのスピードで、あっという間に拡散するかもしれない。今のところ、フェイクの画像を見つけ出すには時間がかかるうえ、専門的な知識も欠かせない。そのため、大量のインチキ画像がチェックされずに存在しているのが実情だ。デジタルのペテンもここまできたか、と唸ってしまう話だ。この種の技術は、政治を混乱させて世界の秩序を揺るがしかねないだけでなく、芸術に関する人々の認識の再構成をも迫っているのだ、としている。

Financial Timesの懸念する悪意は、現実として起こりそうだが、問題の中心はテクノロジーではない。社会がどう危機に対応する能力を持っているかだ。テクノロジーが進歩すれば、権力はこの手の課題を容易に越えられる。ホワイトハウスでしか撮影できないシチュエーションをつくることも、別の技術で映像の信頼性を担保するスタンプを捺すこともできる。テクノロジーにはテクノロジーとアイディアで、人はいつでも困難を乗り越えてきた。それよりも問題は、人が危機に直面した時、反射的に反応したり、盲信またはすべてに不信感を抱く社会になっていると、テクノロジーを使わなくても人は混乱し、だまし合い、機能停止に陥る。注視すべきはテクノロジーより、こういう話題に適応できない社会になっていることだ。不信の宿る社会の生産性は著しく低い。いま、先進国はどこもその課題を抱えはじめている。

朝日新聞・社説
衆院選 教育無償化 優先順位とメリハリを

未来への投資、という前向きな感じゆえか。各党が「教育無償化」を公約に掲げている。消費税を10%にする際に使い道を変え、幼児教育の無償化などに充てる。自民党がそう言えば、連立を組む公明党は私立高校の無償化推進を訴える。希望の党は増税凍結と幼児教育の無償化を同時にうたい、日本維新の会はすべての教育を無償化するため改憲すると意気込む。立憲民主党は高校の無償措置から所得制限を廃止するという。共産党もふくめ、「無償化」のオンパレードだ。国の懐が豊かなら、すべての教育を無償化するのが理想だ。だが日本は1千兆円の借金を抱える。財政とのバランスを考えないと、子どもたちの未来に大きなツケを回すことになる。収入の多寡を問わず、子育て世代すべての負担を軽くするという考えもあるだろう。しかしそのお金があるのなら、保育所の建設や保育士の養成・確保こそ急ぐべきではないか。そうした手当てを十分せずに無償化を進めたらどうなるか。保育所の需要をさらに掘り起こし、入所のための競争をさらに激しくさせる心配がある。聞こえのいい教育無償化にとどまらず、就労支援などで生活の安定を図らなければ真の解決にならない。政党、候補者にはそこまで目を向けてほしい、としている。

極めて正論。各政党はどう答えるだろう?政策の建設的な議論を経ずに投票日が来そうだ。問いに答えないのは、大いなる不信のはじまりだ。

日本経済新聞・社説
17衆院選 女性や高齢者の就業促す抜本策を示せ

人口減少が進み、労働力不足への対応は急務だ。女性や高齢者の就業をいかに促すかがカギを握っている。短時間勤務制度の導入など企業自身が取り組むべきことは多いが、後押しするのは政策の役割である。女性の就労促進で最優先にすべきは待機児童対策だ。野村総合研究所の推計では、今春、保育施設に入れなかった子どもは34.6万人いた。国が集計している待機児童数の2.6万人を大きく上回る。最初からあきらめて申し込まなかった女性が多数いるためで、潜在的な就労意欲は高い。自民党が2020年度までに32万人分の保育の受け皿を整備するとしたのをはじめ、多くの党が待機児童対策を公約に掲げる。しかし、肝心なのは実行力だ。気がかりは待機児童対策が教育無償化の陰に隠れてしまっていることだ。保育サービスを増やすための財源などをもっと語ってほしい。民間の力を生かし良質なサービスを広げる工夫も必要だ。産業構造の変化で能力開発の重要性は増している。公共職業訓練の改革を一部の政党が掲げるが、その中身は見えない。たとえば民間事業者への訓練の委託を広げ、IT(情報技術)関連の講座の拡充を急ぐべきだ、としている。

毎日新聞・社説
総選挙 雇用改善の実像 人を語らぬ政治が残念だ

「正社員の有効求人倍率が初めて1倍を超えた。正社員になりたい人がいれば必ず一つ以上の正社員の仕事があります」。安倍晋三首相が衆院の解散を表明した記者会見で強調し、また街頭演説でもよく話す内容だ。経済政策「アベノミクス」の成果を誇っている。求人数(パートを含む)が5万人を超える主な職種で高倍率なのは、警備や交通整理などの保安7・70倍▽建築や土木5・16倍▽接客や給仕3・92倍▽介護サービス3・63倍▽トラックなどの運転手2・75倍▽保育士など福祉2・64倍--である。労働条件が厳しい割に待遇は良くなく、人が集まりにくい職種だ。職を探す人はどんな仕事でもいいわけではない。勤務時間がある程度定まった一般事務は0・34倍で奪い合う状況だ。経済は回復しつつあるとしても、国の土台となる社会はきしみ、多様性を失い、弱くなっているように思える。政治に期待や切なる願いを抱くのは、いつの時代も社会的な弱者や大きな声を持たない市民なのだ、としている。

読売新聞・社説
働き方改革 残業削減へ実効性ある施策を

政府は3月に、「働き方改革実行計画」を策定した。具体化へ向けて、労働基準法改正案などを臨時国会に提出する予定だったが、冒頭解散で先送りとなった。自民、公明両党は公約で、長時間労働の是正を強調している。希望の党と立憲民主党も、長時間労働に対する規制を掲げた。共産、社民両党は、政府案では不十分だと訴え、「過労死につながりかねない」などと批判する。「月100時間」が脳・心臓疾患の労災認定基準である「過労死ライン」に準拠するためだ。新たな残業規制は、超えてはならない最終ラインである。上限いっぱいの残業を肯定する趣旨ではない。いきなり厳し過ぎる規定を設けても、実効性は上がるまい。企業ごとに労使で協議し、適切に運用することが重要だ。希望の党は、正社員を増やした中小企業の社会保険料免除を掲げる。財源が課題となろう。非正規雇用の処遇改善に向けて議論を深めてもらいたい、としている。

毎日の指摘が痛快だ。安倍氏の説得力は、いつもこの程度のもの。ブレーンが悪いのか、準備ができないのか、全体に浅い。だからしらける。すると安倍氏は政策を変える。いつも浅いから、どれも結果が出ない。
雇用や財政を見ると、日本の行政が水膨れということだろう。余計なことはしていないつもりかもしれないが、できないことをできると言い、これ以上の税は集められないのに、税を集めるつもりでまだやれることを増やすと言う。仕事は増えない。ITや機械化のせいではない。人口が減り、マーケットはしぼむのだから。同じことをやりつづけようとするだけ、人に負荷がかかる。やらなくていいことを見つけて、やめる時代だ。行政も政治も無駄を省いて欲しいのだが。

産経新聞・社説
衆院選と安全保障 国民の命に責任もてるか

外交手段で北朝鮮に核兵器・弾道ミサイル戦力を放棄させる。まずそこに力を尽くすのは当然だ。それでも政治は、北朝鮮の暴発など有事に備えなければならない。外交解決の困難さを知りながら「次」を語らぬのは無責任だ。トランプ米大統領は、北朝鮮の核放棄に向けて、軍事的選択肢を排除していない。それは好戦的だからというよりも、米国民の安全に責任を持つからである。仮に北朝鮮有事となった場合、日本もいや応なく当事国になると認識すべきだ。北朝鮮危機への対応を誤ればどうなるか。それは、直接的な軍事上の脅威の問題にとどまらない。戦後日本の平和と繁栄の基盤となってきた日米同盟を、機能不全にさせかねないのである。北朝鮮が米本土をICBMで核攻撃できるようになれば、米政府は自国民を核攻撃のリスクにさらしてまで、日本を守るだろうかという疑念が生じる。日本は「核の傘」を含め、米軍による防衛を期待できなくなる、ということだ。同盟が機能不全に追い込まれる事態の深刻さと、それを防ぐ必要性について、国民に丁寧に説明してほしい。すべての候補者は、目の前にある危機に何ができるか、何をすべきかを語ってもらいたい、としている。

武器を売りつけるために危機をトランプ氏が煽っているだけでは?という発想は産経にはないようだ。少なくとも中国と議論できない時点で、北朝鮮問題を前進させることなどできない。

Wall Street Journal
トランプ氏、FRB議長再任巡りイエレン氏と19日に会談 (2017.10.17)

ドナルド・トランプ米大統領は19日に連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長と会い、議長に再指名する可能性について話し合う。事情に詳しい関係者が明らかにした。議長の任期は4年で、イエレン氏の任期は来年2月上旬に終了する。イエレン氏は数人の次期議長候補の1人。他にケビン・ウォーシュ元FRB理事やジェローム・パウエル現理事、スタンフォード大学のジョン・テイラー経済学教授、国家経済会議(NEC)のゲーリー・コーン委員長らが候補に挙がっている、としている。

少し多忙にしていたが、このニュースは気になっていた。トランプ氏とイエレン氏のミーティングは、日本時間で今夜。次のFRB議長を決める大事な節目になる。今までの過去を思えば、イエレン氏がトランプ氏に気を使ってまでFRB議長をつづけたい理由は見当たらない。トランプ氏とイエレン氏の価値観にも大きな隔たりがある気がする。次はイエレン氏ではない誰か、と考えるのが自然だ。ならば、どんな価値観の人が?世界のマーケットを握る人が誰になるか、世界が注目している。まだ残された時間は4か月ほどあるが、このまま行けばイエレン氏はマーケット・クラッシュをまったく知らずに議長を退けることになる。最後までマーケットは安定を保つだろうか?

人民網日本語版
中国共産党が党大会前に腐敗根絶の決意を示す (2017.10.16)

中国共産党第18期中央委員会第7回全体会議(七中全会)が14日、閉幕した。前中央政治局委員で前中国共産党重慶市委員会書記の孫政才と、前中国共産党天津市委員会代理書記で同市前市長の黄興国、前民政部長の李立国ら13人の重大な規律違反問題に関する審査報告を承認し、孫政才、黄興国ら12人を党籍剥奪処分にしたことが注目されている。第18回党大会以来、中国は断固として腐敗と汚職を取り締ってきた。周永康、薄煕来、郭伯雄、徐才厚、孫政才、令計画らの法律・規律違反問題を処理。今年6月末までに、中国全土で立件・審査した中級管理幹部は280人余り、庁局級幹部は8600人余り、県処級幹部は6万6000人に達する。第18期中央委員・候補委員40人、中央紀律検査委員会委員8人を取り調べ、処分した。8月末までに「天網行動」によって計90余りの国と地域から国外逃亡者3339人を連れ戻し、不法取得資産93億6000万元を回収し、「百名紅通(国際逮捕手配書)人員」中すでに40人余りを出廷させた。今年6月末までに、郷科級及び以下の党員・幹部134万3000人を処分し、農村党員・幹部64万8000人を処分し、民衆の近くの「蝿と鼠」を効果的に懲らしめた。米国の政治・経済論説家、国際企業戦略コンサルタントのロバート・ローレンス・クーン氏は「第18回党大会以来の未曾有の反腐敗行動は大衆の力強い支持を得た。一連の腐敗根絶、浪費撲滅行動は政府、国有企業指導者の仕事の仕方、さらには考え方も変えた」と指摘する、としている。

恐ろしい数の共産党員が処分されている。それだけ汚れていたというため息と、習氏はここまで締めつけて何を得たいのかという疑問が常に繰り返される。世界は習氏への疑念を解いてはいない。皇帝の長期政権が中国に生まれた時、中国がいまのプーチン氏と同じようなことをはじめるのでは?その疑念に習氏は一度も答えていない。

Comments are closed.